戦国BASARA/エロパロ保管庫

迷宮情死2

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甲斐と奥州の同盟を破り、奥州が侵攻してきたのは、今から二年前になる。
混迷を極めた戦国乱世、同盟など破るためにあり、血縁など裏切るためにある。
奥州の侵攻も、よくある裏切りであった。



乱世において、戦場に出る女は珍しくない。織田や前田、浅井の正室や、
北の一揆衆を束ねる総領のような女もいるし、男の名を名乗り戦場に出る女もいる。
中国の毛利、山城の明智、大坂の竹中など、名のある武将となり、大名となっている女も現れている。
奥州を治める伊達政宗は、最近現れた女大名の一人であった。
隻眼に短い髪、黒い甲冑に弦月兜、青い陣羽織に六爪の刀。唐土にかつていたという武将になぞらえ、
「独眼竜」と呼ばれるその女は、並み居る男よりも逞しい、強かな女だった。
手を結べば頼もしいだろう。そう思っての同盟だったが、同盟は一年と持たず、奥州は甲斐に侵攻した。
戦は凄惨なものとなった。互いに死力を尽くした結果、伊達は武田に負けた。
武田家中の前に引き出された伊達政宗を見て、誰もが驚いた。
伊達政宗のことは、「竜と嘯く女大名」という噂でしか知らぬ者が多い。ゆえに、
白いかみしもに身を固め控えめに香を漂わせた、どこか少年のような趣きのある細身の女が
「伊達政宗」だと、にわかに信じられずにいた。
「政宗殿……」
信玄の傍に控えた幸村が、複雑な目を政宗に向けた。
年が近いせいか、幸村は政宗に執着していた。何かと理由をつけては奥州に出向き、
手合わせをしているという。
若い男と女だ。ただ手合わせに行っているだけとも思えない。
若いな、と笑ったものだ。
政宗は信玄の前に進み出、文句のつけようのない見事な所作で深く頭を下げた。
「何故、かような裏切りをいたした」
「……甲斐を呑めば、中央に入りやすくなる。それ以上の理由はない」
答えは簡潔だった。おそらく、真実であろう。
信玄は大きなため息をついた。
顔を上げるよう言うと、政宗は白い顔を上げた。白い衣装を纏っているせいか、
抜けるように白い肌をしているように感じた。
「その装束は、死に装束か」
「切腹でも磔(はりつけ)でも、受ける覚悟はできている」
「――そちを殺すのは惜しい」
「惜しい? ……いつ牙をむくか分からない武将を、軍門に下すのか?」
「そちはの、己が思っている以上に領民や家臣に慕われておるのだ」
隻眼がぱちくりと瞬いた。まさか、と顔に書いてある。
整った顔をしている。だが、不遜そうな雰囲気と目つきの悪さが、すべてを台無しにしていた。
振る舞いは乱暴で普段から男の装束を纏っているというが、政の手腕や武将としての強さは、
信玄に勝るとも劣らない。
それに、信玄は政宗を気に入っていた。よい武将よ、男であれば娘を嫁にやったわ、と
事あるごとに言っている。

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