コーポラティズム(corporatism)とは、社会を個人の集合ではなく、職能や経済的機能ごとの「団体(コーポラツィオーネ)」によって構成される有機的全体とみなす思想および制度構想である。近代自由主義が想定する原子的個人や、マルクス主義が想定する階級対立とは異なり、社会を調和的秩序として再編しようとする点に特徴がある。
思想的源流は中世的身分秩序やカトリック社会思想に遡ることができ、19世紀末以降、階級闘争と議会制民主主義の機能不全への対抗案として再浮上した。理論的には、労働者・使用者・専門職などを機能別に代表する団体を国家の枠内に組み込み、それらを通じて政策決定を行うという発想をとる。国家は中立的調停者であると同時に、全体を統合する最高権威とされる。
20世紀においては、イタリアのベニート・ムッソリーニの体制が国家コーポラティズムを制度化し、ポルトガルのアントニオ・サラザールもまた独自の形でこれを採用した。そこでは労使対立は公式には否定され、国家の枠内で管理された「協調」に置き換えられた。
ただし、コーポラティズムは必ずしもファシズムと同一ではない。戦後西欧の社会民主主義体制においても、労働組合・経営者団体・政府の三者協議を通じて政策を決定する「ネオ・コーポラティズム」が存在した。この場合、権威主義ではなく合意形成メカニズムとして機能する。
理論的核心は、社会の単位を「階級」や「個人」ではなく「機能的団体」に置く点にある。そのため、自由主義的多元主義と比べれば統合志向が強く、マルクス主義と比べれば対立よりも秩序を優先する思想である。