評議会共産主義(council communism)は、労働者評議会(レーテ)を社会組織の基礎単位とみなす革命思想であり、20世紀初頭のドイツやオランダで展開された。中心的人物にはアントン・パンネクークやヘルマン・ホルターがいる。
この思想は、ボリシェヴィキ型の党独裁や中央集権的国家社会主義に批判的であった。労働者解放は前衛党によって「与えられる」ものではなく、労働者自身が生産現場で形成する評議会によって実現されるべきだとする。ロシア革命期のソヴィエトはその原型と見なされたが、やがて国家機構に吸収されたと評価された。
理論的には、国家そのものを廃絶し、生産単位ごとの評議会が連邦的に結合する構造を想定する。権力は下から上へと委任され、代表はいつでも解任可能であるとされる。ここでは議会制も党指導も否定され、自己統治と直接民主制が強調される。
評議会共産主義は、レーニン主義に対する左派的批判、いわゆる「左翼共産主義」の一潮流として理解される。ウラジーミル・レーニンはこれを「小ブルジョア的偏向」と批判したが、評議会派は逆に党国家を新たな支配形態とみなした。
思想的核心は、「階級の自己活動」を絶対化する点にある。革命は国家権力の奪取ではなく、社会的関係の直接的変革であると考える。その意味で、権力中心型革命理論とは根本的に異なる方向を向いている。