戦国BASARA/エロパロ保管庫

通草5

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nozomi

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佐助はそれと無く視線を落とす。
白い手がしっかり手甲と鉤爪に守られた自分の腕を掴んでいた。
その掌は温かいのか、柔らかいのか――金属で隔てられている佐助には分らない。
風が吹き、金色の髪を揺らして行く。
良くからかいの対象になった髪の色やそれに由来する本名も佐助は綺麗だと思う。
特に「不思議なほど優れる」と言う意味を持つ名前は相手にとても似合っていた。
だが以前の様にその名を呼ぶ事は無い。琥珀が佐助を映して微笑む事も無いだろう。
それだけの事があり、それだけの時間が流れてしまった。
「まーた懐かしい場所に来たもんだねぇ」
色んな思いを悟られない様に明るい声色を作った。
「なぁ、お前何でこんな所に――」
相手は手を放すと問い掛けを無視してさっさと木陰に入ってしまう。
「やれやれ…」
スダジイの根本に佐助は胡座をかき、相手は幹に凭れて立った。
二人の間が自然に半間ほど空く。
その距離には色んなモノが複雑に絡み合い詰まっていた。
個人の小さな力ではどうしようも無い事もあれば、佐助が態と見て見ぬ振りをしている事もある。
考えれば考えるほど苦く煩雑な事ばかりが次々と頭の中に浮んでは消えるので、
佐助は思考を放棄して目を閉じた。
長い間風の音を聞いた。
草木のざわめき、遠くで鳴く鳥の声。
一瞬、琥珀がチラリとこちらを見た気配がした。
「どうした?」
顔を上げて相手を見る。
「……別に」


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