「ん?じゃ、ちょっと待てよ。…あいつ、今までどんな男と付き合ってきたんだよ」
「…俺が知る限り、松寿は男とどうこうなった事はないぞ」
元親は目を丸くした。この男のいう事が全てで、そしてそれを信じるなら、
(……処女…?)
うわ、と思わず唸ってしまう。
色恋沙汰に享楽的で、だから慣れた女ばかり選んできた元親には生娘は苦手とするところであった。
それが悪いとは言わないし、無垢な女をこの手で汚すものまた良いものだろうとは思うのだが、
どう扱っていいかわからない。
「だから、…だからな、あんたは慣れてるかもしれんが、いじめないでやってくれ。頼むから」
言われんでも。困っているのはこっちだ。元親はこれから訪れるだろう元就との夜に不安を覚える。
「…俺が知る限り、松寿は男とどうこうなった事はないぞ」
元親は目を丸くした。この男のいう事が全てで、そしてそれを信じるなら、
(……処女…?)
うわ、と思わず唸ってしまう。
色恋沙汰に享楽的で、だから慣れた女ばかり選んできた元親には生娘は苦手とするところであった。
それが悪いとは言わないし、無垢な女をこの手で汚すものまた良いものだろうとは思うのだが、
どう扱っていいかわからない。
「だから、…だからな、あんたは慣れてるかもしれんが、いじめないでやってくれ。頼むから」
言われんでも。困っているのはこっちだ。元親はこれから訪れるだろう元就との夜に不安を覚える。
何やらはっきりとは聞こえぬが、若者達の話し声を背に宗治は暗い離れに通じる道をただ見つめていた。
すると、かすかな提灯の日が幾つかこちらに向かってきた。
どうやら四、五人の毛利軍の兵士のようだ。近づいて来るにつれ、その後ろの白い姿もはっきり判る。
「元就様」
主を認めた宗治は、どうした事か肩から膝辺りまですっぽりと布を巻きつけ、片手で傘を持つ姿に声をかけた。
「清水?どうした」
それが、と頼れる重臣であるこの男にしては珍しく言い淀む姿に元就は意を汲もうと、
まずは兵士達に声をかけた。
「そなたらはもう良い。下がれ」
しかし元就様、と何故か食い下がる一人の兵がいるが、元就は怒気を孕んだ声で返す。
「もう良いと言っている。これ以上我を苛立たせるな…!」
何かあったのか、と宗治が改めて主を見れば、布から覗いた膝から下は白い素足が晒されたままであった。
素肌を出す事を嫌う元就が何故、との疑問が宗治の脳裏に過ぎった時、後ろの扉がからりと開いた音がした。
「いよっ、お帰りっ」
まるで空気を読んでいないかのような元親の軽い声が嫌に響く。
元親は元親で、(なんかまた面倒な奴がいる)と内心舌打ちした。
宴の席で殺気を送ってきた毛利兵がそこにいたからだ。
すると、かすかな提灯の日が幾つかこちらに向かってきた。
どうやら四、五人の毛利軍の兵士のようだ。近づいて来るにつれ、その後ろの白い姿もはっきり判る。
「元就様」
主を認めた宗治は、どうした事か肩から膝辺りまですっぽりと布を巻きつけ、片手で傘を持つ姿に声をかけた。
「清水?どうした」
それが、と頼れる重臣であるこの男にしては珍しく言い淀む姿に元就は意を汲もうと、
まずは兵士達に声をかけた。
「そなたらはもう良い。下がれ」
しかし元就様、と何故か食い下がる一人の兵がいるが、元就は怒気を孕んだ声で返す。
「もう良いと言っている。これ以上我を苛立たせるな…!」
何かあったのか、と宗治が改めて主を見れば、布から覗いた膝から下は白い素足が晒されたままであった。
素肌を出す事を嫌う元就が何故、との疑問が宗治の脳裏に過ぎった時、後ろの扉がからりと開いた音がした。
「いよっ、お帰りっ」
まるで空気を読んでいないかのような元親の軽い声が嫌に響く。
元親は元親で、(なんかまた面倒な奴がいる)と内心舌打ちした。
宴の席で殺気を送ってきた毛利兵がそこにいたからだ。
元就は、元親の後ろの何故かはわからぬが諦めたように溜息をつく景治の姿も認め、その上で言った。
不機嫌この上ない声で。
「貴様ら全員、この場から去ね」
不機嫌この上ない声で。
「貴様ら全員、この場から去ね」
後にはしばらく、勢いを無くしはじめた雨音だけがしていた。




