「…引っ掻いちゃったの? これ」
「チクチクして痛いのです。痒いし」
「チクチクして痛いのです。痒いし」
憮然としたまつの顔を見つめ、露わになった下腹部を見て、慶次は深い溜め息をついた。
「ダメだよ、こんな…肌が傷だらけじゃないか。」
まつの前に跪き下肢をあらためた慶次はその痛々しさに眉を顰めると、すぐに自室に戻り薬箱を持って来た。
「取りあえず薬を塗らないと…ちょっと失礼。」
そのまま部分に伸ばされた手を止め、まつは頬をうっすらと染めて薬の瓶を取ろうとする。
「自分で…」
「大丈夫、任せて。その…奥の方までは、自分じゃよく見えないよ。」
「大丈夫、任せて。その…奥の方までは、自分じゃよく見えないよ。」
言いにくそうに言葉を選ぶ慶次の手元を見ながら、きり、と唇を噛んでまつは大人しくするがままに任せた。
「ああ、可哀想に、こんなに赤くなって…ここも傷に。しみるけど、少し我慢な。」
慶次の指が臍の下から始まってその下、更に奥、と軟膏を塗り拡げてゆく。
ヒヤリとした感触に縮こまった花芯は、その周囲を撫でられることにより、少しずつ潤いを増した。
ヒヤリとした感触に縮こまった花芯は、その周囲を撫でられることにより、少しずつ潤いを増した。
もちろんそれを揶揄することもなく、慶次は表情を変えずにただ薬を塗っている。
それが余計に居たたまれなかった。
それが余計に居たたまれなかった。
薬はピリピリと傷にしみ、でも痒みが緩和されて少し気分が楽になる。
ほっと肩の力を抜いたその瞬間、襖が何の前触れもなく再び開いた。
ほっと肩の力を抜いたその瞬間、襖が何の前触れもなく再び開いた。
「…な…」
入り口で固まる利家の姿に、まつは言葉が出ない。
「……っ」
何しろ、利家の視界に映っているのは
袷を開き、下肢を露わにして座っているまつの前に何やら手を添えてかがみ込む慶次後ろ姿
という、あまりに衝撃的なものだった。
という、あまりに衝撃的なものだった。