戦国BASARA/エロパロ保管庫

ほのぼのエロ無

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「慶ちゃんも、秀吉と並んでると女の子だねぇ」

からからと笑いながら仲間の一人が飛ばした揶揄にそれまで秀吉の背中に
背を預けて遊んでいた慶次は一瞬固まって、それから顔を真っ赤に染めて
怒鳴ってみせた。

「よっけいなお世話だばか!」
「あはは、赤い赤い」
「殴るぞー!」
「やや、怖や怖や」

神社の石段の天辺に腰掛けた己の背に軽く体重を預けたまま、隣に向かって
腕を振り回す振動に秀吉は隠れて困った風に小さく笑んだ。
女らしさが表立っては直ぐに見えてこぬ慶次も、飛び抜けて体格の良い自分と
並べば線が細いと、そういうからかい文句だろう。慶次はじゃれ合いの延長で
明るく怒って見せているが、内心本当によくは思っていない事を秀吉は知って
いる。

「どうせ俺は大女だよーだ!」

ほら、声が拗ねた。
どさりと背に掛かり直す重みで慶次からは顔が見えぬ事を確認すると、それを
良い事に秀吉は声に出さずに顔を笑わせる。分かり易い、小さな子供のようだ。

慶次はそこいらの男よりも背が高い。骨格も女にしては確りしていて、大柄な
事は間違いない。だがそれ以上に彼女を男っぽく見せているのは矢張り彼女の
装いと態度が問題なのだと、秀吉は常々思っている。
酒も喧嘩も大好きで、お祭り事が有ればいの一番に飛びこんで、と、じっとして
いる事が苦手な気質では下手な男よりも余程男らしいのも仕方がない。けれど、
秀吉はそれを欠点とは思わない。思えば、明るく快活で人を呼び込むその性質が
己をこの友人の輪にも引き入れたのだ。

「慶次、気にする事は無い」
「き、気にしてないっての、別に……身体がでかいのは昔っからだし」
「我は、慶次は女らしいと思うぞ」

びく、と慶次の肩が跳ねる。

「ばっか、んなお世辞言われても嬉しくないって」
「世辞ではない。だからねねも、それをお前にやったんだろう」

顔を合わせていなくても、慶次が声を繕っているのが分かる。照れ隠しだ。
少し彼女を知れば真正面から見ずとも何を思うか分かる様な、そういう彼女の
素直さと誠実さを、秀吉は好ましいと思った。
慶次の手には真鍮製のびらびら簪が握られている。決して高価なものではないが
赤金の桜の花とそれにぶら下がる簾飾りが揺らす度にしゃらしゃらと優しい音を
奏でる。簪といえば鳥の羽を模したような奇抜なものや、傾奇男が付けるような
派手なばかりのものを選ぶ事ばかりの慶次には少し、手を出しにくい一品だった。

ねねに無理矢理手に握らされて、こんなの俺には似合わないよ、そう言いながら
酷く嬉しそうにはにかんだ友人を、秀吉は美しいとも、また思った。

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