「オレは全部切らなくてよかったと思うぜ」
「政宗殿?」
よく解らないと名前を呼ぶのは、癖なのだろうか。強く引き過ぎないように、ひと束だけの長い髪をもてあそび続ける。
「伸ばせよ、すぐに戦国は終わるぜ?」
「うむ、お館様のお力があれば、上洛など…たっ」
鉢巻の下を指ではじき、独眼竜をなめんじゃねえぞ、と笑いながら凄む。
冗談交じりを理解したのか珍しくむきにならずに幸村もほのかに笑い、そしてほうっと息をついた。
「お館様も、…嫁ぐからには伊達の者となれ、と言われたな…」
政宗の中に、最前から聞きたくて聞きたくなかった疑問が再びよみがえる。
なんだってアンタ、オレに嫁ごうと思ったんだ?自分で使者を勤めてまで。
返る答えはきっと無邪気な笑顔で、伊達と同盟を組むのであれば、決着をつけたくてもつけられぬでござろうに――まぶたの裏にありありと幻聴と幻覚が浮かぶ。
「政宗殿?」
よく解らないと名前を呼ぶのは、癖なのだろうか。強く引き過ぎないように、ひと束だけの長い髪をもてあそび続ける。
「伸ばせよ、すぐに戦国は終わるぜ?」
「うむ、お館様のお力があれば、上洛など…たっ」
鉢巻の下を指ではじき、独眼竜をなめんじゃねえぞ、と笑いながら凄む。
冗談交じりを理解したのか珍しくむきにならずに幸村もほのかに笑い、そしてほうっと息をついた。
「お館様も、…嫁ぐからには伊達の者となれ、と言われたな…」
政宗の中に、最前から聞きたくて聞きたくなかった疑問が再びよみがえる。
なんだってアンタ、オレに嫁ごうと思ったんだ?自分で使者を勤めてまで。
返る答えはきっと無邪気な笑顔で、伊達と同盟を組むのであれば、決着をつけたくてもつけられぬでござろうに――まぶたの裏にありありと幻聴と幻覚が浮かぶ。
詰まらない答えを聞く気にならず、指に絡めた髪を口元に寄せた。
髪の先が硬直したのを感じ、薄く目を開けると、髪への口付け程度で真っ赤に強張る幸村が見えた。
髪の先が硬直したのを感じ、薄く目を開けると、髪への口付け程度で真っ赤に強張る幸村が見えた。
「なあ」
「なっ、なんでござるかはれんちなっ」
なんもしてねえだろ、と呟くが無視される。
「アンタ、火傷は大丈夫だったのか?」
頬にほてりを残したまま、幸村はこくりと頷いた。。
「なら、みせてみろよ」
政宗はどことなく気だるい気持ちで言った。
「はっ、はははははれんちなっ!」
先ほどまでならおかしかった狼狽振りも、あまりおかしくはない。
「ah…なんもしねえよ。だから見せてみろっつーんだ」
「それがはれんちなのでござるっ」
幸村が体を起こし、指に絡めていた髪がするりと逃げる。
「なっ、なんでござるかはれんちなっ」
なんもしてねえだろ、と呟くが無視される。
「アンタ、火傷は大丈夫だったのか?」
頬にほてりを残したまま、幸村はこくりと頷いた。。
「なら、みせてみろよ」
政宗はどことなく気だるい気持ちで言った。
「はっ、はははははれんちなっ!」
先ほどまでならおかしかった狼狽振りも、あまりおかしくはない。
「ah…なんもしねえよ。だから見せてみろっつーんだ」
「それがはれんちなのでござるっ」
幸村が体を起こし、指に絡めていた髪がするりと逃げる。




