していることは先ほどと同じことだが、今度の方が力加減に容赦がない。
かなりの重量がある錨型の槍を常日頃担ぎ上げている元親にとって、小さな獲物が入った
ままの網を上下に揺さぶることなど、そう難しいことではなかった。
「やっやめ、てっ……」
「しゃべって舌噛んでも知らねぇぞ」
濃姫の体が弾むように揺すりながら、目の粗い網の間から脚が抜け落ちるのを待った。
寝かせた太腿が少し斜めに動くだけで事は済む。片足を首の高さまで上げられていては、
満足に踏ん張ることさえできまい。
実に簡単な作業だった。
網目は揺するたびにかたちを変え、引っかかる場所を失った膝から前のめりに網の外へ
はみ出てくる。
次いで腿がズルズルと落ち始めたときには、濃姫にできることはなにもなくなっていた。
「ああ、あ」
やめて、と懇願していた彼女の顔は左足が外に出てしまうと凍りついて、じきに歪んだ。
着物だけが大きく広がって、ちょうど赤黒い蝶の羽の残骸のように網の中に残っている。
「ひどい格好だな。でも、存外似合ってるじゃねぇか」
半歩退いて上から見下ろすと、恥ずかしいのか濃姫の白い肢体は白蛇のようにくねった。
脚の内側に網が食い込んでいるが、太腿の肉がそれをはね返すように食い込みの両端で
ぷっくりと膨れている。
「ちっと疲れたか? 体のいろんなところが緊張しっぱなしだもんな」
元親は肩に乗ったままの脚をひと撫でし、そこに口づけた。
「あっ、ん」
ぴくんという心地よい反応に気を良くした元親は、太腿を揉むようにして強く撫で回す。
ふいにぐっと肉を掴んで、目を細めて見せた。
「さぁ、この後はどうしてやろうか。飛び出たこの間抜けな足を縄で繋いで、両側から
馬で曳かせるか? それとも、船に吊るして鰐の餌にでもするか?」
かなりの重量がある錨型の槍を常日頃担ぎ上げている元親にとって、小さな獲物が入った
ままの網を上下に揺さぶることなど、そう難しいことではなかった。
「やっやめ、てっ……」
「しゃべって舌噛んでも知らねぇぞ」
濃姫の体が弾むように揺すりながら、目の粗い網の間から脚が抜け落ちるのを待った。
寝かせた太腿が少し斜めに動くだけで事は済む。片足を首の高さまで上げられていては、
満足に踏ん張ることさえできまい。
実に簡単な作業だった。
網目は揺するたびにかたちを変え、引っかかる場所を失った膝から前のめりに網の外へ
はみ出てくる。
次いで腿がズルズルと落ち始めたときには、濃姫にできることはなにもなくなっていた。
「ああ、あ」
やめて、と懇願していた彼女の顔は左足が外に出てしまうと凍りついて、じきに歪んだ。
着物だけが大きく広がって、ちょうど赤黒い蝶の羽の残骸のように網の中に残っている。
「ひどい格好だな。でも、存外似合ってるじゃねぇか」
半歩退いて上から見下ろすと、恥ずかしいのか濃姫の白い肢体は白蛇のようにくねった。
脚の内側に網が食い込んでいるが、太腿の肉がそれをはね返すように食い込みの両端で
ぷっくりと膨れている。
「ちっと疲れたか? 体のいろんなところが緊張しっぱなしだもんな」
元親は肩に乗ったままの脚をひと撫でし、そこに口づけた。
「あっ、ん」
ぴくんという心地よい反応に気を良くした元親は、太腿を揉むようにして強く撫で回す。
ふいにぐっと肉を掴んで、目を細めて見せた。
「さぁ、この後はどうしてやろうか。飛び出たこの間抜けな足を縄で繋いで、両側から
馬で曳かせるか? それとも、船に吊るして鰐の餌にでもするか?」