戦国BASARA/エロパロ保管庫

松永久秀の恐るべき計画3

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nozomi

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(……そうだ、アレが、奴に捕らわれたかもしれねぇと)


その話を聞いて、いかに冷静な小十郎とて黙ってはおれなかった。
矢も楯もたまらず、制止しようとする幸村を振り払って、遠い大和の地まで馬を走らせたのである。可能な限りの早さで、途中何度も馬を乗り潰して。
奥州へと一旦退き返す、その時間さえもその時は惜しかった。
松永久秀。小十郎にとってまさに天敵とも言える男だった。
卑劣な罠によって政宗を傷付け、六の刀を奪っていったあの事件の事もあるが、それ以上に、あの男は危険だと小十郎の内の本能が訴えていた。
欲望のままに奪えばいい。そう、あの男は言っていた。
そして、男の形をして男顔負けの働きをしてみせるが、佐助は女だ。肉の、器だ。
久秀は色を好むと聞く、佐助が女だと知れば、あの性格もあることだし殺しはしないだろう。
だが、その対価は……

その先を考える代わりに、小十郎はより一層強く馬腹を蹴った。


そうして辿り着いた大和の信貴山城。
黒竜片手に単身乗り込み、侵入者を迎え撃たんと襲い来る兵士達を殴り、蹴り、斬りつけ、当の松永久秀と切り結ぶところまで漕ぎ着けた。
忍が一人いるはずだ、あれをどうした、松永。
そう叫んで切りかかれば松永は、ああ、卿はあのくのいちを迎えに来たのかね、と薄く笑って。
それから。
……それから。


(……駄目だ、思い出せねぇ)

そこから先の記憶がぷつりと途絶えている。しかし、そこまでの記憶だけでも十分だった。
十分に、今己の置かれている状況を確認する事が出来た。
ここは信貴山城。自分は座敷牢に捕らわれている。何故か、殺される事もなく。
そして恐らくは、あの茜色の髪の忍も、生け捕りにされて。
くそ、と小十郎は思わず歯噛みした。
冷静さを欠いて単騎で敵地に乗り込んだ挙句、自分もこうして捕らえられて。
これで伊達軍の軍師を名乗れるものかと、余りに軽率であった己を殴ってやりたい思いだった。
……否、もう過ぎてしまった事を悔いても仕方ない。問題はここからどうするかだ。
自分がまだ生きているという事には、何か理由があるはず。間違いなく、松永は今一度己の前に現れる。
得物は当たり前のように取り上げられている上に、体の自由も利かないこの状況でどこまで出来るかが不安だが、
脱出を狙う隙があるとすれば、その時だけだろう。
ふと、ゆらりと蝋燭の火が揺れた。
今一度目を遣った朱の灯火は、あの、癖のある赤毛を思い出させた。

(――――あいつは、無事だろうか)

脳裏に過ぎったのは、最後の逢瀬の帰りに見せた笑顔だった。少し、泣きそうな。


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