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戦国BASARA/エロパロ保管庫
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戦国BASARA/エロパロ保管庫

潮の花55

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元親に頬の髪を耳にかけられ、続く動作で頭を撫でられた。この数刻で何度も与えられた按撫は、きっともう兄から受けたそれより多い。
塗り潰される。悲しい。うれしいのが、悲しい。
吐き終えて冷静になってゆく脳で置かれた状況を見渡せば、白い皮膚の男がますます青ざめていた。
「寒いな、すまぬ」と声をかけ、返ってきた「お前の方が寒みぃだろ」と朗らかな笑顔にまた泣きたくなる。
俺は年中海に入ってっから、なんでもねーよ。あぁー、でも、
「ふるちんで何やってんだろうなー、俺なー。すげぇ間抜けー」と大きく笑った。
「ごめんなさい」
思わず漏れた謝罪に、彼は慌てた。「いやいやいや!違ぇだろ!あああ、謝んのはえーと、俺っつーか…」
しばし沈黙して、元親は彼女にがばりと抱きついた。水を吸った銀の髪が元就の頬に触れる。冷たい。
「悪ぃ。ごめん。俺、全然悪ぃと思ってねぇ。謝る筋合いなんてひとっつも無ぇと思ってる。だからごめんな」
「…矛盾しておる」
元親は、ふふ、と大袈裟に鼻で笑った。ああ、そうだな。
「自分でもよくわかんねぇ。…だから教えてくれよ、好きなものとか何でもいいから――俺は、
お前と子供の頃から出会ってなかったのが、すげぇ悔しい。そんくらいお前の事が知りたい」
「子供の…?」
訝し気に元就が見ると元親は更に破顔した。十分子供のよう。少し前まで恐ろしい鬼だったのは幻か、と元就は思う。
笑わないで欲しいのに。嫌ってくれればどんなにか楽だろう。やめて。
繰り返し繰り返し、でも波はお構いなしに裾に染み込んで元就の脚を濡らした。汐の香を忘れられなくなる。蛟の息でしかないのに。
「一緒に世界を見たかった。」
毎日同じ事の繰り返しで雑音ばかり耳を突いて、なのに海や森や、外の世界は眩しく煌いていて、俺がどんなにその光に焦がれていたか。
焦燥感ばかりに彩られた日々に、お前がいてくればきっと楽しかった。
お前の家族を失う度に深まった哀しみも、和らげられただろうに。
おいで。紫に泣く雲も闇の雨も、寄る辺なく広がる浅瀬もすべて蹴立ててここにおいで。
深い森から紡がれた舫い綱は二つの船を確かに繋げているはず。
元就は俯いて、けれど、と呟く事しか出来なかった。


ここから南に少し離れた小さな島々に伝わる話には、ニラヤカナヤという理想郷があるのだと元親は言う。
寝るために衣服を整え、さてと一つの布団に入る時に元就はためらった。結局これしかないのだから、と広い胸に包まれる事になったのだが。
「その…もう辛くは、ないのか?」
ん?と突然の問いに軽く驚いて、その意味に気付き元親は情けなく笑った。ああ、うん。まぁ平気だから。
「お前、気ぃ遣うとこが変だなぁ」
「む」
優しく笑う男と、恐ろしい鬼が同じ人間である事の方が妙だ。元就がそう言うと、お前こそと髪をぐしゃりと乱された。
――南の島の理想郷は水平線の彼方にあるという。または海底や地の深くに。
豊穣と生命の根源でもあり、同時に死者が還る場所でもあるその場所は、暖かい永久の楽土である、と。
「でな、そっからたまに神さんがやってきて、幸せを届けてくれるんだと。島の連中に」
楽土の神は潮の花で出来た道を踏んで浜に降り立つ。海に咲いた真っ白な波の花弁の群れはそれは美しいそうだ。
「うしおの、はな」
「向こうの連中は『しゅのはな』って言うらしいんだけど、俺らには馴染みがねぇから」
瀬戸内のように穏やかな海では、稀にしか起こらぬ自然現象であるそれ。花などではなくただ白いだけのごみだという者も多くいる。
けれど元親はやはり花だと感じた。船上から荒れた海を見下ろせば、泡立つ波間から次々と咲いては消える柔く儚い花は、美しかった。
「いつか見に行こうな。虹の根元にもきっと行こう」
「女々しい事を…御伽噺など、どの面下げてのたまうか」
落ち着いたのか、元就の口調は普段の堅いものに戻っていた。けれど憎たらしい物言いはとろりとした眠気交じりの声で発せられ、愛らしかった。
「都合のいいトコだけ信じてんだよ」
「卑怯者」
「うん」
「我は…無様だ。駒にもなれぬ。女の身であるというのに」
「…元就、」
「ごめんね、四郎」
「元就?」
「やっぱり、四郎の妻になればよかったね」
「はぁ?!」
「ごめん…」
「いや、そうじゃなくて!それ、弟だよな?!」
ひょん、と重たげな元就の目蓋が意外そうに開いたが、すぐに微睡みに帰っていった。それでも問に答えようともつれた舌が動く。
「そうだ、四郎は・・・相合四郎元綱…我の直ぐ下の舎弟で・・・」
潮の花56

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