戦国BASARA/エロパロ保管庫

流転3

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幸村からしてみれば、かすがと二人で過ごしていることが、佐助に対して悪いことのような気がしてならなかったのだが、彼はなぜそう思うのかについては分からないでいた。
心の中にもやもやするものを抱えながらも、かすがと二人で過ごすことに妙な胸の高鳴りを覚え、この時間が終わることを惜しんでしまう。戦場での高揚感とはまた違ったそれは、幸村を引き寄せもしたし、恐怖にも似た感情を与えもした。
何か核心に触れることを避けるように他愛もないことを話し、しだいに日が傾いていくのを眺めていた。
「ここの桜は、大方散ってしまったな」
奥州にはまだ残っていたが、と新緑の葉をつけた木々に目を細める。
「うむ。夏も近いですな」
「――――季節ばかりが移ろいゆく」
「ん?今何か…」
「ただの独り言だ。それよりも、もう日が暮れる。そろそろお開きだ」
「そうでござるな。某、かすが殿とご、ご一緒できて、楽しかったですぞ」
立ち上がったかすがを名残惜しげに見上げ、そして不意に胸を打たれた。
赤い日の中に溶け込んでいくかのような錯覚。夕日とともに掻き消えてしまう風景。古い記憶の中の遠い人。幾度となく経験した、緋色の別れ――。

「……苦しい」

耳元の声に我に返れば、女の体を己の腕に閉じ込めている自分がいた。
「う……はっ、は、は…ああああああ!」
どうやら思考が回らない幸村は、体をわなわなと震わせながら後ずさりした。
「それがし、ななななんというはれんちなことをおおおおおお!」
脱兎のごとくその場から逃げ出す青年をわざわざ引き止めることもせず、かすがは小さくため息をついた。


その夜。屋敷の離れに位置するかすがの私室に幸村は足を運んでいた。
元は上杉謙信の懐刀、そして抜け忍である彼女の扱いは、決して容易なものではなかった。
救出された上杉謙信の容態が回復に向かい、彼女も主と面談したという。そこでどのような会話がなされたかを知るのは当人二人と、その場にいた武田信玄のみ。
幸村に伝えられたことといえば、彼女が表向きは真田忍隊に入ること、ひいては幸村の部下の一人となることなることだった。
しかし、他の忍びと同じ扱いをするわけにもいかず、不用意に部下達を刺激しないためにも、こうして離れの一室を与え、任務も彼女単独のものにしている。それは他者との接触を拒絶していたかすがを見かねた佐助が申し出たことでもあった。


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