稽古事では立ち入ったこともあるが、作法に則らずに茶室へ入り込むのは初めてのことである。
帰蝶はわずかな緊張と身の内のわずかな違和感にぎゅっと松永の手を握った。
帰蝶はわずかな緊張と身の内のわずかな違和感にぎゅっと松永の手を握った。
「そこへかけたまえ」
「はい」
「はい」
素直に松永の向かいに正座する。
父が常々羨ましいとこぼしている松永の茶器、それを見るために。
父が常々羨ましいとこぼしている松永の茶器、それを見るために。
(…なんだか、おかしい…)
体の違和感がぬぐえないのだ。
確かに蒸し暑い季節ではあるけれど、外側からではなくて体の内側から熱い。
確かに蒸し暑い季節ではあるけれど、外側からではなくて体の内側から熱い。
(でも、松永さまに失礼があっては…)
幼くとも厳しい教育を受けてきた美濃の姫君として、帰蝶はしゃんと背筋を伸ばして松永を見上げた。
おや、と、松永は口の端を持ち上げた。
主犯はこの男である。先ほどの飴は大陸から手に入れた媚薬。
肉体の快楽を知っている女であれば耐えがたいほどの焦燥を覚えるそれだが、幼すぎる姫君にはいささか効果が薄いらしい。
おや、と、松永は口の端を持ち上げた。
主犯はこの男である。先ほどの飴は大陸から手に入れた媚薬。
肉体の快楽を知っている女であれば耐えがたいほどの焦燥を覚えるそれだが、幼すぎる姫君にはいささか効果が薄いらしい。
「…どうかしたかね?」
「ぃえっ…ぁ、」
「ぃえっ…ぁ、」
声が裏返ったことで帰蝶はますます動揺してしまった。
動揺してこぼれた吐息が熱っぽい。
熟れた桃の様に染まる頬に、震えるまつげが影を落とす。
動揺してこぼれた吐息が熱っぽい。
熟れた桃の様に染まる頬に、震えるまつげが影を落とす。
「熱でも?」
「ぁ、」
「ぁ、」
触れられた肌がざわりと粟立って、帰蝶は震えた。
その反応に気を良くした松永は、膝で詰め寄ってその細腕をとらえた。
その反応に気を良くした松永は、膝で詰め寄ってその細腕をとらえた。
「城下で流行っている病やもしれん」
「えっ」
「失礼するよ」
「えっ」
「失礼するよ」
薄く笑った松永の笑みは帰蝶には見えなかった。
唇が重ねられ、意図するところのわからない幼子は侵入してくる舌をこばむことができなかった。
唇が重ねられ、意図するところのわからない幼子は侵入してくる舌をこばむことができなかった。
「んっ…んんっ」
苦しげに訴えられる抗議の声に、しゅるしゅると布の擦れる音が重なる。
角度を変えてその柔らかい唇を味わいながら、松永は帯をほどき終わってしまった。
簡単に止めてある数本のひもも器用に探り当ててほどくと、紗の着物の隙間から珠の肌がのぞいた。
角度を変えてその柔らかい唇を味わいながら、松永は帯をほどき終わってしまった。
簡単に止めてある数本のひもも器用に探り当ててほどくと、紗の着物の隙間から珠の肌がのぞいた。
素肌に当たる空気に帰蝶はびくりと体を震わせたが、死んでしまうのではないかと思うほど口を吸われていて、
しかも体の中には何か得体のしれない疼きがあって、思うように動かせない。
しかも体の中には何か得体のしれない疼きがあって、思うように動かせない。
「今私が診て進ぜよう」
「は…ぁ…」
「は…ぁ…」
無骨だが繊細な手が、茶器を扱うように優しく姫君を畳に寝かせ、着物の前をはだけさせた。
白い肌に黒い髪が散って、その隙間から薄桃色の乳首が覗いている様は、初々しくも瑞々しい果実を思わせる。
薬のせいか口付けのせいか、とろんとした目つきで帰蝶はただ松永を見上げている。
白い肌に黒い髪が散って、その隙間から薄桃色の乳首が覗いている様は、初々しくも瑞々しい果実を思わせる。
薬のせいか口付けのせいか、とろんとした目つきで帰蝶はただ松永を見上げている。