ーーー : ーーーーー
ーーー : ーーーー
ーーー : ーーー
ーーー : ーー
ーーー : ー
フレデ : (夜。
フレデ : (夜が訪れている。
フレデ : (文字盤が定刻を差し示している。
フレデ : (事を、理解している。
フレデ : ・・・・・。
フレデ : (ベッドサイドテーブルの上には、卓上時計とカレンダーがあり、
フレデ : (カレンダーに毎日印を付ける事。決まった時間に身繕いだけはする事。
フレデ : (そのルーティンを守る事で、日付と時刻を把握している。
フレデ : ・・・・・。
フレデ : (それ以外の事は、何も決めていない。
フレデ : (何もしていない、というのが正しいのだろうが。
フレデ : (それ以上の決まりごとを自分で作る事も、すすめられた何事かを行う事も、何故だか非情に身が重く。
フレデ : ・・・・・。
フレデ : (夢(あの虹色の世界ではない)(現実の記憶の反芻であるもの)を、見るようになり、
フレデ : (決まった時間に眠る事も止めた。身体が意識を手放すまで、ただ待つ事にした。
フレデ : (体力を消耗しなくなったので、眠りに落ちるまではとても長い時間が掛かる。
フレデ : ・・・・・。
フレデ : (夜が訪れている。定刻を指し示している。
フレデ : (時刻はAM××時を回っている。多くの人間が睡眠を取る時間だ。
フレデ : (周囲は常に静穏だが、この時間はとりわけ静まり返っている。
フレデ : (―――普段ならば。
フレデ : ・・・・・。
フレデ : (蹄の足音がする。車輪が転がる音がする。
フレデ : (生物の歩みはやや有機的だが、規則的に音が鳴り響いている。
フレデ : ・・・・・。
フレデ : (音がする。何かが移動している。
フレデ : (それ以上の事に想像を巡らせはしない。
フレデ : ・・・・・。
フレデ : (車輪の音を、ちゃんと聞いたのは久しぶりだ。と。
フレデ : (靄が掛かった頭で、ぼんやりと考えていた。
部屋 : ーーー
部屋 : (いつもと同じ
部屋 : (いつもと変わらない
部屋 : (外で少し音がした。
部屋 : (部屋に変化はない
部屋 : (変わることの無い室内
部屋 : (そんなはずだった。
ドアノブ : ーーー
ドアノブ : (金属製のドアノブが
ドアノブ : (ぼとり。
ドアノブ : (根本から腐食し、折れ落ちる
フレデ : ・・・・・。
フレデ : (車輪の音が止み。
フレデ : (少しして、新たな物音が、
フレデ : (室内から、聞こえた。
フレデ : ・・・・・
フレデ : ・・・ ・・?
ドア : (ゆっくりと内側に開いて開くドア
フレデ : (ベッドに座ったまま、入口の方を、数テンポ遅れて向く
フレデ : (想定外の刺激に反応する、という事を、
フレデ : (随分と、久しぶりに行ったように思う。
ソフィア : (ドアの後ろに佇んでいて、
ソフィア : (腐敗したドアノブの反対側を素手で持ち
ソフィア : (ニッコリと笑って、それを床に捨てる
フレデ : ・・・・・
ソフィア : フュンフレデさん。
ソフィア : こんばんわ。(部屋の入り口でニッコリと。スカートの裾を持って会釈
フレデ : ・・・・・。
フレデ : ・・・・・
フレデ : ・・・(ベッドに状態を起こした姿勢のまま、表情一つ動かさない
ソフィア : ユフィーア=V=ファイルヒェンさんの許可を経て、会いに来ました。ふふふ。
ソフィア : (一悶着あった女性の名。
フレデ : ・・・・・
ソフィア : (色々壮絶な罵り合いがあったが、最終的に許可を得たと言って良いだろう
フレデ : (・・・(確かこの人は、(何故、(――ユフィーア姉様?(・・・・・。
ソフィア : こんな夜更けにすいません。(言いながらお部屋に入ってきて
ソフィア : でも(言いながらノブの無くなった扉を閉めて
ソフィア : どうしても今日、会いたかったんです。(ロングなグローブを身につけながら歩んでくる
フレデ : ・・・・・(思考が鈍って、回らなくなっている。色々な―壮絶な物言いや、取り決めがあった事を―
フレデ : (ようやく、遅れて、思い起こし………
ソフィア : フュンフレデさんに。どうしても。
フレデ : ・・・・s、 っ
フレデ : 、(音声を発しようとして、けほっ、と咳き込む
ソフィア : まぁ!!大丈夫ですか!?(言いながらすぐ近くまで駆け寄る
ソフィア : お体がまだ……まぁ、どうしましょう……!
フレデ : ・・・・・ソ、フィ、ア様、 ですね。
フレデ : 、いえ、(駆け寄ってきたユフィーアに、大丈夫と制すように片手を出して
ソフィア : そうです!!!そうですそうです!!ソフィアですわ!
フレデ : ・・・・・仔細ありません。
ソフィア : (嬉しそうにぱあああっと表情を明るくして
ソフィア : 暫くと会いに行けなくてごめんなさい。
フレデ : ・・・・・。
ソフィア : 運命を阻む幾つもの障害に足止めをされておりまして…
ソフィア : でも、ようやく。こうして。
フレデ : (あらゆる「何故」が脳裏を去来するが、どれも上手く処理できない。
ソフィア : 会いにくる事が出来ました。(フレデを見つめて
フレデ : ・・・・・。
ソフィア : フュンフレデさん。お久しぶりですっ。
フレデ : ……(一先ず、息を整えて。声は、ちゃんと出せる。
フレデ : …はい。そうですね。 お久しぶりです。ソフィア様。
ソフィア : ふふふ。ええ。ソフィアです。(ニッコリと
ソフィア : フュンフレデさん。
ソフィア : なんでも大怪我をされたとか。
フレデ : 。
ソフィア : もう、お怪我は大丈夫なのですか?私、心配で、いてもたってもいられず…
フレデ : ・・・・・
フレデ : いえ。大怪我ではありません。完治致しましたので。
ソフィア : まぁ!それは良かったですわ!
フレデ : (ソフィアの方を見るのを止めて、答える。
ソフィア : では、フュンフレデさん?
ソフィア : ・・・あれま?
フレデ : ・・・・・。
フレデ : ソフィア様は、私に、用件があって来られたのでしょうか。
ソフィア : はいっ!
ソフィア : フュンフレデさんのお見舞い。と………
ソフィア : あと1つお願い事があって来ました。
フレデ : ・・・・・。そうですか。
ソフィア : フュンフレデさん。
ソフィア : 私とお外に出かけませんか?
フレデ : ・・・・・。
フレデ : ・・・・・。了承できかねます。申し訳ありません。
ソフィア : まぁ? どうしてですか?(不思議そうにキョトンとして
ソフィア : (断られたショックのような様子はない
フレデ : ・・・・・。(理由を言葉にするのに時間を要する
フレデ : ・・・・・
ソフィア : ふふふ。(ニコニコと笑って
ソフィア : 大丈夫ですよ。
ソフィア : 心配いりません。
ソフィア : 大丈夫。大丈夫。
ソフィア : お外へのお出かけは、お体とお心の健康にとっても良いのです。
ソフィア : (笑顔で自論を述べる
フレデ : ・・・・・
フレデ : 私は、
フレデ : 「治ら」なくてはならないのでしょうか。(無表情のまま、無意識のままに零れたように
フレデ : 。
フレデ : 、
フレデ : ・・・・・いえ、(言った後、自分で戸惑って
フレデ : いえ、それは、・・・自明の回答です。・・・・・
ソフィア : ふふふ。(この展開は
ソフィア : 「治りましょう!」私と一緒に。(ソフィアの望んだ通りの展開である
フレデ : ・・・・・(片手で顔を覆って
フレデ : ・・・・・
フレデ : ・・・
ソフィア : フュンフレデさん。
フレデ : (自明の解答である。自分は今、肉体と精神に負傷を負い、外傷こそ治癒されたが、心は……――
フレデ : ・・・・・
ソフィア : このお部屋でも
ソフィア : もしかしたら「不自由」は無いのかも?しれない?ですね。
ソフィア : 私たち、貴族ですし。
フレデ : (解っている。そうだ。解っている。私は治るべきだ。 家の、兄弟達の、使用人の、 周りの人たちの、言う事を、――……
ソフィア : 治療に、食事に、お世話に、老後の資産も。
ソフィア : うふふふ。
ソフィア : でも。
ソフィア : 違うんです。それは。(断言する
ソフィア : それだけじゃあ「生きてる」って実感が足りなくなっちゃうんです。(断言する
フレデ : (「周りの言う事をただ聞いたから」、 私は――――私だけが。――――
ソフィア : お外にお出かけしましょ。
フレデ : ・・・私は、(ソフィアの、特定の言葉だけに反応したように、
フレデ : 「生きてる」価値がありますか?
ソフィア : ええ。はい。勿論。(全く言い淀まず
フレデ : ・・・・・。
ソフィア : フュンフレデさんは「生きてる」だけで価値があります。
ソフィア : それに加えて、
ソフィア : 「楽しく生きたり」「素敵に生きたり」「健康的に生きたり」・・・
ソフィア : 「生きる」って色んな選択肢あるんですよ?
ソフィア : 勿論………
ソフィア : このお部屋に閉じこもったままだったり…
ソフィア : ……………
ソフィア : ………
ソフィア : (少し、続きを言うか悩んでいる
フレデ : ・・・・・。(無表情だが、困惑が滲む様子で、ソフィアを見ている
ソフィア : …この「家」に閉じこもったままでも、
ソフィア : フュンフレデさんは「生きてる」事が出来ます。ええ。出来ます。
ソフィア : 出来ますけど………
ソフィア : (自分は我儘で愚かだ。自身の欲望の為に甘え付け込み解釈をズラし強欲を満たす。
ソフィア : (だから正しい。ここまで作戦通り。そのはず。
ソフィア : (「保守的で変革を求めず結果に飛びつかない実験の可能性を狭めないが故に狭めてしまうこの家」とは「違う判断を伝え続けて強引にその選択肢を踏ませる。説得する。洗脳して誘拐する。」
ソフィア : (そうするのが1つの突破口。生まれてから今に至るまで一生我儘だった自分の得意とも重なる1つの答え・
ソフィア : ………
ソフィア : 出来ますけど、
ソフィア : フュンフレデさん。
フレデ : ・・・・・。
ソフィア : ………っ、
ソフィア : フュンフレデさんは、もっと「自由」に「生きてる」事も出来ちゃうんです。
ソフィア : (出来れば言いたく無かった言葉。
ソフィア : (命令に従う事を妄信的に進めているフュンフレデは「自由」なんて言われても困るだろうし、
フレデ : ・・・・・自由、ですか。
ソフィア : (束縛して強欲を叶えたいソフィアの未来図にだって「自由」なんか不必要なモノだ。
ソフィア : はい。そうなんです。
フレデ : 自由・・・・・、、(視線を落として、考え込む
フレデ : ・・・・・
ソフィア : (考え込む時間を与える。その様子を見ている。
ソフィア : (あーあ。本当なら…そんな時間すら与えずに、命令とお願いをし続けるつもり。だったのに。
フレデ : ・・・・・。(片手で顔を覆う。表情に苦悶が混じる。
ソフィア : フュンフレデさん。
ソフィア : お怪我をしてこの部屋に入る前、
ソフィア : 何処かお出かけした所はありますか?
ソフィア : (答えのある質問に切り替えて、問う。
フレデ : ・・・・・。
フレデ : 勤務地のシドリー貨物駅以外に、ですか。
ソフィア : …ええ。(ニッコリと。
フレデ : 他は、貴族対抗戦のコロセウムでしょうか。…それ以外に、特筆する所はありません。
フレデ : 幼少期に遡れば、もう幾つか挙げられますが。
ソフィア : ええ。ええ。ふふふ。
ソフィア : 何処かお食事を食べた所や…何か見学・鑑賞した所。
ソフィア : 思いあたりますか?
フレデ : ・・・・・。
フレデ : ・・・・・。いえ。
フレデ : (何も無かった訳では無いと思う。が、敢えて挙げられるような場所が浮かんでこない。
フレデ : あまり、記憶に留めていないのかもしれません。
ソフィア : あらまあ。
ソフィア : なるほど。そうなのですね。
ソフィア : (特に落胆の様子もない。ゆっくりと会話を続けている。
ソフィア : それならば一層です。
ソフィア : やっぱり、私と、お外の世界にお出かけしましょう。フュンフレデさん。
ソフィア : お外には「楽しい場所」も「美味しい食事」もまだまだいっぱいあるんです。
フレデ : ・・・・・。
フレデ : ・・・・・何故、私にそういった事を勧めるのでしょうか。
ソフィア : え?何故??
フレデ : ・・・・・(言って、思考を巡らせ
フレデ : 私の、治療の為、でしょうか。
ソフィア : ・・・。・・・。・・・。
ソフィア : あー・・・
ソフィア : (ちょっと悩んで
フレデ : ・・・・・?
ソフィア : そうですね。確かに。ちゃんとは説明していなかったかもしれません。
フレデ : ・・・・・そうですね。不明な事は、多いです。
ソフィア : んんっ。(咳払いして改めて
ソフィア : では説明させて頂きますね。(ニッコリと。
ソフィア : 私、フュンフレデさんと、運命を感じているんです。
ソフィア : そしてフュンフレデさんと一緒に幸せになるんです。
フレデ : 運命。
フレデ : 一緒に。
ソフィア : だから。
ソフィア : はい。
ソフィア : 一緒に。
ソフィア : 運命の『道』を一緒に進むんです。
ソフィア : だから。私にとっての幸せはフュンフレデさんが幸せになる事ですし、幸せになったフュンフレデさんは私と居ると幸せなんです。
フレデ : ・・・・・。
ソフィア : だから、怪我をすると心配です。会えるのならすぐに会いたいです。
フレデ : ・・・・・?
ソフィア : 治るのならもっと治って。
ソフィア : 楽しい事があるなら楽しみたい。
ソフィア : ふふふ。
ソフィア : 一緒におでかけしたいんです。
ソフィア : (説明になっているんだか、なっていないんだか。
ソフィア : (欲望と天望を楽しそうに語る女性
フレデ : ・・・・・。
フレデ : ・・・・・あまり、理解できませんでした。(率直。
ソフィア : はい。運命とは理解できずとも訪れるものなので。(ニッコリ。
フレデ : (病み上がり故か、以前よりも言葉に配慮ができていないかもしれない。
フレデ : 運命、ですか。・・・・・。
フレデ : ソフィア様は、運命をどのようにして把握なされたのでしょうか。
ソフィア : まぁ?私ですか?(とっても楽しそうに微笑んでにじり寄って
ソフィア : 以前、私。
ソフィア : フュンフレデさんに暗闇の底から助け出して頂いた事があるんです。
フレデ : はい。私には・・・・・考えに入れた事の無い事項ですので。
フレデ : ・・・・・助け出した。…私が。
フレデ : ・・・・・。
フレデ : ソフィア様と、初めてお会いした時の事、でしょうか。
ソフィア : 運命…生命…人生…色んなものを諦めなきゃならないような状況に陥った私でさえ。
ソフィア : ーーーええ!そうです!そうなのです!
ソフィア : あの時です!
ソフィア : 覚えていてくださっているのですね!
ソフィア : 感激。ふふ。やっぱり。うふふふ。やったあ。
フレデ : はい。記憶しています。
フレデ : ソフィア様はあの時に、運命を知覚したのですか。
ソフィア : はいっ!
ソフィア : だってフュンフレデさん。
ソフィア : 暗がりに閉じ込められた私に
ソフィア : 『道』を示してくださったのですから。
フレデ : そうですね。それが私の魔人能力です。
ソフィア : ええ。ええ。ええ。ええ。(ニコニコと聞いている。
ソフィア : (魔人能力への自覚があった事をようやく聞き出せた。
ソフィア : (策略を練ってはきているものの自分の感情に自分自身が揺さぶられやすすぎてすぐに軌道がグチャグチャになっている。
ソフィア : (しかしようやく聞き出せた。これは大事。大事なのです。
ソフィア : (大怪我で使えなくなっている…かどうかまではまだわからないけど、とにかく覚えては、いる。
ソフィア : ………あの。なにもかも諦めなきゃいけないような空間でも
ソフィア : フュンフレデさんは
ソフィア : それが当たり前かのように
ソフィア : 私を助けてくださいました。
ソフィア : そして…それからも…何度も何度も何度もお会いになってくださって、
フレデ : ・・・・・。
ソフィア : 常に私の心の支えになってくれています。
フレデ : そうだったでしょうか。(…率直!
ソフィア : もう。これは。ふふ。運命です。(うっとりと断言して
フレデ : 何度も。そうですね、複数回、お会い致しました。
フレデ : ・・・・・。
フレデ : ・・・・・。そうですか。(運命について問い、その回答を得て
ソフィア : ええ。そうです。(フュンフレデを見て微笑んでいる
フレデ : ・・・・・。
ソフィア : (以前まで…というか、ついさっきまでのソフィアなら、
ソフィア : (考える間もなく強引にソレを刷り込むように単語を脳に捩じ込んでいたが、
ソフィア : (今は、間をおいて、フュンフレデの脳の咀嚼を待っている。
ソフィア : 運命の出会いをしたあの日。
ソフィア : 私たちの運命。
ソフィア : ………
フレデ : ……………。
ソフィア : ………
ソフィア : フュンフレデさんは、
ソフィア : ………
ソフィア : (言い淀み
ソフィア : 最近は、この部屋に、閉じこもっているのでしょうか?
フレデ : 閉じこもって。 ・・・・・。そうですね。
フレデ : 此処に来てからは外出をしていません。
フレデ : 外に出る用事も、特段ありませんので。
ソフィア : ええ。はい。うん。そうですねぇ………
フレデ : ・・・・・。
ソフィア : (言い淀んでる。悩んでる。
フレデ : 私のするべき事は、今は「療養」であるようです。
ソフィア : はいっ!大怪我されたばかりなのですものね。
フレデ : ・・・・・。外に出て気分を変えるのも良い、という提案も頂きました。
フレデ : ですが、・・・
ソフィア : でも、お体のお怪我はもう…「療養」されて、
ソフィア : 、、(ですが、???
フレデ : ・・・・・。
フレデ : (考えている。彼は常に思考の間を持って話すが、
フレデ : ……、(言い淀んでいる、ような沈黙
ソフィア : ……
ソフィア : (気になる。
ソフィア : (言いたい事、伝えたい事、誘導したい事、洗脳したい事、いっぱいある。
ソフィア : (でも、何か、フュンフレデさんが言いかけている何かが、
ソフィア : (とても、気になる。聞いてみたい。
フレデ : ・・・・・、
フレデ : ・・・ ソフィア様の仰る通り、負傷は快癒致しました。
ソフィア : それは良い事ですわ。(にっこりと。
フレデ : ……ならば、次は「心」を治すべきだと存じます。(言葉と裏腹に、表情は僅かに翳り
ソフィア : …あら。まぁ。「心」を。
フレデ : ・・・。周囲の方達は、そのように仰いました。
ソフィア : ・・・あれ?
ソフィア : ・・・・・・・・・あれ?
フレデ : (「…それでも完治はしてるんだ。…ただ、さっきも言った通り。心の方はまだ治ってないんだろうね。」…彼の弟もそう口にしていた。
ソフィア : ・・・あれ?その。
フレデ : ・・・・・。どうされましたか、ソフィア様。
ソフィア : フュンフレデさん。
ソフィア : そもそも「心」には元より怪我をされていないのでは無いでしょうか?
フレデ : ・・・・・?
ソフィア : 周囲の方達は「心を治せ」と言うそうですが…
ソフィア : 私、今日、出会って思ったのです。
ソフィア : フュンフレデさんは、最初に出会って運命を感じたあの時からずっと
ソフィア : 優しくて凛々しくて素敵な。あの時のフュンフレデさんです。
フレデ : ・・・・・。
ソフィア : 周囲の方々に「心を治せ」なんて言われなくても、
ソフィア : そもそもずっと、フュンフレデさんの「心」は素敵なままだと思いますよ。私は。
フレデ : ……いえ。
フレデ : ……いえ、 私は……、、、、(片手で顔を覆って、苦悶の表情を浮かべて
フレデ : 『あの日』から、確かに、・・・・・変わってしまいました。
ソフィア : (『あの日』…運命の日ではなく、事件の日、か。
ソフィア : …まぁ?
フレデ : ……………、、、、、
フレデ : ・・・・・、
ソフィア : それは、どのように?
フレデ : ずっと後悔しているんです。
フレデ : 「行動を誤ったのではないか」と思っているんです。
フレデ : 『周囲の指示にただ従っ」て、 我先に襲撃地から避難し、
フレデ : 他の従業員を全員死亡させ、ただ一人生き残った事を。
ソフィア : ・・・。・・・。・・・。(話を静かに聞いて。
フレデ : ………「言われた事に従うべき」、では、無かったのではないかと、………
フレデ : …… 『あの日』からずっと、私はおかしなままです。
ソフィア : (これは。
ソフィア : (難問だ。
ソフィア : (最大のチャンスでもある。
ソフィア : (飛びつきたくなる。すぐにでも。
ソフィア : (でも・・・・・・・・・
ソフィア : 『あの日』からずっと………
フレデ : …………「治せ」と言われているのに、「治そう」とする事もできません。
フレデ : 家族の言う通りにする事が、私の望みである、筈なのに。
フレデ : 周りの言う通りにする事を、皆が望んでいる筈なのに。
フレデ : …あの日、何が起こったのかを。
フレデ : 「後悔している」、などと、………家族(あの人達)にだけは、言えません。
ソフィア : …!!!
ソフィア : (唇を噛む
ソフィア : (油断して笑顔に、舞い上がってしまう所だった。
ソフィア : (違う。今は、そうじゃない。
フレデ : (だから、ずっと沈黙していた。何も口に出す事ができなかった。
ソフィア : (我儘なだけの強欲で洗脳するつもりで誘拐しに来たソフィアは消したんだ。
ソフィア : (「自分には話してくれた!」そこで満足するんじゃなく、
ソフィア : (運命の人の悩みを、今度は私が救い出すんだ…!
ソフィア : ………。
ソフィア : 話して頂いて有難うございます。
フレデ : ……………。いえ。此方こそ、
フレデ : 申し訳ございません。突然このようなお話を。
ソフィア : いえ、いいえ。決して。
フレデ : ・・・・・。
ソフィア : 話して頂き、有難うございます。
ソフィア : (これから話す話は
ソフィア : (私を幸せにするだろうか
ソフィア : (彼をもっと辛い目にあわせないだろうか
ソフィア : (少なくともヴィオレット家は望んでいないだろうし、
ソフィア : (誰も幸せにならないのかも
ソフィア : (そう思うと、なかなか、
ソフィア : ・・・
ソフィア : フュンフレデさん、
フレデ : ・・・・・はい。
ソフィア : ・・・
ソフィア : フュンフレデ、さん。
フレデ : ・・・・・。
ソフィア : ・・・えっと、その、とても難しい難問に悩まれていて………
ソフィア : 悩んでいるからこそ、このお部屋から出れずにいる…のだと思いますが、
ソフィア : 私、改めて、不躾ながら、進言します。
ソフィア : 生き残る事は決っっっして悪い事じゃないです。
ソフィア : 私は元より、ご家族の方も、何よりフュンフレデさん自身も…生き残らねば幸せも何もありません。
フレデ : ・・・・・。
ソフィア : だから…生きてくれているだけで、(「私に「生きてる」価値がありますか?」
ソフィア : …生きてる価値はあるんです。
ソフィア : (静かに。
ソフィア : (ヒステリックで強引な彼女はなりを潜めて
ソフィア : (泣き喚くわけでもなく、静かに喋る。
ソフィア : でも………「生きてる」だけで良いなんて、
ソフィア : そんなのもダメですっ!
フレデ : ・・・・・、
フレデ : そう、(ですね、と、いつもの様に返せない
フレデ : ・・・・・
ソフィア : 人は…もっと我儘で強欲で自由に生きれます。生きて良いんです。
ソフィア : 「後悔」があるなら…向かい合ったって良い。忘れないでいてずっとしがみついたって良い。
ソフィア : (私自身そうして………牢獄からここまでやって来たのだし。)
フレデ : …………
ソフィア : …過去には戻れないので、襲撃自体を無かった事には出来ないけれど、
ソフィア : …私達にも、誰にも、万能な蘇生能力なんて無いけれど、
ソフィア : (言ってる事に筋なんて通ってない。私は道徳家じゃなくて我儘な女だから。)
ソフィア : (それでもこの我儘に巻き込んで、フュンフレデさんにもーーー)
ソフィア : ………だから、
ソフィア : 「ここに閉じ籠って療養に専念して治せ」
ソフィア : なんて言いつけ破って。
ソフィア : 外の世界に飛び出して、
ソフィア : 「あの日、“襲撃”にあった世界の人々」の墓参りに行きましょう………
フレデ : っ 、
フレデ : ………………
フレデ : …………………・・・・・
フレデ : ・・・・・どうして、
フレデ : ……今まで、そんな事も、頭に浮かばなかったのでしょう。
ソフィア : ………大怪我は判断を鈍らせますから。
フレデ : ……………(小さく首を振り
フレデ : ですが、 ・・・それは、・・確かに、私の望み、……なのだと思います。
フレデ : 誰に、命じられたものでもなく。・・・
フレデ : ・・ソフィア様が、見つけてくださったのですね。
ソフィア : ………
ソフィア : ・・・・・・・・・
ソフィア : …はい。
ソフィア : ですが、コレは、
ソフィア : フュンフレデさんを見ていたら、そう思ってしまった。だけなのです。
フレデ : ……………。そうなのですか。
ソフィア : (「命令を愚直に守ってしまった」事への後悔。
ソフィア : (「生命を愚直に守れなかった」事への後悔。
ソフィア : (その両方へのアンチテーゼ
ソフィア : …はい。
ソフィア : フュンフレデさんがそう望むなら。
ソフィア : 望み通りに、そうしましょう。(フュンフレデに微笑み、瞳に涙を溜めて
フレデ : ……………。
フレデ : (ソフィアの方に身体を向き直して
ソフィア : っ、フュンフレデさんっ?
フレデ : …家の誰も、私が閉じ籠もる事を命じてはいません。
フレデ : ただ、私が動けなかったのです。
フレデ : 何故動けないのかも解らぬまま。
ソフィア : …っ、そんな事は、、、
ソフィア : …
フレデ : こうして、ソフィア様に話をしていただいて、
フレデ : 少しだけ、心の整理ができたように思います。
フレデ : 思えば、自身の心に感心を向ける事など、あまりありませんでしたので、
フレデ : 未だ、不明瞭な点も多いのですが。・・・・・
フレデ : ・・・・・
ソフィア : ………(指で自身の涙を拭って
フレデ : ありがとうございます。ソフィア様。(ソフィアに頭を下げる
ソフィア : っっ…!
ソフィア : ……、、。
ソフィア : ………
ソフィア : はい。私もそんな風に言って頂けると、
ソフィア : とても嬉しいです。フュンフレデさん。
フレデ : ソフィア様には、…私が私と向き合う、切っ掛けを頂けました。
フレデ : 貴女と話せて、良かったと存じます。(顔を上げ、まっすぐにソフィアを見る
ソフィア : ………はい。(真っ直ぐとフュンフレデを見つめ返す
ソフィア : ………キッカケ。
ソフィア : ………
ソフィア : (涙が溢れそうな目で、安堵の笑みを浮かべて、フュンフレデを見つめ続ける
ソフィア : ………
フレデ : ・・・・・………
ソフィア : ………では。
ソフィア : ………外の世界に、一緒に連れて行って頂けませんか?
フレデ : …?
ソフィア : …?
フレデ : ああ、・・・。私が、ソフィア様を、……………
フレデ : いえ、何と、申し上げたら良いのか、ですが・・・・・
フレデ : ・・・・・私の方がソフィア様に、連れ出して頂いている、
フレデ : ………ように、感じていた。 ・・・のだと、思います。
フレデ : (普段は寡黙で、極端に己を開示しない彼だが、偶に発する言葉には嘘も衒いも無い。
ソフィア : ・・・まぁ!
ソフィア : そうだったのですね。
フレデ : ・・・・・いえ。おかしな事を申し上げました。
ソフィア : 私てっきり・・・いえ。いえいえ。
フレデ : ・・・・・。
ソフィア : ふふふ。(微笑んでフレデに近づき
ソフィア : その事なら心配ございません。
ソフィア : (ベッドに膝をついて、ベッドサイドの窓際に近づき、
ソフィア : ここから私を連れ出して頂けるのは
ソフィア : フュンフレデ様の作る『道』だけです。
フレデ : ・・・・・。
フレデ : (葛藤が消えた訳ではない。今直ぐに踏み出す心構えも、出来ているとは言えない。
ソフィア : (時刻は深夜をとうに回った真夜中過ぎ。
ソフィア : (加えてこの部屋は2階
ソフィア : (それでも。ソフィアは動きを止めない。
ソフィア : ふふふ。(窓に触れて
ソフィア : がちゃーん。(窓の鍵を錆びて折って壊して
ソフィア : ・・・さあ。(窓を開ける
フレデ : ・・・・・!(それでも―――……
フレデ : (窓に向かい、片腕を伸ばし、指を差し向ける。
フレデ : (―――それはさながら、暗闇の中にたった一条、伸びる光のような―――
フレデ : ――(開いた窓の外に、見えない力が作用する。
フレデ : (暗中模索の中に、見えずとも『道』ができている。
ソフィア : (やっと………!!!この光の『道』に………!!!
ソフィア : フュンフレデさん…!フュンフレデさん……!!
フレデ : ・・・・・。
フレデ : ・・・・・そうでしたね。(ベッドに足を掛け、上に乗り、窓へと歩く
フレデ : 私には、『道』を作る力が・・・・・、
ソフィア : はい!
フレデ : …ええ。あったのでしたね。(ソフィアを追い越し、
フレデ : (窓の外、空中に足を踏み出す
フレデ : ・・・・・行きましょう。(『道』の先で振り返り、片手を差し出す
フレデ : ソフィア様。
ソフィア : …はい。(涙を溜めた笑顔で
ソフィア : (差し出された手を握り返すなんて事。こんな手を持って生まれた私には出来ないけど。
ソフィア : 、(ベッドを踏んで
ソフィア : (フュンフレデの胸に飛び込んで
ソフィア : 私に共に。『道』を歩ませてください。
ソフィア : フュンフレデさん。
フレデ : っ、 ・・?(驚きつつも受け止めて
フレデ : ・・・・・はい。
フレデ : こちらこそ、宜しくお願い致します。ソフィア様。
最終更新:2023年11月26日 19:39