cotori : (AE社内
cotori : (試合用の特注部屋
cotori : (ピカピカの部屋の中にはなぜだか
cotori : (ピカピカの新車『ナトゥーラ』がモデルカーの如く堂々鎮座しており、
cotori : (第三試合参加の2人は、この運転席と助手席にいる
cotori : ――― っっっ
cotori : (ゲームの世界から現実に引き戻される
cotori : ……クッソが!隠れ潜んでネチネチチマチマ…キアシスの陰気根暗魔術師がよ…!
cotori : … ぁーぁ。(モニターではまだ戦いが続いているし、
cotori : (隣のペア相手もまだ戦いの最中だ。
cotori : ……
cotori : やっぱ3人くらい轢いときたかったな……
cotori : (物騒なことをボヤきながら
cotori : (カーナビモニターの中の巨大な聖樹を見ている
cotori : ……ぁーぁ。タコられて炎上してんじゃないですか。
cotori : 人気者は大変ですね。
cotori : (大炎上した後総出で狙われる聖女様の姿を頬杖突いて眺める
cotori : (やがて―――…
ルミ様 : はぁ~~~あ。
ルミ様 : (画面の中のルミ様が天使の体に潰されて、
ルミ様 : (助手席のルミ様が深い溜息と共に目を覚ます。
ルミ様 : ま。こんな所ね。
cotori : お疲れ様です。(視線はモニターに向けたまま隣に声を掛ける
cotori : なんだ。意外と冷静なんですね。
ルミ様 : あーら。健気なドライバーさん。待っててくれたのね?
ルミ様 : プロファイターじゃないんだから1人で4人も5人もワラワラ湧いてくる蛆虫を捌ききれないわ。
cotori : さっき死んだばっかですからね。末路くらいは見届けようかなって。…
ルミ様 : 貴方と車が無くなった時点でコマーシャルは終了よ。あとは「聖女」の力で暴れる気晴らしね。
cotori : …ま、そうですね。戦闘のプロだとか、籠城戦の専門家だとか。
cotori : そんな奴等相手に渡り切れなかったからって悔しがるのも傲慢ですか。
ルミ様 : あらぁ?(なんだかニヤニヤとcotori見て
ルミ様 : ルミ様が戻ってくる前に泣いちゃってた?
cotori : キレてましたけど。イキリキッズなんで負けるの嫌いなんです。
ルミ様 : 良い根性してるわ。そういうのも好きよ?
ルミ様 : 全員轢き殺してやりたかった?
cotori : そりゃあね。その方がコマーシャルになりますし?
ルミ様 : あっはっはっは!轢き殺してコマーシャルね。最高に笑えるわ。(とっても楽しそう
ルミ様 : そうねぇ。アンタあんだけ派手にやって0点だもんねぇ。
ルミ様 : そりゃあキレ散らかすのも無理ないかぁ?
cotori : 好悪構わずインパクト残すのが大事ってどなたかの例もありますしね。…はぁ、それ言いますか。
cotori : そーですよ。最新車種のフルパワーアタック生身で止める奴がいるってイカレてんでしょフォーデン。
ルミ様 : えぇそーね。あの阿修羅。
cotori : いや、今はフォーデンですらないんでしたっけあの人。
ルミ様 : あの退役格闘家だけはちょっとぐらい認めてやっても良いわ。
ルミ様 : あとは“勝ちさえすれば良い”引き篭もりの蛆虫達よ。話になんないわ。
cotori : 止めた所に便乗して群がってきたハイエナですもんね。(口悪い
ルミ様 : そ。
ルミ様 : えぇ、勿論、勝利は大事だけどね。はいはい。勝ったヤツが偉いんでしょ?だけど。
cotori : …ま、見る限り。蛆虫だのハイエナだの上手くやってる奴等がポイント稼いでるっぽいですね。(モニターでなんとなく進行を眺めている
ルミ様 : 魅せて勝つのがプロなんじゃない?
ルミ様 : あの退役格闘家は求められてる闘いをしっかり見せたわ。どこぞの誰かが車で突っ込んできたおかげでね。
cotori : あっちも0ポイント退場ですけどね。
ルミ様 : 言うじゃない(楽しそう
cotori : 別にわざわざアレとぶつからずに他の細々したのを轢き殺しに行くのもアリだったかもしれないですけど…、
cotori : なんか癪だしつまんないですよね。逃げたみたいで。
ルミ様 : ええ。逃げ惑う小市民を轢き殺すなんてイメージ最悪よ。
ルミ様 : せっかくの合流イベントだもの。大物にぶつからなきゃお客さんは楽しめない。何よりルミ様がつまんないわ。
cotori : …。そうですね。…
ルミ様 : ま。それで言うと。
ルミ様 : 意外性のある戦闘でファンサービスして、画面映えある迫力の破壊シーンを行なって、2点ぐらいもぎ取って派手に散っていく
ルミ様 : 聖女ルミ様が一番ってコトになるけど…
cotori : はは、流石ですね。
ルミ様 : ルミ様を除けば良く映えた方よ。貴方も退役格闘家もね。
cotori : 映え、ですか。……ま、確かにね。
cotori : 一応僕もプロゲーマーですから、点取りゲームとしての立ち回り云々を考えないわけでも無いですけど…、
cotori : 興行試合としては、求められてたモノは見せられたのかなって気はします。
ルミ様 : そーね。ガオケレナがあんなに凶悪に育ったのも、貴方の咄嗟の献身がキッカケだし。
ルミ様 : もっと満足感ある顔してると思ったのに、微塵も納得してなさそうで…
ルミ様 : 生意気ね。可愛いわ。好きよ。そういうの。
cotori : …(思わず隣を見て
ルミ様 : (ニマニマと笑み浮かべてcotoriを見つめて助手席に座るアイドル
cotori : …びっくりするほどご機嫌ですね。何か良い事ありました?
ルミ様 : あったわよ。
ルミ様 : 貴方のキレ散らかす姿が隣で見れて、思ったよりも楽しい大会だったわ。
cotori : …いつも僕がキレてると楽しそうだよね君は。これでも優等生で通ってるんですけどね。
ルミ様 : あーら? 優等生で通ってるから面白いんじゃない。
cotori : それも良く分からな……
AE : その時、自動ドアから電子音が鳴る。
cotori : …?(室内の車の運転席からそれを聞いて
cotori : …何だろ。来客? 一応試合中なんだけどな…
ルミ様 : はぁ~あ。(笑顔が不機嫌な顔になって、ドアの方を見る
cotori : …。ちょっと出るね。(運転席から出て、ドアの方に歩く
cotori : (ここは関係者以外は入れない筈。なんだろう…?
そよか : すみません、お取込み中失礼します!浅海です…!(自動ドアが開き、切羽詰まった様子のマネージャーの姿
ルミ様 : ………。
そよか : ぁ、cotoriさん…!
そよか : いらっしゃいましたね。すみません、試合の途中に申し訳無いんですけど…
cotori : …いえ。大丈夫ですけど。 …何かあったんですか?
そよか : その………、
そよか : cotoriさんのお母様だと仰る方が来られてて、息子に会わせて欲しいって……
cotori : …
cotori : ぁーーーーー…………(片手で頭抱えて
ルミ様 : へぇ~~~~。(車内に笑みが戻る
そよか : 今沼ちゃん先輩があの手この手で引き留めてて!せめて大会中はお待ちくださいって感じで時間稼ぎしてます!
cotori : 家に帰ったら家族会議は覚悟してたけど…
cotori : ……まさか直接来るとは思わなかったな。思ったより元気だなあの人。
ルミ様 : 楽しい話してるじゃないの。(車降りてきてcotoriとそよかの近くへ
cotori : …相変わらず楽しそうだね。(やれやれとルミ様を見て
ルミ様 : 良い機会じゃない。籠の中のcotoriちゃん。
ルミ様 : 皆さんでご挨拶に行きましょう?
そよか : …だ、大丈夫ですか?なんとか穏便に帰ってもらう事も…
cotori : …すみません、そよかさん。お手数掛けてしまって。
cotori : …でも、まあ、大丈夫です。
cotori : 会います。…ルミさんの言う通り、良い機会なので。
ルミ様 : ふふふ。せっかく息子の晴れ舞台を見に来た親を帰すだなんてとんでもないわ。
ルミ様 : 待たせる事もない。今すぐ行きましょう。
cotori : そんな話が通じる相手ならいいけどね………(――こうして、
cotori : (思いがけぬ早さで、対決の機会が訪れる事になった。
最終更新:2026年06月11日 22:27