風都タワー第一展望室。
街を広く見渡せられ、マスコットキャラクターふうとくんのイベントにも使用される階。
今この場所は平穏からかけ離れた、戦いの場と化している。
それぞれの得物が振るわれる度に余波で壁が傷つき、風都市民の愛するシンボルタワーが破壊されていく。
床に転がったふうとくんのストラップを踏みつけても気にする素振りはなく、眼前の敵へ集中する。
街を広く見渡せられ、マスコットキャラクターふうとくんのイベントにも使用される階。
今この場所は平穏からかけ離れた、戦いの場と化している。
それぞれの得物が振るわれる度に余波で壁が傷つき、風都市民の愛するシンボルタワーが破壊されていく。
床に転がったふうとくんのストラップを踏みつけても気にする素振りはなく、眼前の敵へ集中する。
「でりゃあああああっ!!」
気合を込めるかのような叫び。
腹の底から出した声の主は、己の内から湧き上がる破壊衝動を必死に抑え込みながら刀を振るう。
この戦闘中、彼は攻撃の際に必ずと言って良い程叫んでいた。
そうでもしなければ、自分の意識が瞬く間に呑まれそうだから。
腹の底から出した声の主は、己の内から湧き上がる破壊衝動を必死に抑え込みながら刀を振るう。
この戦闘中、彼は攻撃の際に必ずと言って良い程叫んでいた。
そうでもしなければ、自分の意識が瞬く間に呑まれそうだから。
「……」
対照的にこちらは一言も発せず、黙々と長得物で刀を捌く。
纏う空気は実に冷めていて、退屈と落胆がこれでもかと感じ取れる。
冷え切った心とは裏腹に戦闘の手を緩めはせず、斬り掛かって来た相手へ反対に斬り付けてやった。
纏う空気は実に冷めていて、退屈と落胆がこれでもかと感じ取れる。
冷え切った心とは裏腹に戦闘の手を緩めはせず、斬り掛かって来た相手へ反対に斬り付けてやった。
「ッアアアアアア!!」
新八…アナザーディケイドが斬られたのはこれで何回目だろうか。
わざわざ数えてはいないし、回数など知りたくもない。
そのような余計な事に頭を回す余裕は無く、考えるべきは目の前の敵を倒す事のみ。
歯を食い縛って耐えてはいるものの、自分の意識が内から湧き上がる衝動に呑まれているのが嫌でも分かる。
完全に意識を奪われる前に決着を付けなければ、決意は固いが達成できるかは別問題だ。
わざわざ数えてはいないし、回数など知りたくもない。
そのような余計な事に頭を回す余裕は無く、考えるべきは目の前の敵を倒す事のみ。
歯を食い縛って耐えてはいるものの、自分の意識が内から湧き上がる衝動に呑まれているのが嫌でも分かる。
完全に意識を奪われる前に決着を付けなければ、決意は固いが達成できるかは別問題だ。
「ノロいな」
自身の首目掛けて走る刃。
ギラリと光る刀身は、されど何ら脅威には映らない。
身体を数ミリだけ動かし、空振った刃の先を見る事無く腕を伸ばした。
長得物は吸引されたかのように勢い良く、相手の胸を到達する。
ギラリと光る刀身は、されど何ら脅威には映らない。
身体を数ミリだけ動かし、空振った刃の先を見る事無く腕を伸ばした。
長得物は吸引されたかのように勢い良く、相手の胸を到達する。
血は出ない。代わりに火花が散った。
低く短いくぐもった声。痛みに反応して飛び出したソレに構わず、豪快に長得物を振り回す。
回転する度に肉体は刃に切り裂かれ、巻き起こった風が巨体を後方へと押し出した。
だが耐える。ズッシリとした下半身で踏み止まれば、それ以上はどれだけ暴風を叩きつけられても動かない。
真っ向から自分を押し出す力に抗うように、大きく踏み込んだ。
低く短いくぐもった声。痛みに反応して飛び出したソレに構わず、豪快に長得物を振り回す。
回転する度に肉体は刃に切り裂かれ、巻き起こった風が巨体を後方へと押し出した。
だが耐える。ズッシリとした下半身で踏み止まれば、それ以上はどれだけ暴風を叩きつけられても動かない。
真っ向から自分を押し出す力に抗うように、大きく踏み込んだ。
「それがどうした」
長得物から発生させた突風を、真正面から叩き斬る。
呆れるような荒技で馬鹿正直に突っ込んでくる相手に向けた声は、相も変わらず冷たい。
再度長得物を振るってやれば、今度は暴風ではないモノが敵を痛めつける。
風の刃、かまいたちとでも言うそれが肉体を切り裂いていく。
身体を襲う鋭い痛みだが、全てを受けても致命傷とはならない。
ただ痛みによってまたもや集中力が途切れ、己を保つ意識が少し弱まる。
意識を完全に失った時に起こりえる事態への恐れも今は飲み込み、斬り掛かった。
呆れるような荒技で馬鹿正直に突っ込んでくる相手に向けた声は、相も変わらず冷たい。
再度長得物を振るってやれば、今度は暴風ではないモノが敵を痛めつける。
風の刃、かまいたちとでも言うそれが肉体を切り裂いていく。
身体を襲う鋭い痛みだが、全てを受けても致命傷とはならない。
ただ痛みによってまたもや集中力が途切れ、己を保つ意識が少し弱まる。
意識を完全に失った時に起こりえる事態への恐れも今は飲み込み、斬り掛かった。
「やはり硬いか」
呟きは小さく、破壊衝動に抗っている真っ最中の耳には聞こえはせず。
元より聞かせたくて言ったのではない為か、相手がこちらの声に無反応なのも気にしない。
上半身を軽く捩り、胸部アーマー目掛けて突き出された刀を回避。
掬い上げるように長得物を振り上げれば、風を纏った刃が相手を斬り、またしても火花が散る。
元より聞かせたくて言ったのではない為か、相手がこちらの声に無反応なのも気にしない。
上半身を軽く捩り、胸部アーマー目掛けて突き出された刀を回避。
掬い上げるように長得物を振り上げれば、風を纏った刃が相手を斬り、またしても火花が散る。
「うぐぁっ!?」
悲鳴を上げて後退る。刃は胴体だけでなく顔にも当たった。
敵の言う通り硬い肉体でも、やはりそこは幾分耐久力も落ちるらしい。
敵の言う通り硬い肉体でも、やはりそこは幾分耐久力も落ちるらしい。
展望室を戦場へと変えたのは二人の破壊者。
マゼンタ色の装甲の仮面ライダー、ディケイド。
肉体はディケイドの本来の変身者である門矢士だが、その精神は彼とは似ても似つかぬ邪悪の塊。
秘密結社BADANの大首領にして人類の創造主たる神、JUDO。
マゼンタ色の肉体の異形、アナザーディケイド。
肉体は正義の心と無限の知的好奇心を併せ持った魔少年フィリップ、だが精神は仮面ライダーとは元々一切関りの無い人間。
かぶき町の何でも屋、万事屋銀ちゃんの従業員志村新八。
マゼンタ色の装甲の仮面ライダー、ディケイド。
肉体はディケイドの本来の変身者である門矢士だが、その精神は彼とは似ても似つかぬ邪悪の塊。
秘密結社BADANの大首領にして人類の創造主たる神、JUDO。
マゼンタ色の肉体の異形、アナザーディケイド。
肉体は正義の心と無限の知的好奇心を併せ持った魔少年フィリップ、だが精神は仮面ライダーとは元々一切関りの無い人間。
かぶき町の何でも屋、万事屋銀ちゃんの従業員志村新八。
本物のディケイドと偽りのディケイドによる対決は、前者に分が傾いていた。
所詮は偽りの存在に過ぎないアナザーライダーが弱い、という訳ではない。
本来の歴史に存在する仮面ライダーに取って代わるべく、タイムジャッカーに見初められた者が変身した怪人。
変身者による性能の差は有れど、いずれのアナザーライダーも仮面ライダージオウ…常磐ソウゴとその仲間達を苦戦させて来た。
しかしソウゴは立ち塞がるアナザーライダーを次々と撃破し、順調に王への道を辿って行った。
本来の歴史に存在する仮面ライダーに取って代わるべく、タイムジャッカーに見初められた者が変身した怪人。
変身者による性能の差は有れど、いずれのアナザーライダーも仮面ライダージオウ…常磐ソウゴとその仲間達を苦戦させて来た。
しかしソウゴは立ち塞がるアナザーライダーを次々と撃破し、順調に王への道を辿って行った。
アナザーディケイドはある世界線でのソウゴの王道において、最後に立ち塞がった脅威である。
タイムジャッカーの纏め役であり時の一族に生まれた男、スウォルツが門矢士から奪ったディケイドの力で変身し猛威を振るった。
数ある仮面ライダーの中でも一際異質な存在であるディケイドが元となったからだろう、アナザーディケイドの力はそれまでの敵とは明らかに一線を画していた。
最終的には魔王にして時の王者、オーマジオウへの変身を遂げたソウゴによって撃破されたが、それはつまりオーマジオウになる以外に倒す術があの世界線では存在しなかったということ。
肉体的にも精神的にもソウゴを最も追い詰めた最悪の敵、それがアナザーディケイドである。
(そのスウォルツでさえ『本物』の魔王にとっては傀儡にしか過ぎなかったが、ここでの詳細は割愛する)
数ある仮面ライダーの中でも一際異質な存在であるディケイドが元となったからだろう、アナザーディケイドの力はそれまでの敵とは明らかに一線を画していた。
最終的には魔王にして時の王者、オーマジオウへの変身を遂げたソウゴによって撃破されたが、それはつまりオーマジオウになる以外に倒す術があの世界線では存在しなかったということ。
肉体的にも精神的にもソウゴを最も追い詰めた最悪の敵、それがアナザーディケイドである。
(そのスウォルツでさえ『本物』の魔王にとっては傀儡にしか過ぎなかったが、ここでの詳細は割愛する)
アナザーディケイドの力を以てすれば、たとえ相手が本物のディケイドだろうと互角以上に渡り合える。
だが実際にはどうだ、アナザーディケイドの猛攻は余裕を持って対処され、反対にディケイドの攻撃は面白いように食らってばかり。
確かに今のアナザーディケイドはダークライダーの召喚やアナザーワールドの創造等、パワーバランスを著しく崩す能力を主催者の手で封じられている。
しかし肉体のスペックと耐久力を活用すれば、新八本人の身体の時よりも遥かにキレのある剣術を繰り出せただろう。
それが出来ていない理由は一つ、新八の精神を蝕み続ける破壊衝動だ。
承太郎が危惧しアナザーウォッチの使用を拒否させた暴走の危険性、それに抗おうと新八は仲間を守る為にJUDOを倒すという意思で破壊衝動を押さえ付けている。
だが実際にはどうだ、アナザーディケイドの猛攻は余裕を持って対処され、反対にディケイドの攻撃は面白いように食らってばかり。
確かに今のアナザーディケイドはダークライダーの召喚やアナザーワールドの創造等、パワーバランスを著しく崩す能力を主催者の手で封じられている。
しかし肉体のスペックと耐久力を活用すれば、新八本人の身体の時よりも遥かにキレのある剣術を繰り出せただろう。
それが出来ていない理由は一つ、新八の精神を蝕み続ける破壊衝動だ。
承太郎が危惧しアナザーウォッチの使用を拒否させた暴走の危険性、それに抗おうと新八は仲間を守る為にJUDOを倒すという意思で破壊衝動を押さえ付けている。
が、それで簡単にアナザーウォッチを使いこなせられるのなら、わざわざ説明書に警告文など記さない。
時間が進む毎に破壊衝動は増していき、新八の意識はどんどん薄れていく。
だから我武者羅に刀を振るって一秒でも早くJUDOを倒そうとしているが、そんな大雑把な動作ではJUDOに届かない。
暴走を押さえ付けようとする意志が、逆に新八から精細な動きを欠いてしまっている。
アナザーウォッチは能力の強化という恩恵以上に、新八を見境なしに暴れる怪物へと変える時限爆弾の役目を果たそうとしていた。
時間が進む毎に破壊衝動は増していき、新八の意識はどんどん薄れていく。
だから我武者羅に刀を振るって一秒でも早くJUDOを倒そうとしているが、そんな大雑把な動作ではJUDOに届かない。
暴走を押さえ付けようとする意志が、逆に新八から精細な動きを欠いてしまっている。
アナザーウォッチは能力の強化という恩恵以上に、新八を見境なしに暴れる怪物へと変える時限爆弾の役目を果たそうとしていた。
だからと言っておめおめと暴走を許すつもりは新八に無い。
自分の刀はJUDOに届かないが、相手の攻撃も未だこちらの命を刈り取るには至っていないではないか。
さっきは顔への斬撃に呻きはしたものの、それだって致命傷にはなっていない。
ならばこのまま攻め続けるだけと、頭部目掛けて刀を振り下ろす。
自分の刀はJUDOに届かないが、相手の攻撃も未だこちらの命を刈り取るには至っていないではないか。
さっきは顔への斬撃に呻きはしたものの、それだって致命傷にはなっていない。
ならばこのまま攻め続けるだけと、頭部目掛けて刀を振り下ろす。
「馬鹿の一つ覚えに過ぎんな」
後方へ跳んで刀を避ける。
切っ先は床に新しい傷を付けるのみに終わった。
身体能力だけは高いようだが、敵はこちらの予想通り変身した姿を使いこなせていない。
せめてあのオーロラのような移動能力を駆使すればマシになるだろうが、破壊衝動に呑まれかけている今は使う余裕も無いらしい。
必然的に脅威の度合いは下がっているが耐久力だけは異様にある。
であるのなら、こちらも戦法を少しばかり変えるか。
切っ先は床に新しい傷を付けるのみに終わった。
身体能力だけは高いようだが、敵はこちらの予想通り変身した姿を使いこなせていない。
せめてあのオーロラのような移動能力を駆使すればマシになるだろうが、破壊衝動に呑まれかけている今は使う余裕も無いらしい。
必然的に脅威の度合いは下がっているが耐久力だけは異様にある。
であるのなら、こちらも戦法を少しばかり変えるか。
「使ってみるか」
『FORM RIDE AGITO FLAME!』
新たに取り出したカードをディケイドライバーに装填すれば、一瞬で姿が変わる。
ベースはこれまでと同じ仮面ライダーアギトのもの。
違うのは最初にカメンライドした金色の鎧とも、先程までに纏っていた青の鎧とも違うこと。
両目と同じ真紅の装甲を身に纏い、右手にはストームハルバードに代わる武装の長剣が握られていた。
仮面ライダーアギト、フレイムフォーム。
風の力を宿したのがストームフォームならば、こちらは炎の力を宿した派生形態。
余裕を感じさせる速さで、ゆっくりと敵へ迫る。
ベースはこれまでと同じ仮面ライダーアギトのもの。
違うのは最初にカメンライドした金色の鎧とも、先程までに纏っていた青の鎧とも違うこと。
両目と同じ真紅の装甲を身に纏い、右手にはストームハルバードに代わる武装の長剣が握られていた。
仮面ライダーアギト、フレイムフォーム。
風の力を宿したのがストームフォームならば、こちらは炎の力を宿した派生形態。
余裕を感じさせる速さで、ゆっくりと敵へ迫る。
「わあああああああ!!」
相手の姿が変わった事に一々驚いている余裕など無い。
真正面から叩き斬らんと振り下ろされる刀。
対するJUDOは焦る事無く剣を構え、迎え撃つ動作を見せた。
同時に赤く染まった拳が更に色を濃くする。炎だ、突如発生した炎が右手を伝って剣、フレイムセイバーを包み込む。
真正面から叩き斬らんと振り下ろされる刀。
対するJUDOは焦る事無く剣を構え、迎え撃つ動作を見せた。
同時に赤く染まった拳が更に色を濃くする。炎だ、突如発生した炎が右手を伝って剣、フレイムセイバーを包み込む。
「フンッ!」
フレイムセイバーを新八の刀へ叩きつけるように振るってやれば、いとも簡単にへし折れた。
武器としての機能を失ったソレにJUDOの剣を止める術は無い。
武器としての機能を失ったソレにJUDOの剣を止める術は無い。
「うぐっ!」
遮る物が消え失せれば、必然的に刃は新八本人へと到達する。
切り裂かれた胸部がジンジンと熱さを伴って痛む。
ストームハルバードで斬られた時よりも、痛みが増しているように感じられた。
切り裂かれた胸部がジンジンと熱さを伴って痛む。
ストームハルバードで斬られた時よりも、痛みが増しているように感じられた。
フレイムフォームは俊敏性こそ低下するものの、代わりに腕力と知覚が強化される。
承太郎との戦闘ではスタープラチナに対抗する為ストームフォームのカードを使ったが、今は一撃の威力を強化した方が良いと判断し、こちらの姿へとなった。
承太郎との戦闘ではスタープラチナに対抗する為ストームフォームのカードを使ったが、今は一撃の威力を強化した方が良いと判断し、こちらの姿へとなった。
『FINAL ATTACK RIDE A・A・A AGITO!』
相手の武器を破壊し一撃を与え、それで満足とはいくはずが無い。
流れるような動作でカードを取り出し、ドライバーへ叩き込む。
電子音声が発せられ、瞬時にフレイムセイバーへエネルギーが流し込まれる。
アギトのクロスホーンを模した鍔が展開すれば、それは正に必殺の一刀を振るう合図。
正面の敵を見据え、大きく踏み込みフレイムセイバーを振り下ろす。
ディメンションキック等と比べれば派手な印象は受けない技であるが、破壊力は劣らない。
流れるような動作でカードを取り出し、ドライバーへ叩き込む。
電子音声が発せられ、瞬時にフレイムセイバーへエネルギーが流し込まれる。
アギトのクロスホーンを模した鍔が展開すれば、それは正に必殺の一刀を振るう合図。
正面の敵を見据え、大きく踏み込みフレイムセイバーを振り下ろす。
ディメンションキック等と比べれば派手な印象は受けない技であるが、破壊力は劣らない。
「うわあああああああ!!」
これまで以上に火花を散らして吹き飛ぶ新八。
本来ならばアンノウンを一刀両断する技を受けても、肉体の欠損が見られないのは流石の耐久力と言った所か。
新八にしてみれば何の慰めにもならないが。
本来ならばアンノウンを一刀両断する技を受けても、肉体の欠損が見られないのは流石の耐久力と言った所か。
新八にしてみれば何の慰めにもならないが。
「この程度の力で我を相手に勝ちを奪い取る気でいたなど、呆れて物も言えんな」
失望を露わに吐き捨てたJUDOへ新八は何も言い返せない。
リオン・マグナス、アドバーグ・エルドルなどこちらが思った以上の力を持つ人間との戦い。
少女の肉体でありながら寒気が走る程の「死」を予感させた、両面宿儺との邂逅。
元の身体より弱体化している事を踏まえても、面白いと感じる参加者と出会えていたせいもあるのだろう。
期待外れでしかない新八への落胆と苛立ちは普段以上に大きい。
せめてあのスタンドなる力を持つ男と、自身の背後を取った女との三人掛かりなら多少はマシだったろうに。
自分から一対一の状況を作っておきながらこの結果、全く持ってつまらないとしか言いようが無かった。
では完全に無意味な戦いでしかなかったのかと言えば、そういう訳でもない。
ライドブッカーから新たなカードを一枚取り出し、無言で眺める。
クウガ、アギトとも違う姿の戦士が描かれているそれは、また一つディケイドの力を取り戻した証拠。
JUDOからすれば退屈極まりない時間だったが、制限解除の為に必要な戦いとは見なされたらしい。
リオン・マグナス、アドバーグ・エルドルなどこちらが思った以上の力を持つ人間との戦い。
少女の肉体でありながら寒気が走る程の「死」を予感させた、両面宿儺との邂逅。
元の身体より弱体化している事を踏まえても、面白いと感じる参加者と出会えていたせいもあるのだろう。
期待外れでしかない新八への落胆と苛立ちは普段以上に大きい。
せめてあのスタンドなる力を持つ男と、自身の背後を取った女との三人掛かりなら多少はマシだったろうに。
自分から一対一の状況を作っておきながらこの結果、全く持ってつまらないとしか言いようが無かった。
では完全に無意味な戦いでしかなかったのかと言えば、そういう訳でもない。
ライドブッカーから新たなカードを一枚取り出し、無言で眺める。
クウガ、アギトとも違う姿の戦士が描かれているそれは、また一つディケイドの力を取り戻した証拠。
JUDOからすれば退屈極まりない時間だったが、制限解除の為に必要な戦いとは見なされたらしい。
「フン……」
順調に力を一つ取り戻した。それについてはまぁ良い。
だがJUDOにとって参加者との殺し合いはディケイドの力を取り戻す為だけでなく、己の渇きを癒す為のものである。
長きに渡る虚無の牢獄への幽閉は、退屈という名の拷問に等しい。
それ故か、家畜の肉体に精神を閉じ込められる屈辱すらもどこか楽しさを感じた。
本来の力を行使すれば取るに足らない連中へ、それなりに手を焼かされたのも一つの愉しみとして受け入れている。
それに伴い渇きはより大きなものとなり、求める闘争の質も上がって行く。
だというのに、ここに来ての退屈な時間に酷く気分が害されたのだ。
これで力も取り戻せていないとなったら、より不機嫌となっていただろう。
だがJUDOにとって参加者との殺し合いはディケイドの力を取り戻す為だけでなく、己の渇きを癒す為のものである。
長きに渡る虚無の牢獄への幽閉は、退屈という名の拷問に等しい。
それ故か、家畜の肉体に精神を閉じ込められる屈辱すらもどこか楽しさを感じた。
本来の力を行使すれば取るに足らない連中へ、それなりに手を焼かされたのも一つの愉しみとして受け入れている。
それに伴い渇きはより大きなものとなり、求める闘争の質も上がって行く。
だというのに、ここに来ての退屈な時間に酷く気分が害されたのだ。
これで力も取り戻せていないとなったら、より不機嫌となっていただろう。
(しかし…我がこのような感情を抱くとはな)
JUDOにとって人間とは竜の餌にする為に生み出し、支配下に置いた存在。
だが今はどうだ、あくまで己の渇きを癒すに過ぎないとはいえ人間どもとの闘争を望んでいる。
より大きな力を持つ者の出現に期待を抱いている。
ツクヨミのように人類の味方となるつもりは毛頭ないが、隷属される者として以外の感情が宿りかけているのは否定できない。
それ程に牢獄での時間が苦痛だったか、或いは人間の身体になった事で精神に何らかの異変が起きているとでも言うのか。
だが今はどうだ、あくまで己の渇きを癒すに過ぎないとはいえ人間どもとの闘争を望んでいる。
より大きな力を持つ者の出現に期待を抱いている。
ツクヨミのように人類の味方となるつもりは毛頭ないが、隷属される者として以外の感情が宿りかけているのは否定できない。
それ程に牢獄での時間が苦痛だったか、或いは人間の身体になった事で精神に何らかの異変が起きているとでも言うのか。
「ぁ……」
自分自身への僅かな戸惑いを抱くJUDOの傍ら、新八は掠れた呻き声を上げた。
ディケイドアギトの一撃は強力だが、アナザーディケイドの肉体ならば耐え切れる。
但し精神は、破壊衝動にどうにか抗っていた心までは耐え切れない。
仲間を守る為に倒すという意思、それも一度倒れてしまえば呆気なく崩れてしまう。
このままでは駄目だ、立ち上がらねばと思っても、それすら湧き上がるドス黒い衝動に掻き消されていく。
ディケイドアギトの一撃は強力だが、アナザーディケイドの肉体ならば耐え切れる。
但し精神は、破壊衝動にどうにか抗っていた心までは耐え切れない。
仲間を守る為に倒すという意思、それも一度倒れてしまえば呆気なく崩れてしまう。
このままでは駄目だ、立ち上がらねばと思っても、それすら湧き上がるドス黒い衝動に掻き消されていく。
そして、限界は訪れた。
○○○
「皆!あそこに!」
こえがきこえる。なんだかすごくあわてているようなこえ。
ええとだれだっけ。しってるはずなのに、おもいだせない。
ええとだれだっけ。しってるはずなのに、おもいだせない。
『一足遅かった…。いや、変身が解かれてないって事はまだ生きてるみてぇだが』
「誰かと思えば、そこに転がる愚物の仲間か。こちらから赴く手間が省けたな」
「テメェ……」
「あれがディケイド…。アイツも仮面ライダー…!」
「誰かと思えば、そこに転がる愚物の仲間か。こちらから赴く手間が省けたな」
「テメェ……」
「あれがディケイド…。アイツも仮面ライダー…!」
ほかにもだれかいるんだ。
けどこまったな、だれなのかぜんぜんわからないや。
ああそれにどうしてだろう、しんぱいしてくれるようなこえもあるのに、
うっとうしくかんじる。
ぼくのそばからいなくなってほしいって、そうおもってしまう。
けどこまったな、だれなのかぜんぜんわからないや。
ああそれにどうしてだろう、しんぱいしてくれるようなこえもあるのに、
うっとうしくかんじる。
ぼくのそばからいなくなってほしいって、そうおもってしまう。
「ほう、貴様らも我の知るプロトタイプとは別物か。ならば、多少は楽しめるやも知れん」
『やれやれ、この人数差でも余裕じゃねぇか。厄介な相手ってのは間違いないって事かね』
『やれやれ、この人数差でも余裕じゃねぇか。厄介な相手ってのは間違いないって事かね』
うるさいなぁ。だまってくれないかなぁ。いなくなってくれないかなぁ。
ぼくがどんなにおもってもこいつらはここにいるままだ。
じゃあどうすればいいんだろう。
ぼくがどんなにおもってもこいつらはここにいるままだ。
じゃあどうすればいいんだろう。
――――壊せ
ドクンと心臓が強く跳ねた。
「新八……?一体何が…!?」
「ッ!?雨宮!新八から離れろ!分からねぇが、今のソイツは普通じゃねえ!」
「これは……!?」
『……どうやら、また面倒な事になって来たようだな』
「ッ!?雨宮!新八から離れろ!分からねぇが、今のソイツは普通じゃねえ!」
「これは……!?」
『……どうやら、また面倒な事になって来たようだな』
壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ
壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ
壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ
壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ
壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ
壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ
壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ
「ふむ、これは……」
「新八に何をしたんだ…!?」
「新八に何をしたんだ…!?」
壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ
壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ
壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ
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壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ
「勘違いするな。我ではなく、その愚物による自業自得に過ぎぬわ。
使いこなせもしない力をその身に宿し、我に勝てると思い上がった代償を支払う時が来ただけだろう」
『…成程ねぇ。つまりこの後起きるのは――』
使いこなせもしない力をその身に宿し、我に勝てると思い上がった代償を支払う時が来ただけだろう」
『…成程ねぇ。つまりこの後起きるのは――』
壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ
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壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ
なにもかもぜんぶ、こわそう
○○○
弾かれたように起き上がった新八…アナザーディケイドが真っ先に行ったのは、最も近くにいた者の殺害。
運悪く該当したのは蓮。
倒れていた新八の傍で屈んでいた事が仇となった。
赤い眼の仮面越しでも分かるくらいに困惑している顔へ、剛腕を叩き込む。
刀はJUDOに破壊されたが問題は無し、素手だろうとアナザーライダーに変身している以上立派な凶器と化す。
人間所か並の魔物にすら反応を許さぬ速度で振るわれる腕。
ならばそれを防げるものがあるとしたら、同じく並以上の力を持つ者だけしかいない。
運悪く該当したのは蓮。
倒れていた新八の傍で屈んでいた事が仇となった。
赤い眼の仮面越しでも分かるくらいに困惑している顔へ、剛腕を叩き込む。
刀はJUDOに破壊されたが問題は無し、素手だろうとアナザーライダーに変身している以上立派な凶器と化す。
人間所か並の魔物にすら反応を許さぬ速度で振るわれる腕。
ならばそれを防げるものがあるとしたら、同じく並以上の力を持つ者だけしかいない。
「スタープラチナ!」
最強のスタンド、スタープラチナ。
アナザーディケイドの攻撃を阻止するのに申し分のない力だ。
伸ばした腕は拳に弾かれ、蓮の命はまだ繋がったまま。
だが安堵している暇は無い。
アナザーディケイドの攻撃を阻止するのに申し分のない力だ。
伸ばした腕は拳に弾かれ、蓮の命はまだ繋がったまま。
だが安堵している暇は無い。
「オラァッ!」
「ペルソナ!」
「ペルソナ!」
一度防がれただけでは諦める気にならないのだろう。
再度蓮目掛けて腕を振るうアナザーディケイド、されど黙ってやられるつもりは蓮にあらず。
スタープラチナとアルセーヌによって、二度目の妨害を受ける。
ここでようやくアナザーディケイドの意識は、蓮だけでなく承太郎にも移った。
再度蓮目掛けて腕を振るうアナザーディケイド、されど黙ってやられるつもりは蓮にあらず。
スタープラチナとアルセーヌによって、二度目の妨害を受ける。
ここでようやくアナザーディケイドの意識は、蓮だけでなく承太郎にも移った。
歯が剥き出しとなった口から漏れるのは低い唸り声、そこに宿る感情はたった一つ、
目に映る全てを破壊してやるというもの。
元は仲間の死に涙した心優しい少年とは思えない、喉がひりつく程の殺気。
承太郎と蓮の表情も釣られて険しさを増す。
目に映る全てを破壊してやるというもの。
元は仲間の死に涙した心優しい少年とは思えない、喉がひりつく程の殺気。
承太郎と蓮の表情も釣られて険しさを増す。
「やれやれだぜ。新八の奴、やっぱりこうなっちまったか…」
「承太郎、新八を元に戻す方法は知っているか?」
「…一定以上のダメージさえ与えられりゃ、アナザーウォッチとか言うのが排出されるらしい」
「承太郎、新八を元に戻す方法は知っているか?」
「…一定以上のダメージさえ与えられりゃ、アナザーウォッチとか言うのが排出されるらしい」
つまり力で押し切るしかない。
いっそ清々しいくらいに脳筋な方法だが、シンプル=簡単とはいかないだろう。
自分達が駆け付けた時、新八は倒れて伏してはいたが変身は解除されていなかった。
JUDOの攻撃だけでは足りなかったらしい、恐るべき頑丈さだ。
だが他に方法が無いならやるしかない。
銀時から後を託された承太郎は元より、助けられる可能性があるのなら蓮は実行に移すのに躊躇はしない少年だ。
何より新八の身体がフィリップであると聞いた時、一刻も早く会いたいという衝動が蓮自身も戸惑うくらいに湧き上がった。
これもまた翔太郎の身体による影響なのかもしれない。
いっそ清々しいくらいに脳筋な方法だが、シンプル=簡単とはいかないだろう。
自分達が駆け付けた時、新八は倒れて伏してはいたが変身は解除されていなかった。
JUDOの攻撃だけでは足りなかったらしい、恐るべき頑丈さだ。
だが他に方法が無いならやるしかない。
銀時から後を託された承太郎は元より、助けられる可能性があるのなら蓮は実行に移すのに躊躇はしない少年だ。
何より新八の身体がフィリップであると聞いた時、一刻も早く会いたいという衝動が蓮自身も戸惑うくらいに湧き上がった。
これもまた翔太郎の身体による影響なのかもしれない。
「ガァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
「行くぜオイ!!」
「ペルソナッ!!」
「行くぜオイ!!」
「ペルソナッ!!」
雄叫びを上げる異形に負けじと、己の力を解き放った。
『おーおー、向こうは派手におっ始めたな』
アナザーディケイドとの戦闘を開始した少年達を見ての一言。
殺し合いの空気には不釣り合いな軽さ。
彼らはエボルトにとっての貴重な戦力だ、死なれない為に蓮達をアシストしたい所である。
が、それを許してくれる相手ではないだろう、今対峙しているライダーは。
殺し合いの空気には不釣り合いな軽さ。
彼らはエボルトにとっての貴重な戦力だ、死なれない為に蓮達をアシストしたい所である。
が、それを許してくれる相手ではないだろう、今対峙しているライダーは。
『そっちが元の姿って訳か』
エボルトが見つめる先、JUDOは何時の間にやらアギトではなくディケイドへ戻っていた。
記憶にあるどの仮面ライダーとも一致しない外見、やはり並行世界の出身らしい。
だがどこの世界のライダーかを真面目に考えるのは気が向いたらで良い。
今やるべきは、うんざりする程の殺意と、その裏に隠された期待を容赦なくぶつけて来る相手への対処。
記憶にあるどの仮面ライダーとも一致しない外見、やはり並行世界の出身らしい。
だがどこの世界のライダーかを真面目に考えるのは気が向いたらで良い。
今やるべきは、うんざりする程の殺意と、その裏に隠された期待を容赦なくぶつけて来る相手への対処。
「我を少しは楽しませてみせろ。あの愚物の相手をしている連中も、等しく黄泉の地へと送ってくれよう」
『悪いがお断りだ。俺はこんなとこで死ぬ気は無いし、アイツらにも死なれちゃあちょいと困る』
『悪いがお断りだ。俺はこんなとこで死ぬ気は無いし、アイツらにも死なれちゃあちょいと困る』
彼らは元々人間では無い、地球外生命体である。
片や猿から進化させた人類を支配下に置き、片や破滅の箱を用いて日本を分断した。
従者の裏切りによって肉体を失った神は、ショッカーを始めとする悪の組織を操り、村雨良という器を手に入れんとした。
火星の王妃との戦いで甚大な被害を受けた怪物は、三都を跨いで暗躍し戦争を煽り、エボルドライバーという力を取り戻さんとした。
片や猿から進化させた人類を支配下に置き、片や破滅の箱を用いて日本を分断した。
従者の裏切りによって肉体を失った神は、ショッカーを始めとする悪の組織を操り、村雨良という器を手に入れんとした。
火星の王妃との戦いで甚大な被害を受けた怪物は、三都を跨いで暗躍し戦争を煽り、エボルドライバーという力を取り戻さんとした。
IFの話でしか無いが、もしここにいるエボルトがもう少し未来の時間軸から参加させられていたら。
内海成彰という道化の姿に人間は最高の玩具であると認識した時、ジーニアスフォームの力で感情を得た時、
或いは万丈龍我と共にキルバスを倒し、人間という存在に愛憎入り混じった想いを吐露した時ならば、
JUDOが抱き始めた人間への奇妙な感情への答えを、エボルトなりに示せたのかもしれない。
しかしここにいるのは、それらよりも過去の時間軸から来たエボルト。
人間という存在に興味は抱いているものの、利用してから滅ぼす以外に強く思う所はまだ無い。
内海成彰という道化の姿に人間は最高の玩具であると認識した時、ジーニアスフォームの力で感情を得た時、
或いは万丈龍我と共にキルバスを倒し、人間という存在に愛憎入り混じった想いを吐露した時ならば、
JUDOが抱き始めた人間への奇妙な感情への答えを、エボルトなりに示せたのかもしれない。
しかしここにいるのは、それらよりも過去の時間軸から来たエボルト。
人間という存在に興味は抱いているものの、利用してから滅ぼす以外に強く思う所はまだ無い。
だから、JUDOに対してやる事は一つだけ。
ライドブッカーとトランスチームガン、互いの右腕が跳ね上がり銃口から火を吹いた。