※女けんしんさま
「ああっ…はぁっ…んっ…」
彼…否、“彼女”は自分の上で、腰をくねらせているだけだ。
“軍神”と呼ばれた者が、今宵ただ淫らに快楽を貪る女になっている。
“軍神”と呼ばれた者が、今宵ただ淫らに快楽を貪る女になっている。
彼女に室はもちろん、夫はいない。
愛している男ならいる。でも、結ばれない関係。
その淋しさを紛らわしたいのか、こうやって身体を交える事は有る。
愛している男ならいる。でも、結ばれない関係。
その淋しさを紛らわしたいのか、こうやって身体を交える事は有る。
それで知れるのは彼女の今の状況にどうしようもなく悶えている事。それでもどうしようも出来ない事。
そして自分も、彼女の孤独は垣間みれるが、どうしてもやれない。
そして自分も、彼女の孤独は垣間みれるが、どうしてもやれない。
彼女にとって、自分は甲斐の虎…武田信玄の身代わりとして交わっている。
けれど彼だと思い切れなくて、結局その淋しさは拭えない。
けれど彼だと思い切れなくて、結局その淋しさは拭えない。
完全無欠だと思われがちな彼女の、致命的な過ち。
…煩わしい考え事に耽る等、自分の性ではない。
策を練るのは得意な方だが、“こういうこと”にはもう最盛期を過ぎているのも事実だ。
策を練るのは得意な方だが、“こういうこと”にはもう最盛期を過ぎているのも事実だ。
兎に角。
“こういうこと”なら、接吻もしたって良いのではないか?
“こういうこと”なら、接吻もしたって良いのではないか?
「…すみませんね、その…」
接吻をせがめば、彼女は身を引く。
下の口は繋がっているのに、上の口は拒む。
完全無欠の軍神は、夜の時だけは矛盾だらけ。
きっと、武田信玄はこんな彼女を知らない。
…決して、彼女に恋愛感情はない。ただの馴染みだ。
けれど、彼女の想い人がこんな彼女を知らない。
背徳的な優越感が自分の中に沸き上がる。
下の口は繋がっているのに、上の口は拒む。
完全無欠の軍神は、夜の時だけは矛盾だらけ。
きっと、武田信玄はこんな彼女を知らない。
…決して、彼女に恋愛感情はない。ただの馴染みだ。
けれど、彼女の想い人がこんな彼女を知らない。
背徳的な優越感が自分の中に沸き上がる。
「そろそろ…わたくし…」