真柳寺 : (戦闘都市
フォーデン 陵西省真柳寺
真柳寺 : (フォーデン五大道場の一つとも呼ばれるこの場所に
江湖 :
…
江湖 :
(似つかわしくない痩せぎすスーツの男の姿がある。
マシュラ :
…。(阿修羅6腕、顔1つ。ノースリーブ+短パンスポーツ女子。
江湖 :
(ジャリ、
マシュラ :
(ジャリジャリ
江湖 :
どーも。すいませんねお呼び立だてして。(敷地内の…中庭? 砂利の敷かれたひとけの無い場所。
マシュラ :
はい。意外でした。
マシュラ :
起きた世界では初見知りのはずです。どうしてわざわざ私の元へ来たのでしょうか。
江湖 :
はぁ。つーこたそっちには何の話も行ってねぇのな。
マシュラ :
…。何の話でしょうか?
江湖 :
まーま、いんですよ。大都市フォーデンさんのプロ選手ともあろう方相手。コッチから出向いて手取り足取り説明するのが筋って事ね。
マシュラ :
…? 話が見えません。
江湖 :
将棋連盟も大変だねー、これも『布教活動』…って。…なるほど。アンタ本気で心当たりない?
マシュラ :
(怪訝そうに江湖を見ている
マシュラ :
心当たり…。
江湖 :
自分がエントリーしてる大会の事も把握できないぐらい忙しくていらっしゃる?
マシュラ :
…もしかして将棋武道の事でしょうか?
江湖 :
それ。何だ覚えてんじゃねぇか。
マシュラ :
失礼しました。貴方はとても武道を行うような人間には見えなかったので。
江湖 :
そらそうだな。普段でさえフィジカル勝負に嫌気差してるっつーのに。
江湖 :
まあ、でも、教える側には立てよ。…っつー話みたいでな。
マシュラ :
教える側…。
マシュラ :
(江湖を見て
マシュラ :
なるほど…。
マシュラ :
将棋を教えに来て頂いたのですか?
江湖 :
まあ、平たく言うと。 つーかまあ「ご挨拶」ってヤツですね。
江湖 :
今大会から一部選手を除き「コーチ制度」なるモンが導入されるそうで。
マシュラ :
コーチ制度。そんな追加ルールが。(ようやく意味がわかった。というように目を丸くして
江湖 :
アンタの担当はオレ、って事。(残念だったな、と言わんばかりのテンションで
マシュラ :
…成程。
マシュラ :
まさかとは思いますが…ご自身で私を指名されたのですか?
江湖 :
ッは。そんな権限がオレらにあるかっつーの。
江湖 :
アンタの反応見るにファイター側でも無いみてぇだし。お偉いさんが話し合って決めたんじゃね?
マシュラ :
かしこまりました。
マシュラ :
そうなると…
マシュラ :
タイトルホルダーの貴方を私に配属した決定を下した方々がいらっしゃるんですね。
江湖 :
そーなんでしょうね。知らんけど。
マシュラ :
…。(少し考えて
マシュラ :
他の参加者やコーチ陣にどなたが居るのかはわかりませんが、
マシュラ :
我々2人で優勝を狙う。という事ですね。
マシュラ :
宜しくお願い致します。(右手を出して握手を求める
江湖 :
…(差し出された手見て
江湖 :
ま、めんどくせーヤツにめんどくせーヤツ宛がわれただけなんじゃねぇかと思うけど。(同じく右手を差し出して
江湖 :
ま、よろしくって事で?
マシュラ :
はい。本日より毎日ご指導ご鞭撻の程、何卒宜しくお願い致します。
江湖 :
はぁ、毎日ね。 急にやる気見せんじゃん。
江湖 :
え、つかさ。
江湖 :
アンタ将棋とか興味あったの?
マシュラ :
…その道のプロを前にして言いづらいですが、
マシュラ :
あまり…無いですね。
江湖 :
はっ。だろーな。(半目笑いで
マシュラ :
貴方とは隠し事をしない方が良いと思いますので、
江湖 :
正直アンタ、格闘技と格闘家以外の全部見下してるように見えるし。(半目笑いのまま
マシュラ :
先にお伝えすると………、、、
マシュラ :
大層…偏見に満ち溢れた批評ですね。
マシュラ :
(江湖の半目笑いを冷たく睨んで
江湖 :
そーかい?まあ別にオレぁどっちでもいいけどね。
マシュラ :
…。
マシュラ :
「競技人口」や「フォーデン」という街の規模。
マシュラ :
客観的事実に“逃げ”る事は簡単ですが、質問の真意では無いですね。
江湖 :
…。
マシュラ :
ご存知かもしれませんが、私の両親は偉大な格闘家です。
マシュラ :
娘として両親超えを目指すのは本懐です。そこに疑問はありません。(ハッキリと。
江湖 :
…ぁぁ、格闘一家っつーのは知ってるぜ。アンタのおにーちゃん絡みでね。
マシュラ :
…。それは良かったです。
マシュラ :
私自身は偉大な格闘家を目指している…
マシュラ :
「他の全てを見下している」等と、口にするつもりはありませんが…
マシュラ :
…。結果として、熱量に差が出てしまっているのだと思います。(否定せず認める。
江湖 :
ま、さっきも言ったとおりオレどっちでもいい。何でも好きに目指しゃいいさ。
江湖 :
ただま。
江湖 :
そんなストレートな目標に対して、『将棋武道』なんてのは横道なんじゃねぇの?
マシュラ :
そうかもしれません。
江湖 :
少なくともそー考えるヤツは多そうだ。だから、アレだな。
江湖 :
どーゆー風の吹き回しだい? ってヤツ。
マシュラ :
…。
マシュラ :
実際。私は第1回目の出場は辞退しました。
マシュラ :
しかし、或在選手を日輪選手が打ち破り、優勝した灰簾選手を春慶選手が倒した大会は大きく盛り上がりました。
マシュラ :
…。
マシュラ :
なので…。上手く説明出来ませんが…。
マシュラ :
「この大会には価値がある。」と思えたのです。
マシュラ :
(江湖相手じゃなければ…いや江湖相手でも反感顰蹙炎上に繋がりそうな言葉選び
江湖 :
…。
江湖 :
はぁ。オレも格闘技界隈のこたよく知らねぇけど。
江湖 :
フォーデン界の下馬評通りに事が運ばんかったから、って事?
マシュラ :
そんな難しい話ではありません。
マシュラ :
私の見る目が無かった。というだけの話です。
江湖 :
…はぁ。よーわかんねぇが今も大概上からだな。
マシュラ :
…。成程。
マシュラ :
失礼しました。悪い癖ですね。
江湖 :
ま、オレもあのルールで棋士が勝つと思わんかったし。それまでは大した興味も無かったから人の事言えねぇがな。
江湖 :
つか岩黒の野郎がタフすぎんだろ。ふざけんなよ。(何処に向けてかわからん愚痴
マシュラ :
はい…。酷い試合でした。(あえて、そう言う
マシュラ :
…。
マシュラ :
江湖棋士…いえ、なんてお呼びすれば良いでしょうか。
江湖 :
…ぁん?別に江湖でいいんじゃねえの?
マシュラ :
…。
マシュラ :
幾つか質問があります。まだお時間は頂けますか?
江湖 :
はぁ。別にいーけど。わざわざ来てんだしな。
マシュラ :
…江湖、棋士の大会参加理由は何ですか?
マシュラ :
私の出場理由は語りすぎたぐらいです。そちらにはどのような狙いがあるのですか?
江湖 :
参加っつーかコーチ役な。 参加はしねぇわ勝ち目ねぇし(蛇足だが言わずにいられない駄目性分
マシュラ :
はい。そうですね。「コーチ役」です。
江湖 :
…はぁ、狙いも何も。
江湖 :
「コーチ役に選ばれた理由は?」「タイトルホルダーだから。」 でしかねぇよ。
マシュラ :
成程。
マシュラ :
失礼しました。愚問でしたね。
マシュラ :
(納得したように。必要な確認だったらしい。
江湖 :
ま、「岩黒二冠」や「聡見五冠」が参加するってんだから…もう1人をハブる訳には行かなかったんでしょ。(ハッと
マシュラ :
…コーチは合計8名参加されるのですか? 非公開情報なら詮索しませんが。
江湖 :
5人だって聞いてるぜ。前回参加者で上位成績の3名を除いた5人のファイターにそれぞれ1:1でつくんだとよ。
マシュラ :
前回上位と…5人…。(貰った情報を聞きながら口元に手を当てて思案する
マシュラ :
…有難うございます。
マシュラ :
…。…。
江湖 :
…(黙り込むマシュラ見て
江湖 :
何。なんかご不満事でも?
マシュラ :
いえ、不満は、ありません。
マシュラ :
その5人に兄の在水が居ても居なくても。
マシュラ :
教えを頂くならタイトルホルダーの方が良いに決まっております。
江湖 :
…。そ。
江湖 :
他の棋士メンツも別に喋っていーらしいけど。聞く?
マシュラ :
是非。
江湖 :
タイトルホルダー以外の棋士2人は、マルチタレント兼A級棋士のアーヴィデルゼくんと、
マシュラ :
(ジャリジャリ道で、すっかり作戦会議開始だ。
江湖 :
元フォーデンプロファイターの阿修。つまりアンタのお兄ちゃんだね。
マシュラ :
その5名ですか。
マシュラ :
それであればやはり江湖棋士が私にとっては1番良いですね。
江湖 :
へぇ?(両手ポッケでジャリジャリしながら
江湖 :
良いんか?一冠で足りんの?
マシュラ :
無冠の私には出来すぎた実績ですよ。
マシュラ :
江湖棋士…いえ、短期間とはいえ、江湖師匠とお呼びしても良いでしょうか。
江湖 :
師匠。 師匠ね。 …まー、好きにすれば?
マシュラ :
江湖師匠…。
マシュラ :
江湖仁王は如何ですか?(謎の調整を測る
江湖 :
…。
江湖 :
あぁ。そっちのがいいな。(謎に同意を感じる
マシュラ :
では、“江湖仁王”で。コチラの方がより…一冠の差が身に染みます。
江湖 :
なんか… … ぁー、そう。それ。そっちのがマシだな。(うん、と
マシュラ :
それは良かったです。では、江湖仁王。(呼び方を決めたらすかさず次の質問へ
マシュラ :
他の参加者7名の情報は開示出来ますか?
江湖 :
あぁ。つっても上位3人は予想だけど。
江湖 :
つか名前だけ見てもピンと来なかったしアンタのが詳しいだろ。
マシュラ :
であれば、ご教授頂きたいです。ただ…これ以上、立ち話もなんですし、移動しますか?
江湖 :
ぁいよ。
マシュラ :
では、コチラに…。
マシュラ :
(砂利道を真柳寺の方へと歩いていく
マシュラ :
ーーーーー
マシュラ :
(真柳寺
マシュラ :
(奥
マシュラ :
(修練室
マシュラ :
(石畳
マシュラ :
(石畳に石壁に石ころ
マシュラ :
(無骨な修行部屋
江湖 :
…へー。(なんとなしに修練室を見渡して
マシュラ :
(とても“客”を招くような場所ではないが
マシュラ :
(今行っているのは作戦会議であり、修行である
マシュラ :
(椅子…と呼べない事もないサイズの石が2つ
マシュラ :
(石に腰掛け、情報交換を行う両者
マシュラ :
成程。その8名ですか。
江湖 :
(何もねぇな。とは思ったが、特に言及する事も無かった。特に気にしても居ないため。
江湖 :
(作戦会議であり修行なら、まあそーゆーモンだろう。
江湖 :
あぁ。
マシュラ :
灰簾、イアン、シュウ…ほのか、血嬢、烈火…そしてナレノニア。
江湖 :
どーなんだよこの人選。強いんか?それとも話題性?
マシュラ :
豪華なメンバーです。私より実績を積んでいる人が何名もいます。
江湖 :
へぇ…。
江湖 :
…ま、将棋の方は、前回三人はそれなりに「やれる」って事は解ってるが。つか天野は出るなら優勝しろや。
マシュラ :
天野…シュウ選手ですね。
江湖 :
あぁ。「将棋」に関しちゃ間違い無くコイツが抜きん出てるわ。
マシュラ :
情報に感謝します。
マシュラ :
…。これから、
マシュラ :
将棋武道における我々の戦略を話したいのですが…
マシュラ :
まずは将棋武道の素人ながら考えてきた私の見立てを聞いて頂けますか。
江湖 :
おう。聞かせろや。
マシュラ :
まず、私の長所を伝えます。
マシュラ :
私は、おそらく「春慶」棋士よりも頑丈でタフネスがあります。
江湖 :
へー。良いじゃねぇか。
マシュラ :
さらに六腕なので、腕が五本破損しようが将棋を指す行為を続ける事ができます。
江湖 :
…あぁ、そっか。阿修羅さんね。立派なフィジカルをお持ちで何より。
マシュラ :
はい。阿修羅です。(皮肉とは受け取らず、満足げ。
マシュラ :
なので、戦闘面での持久戦は得意分野です。
マシュラ :
そして。ここからは素人考えなのですが。
江湖 :
…。ま、有利には越した事がねぇよ。いんじゃね。…で?
マシュラ :
将棋という競技は長期戦になる程、選択肢が難しくなるのでは無いでしょうか。
江湖 :
ま、凡そそー思ってていいと思うぜ。
マシュラ :
予想が当たっているようで良かったです。
マシュラ :
それならば。新規の参加者達全員が「終盤戦」を勉強してくる事は難しいと思います。
江湖 :
…確かにな。そもそも終盤って勉強しづれーんだよ。
マシュラ :
成程。やはりそうなのですね。
江湖 :
あぁ。その分物理的な試行回数。実戦の数がモノを言う…ってコトになるかね。
マシュラ :
む…それは…少し間違った選択をしたかもしれません…
江湖 :
…どーかね。そーでも無いんじゃね?
マシュラ :
そうでしょうか。そう言って頂けるのであれば、江湖仁王。
マシュラ :
私に「将棋を長引かせる闘い方」を教えてください。如何でしょうか。
江湖 :
…。まあ、そーゆータイプの小細工は得意ですけど。 ま、ソレ以前にさ。
江湖 :
アンタは自分の耐久力を活かして、新規の参加者達の中で終盤戦で優位に立ちたいんでしょ?
マシュラ :
…。一旦、そのつもりです。
江湖 :
だったら新規の参加者の中で誰よりも「物理的な試行回数」を稼げばいいじゃねぇの。
マシュラ :
・・・
江湖 :
…アンタ、そーゆー脳筋は得意そうだけど。違う?
マシュラ :
ふふっ。
マシュラ :
失礼。これは高揚の笑みです。
マシュラ :
江湖仁王。存外と前向きなのですね。私達の勝利に。
江湖 :
そうなんか。注釈どーも。(怪訝そうにマシュラを見て)
江湖 :
はぁ。そらそうでしょ。
江湖 :
コーチ業でだって勝ちてぇに決まってるわ。オレに『将棋武道』で勝てる機会なんてありゃしねぇし。
マシュラ :
どうやらまだ貴方を見誤っていたようです。失礼しました。
マシュラ :
難しい「終盤戦」と向き合い、他の皆様と試行回数で差を付けて練度を高め、確実に勝利します。
マシュラ :
江湖仁王。ご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い致します。
江湖 :
… はっ。(半目で笑って
江湖 :
そーだね。組まされた相手がこんな提案を嫌がらねぇ前向きな努力家で良かったよ。
マシュラ :
お褒め頂いているのですね。有難う御座います。
江湖 :
…。メンタルも頑強なようで何より。
江湖 :
へいへい。…ま、よろしく頼むわ。
マシュラ :
はい。
江湖 :
んで? やる? 試行回数とか言ったがアンタ将棋やった事あんの?
マシュラ :
早速今からですか。良いでしょう。
マシュラ :
(将棋を)完走した事はございません。
江湖 :
そーかよ。っは、なら記念すべき一戦目だな。
マシュラ :
はい。
マシュラ :
(すうぅと深呼吸して
マシュラ :
対戦宜しくお願い致します。
江湖 :
…(マシュラをじ、と一瞥して
江湖 :
よろしくお願いします。(対戦前の一礼
江湖 :
本番まで毎日ね。じゃ、四桁はいけんじゃんな。(何か呟きつつ、用意した盤に駒を並べ始める
最終更新:2024年10月13日 13:19