元親は思う。小さな死を。犠牲の上に成り立つ命の連鎖。繋げる行為は愛情が無くても成し遂げられるが、しかし。
この女を喰い殺そう。小さな死を細い体に余るほど与えよう。余計なものを剥ぎ取って自分だけ注いで満たしてしまおう。
薄汚い優越感でいい。醜い独占欲でかまわない。
「好きだ。元就、お前がよ」
この女を喰い殺そう。小さな死を細い体に余るほど与えよう。余計なものを剥ぎ取って自分だけ注いで満たしてしまおう。
薄汚い優越感でいい。醜い独占欲でかまわない。
「好きだ。元就、お前がよ」
気安く呼ぶでない、と返す元就の声は弱い。小さな肩が元親の与える動作に快感を拾いはじめ時折跳ねた。
馬鹿な女。
可愛い、愛しい女。俺のものだ。
「さっきの、…死ねっつわれたら死ぬのか」
ふん、溜息と共にこぼれた返事。
「それが当然の倣いだろう」
「そん時ァ一緒に往ってやる」
「…そなたと共に渡る河なぞない…長曾我部の言う事は、意味のわからぬ言葉ばかりだ」
例え葬頭河をともに渡り地獄へ行くとしても、送られる責め苦の場所は別のものだろう。
ともにはいられない。蝶になれても元就は独りだ。仕方が無い。自業自得だ。
馬鹿な女。
可愛い、愛しい女。俺のものだ。
「さっきの、…死ねっつわれたら死ぬのか」
ふん、溜息と共にこぼれた返事。
「それが当然の倣いだろう」
「そん時ァ一緒に往ってやる」
「…そなたと共に渡る河なぞない…長曾我部の言う事は、意味のわからぬ言葉ばかりだ」
例え葬頭河をともに渡り地獄へ行くとしても、送られる責め苦の場所は別のものだろう。
ともにはいられない。蝶になれても元就は独りだ。仕方が無い。自業自得だ。
「はなさねぇって言ってんのは、聞かねぇんだな」
だって、似合わないもの。
だって、似合わないもの。
無意識下から、幼い頃に妹に返した言葉が記憶から湧き出てきた。
ねえさまはどうして綺麗な服も飾りもいらないっていうの?
答えれば妹は頬を膨らませて怒った。ねえさま、私なんかよりずっと美人なのに。
そんなことない。そんなことないよ、松。
可愛い妹。せめてこの子だけでも守らなきゃ。――松寿には、そんなのよりもっと似合うものがある。
ねえさまはどうして綺麗な服も飾りもいらないっていうの?
答えれば妹は頬を膨らませて怒った。ねえさま、私なんかよりずっと美人なのに。
そんなことない。そんなことないよ、松。
可愛い妹。せめてこの子だけでも守らなきゃ。――松寿には、そんなのよりもっと似合うものがある。
男として生きると告げた時、妹は泣いた。思えば、自分はいつもこの子を泣かせている気がする。ごめんね。
なんでねえさまが?戦に出たり、男の人は怖い場所にいかなきゃいけないのに。なんで?
泣かないで、と抱きしめた。泣かないで、可愛い松。松寿は…私なら平気だから。怖いことなんて何もないよ。
なんでねえさまが?戦に出たり、男の人は怖い場所にいかなきゃいけないのに。なんで?
泣かないで、と抱きしめた。泣かないで、可愛い松。松寿は…私なら平気だから。怖いことなんて何もないよ。
なんにも怖くない。きっと平気。
それは、幼さ故の無謀だったのだけれども。
それは、幼さ故の無謀だったのだけれども。
「そなたの方が、我を置いてゆくであろうよ」
だって、あなたに似合うのは暗い河ではなく明るくて大きな海だもの。
そうだね。あなたが見る海には、消えない虹が架かるのかもしれない。でも私はそこに辿りつけない。
生きる道が違うのだから。
「この分からず屋」
額に男の唇が乗る。優しかった。
「…好きだ。お前が、可愛いんだ。な?まだわかんねぇか?」
元親が縋りつくように元就の頭を抱え込む。体重をかけられて息が苦しくなったが、それより男が泣きそうなのが気にかかる。
どうしてあなたが?ひとりになるのはわたしなのに。
「判らぬな。そなたも大概に目を覚ませ…ん?」
言う最中に、元就は自分の脚に見知らぬ感触が当たっているのに気がついた。硬いようだが、妙に弾力がある風でもある。
それはどうやら位置的に、圧し掛かる男の脚の付け根にあるようだ。
だって、あなたに似合うのは暗い河ではなく明るくて大きな海だもの。
そうだね。あなたが見る海には、消えない虹が架かるのかもしれない。でも私はそこに辿りつけない。
生きる道が違うのだから。
「この分からず屋」
額に男の唇が乗る。優しかった。
「…好きだ。お前が、可愛いんだ。な?まだわかんねぇか?」
元親が縋りつくように元就の頭を抱え込む。体重をかけられて息が苦しくなったが、それより男が泣きそうなのが気にかかる。
どうしてあなたが?ひとりになるのはわたしなのに。
「判らぬな。そなたも大概に目を覚ませ…ん?」
言う最中に、元就は自分の脚に見知らぬ感触が当たっているのに気がついた。硬いようだが、妙に弾力がある風でもある。
それはどうやら位置的に、圧し掛かる男の脚の付け根にあるようだ。
不思議に思い首を傾げる元就に、元親はばつが悪いと言うように苦笑する。
「みっともねぇなー、俺」
はは、と笑い、上体を起こした。ホント格好悪りぃ。お前には調子狂わされっぱなしだ、この俺がよぉ。
元親の脚は元就の脚をがっちり固定したままだったから動けなかったが、元就も肘を使い何とか身を起こす。
「みっともねぇなー、俺」
はは、と笑い、上体を起こした。ホント格好悪りぃ。お前には調子狂わされっぱなしだ、この俺がよぉ。
元親の脚は元就の脚をがっちり固定したままだったから動けなかったが、元就も肘を使い何とか身を起こす。
元親が自らの帯を解いて、着ていた華やかな柄の袴を落とした。下穿きも取って表れた男の裸身には、
元就の知らない部位が高々と主張を示していた。
元就の知らない部位が高々と主張を示していた。
目を丸くして小首を傾げる元就に元親はもういっそ笑うしかない。
「あーあー、そうかい。お前コレも知らないか。それじゃあ仕方ねぇな。」
再び元就に抱きつく。奇妙なものが元就の腹に乗った。酷く熱くて元就は驚いた。
「悪かったな、怒鳴ったりして。でもよ、ホントに怖ぇ目にあうのはこれからだぜ?」
「もしや…男は、」
「うん」
「そこから、子種を取り出すのか…?」
ご名答ー。元親がちゃらけた声で言う。わしわしと栗色の髪を撫でた。
「ちーこいな、お前。ごめんな、俺のデカいけど、耐えてみせろよ?」
ふん、元就はまた鼻を鳴らして答える。「見くびるなと申しておろうに」
「この強情っぱり」
「あーあー、そうかい。お前コレも知らないか。それじゃあ仕方ねぇな。」
再び元就に抱きつく。奇妙なものが元就の腹に乗った。酷く熱くて元就は驚いた。
「悪かったな、怒鳴ったりして。でもよ、ホントに怖ぇ目にあうのはこれからだぜ?」
「もしや…男は、」
「うん」
「そこから、子種を取り出すのか…?」
ご名答ー。元親がちゃらけた声で言う。わしわしと栗色の髪を撫でた。
「ちーこいな、お前。ごめんな、俺のデカいけど、耐えてみせろよ?」
ふん、元就はまた鼻を鳴らして答える。「見くびるなと申しておろうに」
「この強情っぱり」
大丈夫。種を出して植えつけるだけなのだから。
妹だって通った道で、自分に出来ないはずがない。
妹だって通った道で、自分に出来ないはずがない。
なんにも怖くない。きっと平気。




