ほのか : みんな、行っちゃいましたね。
ほのか : (語彙大富豪直後
ほのか : (『薄い本』を見せに行く2人と
ほのか : (なんだかそわそわ出かけて行った2人と
ほのか : (残された2人
春慶 : …そうだね。(テーブル席に残された2名
春慶 : またこのパターンか。(思わずぼやく
ほのか : そういえばそうですね。
ほのか : 私はともかく…
ほのか : 「本日の主役」を置いて行って解散って
ほのか : なかなか自由な人達(オブラートな表現)ですね。
春慶 : まあ、元々集まる理由付けだと思ってたし。(前もそうだったし
春慶 : 巡り巡って引き続き巻き込まれるよりはマシな気もする。(色んな過去の経験が滲み出る発言
ほのか : はぁ。
ほのか : それもそうですね。大変ですね。
春慶 : どうも。(心の無い労いを受け取る。ほのかの知らぬ所でもそれはもう色々あったのだが
春慶 : (わざわざ説明する事も無い…だろう。
春慶 : …
ほのか : …
ほのか : …。(春慶見てる
春慶 : …。何か?(視線に気付いて
ほのか : …今日はしないんですか?感想戦。
ほのか : (語彙大富豪を終えたテーブルに着席したまま。質問をしている
春慶 : (少し意外そうにほのかを見て
春慶 : …やる?
ほのか : …私も一緒にですか?
ほのか : …。それって、私の試合でも良いんですか?
春慶 : 「感想戦」って2人でやるものを指すからさ。
春慶 : 良いよ。大会での棋譜は大体覚えてるし。
ほのか : 凄いですね。
ほのか : 8試合分、全部ですか。
春慶 : あくまで大体だけどね。凡そ決まった流れがあるから、それで覚えてる感じ。
ほのか : そうなんですね。
ほのか : 試合前のイアン選手の意気込みのVTRまでは見ましたか?
春慶 : …?大会中の映像は一通り見てるけど。
ほのか : 「この子に一度も掴まれずに試合に勝つよ。」ってヤツです。(イアンのセリフをまんま言う。
春慶 : ぁぁ…
ほのか : 試合は…実際にそうなりましたけど。
ほのか : (イアンはほのかに一度も掴まれなかった。
ほのか : (だが、イアンからの攻撃も殆ど無く、
ほのか : (移動の邪魔をするローや掴みかかる腕を受け流すような程度
ほのか : (まともな打ち合いが起きないようにひたすらイアンが避け続けて
ほのか : イアン選手は私をまるで傷つけず、将棋の方で圧勝しました。
ほのか : あ。私。というか「GBBほのか」ですけど。(一応訂正
春慶 : プロファイターって煽り文句強いんだな。って思うよね。(将棋の方はもうちょっと謙虚ぶってる…事が多い。
春慶 : (コイツ自身がそうかというと全く別の話だが。
ほのか : そうですね。日輪選手以外は割と煽りますね。
ほのか : ラピエル選手に煽ってる自覚は無いと思いますが。
春慶 : …なるほど。そういう文化ね。 …まあ、要するにアレか。
春慶 : 将棋の方の地力があれば、そんな煽り舐めプ喰らわずに済んだのにっていう。
ほのか : そうですね。それか逆か。ですけど。
ほのか : どっちも圧倒的な実力差がありましたので。
ほのか : (淡々と語る。
ほのか : (が。語彙大富豪中には、あの試合結果へのやるせなさが滲み出ていた
ほのか : (イアンがなんでそんな勝ち方をしたかというと…エキシビションでほのかに怪我を負わせるのは双方のスポンサー各社が誰も幸せにならないのと、1回戦で将棋の実力を高く見せておく事で2回戦以降の相手に作戦を練ってもらいやすいから布石になるので…だが、そんな事はほのかが知る由もない。舐めプに見えたお客さんのが多いだろう。
春慶 : …成程ね。 まあ…
春慶 : フォーデンでの大会に「将棋」が絡むのなんて初めてだろうから、敢えてそちらで勝つ事で新鮮な競技らしさを魅せるっていう選択だったのかもしれないけど。
春慶 : ダシに使われる方は堪ったもんじゃないね。
ほのか : はぁ。それはそれでイアン選手“らしい”ですけどね。
ほのか : 私が…あぁ、いや、「GBBほのか」が楽しいかは別ですね。はい。
ほのか : 「将棋」としての試合のレベルが1番高かったのは、イアン選手の次の試合でしたか?それとも灰簾選手との決勝戦?
ほのか : (やけに色々と春慶に聞いてくる
ほのか : (先日の夢での感想戦。
ほのか : (夢の中で酔っ払っていた出来事なので何もかも全て覚えているわけではないが、
ほのか : (「プロ」らしく感想戦をする春慶棋士の理念を夢の中で感じた事は覚えている。
春慶 : へぇ? …分かるもんなんだね。(ちょっと楽しそうに
ほのか : お姉…いえ、サマンサさんの実況を聞いていてなんとなく。
ほのか : 私には盤面の試合内容の差はわからなかったです。
春慶 : 今大会の参加者の棋力は、決勝まで来た灰簾選手とイアン選手…それと、
春慶 : 「イアン選手の二試合目の対戦相手」が抜けてたからね。(敢えてそんな呼び方をするが
春慶 : その3人中2名がぶつかったその二試合はやっぱり見応えがあったと思うよ。
ほのか : はい………
ほのか : 異色の経歴ってお姉…サマンサさんが言ってた気がしますが、
ほのか : 知ってる人だったりしますか?
春慶 : 天野の事? …ああいや、今は「シュウ」って名乗ってたか。
春慶 : そうだね。昔の知り合い、…って言い方になるのかな。もう。
ほのか : 知ってるんですね…一緒に将棋してた仲?ですか?
春慶 : そう。奨励会っていう、将棋のプロになる為の養成機関があるんだけど、
春慶 : そこで…2年くらい一緒だった。
ほのか : 2年…結構ですね。
ほのか : だから今回結構実況席に注目されてたんですね。あの選手。
ほのか : 将棋の実力だと灰簾選手やイアン選手より上だったんですね。
春慶 : そういう事。まあ、あくまで今回の大会は「将棋武道」だったから…
春慶 : 二回戦ではイアン選手が『武道』の方で的確に対処した形だね。
ほのか : むぅ…私には「将棋」で勝っておいて…
春慶 : ま、確かそういう戦術切り替えの器用さが売りのファイターじゃなかったっけ。
ほのか : むぅ…意外と詳しいですね。
ほのか : その通りですよ。
春慶 : そりゃまあ、エキシビジョンに出るってなったら出場選手の情報は一通り調べるじゃない。
ほのか : はぁ。当たり前のように「プロ」ですね。(敬意はあるが、つい嫌味ったらしい言い方
春慶 : 負けず嫌いなだけだよ。頭脳戦担当みたいな立場で出といて変な敗け方するのも嫌だし。
ほのか : …。
ほのか : そうですか。そうですね。
ほのか : 確かに今回、負けれないプレッシャーは…春慶棋士が1番だったかもしれないですね。
春慶 : 少なくともちゃんとした勝負の形には成り立たせないとって思ってたしね。如何せん初の試みだし。
ほのか : …お疲れ様でした。
ほのか : 想定より反応良かったようですし、また開催されるんじゃないですか?
ほのか : (そういう反応とか気にしちゃうし、耳に入ってきやすい環境
春慶 : 少なくとも連盟はかなりやる気っぽかったね…(狭い団体なのですぐ耳に入ってくる
ほのか : はぁ…私、あんな負け方して、次回呼ばれるかな…
春慶 : …。そう、
春慶 : 君が出場するって知って結構吃驚したんだけど。…どういう流れ?
ほのか : 流れも何も…気付いたら決まってました。
ほのか : 開催も急でしたし、8名も都合つくファイターすぐに集まらなかったんじゃないですか?
春慶 : …まあ、出場できる選手の条件が既にけっこう狭いもんな。
ほのか : 今の私のマネージャー、エントリーできる大会にはなんでもエントリーさせちゃう方針なんで…
春慶 : …そういう物なんだ。
ほのか : 十傑から3人も出るし、女性枠も或在選手いるし、当たりたくないイアン選手まで居るし…
ほのか : 絶対“連盟”が管理する大会だからフォーデン側の枠調整の細かい所配慮されてなかったです…(ブツブツと文句言う
春慶 : (運営側の内情を愚痴られてる…)
ほのか : でももし1年に1回とか、春慶選手が防衛する度の記念大会になったら第1回に出てる事で箔がつくし、リーグ戦や月例大会になればお仕事も増えるので、そんなに出る事自体は悪い気はしなかったのですけど…
ほのか : はぁ…イアン選手が意地悪い勝ち方するから…
春慶 : ……何か色々大変なのは察するけど…(知らんけど…)
春慶 : ...まあ、プロファイターで将棋指せる絶対数がそもそも圧倒的に少ないんだから、
春慶 : 2回目のチャンスがあるとして、結果出すには狙い目なんじゃない?って思うけどね。
ほのか : …。
ほのか : そうやってすぐに「前」を向けるかが、差、なんでしょうけど…はぁ。いえ。でも。その通りですね。
ほのか : …。
春慶 : 逆にやられっぱなしの方が居心地悪いって事無い?(ナチュラルに戦闘民族の思考
ほのか : …。
ほのか : そりゃあ、
ほのか : それは…
ほのか : その…それは…私だって、
ほのか : 負けるよりは勝ちたいですよ…
春慶 : 「次こそは」って考え続ける事でいっそ精神の安定を図ってるというか…
ほのか : むぅ…
春慶 : ………まあ、こういうの押し付けるのも違うか。職種も立場も違う相手に。
ほのか : いえ、正論ですよ。
ほのか : …。
ほのか : 感想戦の続き、しても良いですか?
春慶 : いいよ。君の試合から?
ほのか : はい。
ほのか : (武器無しで、狭いリングを、短い時間で区切って、体力を奪い合う『武道』フェイズ
ほのか : (能力使用禁止で、思考時間制限内で手を決めて詰みを目指す『将棋』フェイズ
ほのか : (そのどちらかで戦闘続行不可能になれば、試合は決する
ほのか : 私が…「GBBほのか」がイアン選手よりも将棋が強ければ、勝てましたか?
ほのか : (あまりにも大雑把なIFの質問
春慶 : 可能性は十分あったと思うよ。(ポータブル将棋盤をテーブルに置いて、駒を初型に並べながら
ほのか : …そうですか?(ちょっっと声が嬉しそう
春慶 : 相手の想定していた戦術が通じず、武道フェイズで倒しに行くしか無くなる。そうなれば焦りも出るだろうから、掴み技を狙える隙も生まれたかもしれない。
ほのか : …なるほど。
ほのか : …。
ほのか : 武器無しで、リング狭くて、短い時間毎にインターバルおいて初期位置へリセットかかるって、普段のフォーデンの戦闘よりも掴みやすい条件ですね。(今更
春慶 : 君は掴みさえすればこっちのもの、みたいな能力持ってる訳だから…
春慶 : 武道フェイズに関してはむしろアドバンテージがある。相手も煽り入れるくらいには警戒してた訳だしね。
ほのか : むぅ…そっか。イアン選手、単なるトラッシュトークで言ったのかと思ってました。
ほのか : 反撃の手が緩めだったのも、反撃に対するカウンターを貰わない為…?
春慶 : その意図(トラッシュトーク)も勿論あっただろうけどね。…そうそう。
ほのか : じゃあ私がイアン選手より将棋が強かったら、結果は違ったかもしれない…って事なんですね。(言い直しただけだが、再確認
春慶 : そう思うよ。僕は。
ほのか : そっか…。
ほのか : そうなんですね…。
ほのか : …。…。…。(春慶を見ながら考え事
春慶 : ……。まあ、将棋の方は… …?
ほのか : あの…。
ほのか : 私から見て、
ほのか : イアン選手の…「対シュウ選手戦」「対灰簾選手戦」はどちらが勝ってもおかしくない勝負でした。
ほのか : つまり、イアン選手に勝てるようになれば、2人に勝ってもおかしく無いですよね?(穴だらけの理論だが、春慶に同意を求めてくる
春慶 : ……。そうだね……(あまりに突飛な発言だが、真面目に考察してみる事にする。
ほのか : …。…。…。(春慶を見ながら考え事
春慶 : かなりたらればで喋る事にはなるけど…(うーん、と
ほのか : ぁ、は、はい。
春慶 : 天野に将棋で勝てる棋力はあんまり現実的じゃないから、武道の方で勝つ。
ほのか : むぅ…そんなになんですね…
春慶 : 灰簾選手とイアン選手の棋力は僅差だし、こっちは「勝てるようになってる」と仮定するなら…
春慶 : 灰簾選手の武道パートでの妨害策を君がどうにか耐え抜く、耐久戦の形になるんじゃないかな。
ほのか : 私が…灰簾選手に…耐え抜いて勝つ…。
春慶 : …まあ、「勝てるようになってる」っていう前提だから相当なタラレバなんだけどね。繰り返すけど。
ほのか : …。
ほのか : 春慶さんなら、
ほのか : 私…「GBBほのか」を将棋で勝てるようにする事は出来ますか?
春慶 : …。
春慶 : 出来るよ。君が本気で食らいつけるなら。
ほのか : …。
春慶 : でも。…先に言っておくけど。
ほのか : …はい。
春慶 : 「強い対局者」は「優秀な指導者」とは違うから。
春慶 : 本当に僕から学ぶなら、相当にキツい思いをする事になるよ。
ほのか : …。口が悪くてスパルタで弱い人の気持ちがわからない人ですもんね。
春慶 : 良く解ってるじゃない。
ほのか : ………。・・・それでも、お願いします。(頭下げて
ほのか : 厳密には「将棋」じゃあなくて、「将棋武道」を教えて欲しいです。
ほのか : この競技…誰も今、指導者なんか居ません。
ほのか : (顔を上げて春慶を見て
ほのか : 1番最初の大会で優勝した春慶さんが1番適任に決まってます。
春慶 : ――…… …
春慶 : …そっか。
春慶 : 確かにね。
ほのか : 今、考えてみたんですけど…。このルール、グラップラーにちょっとだけ有利なんです。
ほのか : そして、グラップラーで将棋が出来る人なんてフォーデンに居ません。
ほのか : こんな私でも、「GBBほのか」でも“全一”になれるチャンスかもしれないです。
ほのか : …だから、指導役になって、くれませんか?
春慶 : …
春慶 : (自分が、口悪くてスパルタで人の弱さに寄り添えず目の前で凹んでる相手に慰めの言葉も掛けてやらないような――人だという事を、彼女は誰よりも良く知っているだろうに。
春慶 : (それでも、細い隙間を縫うような、自らが輝けるかもしれない舞台を見つけて、
春慶 : 『勝ちたい』って、思ったんだ?
春慶 : 解った。 …いいよ。
ほのか : …。
ほのか : ありがとうございます。
ほのか : その…。
ほのか : ご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い致します。
ほのか : (キッチリと礼をする
春慶 : ん。…ああ。
春慶 : 此方こそ、…よろしくお願いします。(同じく礼を返して
春慶 : …。
春慶 : じゃ、
春慶 : 駒の動かし方くらい全部覚えて帰る?(いきなりずけずけ来た!
ほのか : 早速スパルタですね。今何時だと思ってるんですか。
ほのか : でも…良いですよ。
春慶 : 金と銀怪しいなら成駒も怪しいと思うんだよね。(なんだかんだしっかり試合は見てるらしい
ほのか : 裏面の事…? ですよね?(なんとかついていこうとする
春慶 : そうだね。盤広げてるし、早速――……(とかなんとか言って
春慶 : (『将棋武道』エキシビジョンマッチ勝者、巌黒春慶二冠の将棋トレーニングが始まるのであった。
ほのか : ーーーーー
ほのか : ーーー
ほのか : ー
ほのか : (あの後。
ほのか : (基本的な将棋の話をいっぱいしてもらって、
ほのか : (「将棋武道」の戦略の話になり、
ほのか : (8試合の流れを改めておさらいした。
ほのか : (将棋棋士だし、将棋の話だけ教えてくれるだけでも良かったのに
ほのか : (私なんかが将棋じゃなくて将棋武道とか言ったから
ほのか : (やっぱり限られたルール内で全力を出すのが心地良いんだろう。
ほのか : (すごいなあ。と思う。
ほのか : (本当に私なんか…GBBほのかなんかが全一になれるんだろうか?
ほのか : (そんな疑問
ほのか : (少なくとも今、考えることじゃない。
ほのか : (・・・。
ほのか : (現状では恐らく灰簾の戦術が1番「将棋武道」を攻略している。
ほのか : (結局そういう結論になった。
ほのか : (あんまり認めたくないけど、ううん。認めなきゃいけないんだけど。
ほのか : (やっぱり灰簾という選手はこういう新競技を開拓していくタイプの選手。
ほのか : (いわゆる頭がキレるファイターだ。
ほのか : (「いずれルールが変更されるかもしれない」と灰簾自身も周りにこぼしていたらしいが、
ほのか : (「将棋」フェイズには2つの重大な穴がある。
ほのか : (それをつく卑怯な戦略が灰簾選手の戦術。
ほのか : (でもそんな「ダーティ」な勝ち方をしても
ほのか : (ファンには「クレバー」だと思われちゃう
ほのか : (そういうブランディングが………
ほのか : (上手く行っちゃってるのが妬ましい。
ほのか : (…。…。…。
ほのか : (分析と嫉妬は別に行うべきだ。なんて叱られそうだな。
ほのか : (灰簾はイアンの手先に凍結系の攻撃を執拗に行なっていた。
ほのか : (顔に水球をぶつけて酸素供給を断つ嫌がらせは流石にイアンも警戒していてなかなか決まらなかったけど、
ほのか : (肉弾戦をしながら手先を凍結から守り続けるのは不可能だった。
ほのか : (凍結した手先で将棋を差す。その事自体は可能は可能だった…しかし、
ほのか : (?1度触れた駒を動かさなければならない。動きに関係の無い駒に触れてはならない。
ほのか : (?「武道」フェイズに受けたダメージを「将棋」フェイズ中に回復させる処置はしない。
ほのか : (この2つが灰簾の見出した姑息なルールの穴。
ほのか : (灰簾選手に棋力で勝るイアン選手は常に氷漬けでかじかんだ手や、時には巨大な氷塊が邪魔すぎて盤面を多いそうな手番から将棋を指していた。
ほのか : (これだけ聞くと新設ルールの穴をついた姑息な試合だが、
ほのか : (何故かコレがウケた。
ほのか : (灰簾選手が試合前にその戦略で行くと開示し、
ほのか : (イアン選手もそれをわかった上で、受けて、
ほのか : (一度も別の駒に触れたり、倒したり、触り間違える事はしなかった根性を見せたからだ。
ほのか : (根性を見せ続けるイアン選手に決勝戦は大きく盛り上がり、
ほのか : (常に武道フェイズ直前に「次が自分の手番」の状態になるように灰簾選手がコントールしていた試合展開も
ほのか : (イアン選手の即切り返しによって、灰簾選手の手番を残して最後の「武道」フェイズに突入した
ほのか : (…。…。…。
ほのか : (ここまでの読み合いが完全にわかっていてついていけてる人なんて観客にも少なかったが、熱気と根性だけは伝わってきた。
ほのか : (最後の武道フェイズに突入した後、
ほのか : (「視界を奪われた状態でアッチに戻ったら敵のコマは見えるのかな?」
ほのか : (灰簾がそう呟くと…光の拳で、
ほのか : (イアンの腹を思いっきり殴った。
ほのか : (咄嗟に顔をガードしてたよね。イアン選手。最後までずるい。ずるいよ灰簾選手。
ほのか : (ダーティだと思うんだけどな…クレバーで処理されるのずるいよね…
ほのか : (ああ。ちょっと滲み出てしまった。
ほのか : (でも決着はそのボディブローじゃなかった。
ほのか : (イアン選手は最後まで灰簾の盤外戦術に翻弄されていて
ほのか : (間違った駒には触っていない。他の駒を倒してはない。かじかんだ手先でもちゃんと打ててた。
ほのか : (でも打ててただけだった。
ほのか : (灰簾は決勝戦まで将棋の棋力を見せずに温存していた。
ほのか : (いつのまにか…。私からしたらいつのまにかだけど、どこかで綻びは出来ていたのかもしれない。
ほのか : (結局直前の「即切り返し」が悪手となって、
ほのか : (将棋の方で、イアン選手はしっかり詰んで負けた。
ほのか : (灰簾ファンとイアンクラスタの間では、一体どの凍結から、この最後の展開を狙っていたのか今も話題が加熱しているらしい。
ほのか : (…。
ほのか : (夜道を送ってくれて、家に着いた。
ほのか : もうこんな時間か…。
ほのか : 初日から飛ばしすぎたかな…。
ほのか : ううん…。でも…。
ほのか : すごいプロが指導役なんだから…。
ほのか : …。
ほのか : (灰簾の言っていた「ルールが改正されるかもしれない」という部分は
ほのか : (?武道フェイズに受けた怪我が将棋フェイズ移行の際に直らない部分
ほのか : (?他の駒を触ってしまった時のペナルティの重さ
ほのか : 結局灰簾さんは実行できなかったけど、酸素とか視界とか奪われたまま将棋フェイズに入ったらどうしようもないじゃん。
ほのか : もしかしてこの競技、毒使いとかの方が有利なのかな?
ほのか : ・・・。
ほのか : バッドステータスが全然効かなくて、灰簾選手の拳を体に受けても倒れなくて、目隠ししてても勝てるぐらい将棋の強い
ほのか : 春慶棋士。
ほのか : この人を超える「将棋武道」棋士は未来永劫現れない気もする…。
ほのか : …。
ほのか : …。…。…。
ほのか : 春慶棋士が次にフォーデンの街で優勝するときに
ほのか : きっと第2回将棋武道トーナメントが開催される。
ほのか : その決勝戦の時に
ほのか : 『将棋武道』のプロリーグ発足を発表してもらおう。
ほのか : …。
ほのか : それまでに何すれば良いんだろ…。
ほのか : 「将棋連盟」は…元々ノリ気だとして…。
ほのか : T3…お姉ちゃんに聞いてみようかな…
ほのか : ゲーム会社はスポンサーに就くかな…ぅ…イアン選手の所か…うーん…
ほのか : T3だけ盛り上がっても仕方ないけど…
ほのか : 或在選手が来てくれたのはラッキーなのかな…
ほのか : 「シュウ」選手は間違いなく来るだろうけど…
ほのか : お姉ちゃんに相談したら道筋なんとかなるかな…
ほのか : …。…。…。
ほのか : …。…。
ほのか : …。
ほのか : 次の春慶棋士の大会までに、
ほのか : 私が強くならなくっちゃ…
ほのか : そうじゃなきゃ…
ほのか : この計画も………
ほのか : …。
ほのか : 今日はもう寝ようかな。
ほのか : 明日は昼から写真集の撮影かぁ・・・。
ほのか : 大変だね「ほのか」
ほのか : がんばれ「ほのか」
ほのか : おやすみ「ほのか」
ほのか : ・・・。
ほのか : 春慶棋士、ご指導ありがとうございました。
ほのか : ・・・。
ほのか : zzz…
春慶 : ーーーーー
春慶 : ーーーー
春慶 : ーーー
春慶 : ーー
春慶 : ー
春慶 : (フォーデン
春慶 : (深夜。
春慶 : (随分な時間になってしまった。夜道の帰路を送り届け、一人。
春慶 : (本業の弟子も取った事が無いのに師匠役なんて、大それてると思わなくも無かったけど。
春慶 : (全く新しいこの競技への適性は、自分でも理解できてしまっていたし。
春慶 : (全く新しい競技のルールの枠組み内で全力を尽くして思考するのは、やっぱり無性に楽しかった。
春慶 : (珍しく。という程でも無いか。ともあれ、気が逸っている。
春慶 : (棋譜は記憶していたとはいえ、武道の方は門外漢。映像記録<アーカイブ>が近々上がるだろうから、それを確認して―…
春慶 : (そうやって、ずっと遊戯について考え続けながら歩く道すがら――
??? : 、 うおっと?
春慶 : 、(ぶつかりそうになったかと思って顔を上げる。が、そんな事も無く。
春慶 : (単に反対側から来た相手が声を上げたらしい。
春慶 : ぁ。(その姿を見て
春慶 : …天野。
??? : (一瞬バツが悪そうな顔をするも
??? : …ちっちっち。此処はフォーデン。そして今の俺は…
シュウ : 『雲蒸龍変のシュウ』、だぜ。シュウ様と呼びな、巌黒二冠さんよ!
春慶 : …。(何とも言えない真顔で「シュウ」と名乗る男を見て
春慶 : そう、それね。…プロファイターになってる事すら、僕はこの大会で初めて知ったんだけど。
シュウ : おうおう、お前の言いたい事は解るぜ。
シュウ : 「なんで就職先教えてくれなかったんだよ!水くさいぜブラザー!」って言いてぇんだろ?
春慶 : そうは言ってないけど。…(いや、結局そういう事か?
シュウ : まあまあ、そう不満気にすんなって。コッチにも色々あんだよ。
シュウ : 仮にも「二冠」様の前に、ハンパな功績引っ提げて挨拶行けねーだろ?
春慶 : …。まあ、解らないとは言わないけどさ。そういうの。
シュウ : そうそう。もっとビッグな結果――例えば『将棋武道』第1回大会優勝!とかな。
シュウ : 何なら『かつて奨励会で鎬を削った棋士同士が、エキシビジョンマッチにて因縁の対決!』とかな。
シュウ : 事前にチマチマ報告するよりそっちの方が億倍カッケェじゃん?ってな。
春慶 : ……。
シュウ : 思ったんだよ。分かれって。な?
春慶 : ……。そう。
シュウ : まっ、その妄想は儚く散っちまったけどな。お陰様で寂しい1人飲みって訳よ。
シュウ : つーかお前はこんな時間まで1人で何してんだよ。
シュウ : パーっと祝勝会してキレイなちゃんねーとかにチヤホヤされてるもんじゃねーの?
春慶 : いや、そういうのいいから。…まあ、
春慶 : ちょっと修行してたから遅くなった。
シュウ : は?真面目かよ。
春慶 : …。面白かったしね。将棋武道。
シュウ : 真面目かよー…!数年ぶりなのになんだこいつ変わってねぇなぁ…!(片手で顔覆って頭抱えて
シュウ : ……はー、まぁ、…そうだよなぁ。お前は昔からそーゆー奴だもんな。
シュウ : (…実績の差に日和って連絡取れなかったり、格好の付く展開を夢想したり、
シュウ : (…大本命で期待されて挑んだ大会で二回戦落ちして、凹んで自棄酒するような
シュウ : 弱い奴の気持ちなんてわかんねーよなぁ・・・
春慶 : ・・・・・
春慶 : …一日二回も言われるとは思わなかったな。
シュウ : は?大丈夫かよ。どういうコミュニケーションしてんだ…?
春慶 : …いや、…でもさ。・・・
シュウ : …いや、あんまマジに受け取んなって。酔っ払いの戯言じゃ……
春慶 : ……「君ら」言うほど弱くも無いし、頑張って無くもないでしょ。
シュウ : 、・・・っは。
春慶 : 僕はそう思ってるから。(言って、シュウとすれ違って
春慶 : ……それじゃ。「また」ね。(再びフォーデンで、闘技場の上で、再会の言葉を言い残して
春慶 : (歩き去っていく
シュウ : ………
シュウ : ・・・酔っ払いにマジレスすんなよ!そーゆーとこだよ!…くそっ
シュウ : ……
シュウ : くっそ……
シュウ : (夜の街に消えていく
最終更新:2024年01月17日 17:05