りゅうしゅ
龍種

【分類】



【解説】
世界に存在する種族の一。『ドラゴン
かつて『名も無き獣』の『世界再生計画』のためにつくり出された。
生物というより『魔法』に近い超常兵器という見方のほうが強く、『龍種』とひとくくりにされているが生殖するわけではなく、その個体数は極端に少ない。

初めにつくられた可愛いプリティードラゴンの可愛い反逆を筆頭に、『名も無き獣』が思うほど作戦は容易には運ばなかった。

やがて『名も無き獣』の敗北(もういいやすきにしろよ)をきっかけに、各個体は自由に暮らしている。
兵器として生み出されたのでほぼ不老不死で、生殖能力もないので一部を除き個体数増加が見込めない。


『飛竜は群れぬが龍種は群をつくる』



+ プリティードラゴン
「私たちが言うのもなんだけど、兵器に心は必要ないと思うの。
こんな話があるの。
昔ある存在が、自身の持ちうる能力を行使して兵器をつくったの。
目的は生物の根絶、その兵器に持たせた能力は、過剰なまでの『耐性』と『好奇心』と『雑食性』。
つまり、興味を持った対象を片っ端から食べるように仕向けたってことね。
結果どうなったかというと、お察しの通り失敗だったの。
どうしてかって?好奇心を持つことはまだよかったんだけど、「食べたらなくなる」ってことに気付いてしまったの。
そもそも過剰なまでの耐性の中に絶食耐性も入っていて、別にその存在は食べなくても存在は継続できたのよ。
つまり、心を持ったことで、自分の判断で行動するようになって、「別に食べなくてもいいや。食べられるけど」という結論にはまっちゃったってわけ。
だったら『飢餓感』を持たせればまた変わったかもしれないけど、それだと先に言った『耐性』と矛盾するのよね、空腹に耐えられないってことになるから。
なかなか思ったようにはいかないものね」
★★★

+ ジェノサイドラゴン
★★★
「さて、『超耐性』と『好奇心』と『雑食性』では失敗したという話は以前したわよね。
その失敗を教訓にして次に作り出されたのが、『再生』と『対応』と『憎悪』をコンセプトに作られたトカゲよ。
どういうものかと言うと、あらゆる生物に対して憎悪を抱かせ、あらゆる状況に対応できる能力を持たせたの。
『対応』っていうのは、もし自身で勝てない相手と対面した場合、たとえどれほど負傷してもその場を乗り切るというものだったの。
そして負傷しても『再生』を用いることで元の姿に戻ることができるというものだったわ。

結果としてはそこそこの成果は挙げられたわ、そこそこね。
前回『飢餓感』を用いられなかった教訓が生かされて、憎悪を持たせてあらゆる生物に対して異常なまでの攻撃性を発揮するところまではよかったの。
はじめはよかったの、でもね、出会ってしまったのよ『先代』と。
その攻撃性を用いたとしても、先代の『超耐性』は突破できなかったの。
するとそのトカゲは即座に逃げたわ、まともにやり合ったら「食われる」って察知したんでしょうね。『雑食性』は伊達じゃないわ。
こういう判断力のすごさがトカゲの『対応』の凄いところなの。
けどそのトカゲの失敗したところは、刺激しちゃったことなのよ、先代の『好奇心』を。
先代は全力で殴ってくるトカゲに興味を抱いたらしく昼夜を問わず追いかけたらしいわ。
「なんだおまえ、なんだおまえ、あそぶのか、いいぞ、まてまてー」
なんて、気が気じゃないわよね、自分がどんなに殴ってもまったく効かない相手が昼夜を問わず追いかけてくるなんて。
もちろんその時点で先代はそのトカゲを食べるつもりはなかったけど、実は先代には雑食性以外にももう一つ必殺の能力があって、それを察知してトカゲは逃げたの。
ホントトカゲの『対応力』は異常よね、そういうコンセプトだったんだけども。
結論から言うと、トカゲは無事に逃げられたわ。世界そのものを飛び越えるという手段を用いることでね。
詳しい出来事は不明だけど、どこか異世界へ転移して逃げたらしいわ。
この転移がトカゲの能力によるものか、はたまた転移先からの召喚なのかはわからないのだけれど。
そして転移先で殺戮を続けていたらしいけど、それも長くは続かなかったらしいわ。
トカゲは拘束され、モルモットにされてるらしいわ。
あちらの世界では完全に破壊しようとはしてないらしいけど、実は完全破壊をしようとするとそれを察知して『対応』するからその手段が最適なの。
ところでモルモットって可愛いわよね、もふもふしてて」
★★★

+ ボーンドラゴン
★★★
「『好奇心』と『雑食』ではダメだった。『憎悪』と『対応』でも上手くいかなかった。
まあ後者に関しては運が悪かったってのもあるけど、異世界での様子を知る限りでは予定調和よね。

そして今度は『増殖』と『自動化』をコンセプトでつくられたの。
通称竜骨城。歩き回る竜の骨ね。
『屍鬼』って知ってる?そうそう、アンデッドのことよ、ゾンビとかスケルトンとか。
あれって生物の肉体を元にしてつくられるんだけど、3体目はそれの規模を大きくしたものよ。
「自身の骨から『屍鬼』を生み出す」→「敵を倒す」→「敵を『屍鬼』にする」
このループを用いて兵隊をどんどん増殖させていったの。竜骨城が蹂躙した土地は文字通りねずみ1匹残らなかったわ。当然よね、皆殺しで屍鬼化だもの。
最終的には屍鬼の総数は100万を超えてたらしいわ。獣や鳥の屍鬼までつくりだして、大した規模ね。
結論から言うと、負けたわ。これも。
一体どうしてか、それほど強大な規模を持つ存在がどうやって負けたのかわからないって?
単純な話よ、数をもって軍を成し、骨をもって生み出す存在は
それ以上の数をもって軍を成し、骨を持たない存在にはなすすべもなかったの。

そう、『蟲』よ。

怒髪天を衝くって言うのかしらね、雲霞の如く蟲の大群が屍鬼の群れに襲いかかったわ。その数は億じゃ効かないわね。
一つ一つは小さな蟲よ、経験点にして1点の初心者向けの小さな羽虫(手のひらサイズ)。けれどその数が圧倒的だったの。
『自動化』がコンセプトにあったものだから対応ができず、さすがの屍鬼も数千もの蟲にたかられては実力が発揮できなくて、1つまた1つと各個撃破されていったわ。
意味わかる?100万を超える軍勢が『各個撃破』されたのよ、笑っちゃうわね。
蟲が骨に襲いかかった理由?さあ……行動が目に余ったのかしらね。
自然界には鳥や獣だけじゃなくて蟲だっているんだもの、共生しているのに一方的に奪われたらそりゃかちんとなっても仕方ないわよね。
最終的につくりだされた屍鬼は軒並み破壊されて、竜骨城だけ残ったらしいわ。
なぜ残ったのかしらね、蟲にもなんらかの意図があったのかしら、あえて壊そうとしなかったのかしらね。
まあ蟲の動きを見れば意思を統一するものがあったのだと推察できるけど。
ちなみに竜骨城は今でも健在よ。
城って言われるとおり、人が居住可能な街として存在し続けているわ。
屍鬼の増殖能力は健在だけど、自動化の部分はだいぶ抑制されてるわね。
竜骨城の近隣で戦闘行為が発覚したときに鎮圧のために作成される程度ね。
そんな感じで、屍鬼による治安維持が自動で行われるので、街自体の治安はとてもよいわ。
1度観光に行ってもいいかもしれないわね。とても刺激的なサバイバルが楽しめるわよ」
★★★
最終更新:2025年05月31日 10:31