俺は名も無きただの農民でしかなかった。
田を耕し、妹と野山で遊び、夜は家族と囲炉裏で食事をとる。
そんな何気ない毎日が俺は大好きだった、ずっとこのままでよかった。
田を耕し、妹と野山で遊び、夜は家族と囲炉裏で食事をとる。
そんな何気ない毎日が俺は大好きだった、ずっとこのままでよかった。
――――だが、平穏は突然崩される。
松永久秀、そして三好三人衆。
「卿には…そうだな、絶望を贈ろう」
炎に包まれる家屋と、無残な姿で横たわる妹。
「いい目だ、卿に与えた絶望…存分に育てるが良い」
「卿には…そうだな、絶望を贈ろう」
炎に包まれる家屋と、無残な姿で横たわる妹。
「いい目だ、卿に与えた絶望…存分に育てるが良い」
「俺はその日から、妹や家族たちに誓ったんだ…あの男を倒せるような、もう大事なものを失わないような、無敵の存在になるのだと」
「直江…お前にそんな過去があったのか」
「すまないなかすが殿、柄にもなくしんみりとした話をしてしまって…そろそろ出陣の頃合いだな」
「しかし大丈夫なのか?毎度の事ながら一番隊を一人で背負うなど、謙信様も必要ならば兵を預けると」
「いらん、なぜなら俺は――」
「直江…お前にそんな過去があったのか」
「すまないなかすが殿、柄にもなくしんみりとした話をしてしまって…そろそろ出陣の頃合いだな」
「しかし大丈夫なのか?毎度の事ながら一番隊を一人で背負うなど、謙信様も必要ならば兵を預けると」
「いらん、なぜなら俺は――」
無敵、だからな。