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夜の戯れ [チルカ ウサミン]

夜 : (夜。
夜 : (フォーデン。
夜 : ・・・
夜 : (石畳の路地に、足音が響いている。
夜 : (戦闘都市を賑わす闘技場の喧騒も、今は聞こえてこない。
夜 : (丑三つ時。
夜 : (石畳の路地に、1人分の足音だけが響いている。
夜 : (1人分の足音と、僅かな呼吸の音だけが響いている。
夜 : ・・・
夜 : (今、自分の、「目の前を歩く人間の」「一人分の足音」だけが響いている。 
夜 : (花は音を立てて歩いたりしないし、酸素を取り入れて呼吸などしないから。
夜 : (それはその通り自然な事だろう。
夜 : (花は地に足を着けて歩いたりなどしない?それはそれ。
夜 : ・・・
夜 : (今、目の前を歩く人間が、路地の角を曲がる気配を見せている。
夜 : (実際に曲がり始めるより前から察して取れる。経験の賜物だろうか。
夜 : (今宵はそれを合図としよう。
夜 : (目の前を歩くこの人が、この先の角を曲がったら。
夜 : (――――それを、この夜を彩る花を咲かせる合図としよう。
夜 : ・・・
夜 : ふふっ。
バニーガール : ウサミン。
バニーガール : (“その人”が曲がった角
バニーガール : (そこに立つバニーガール
夜 : ――――――
ウサミン : (網タイツバニーガールの背中から悪魔の尻尾と悪魔の翼の欲張りセット
チルカ : あら。 まあ。
チルカ : 奇遇ね。こんな夜に。(少し驚いたような、不思議そうな表情でバニーガールを見つめる
ウサミン : (腰に巻いたホルスターには古き拳銃と最新型ハンドガンやら後ろが大渋滞。前は際どいVライン
ウサミン : あら。 まあ。
ウサミン : 奇遇。もうこんなにも。
チルカ : (和風ゴシックロリータ衣装に身を包む少女
ウサミン : 夜は深いのに。
ウサミン : (ぽけーっとチルカを見つめる美少女
チルカ : ええ、そうよ。本当に。(ふふ、と微笑み
ウサミン : (キットルカーリット巨大酒場で看板娘を勤めた魅惑のフェイス
チルカ : どんなに活気溢れて賑わう街も…『夜』は深いもの。
ウサミン : 『夜』だものね。真っ暗。
ウサミン : (チルカを見つめて近づいてきて
チルカ : ええ。どれほどの闇に呑み込まれてもおかしくは無いわよ?ウサミン様。(近付いてくるウサミンを見て微笑みながら
ウサミン : 真っ暗。暗い。闇。
ウサミン : チルカ様は。闇が好き?
チルカ : ええ。好きよ。夜と闇は常に隣り合わせにあるもの。
ウサミン : 夜と闇。好き。
ウサミン : (ぽえーっとした顔でチルカを見つめる。
チルカ : ついつい散歩に出てしまうくらいには…ふふっ、好きと言えるでしょうね。
ウサミン : ・・・。散歩なのね。
ウサミン : ・・・。
ウサミン : チルカ様も。
チルカ : ええ。闇が澄み渡っていたものだから。
チルカ : まあ、奇遇。ウサミン様もお散歩なのね。
ウサミン : ん。
ウサミン : んー。
ウサミン : ウサミンはね。
ウサミン : 仕事。
チルカ : あらあら。お忙しいのね。
ウサミン : (すっと後ろの方を指差して
ウサミン : あの建物でお仕事。
チルカ : 『プロファイタア』の業務もあるでしょうに。…。(ウサミンの指す方を振り返り
ウサミン : いっぱいいっぱい稼いだよ。
ウサミン : そうね。格闘家も。音楽家も。やんなくちゃ。
チルカ : …。(いかにも夜。なお店の建物と看板が目に入る
ウサミン : …?(チルカ様見て
ウサミン : チルカ様は。
ウサミン : 「こーゆー」お店。行かない?
チルカ : 行った事は無いわ。行く予定も…今の所は無いわね。
チルカ : あの場所の『夜』は、わたくしには…賑やかに過ぎるでしょうから。
ウサミン : そう。
ウサミン : 人気者になると思う。チルカ様なら。
ウサミン : でも。
ウサミン : 違うのね。
ウサミン : チルカ様の。愉しみは。
チルカ : そうね。「違う」わ。
ウサミン : そか。
ウサミン : 教えて。
チルカ : わたくしの愉しみは、人々の視線を集める事では、無い…。ふふ、ファイタアとしては未熟かもしれないわね。
ウサミン : (チルカの目の前まで近づいて
ウサミン : その愉しみ。ウサミンにも。教えて。
チルカ : あら。 まあ。
チルカ : ・・・。(ウサミンの瞳をじいっと見返して
チルカ : 知りたいの?
ウサミン : うん。
ウサミン : 知りたいよ。
ウサミン : 「夜」の。チルカ様のこと。
チルカ : ふふっ。
チルカ : 賑わう明かりの下。闘技場の上で昼を終え、・・・夜の帳を降ろし。
チルカ : わたくし達は、それぞれ別の姿を見せるわ。
ウサミン : わたくし。達。
ウサミン : ウサミンと…。チルカ様?
チルカ : ええ。そうよ。わたくしであり、貴女の事でもある。
ウサミン : …。うん。
チルカ : だからね。闇の中を覗こうとすれば・・・
チルカ : ・・・貴女の姿も、よりくっきりと鮮明に、わたくしに晒す事になる。
ウサミン : …ぁら。
チルカ : (紅桃色の瞳で、ウサミンの瞳をじっと覗き込んで
ウサミン : それは。ちょっと。怖いね。ちょっとだけ。
ウサミン : (瞳を見つめ合って、小さく微笑む
チルカ : ふふ。素直なのね。(丸く開いていた両目を、少し穏やかに歪めて微笑み
チルカ : 「それでもいい」なんて・・・容易に言える子でなくて良かったわ。(ふふ、と微笑して少し離れて
ウサミン : …。
ウサミン : ウサミンは。
ウサミン : ちょっっっと。イロイロ。あるから。
ウサミン : 少し。躊躇。闇の中で裸は。
ウサミン : 少しね。
チルカ : そうなのね。…。ふふ、きっとわたくしも一緒よ。
チルカ : わたくしも「色々」。あるから。
チルカ : 直ぐに全てを曝け出す事は容易でない。
ウサミン : ぁら。
ウサミン : 「夜のお散歩」
ウサミン : …。んーん。
ウサミン : 今日はまだ。ね。
チルカ : そうよ。夜のお散歩。(ふふ、と
チルカ : 貴女が良ければ、この帰り道。 暫し一緒にお散歩は如何?
ウサミン : 素敵。
ウサミン : いいよ。
ウサミン : (チルカの隣に立って、くるっとチルカと同じ向きへ立つ
チルカ : ふふ。素敵でしょう?
ウサミン : うん。夜。独りだったから。
ウサミン : チルカ様と一緒。うれしい。
チルカ : それは良かったわ。
チルカ : それに。 照らす月、闇に霞んだ花、黙り込んだ大地。…夜はあらゆるものが姿を変えたように見えるわ。
チルカ : 常に明るく賑やかな、ネオンの光も良いけれど、…偶にはそういう物もご覧になって。
ウサミン : ふぜい。
ウサミン : ウサミン。電気のピカピカ育ち。
ウサミン : 夜の愉しみ。教えて。
チルカ : ええ。勿論よ。(石畳にヒールを鳴らし、夜闇の路地を歩き始める
ウサミン : (黙り込んだ大地。そう言ってたけど。
ウサミン : (2人で歩くと2人の音。
ウサミン : ふぜい。
最終更新:2024年11月08日 20:17