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心の魔法 [ルウィア ハルマ キュクロ クレプスキュル]

ルウィア : (とある日の夕暮れのEM
ルウィア : (疲れ、やつれた表情の少年が一人で飲んでいる。
ルウィア : ・・・・・・・
ルウィア : (顔が真っ赤だ。おそらく酒はあまり強くないのだろう。
ルウィア : (マスターは事情を知っているのか、容姿を追求することはない。
ハルマ : (カランカランッ
ハルマ : (扉を開けて店に入ってくる男
ルウィア : (物憂げに音のする方を見遣る
ハルマ : ルウィア教授、(入るや否や、ルウィアの方に向かってくる
ルウィア : ・・・・・・・
ハルマ : その…なんだ。外から姿が見えたから、………
ルウィア : なんだ、君か。(空中に文字をかかず、見た目そのままの幼い声色で話す。
ルウィア : ……、、、嫌なところを見せてしまったね。
ハルマ : ・・・呑んでいたのか? 邪魔なようなら、今日は止めておくが……(普段と違う様子のルウィアを見下ろして
ハルマ : ・・・(こちらはこちらで、明らかに元気が無い。普段がうるせえので一層解りやすい。
ルウィア : ……ああ。そうしてくれると助かる。
ルウィア : (そう言いつつ、明らかに元気のないハルマの様子に気づく。
ルウィア : ………
ルウィア : 何かあったのか?
ハルマ : そうか、なら、……(引き返そうとしたところで
ハルマ : ……、、。 あった。(素直に答えて
ハルマ : …けど、いいのか?一人で飲みたい気分なんじゃ?
ルウィア : ………。
ルウィア : ……仕方がないな。話を聞こう。(隣の椅子を引きながら
ハルマ : 、… 
ハルマ : …ありがとう。教授。(言って、引かれた椅子に腰掛ける
ルウィア : ……君は成人していたな。好きなものを頼むといい。
ルウィア : 潰れない程度にだけどな。
ハルマ : あ、ああ。なら、えーっと。(慣れない様子で
ハルマ : (うーん、カクテルとか良く解らんな……カッコイイ名前のやつにしよう。
ハルマ : スクリュードライバー!!
ハルマ : (という訳で必殺技っぽい名前のカクテルを注文し、すぐに用意され…
マスター : (穏やかな笑みをたたえ、丁寧な接客で早速用意する。
ハルマ : 見た目はオレンジジュースだな…
ハルマ : それじゃあ、教授。(片手にグラスを持って
ハルマ : 乾杯だ!
ルウィア : ああ…。乾杯。(疲れた微笑みを見せながらちりん、と
ハルマ : (ちりーん!
ルウィア : ……。(一口飲み、
ルウィア : それで…。何があったんだ…?(心配そうな面差しで
ハルマ : (勢い良くグイっと行って、グラスを置いて、
ハルマ : その、…何処から話したものかだが、
ハルマ :
ハルマ : ……好きな人が出来た!
ハルマ : … んだ。
ルウィア : …………
ルウィア : …………。
ルウィア : なるほど。
ハルマ : ……ぁぁ。……というか、前に羊羹が何とか言っていた相手だな…
ハルマ : あの時は自覚できていなかったんだが… まあ、それはさておこう。
ハルマ : …その人も、オレの事を、好いていてくれてる。
ルウィア : ……。
ルウィア : ……。なるほど?
ハルマ : ああ。そう、なんだが………(此処からが、急速に説明が難しくなる。
ハルマ : (真実をそのまま詳らかに話す事ができないからだ。)……
ハルマ : ……だがその人は、…何と言ったらいいのかなんだが……
ルウィア : …。ゆっくりでいいよ。
ルウィア : …。自分の言葉で話してくれれば。
ハルマ : …、、、 …ありがとう。
ルウィア : (そう言って本人は気づいていないが、ものすごく薄められているウィスキー水割りを飲む。
ハルマ : …その人は、心に魔法を掛けてるような状態、なんだ。
マスター : (偽ガキにゲロでも吐かれたら困るんでな。
ハルマ : 現状に苦しむ心をぼやかして、…『自由』で、明るい気持ちでいる為に。
ルウィア : 魔法を……?
ハルマ : ああ、魔法……みたいなものだと思う。
ルウィア : ……ふむ。(考え込む
ルウィア : 自分の心とはいえ、精神を半永続的に操作する術式か…。
ルウィア : 並大抵ではないな。その人は高位の魔法使いなのだろう。
ルウィア : ……。
ルウィア : あ、いや。
ルウィア : (つい魔術オタクが顔を覗かせてしまったと焦る。
ハルマ : ん。。 あ、ん~~……まあ、……そうだな!!(「心に掛かる魔法」の正体…アンプルの事は到底口に出来ないが
ハルマ : 高位の魔法使いなのは間違いないぞ!(高位の魔法使いなのは間違いない
ルウィア : ………。(薄いウィスキーを一口飲み。
ハルマ : ……それで。…
ハルマ : その人が、オレの事を好きでいてくれるのは…、そうして心に魔法を掛けて、『自由』な気持ちでいるからで…
ハルマ : 正気に戻ってしまったら、もう、……
ハルマ : ………オレの事を、見てくれはしないかもしれない。
ルウィア : ………。
ハルマ : ……そう、本人も言っていたんだ。
ハルマ : (「名家の血筋でもない。取り立てて優秀な学生でもない。前科持ち。」 「冷静になっちまったら、」 「もう…・・・・・。、。、、。」 「私は、ハルマの事なんか、“見ない”かもしれないんだぜ?」
ルウィア : ……恋というものは……
ルウィア : ……厄介、だな。
ハルマ : ……ぁぁ、 ……本当に、そう思う。……
ハルマ : きっと、その人にとっては、今のままの方が幸せなんだ。
ルウィア : ……。
ハルマ : 見なくていいものを見ず、考えなくていいものを、考えずに済んで。
ハルマ : ………でも、……
ハルマ : …オレの方は、今のままでいるのが辛くなってきてしまったんだ。
ルウィア : ……。
ルウィア : そうか。
ルウィア : まぁ、残念だけど僕に言えることなんてないさ。
ハルマ : …。そうか。先生は、……
ルウィア : リーズベルトで僕より女っ気がないのはウルファング教授くらいだろう。(自嘲気味にそう言いかけ
ルウィア : ……?
ハルマ : …そうか?先生も好きな人がいるんだろう?
ルウィア : ……。はぁ。(ため息をつき、
ルウィア : また厄介な話題を持ち出してくれたな。ハルマ君。(疲れた笑顔で
ハルマ : 別にオレは、先生がゼミ担任だからってだけで相談しに来た訳じゃないぞ?
ハルマ : …この間話をした時……、後になってから気付いたんだが……、
ハルマ : …そういう風に、見えたんだ。…なんとなく。
ルウィア : ………。
ルウィア : そうか。
ルウィア : ……。何、たいした話じゃないさ。
ハルマ : …それでもだ。聞かせてくれないか?
ルウィア : 細かい事情までは話せないが……。
ルウィア : そうだな……。(考えながら
ルウィア : ……うん。君とは逆なのかもしれないな。
ハルマ : ……逆??
ルウィア : 大学時代のことだ。……昔からの知り合いをつい好きになってしまってね。
ルウィア : ただ、その頃から彼女は人が変わってしまった。
ハルマ : …。(黙って話を聞いている
ルウィア : ……好きだった性格も、美徳も、もう跡形もないよ。(うつむきながら笑い、
ルウィア : ……。それでもその人なんだ。
ルウィア : ………。
ハルマ : …。そんな。……
ルウィア : 君には軽蔑されるかもしれないが……、
ルウィア : ……その頃に少し悪事に手を染めてね。
ルウィア : この身体になったのもそのせいみたいなもんだよ。
ルウィア : ………さて。
ルウィア : 最近、どうやらそのツケが回ってきたみたいなんだ。
ハルマ : ……。……、、(何と口にしたらいいのか迷い
ルウィア : ……。僕はいつまで君に軽蔑されない人間でいられるんだろうな…。
ハルマ : 、ん。ツケ?
ルウィア : ……。
ルウィア : 何、いずれわかるさ……。
ハルマ : ……。教授、その。
ハルマ : ……教授の好きな相手は…、今はどうしているんだ?
ルウィア : ……。うん。
ハルマ : 教授はもしかしたら、良くない事に手を出したのかもしれないが…、、
ハルマ : ………その人の為、なんじゃないのか?
ルウィア : ……あはは。
ルウィア : 悪いが、それは言えない。
ハルマ : ん。。。…そうか。すまない、出過ぎた事を。
ルウィア : ……。別に構わないよ。
ルウィア : うん。だから、僕は君がうらやましいな。
ルウィア : 魔法にかかっているとはいえ、お互いがお互いを思い合えているんだ。
ハルマ : ………。。。
ハルマ : そう、か。……なんだか、そう言われると、
ハルマ : 「魔法が解かれて、本当の心でオレを好きになって欲しい」なんて思ってるのが…贅沢な願いみたいな気がしてくるな。
ルウィア : …。なに、悩み事なんて比べてもたいした意味はないさ。
ルウィア : ……まあ、なんだ。
ルウィア : お互い後悔のないようにしたいものだな。
ハルマ : …。そう、だな。
マスター : (店員が二人に静かにお冷やを差し出す。
ハルマ : ん。…(カランと揺れるお冷やの氷を見つめて
ハルマ : ……その、教授。
ハルマ : …話を聞いてくれてありがとう。
ルウィア : ……ふふ。
ルウィア : どういたしまして。
ルウィア : ……いや、むしろこちらこそありがとう。
ルウィア : ……なのかもしれないな。
ハルマ : 心の整理が付いた訳じゃないが、多分、…自分だけじゃ抱えきれなかったんだ。
ハルマ : …ん、、そうなのか?(ルウィアの方を見て
ルウィア : ……。さあ、どうだろう。
ルウィア : ……何。抱えきれないときほど、人を頼ったらいいさ。
ルウィア : 少しでも役に立てたなら光栄だよ。
ハルマ : ああ。……。その、
ハルマ : 色々、上手く行くといいな! ……教授の方も!
ハルマ : (「お互い後悔のないように」…そんな言葉が出るって事は、
ハルマ : (もう終わった話、ではないんじゃないだろうか。…そう思っての言葉。
ルウィア : ……ああ。そうだな。(力無く笑いながら
ハルマ : …。こんな事言う立場じゃないのは解ってるが、(その表情を見て
ハルマ : 教授こそ、抱えきれない時は、…人を頼るといいぞ!
ルウィア : ……ははは。
ルウィア : 機会があったら、そうさせてもらうよ……。
ハルマ : 全く。オレはいつでも本気で言っているんだぞ?(…そうは言うものの、きっとこの人はそうしないんだろうと
ハルマ : (何となく、解っている。



ルウィア : ーーーー(しばらく後。
ルウィア : (ハルマと別れた後、路地裏を歩いている
ルウィア : はぁ……全く
ルウィア : 少し飲みすぎたな……
ルウィア : (ふと顔を上げると、裏路地を歩いてくる男女二人
ルウィア : (肩を組んでいるようだ
ルウィア : ・・・・・!!!
キュクロ : おうおう、オッサン。どうしたこんなところで酔い潰れて。(にたにたと人の悪い笑みを浮かべながら
ルウィア : お前ら……どうして……
クレプスキュル : うっわー声高っ。
クレプスキュル : どうしてって……ねえ?(キュクロを見ながら
キュクロ : ははっ。まあ、お察しの通りってとこか。
ルウィア : お前たちはどこまでッ……!!!
ルウィア : (キュクロに掴みかかろうとするが、弾き飛ばされ転倒する。
キュクロ : やめとけ。酔っ払いボコってもつまんねえんだよ。
ルウィア : くそっ……!!!
クレスプキュル : ええー?何?万年モテない男の僻みってわけ?(倒れているルウィアを嘲り笑い飛ばす
ルウィア : (ありったけの憎悪を持ってクレプスキュルを睨む
クレプスキュル : やだー、こわーい。
キュクロ :
キュクロ : ……ま、せいぜいそこでのんびりしてな。あばよ。
キュクロ : (憎たらしい笑みを浮かべて、二人は去っていく。
ルウィア : (地に這っているところから、どうにか地面に座り
ルウィア : はぁ……はぁ……
ルウィア : はは、ははは。
ルウィア : 僕ってやつは…、ほんと何にもできないやつだな……
ルウィア : (雨が降り始めた路地裏で自嘲気味に自らを笑う少年の声がした。
最終更新:2024年02月10日 23:09