纏う装甲は赤と青。
振るう得物は回転刃。
唯一違うのは腹部の機械、仮面ライダービルド同士の対決が展開される。
振るう得物は回転刃。
唯一違うのは腹部の機械、仮面ライダービルド同士の対決が展開される。
「っと…!」
胴体を削り取ろうと刃は回転数を上げ、聴覚センサーが絶えずキリキリという音を拾う。
ビルドの装甲は軽量ながら耐久性にも優れる。
元々人間以上の力を持つ怪人、スマッシュとの戦闘に耐えられるよう設計されたのだ。
当たったところでダメージは軽減され、死には至らない。
しかしドリルクラッシャーもまた、スマッシュ相手に用いられるビルドの専用武器。
何度も斬られれば装甲は削り取られ、目も当てられない紙の鎧と化す。
ビルドに変身していようと過信は微塵も持ち込めなかった。
ビルドの装甲は軽量ながら耐久性にも優れる。
元々人間以上の力を持つ怪人、スマッシュとの戦闘に耐えられるよう設計されたのだ。
当たったところでダメージは軽減され、死には至らない。
しかしドリルクラッシャーもまた、スマッシュ相手に用いられるビルドの専用武器。
何度も斬られれば装甲は削り取られ、目も当てられない紙の鎧と化す。
ビルドに変身していようと過信は微塵も持ち込めなかった。
「……」
自身の攻撃が同じ武器で防御される。
二色の瞳から伝えられる情報にも祈手は沈黙を貫く。
彼に発言は許可されていない、与えられた命令はギニューの指示で動く事だけ。
そのギニューが参加者の桐生戦兎を殺せと言った、だから殺す。
戦兎が変身するビルドとは違う、言うなればプロトタイプビルドの力で以て。
二色の瞳から伝えられる情報にも祈手は沈黙を貫く。
彼に発言は許可されていない、与えられた命令はギニューの指示で動く事だけ。
そのギニューが参加者の桐生戦兎を殺せと言った、だから殺す。
戦兎が変身するビルドとは違う、言うなればプロトタイプビルドの力で以て。
互いにドリルクラッシャーを操り、回転刃が削り合う。
同性能の強度故、どちらも刃こぼれ一つ起こさず拮抗。
散らされる火花が視界にチラつく間も、高機能のセンサーは相手をしかと確認。
何処を斬れば防がれるか、何処を狙えば反応を遅らされるかを弾き出す。
動き出したのは全く同じタイミング、数十度目の衝突でもそれぞれ回転刃は相手へ到達せず。
同性能の強度故、どちらも刃こぼれ一つ起こさず拮抗。
散らされる火花が視界にチラつく間も、高機能のセンサーは相手をしかと確認。
何処を斬れば防がれるか、何処を狙えば反応を遅らされるかを弾き出す。
動き出したのは全く同じタイミング、数十度目の衝突でもそれぞれ回転刃は相手へ到達せず。
繰り返される剣戟に変化を起こしたのはプロトタイプビルド。
ほんの一手早く腕を伸ばし、ドリルクラッシャーの切っ先が相手を突く。
装甲へ当たり散る火花は武器同士の衝突時より大きい。
呻き後退するビルドへ、逃しはしないと踏み込む。
ほんの一手早く腕を伸ばし、ドリルクラッシャーの切っ先が相手を突く。
装甲へ当たり散る火花は武器同士の衝突時より大きい。
呻き後退するビルドへ、逃しはしないと踏み込む。
「ぐっ…!」
甘んじて攻撃を受け入れる理由は無い。
真下からドリルクラッシャーを振り上げ、敵の刃を打つ。
武器を持った腕を己の意思とは無関係に跳ね上げられ、プロトタイプビルドに生まれる隙。
体勢の立て直しをむざむざ許すものか、ビルドの左拳が腹部を狙った。
真下からドリルクラッシャーを振り上げ、敵の刃を打つ。
武器を持った腕を己の意思とは無関係に跳ね上げられ、プロトタイプビルドに生まれる隙。
体勢の立て直しをむざむざ許すものか、ビルドの左拳が腹部を狙った。
青いナックルガードに覆われた拳は、見た目以上の破壊力を秘めている。
タンクフルボトルの成分により、本気で放てば戦車砲にも匹敵。
装甲に幾らかダメージは殺されるが、軽傷では済まない。
まずは一撃、これで怯ませてから追い打ちを掛ける。
タンクフルボトルの成分により、本気で放てば戦車砲にも匹敵。
装甲に幾らかダメージは殺されるが、軽傷では済まない。
まずは一撃、これで怯ませてから追い打ちを掛ける。
拳に伝わるのは人を殴った嫌な手応えに非ず。
空気を割いた実に虚しい感触。
空気を割いた実に虚しい感触。
どうなったと慌てふためかずとも答えは分かる。
敵もまたビルド、であればラビットフルボトルの力を味方に付けた。
胸部装甲に備わった機能を使い、数秒間動作を高速化。
拳一発避けるくらいは容易く、時間いっぱい有効に使い回避から攻撃へ移行。
背後で急激に膨れ上がる殺気がその証拠だ。
敵もまたビルド、であればラビットフルボトルの力を味方に付けた。
胸部装甲に備わった機能を使い、数秒間動作を高速化。
拳一発避けるくらいは容易く、時間いっぱい有効に使い回避から攻撃へ移行。
背後で急激に膨れ上がる殺気がその証拠だ。
「がっ!?」
背中を襲う痛みへ、乱される掛けた思考を強引に押し留める。
焦り判断を間違えれば敵の思うつぼ。
これくらいの痛みは今に始まったものでもない。
噛み殺して背後へ腕を振るう、ドリルクラッシャーがプロトタイプビルドを狙うも当たりはせず。
ビルドが動きを見せた時点で既に、次の攻撃準備へ移った。
焦り判断を間違えれば敵の思うつぼ。
これくらいの痛みは今に始まったものでもない。
噛み殺して背後へ腕を振るう、ドリルクラッシャーがプロトタイプビルドを狙うも当たりはせず。
ビルドが動きを見せた時点で既に、次の攻撃準備へ移った。
地上の蟻を見下ろす神の如く、遥か頭上へ到達。
スプリングが装着された左脚部で行うハイジャンプ、これもまたラビットフルボトルの成分の恩恵。
巨人やエターナルとの戦闘でも使った能力だが、敵に使われると非常に厄介。
無駄を削いだ動作でドリルクラッシャーを変形、銃口が睨む先には当然ビルド。
銃身へ変わったドリル部分が高速回転し、生成された光弾を連続発射。
数発程度ならまだしも、百へ到達し兼ねない数を受けては大ダメージは確実だ。
スプリングが装着された左脚部で行うハイジャンプ、これもまたラビットフルボトルの成分の恩恵。
巨人やエターナルとの戦闘でも使った能力だが、敵に使われると非常に厄介。
無駄を削いだ動作でドリルクラッシャーを変形、銃口が睨む先には当然ビルド。
銃身へ変わったドリル部分が高速回転し、生成された光弾を連続発射。
数発程度ならまだしも、百へ到達し兼ねない数を受けては大ダメージは確実だ。
『KAMEN RIDE GAIM!』
『花道!オンステージ!』
ここで手をこまねくだけなら、ビルドは元の地球での戦いでとうの昔に力尽きただろう。
使える手札の中から切るべきカードを即座に選択。
十数時間の間にすっかり慣れた動作で、ディケイドライバーに読み込ませる。
現れるは巨大オレンジを鎧に変えた戦士、アーマードライダー鎧武。
降り注ぐ光弾の豪雨は放射状のカメラアイが余さず捉えた。
変身と同時に両手へ出現した双剣、無双セイバーと大橙丸を駆使して斬り落とす。
使える手札の中から切るべきカードを即座に選択。
十数時間の間にすっかり慣れた動作で、ディケイドライバーに読み込ませる。
現れるは巨大オレンジを鎧に変えた戦士、アーマードライダー鎧武。
降り注ぐ光弾の豪雨は放射状のカメラアイが余さず捉えた。
変身と同時に両手へ出現した双剣、無双セイバーと大橙丸を駆使して斬り落とす。
着地から間髪入れずに、プロトタイプビルドはドリルクラッシャーを叩きつける。
ブレードモードへの組み換えも無駄がない、最適化されたとしか思えない動き。
回転刃は大橙丸で防ぎ、がら空きの胴体へ無双セイバーを走らせた。
得物の数が多い分、手数は鎧武が上を行く。
ブレードモードへの組み換えも無駄がない、最適化されたとしか思えない動き。
回転刃は大橙丸で防ぎ、がら空きの胴体へ無双セイバーを走らせた。
得物の数が多い分、手数は鎧武が上を行く。
「ぐぁ…」
なれど、その程度は予測済みだとでも言うように手痛い反撃を受けた。
左拳が無双セイバーを弾き返し、再度振るわれるのを待たずに腹部を叩く。
先程自分が当てるつもりだった一撃の重さを、逆に味わう羽目となる。
左拳が無双セイバーを弾き返し、再度振るわれるのを待たずに腹部を叩く。
先程自分が当てるつもりだった一撃の重さを、逆に味わう羽目となる。
大袈裟に痛がる素振りは見せなくとも、僅かながら怯めばプロトタイプビルドには十分。
双剣をすり抜け、鎧武の胸部装甲を縦横無尽に駆ける回転刃。
ビルド同様簡単には破壊されないと言えども、繰り返し攻撃を受ければダメージは蓄積する。
双剣を翳す暇すら与えない連撃は、鎧武が死ぬまで続ける気か。
双剣をすり抜け、鎧武の胸部装甲を縦横無尽に駆ける回転刃。
ビルド同様簡単には破壊されないと言えども、繰り返し攻撃を受ければダメージは蓄積する。
双剣を翳す暇すら与えない連撃は、鎧武が死ぬまで続ける気か。
「ピ~カ~チュウウウウウウウウ!!」
仲間の死を悠長に待ってやる薄情者はここにいない。
中断させるべく放たれた電撃、ピカチュウが最も得意なでんきわざだ。
善逸にとっても最早使い慣れた10まんボルトに襲われれば、プロトタイプビルドと言えども無視できない。
攻撃の手を止め跳び退き、丁度背後にあった木が不運にも焼き潰される。
中断させるべく放たれた電撃、ピカチュウが最も得意なでんきわざだ。
善逸にとっても最早使い慣れた10まんボルトに襲われれば、プロトタイプビルドと言えども無視できない。
攻撃の手を止め跳び退き、丁度背後にあった木が不運にも焼き潰される。
「ピカ!ピッカチュウ~!(ひええええ!こっちに来た~!)」
今の攻撃で標的を鎧武から善逸へと変更。
余計な妨害を何度も受ける前に殺すべきと判断を下したのか。
善逸からすれば敵が自分を狙っているという一点だけで、過剰なまでの恐怖となる。
背筋が寒くなるような音を立てて、回転数を増す刃。
あれに当たれば普通の刃物で斬られるよりも、尋常じゃない苦痛に襲われるだろう。
余計な妨害を何度も受ける前に殺すべきと判断を下したのか。
善逸からすれば敵が自分を狙っているという一点だけで、過剰なまでの恐怖となる。
背筋が寒くなるような音を立てて、回転数を増す刃。
あれに当たれば普通の刃物で斬られるよりも、尋常じゃない苦痛に襲われるだろう。
「ピカピ~!!(こっ、今度こそ当たれ!)」
死を完全に遠ざけるべくわざを発動。
命中率に不安はあれど、威力は折り紙付きのかみなりを落とす。
此度は運も善逸へ微笑み、プロトタイプビルドの頭上より雷光が突き刺さる。
尤も聴覚強化装置がわざの発動を事前に察知、回避に移られた為命中はしなかった。
命中率に不安はあれど、威力は折り紙付きのかみなりを落とす。
此度は運も善逸へ微笑み、プロトタイプビルドの頭上より雷光が突き刺さる。
尤も聴覚強化装置がわざの発動を事前に察知、回避に移られた為命中はしなかった。
次のわざが放たれるのを待たずプロトタイプビルドが接近。
右足のバトルシューズで蹴り付ける。
足底に搭載されたキャタピラは高速移動のみならず、敵の装甲を削り取る役目を果たす。
柔らかなピカチュウの体で受ければ、スプラッター映画も真っ青な死体の出来上がりだ。
右足のバトルシューズで蹴り付ける。
足底に搭載されたキャタピラは高速移動のみならず、敵の装甲を削り取る役目を果たす。
柔らかなピカチュウの体で受ければ、スプラッター映画も真っ青な死体の出来上がりだ。
「っ!こっちだ!」
地面に赤い花が咲くのを望むのはプロトタイプビルド一人。
善逸はもとより、彼の仲間も決して認めない。
無双セイバーのトリガーを引き、鍔部分の銃口が火を吹く。
エネルギーチャンバーの残弾がゼロになるまで発射、ドリルクラッシャーの剣捌きで叩き落とされた。
それで良い、善逸を殺す手を止められれば上出来。
善逸はもとより、彼の仲間も決して認めない。
無双セイバーのトリガーを引き、鍔部分の銃口が火を吹く。
エネルギーチャンバーの残弾がゼロになるまで発射、ドリルクラッシャーの剣捌きで叩き落とされた。
それで良い、善逸を殺す手を止められれば上出来。
『KAMEN RIDE EX-AID!』
『マイティジャンプ!マイティキック!マイティマイティアクションX!』
姿を変えプロトタイプビルドへ斬りかかる。
逆立ったヘアー型の頭部パーツが特徴的な戦士、エグゼイドだ。
振り下ろされた刀身を弾き返し、反対に斬り付けるも敵の姿は見当たらない。
ゲームエリア内を駆け回るようなアクロバティックな動きで、プロトタイプビルドを翻弄。
攻撃の空振りを誘い、生まれた隙を見逃さず反撃に出た。
逆立ったヘアー型の頭部パーツが特徴的な戦士、エグゼイドだ。
振り下ろされた刀身を弾き返し、反対に斬り付けるも敵の姿は見当たらない。
ゲームエリア内を駆け回るようなアクロバティックな動きで、プロトタイプビルドを翻弄。
攻撃の空振りを誘い、生まれた隙を見逃さず反撃に出た。
「ぐっ、あ…」
呻き声はプロトタイプビルドではなく、エグゼイドが発したもの。
こちらの攻撃は流水のように受け流され、反対にドリルクラッシャーの切っ先が装甲を叩く。
スピードに優れる右拳の機能を用いて放たれた突きは、エグゼイドの体力ゲージを大幅に削った。
装甲を砕き生身の肉体をも貫く勢いで、一際強烈な一撃が迫る。
こちらの攻撃は流水のように受け流され、反対にドリルクラッシャーの切っ先が装甲を叩く。
スピードに優れる右拳の機能を用いて放たれた突きは、エグゼイドの体力ゲージを大幅に削った。
装甲を砕き生身の肉体をも貫く勢いで、一際強烈な一撃が迫る。
「ピカ!ピカアアアア!!」
突如プロトタイプビルドの視界を覆う黄色い影。
それも一匹では無く複数。
先の巨人戦で使えるようになったわざ、かげぶんしんで妨害に出た。
斬られ霞のように消える分身には目もくれず、残った本体を狙うもその時にはエグゼイドが体勢を立て直した後。
ドリルクラッシャーによる剣戟が再び繰り広げられる。
それも一匹では無く複数。
先の巨人戦で使えるようになったわざ、かげぶんしんで妨害に出た。
斬られ霞のように消える分身には目もくれず、残った本体を狙うもその時にはエグゼイドが体勢を立て直した後。
ドリルクラッシャーによる剣戟が再び繰り広げられる。
(まずいな……)
自分達と相手、戦闘を有利に進めているのが果たしてどちらか。
100人に聞けば全員が口を揃えて後者と答えるだろう。
戦兎もその通りだと言う他ない。
自分達の、ではなく自分の不甲斐なさは戦兎自身が一番理解している。
100人に聞けば全員が口を揃えて後者と答えるだろう。
戦兎もその通りだと言う他ない。
自分達の、ではなく自分の不甲斐なさは戦兎自身が一番理解している。
プロトタイプビルドは忍専用に調整されたビルドドライバーで変身する戦士だ。
外見こそ戦兎のビルドと同じでも、備わった機能の精度はプロトタイプビルドが上。
旧世界では強化形態のビルドを始めスペックで勝るライダーを、ただのベストマッチフォームで手玉に取った程。
まさか新世界を創った今になって再び、父が変身したビルドと戦う事になるとは。
外見こそ戦兎のビルドと同じでも、備わった機能の精度はプロトタイプビルドが上。
旧世界では強化形態のビルドを始めスペックで勝るライダーを、ただのベストマッチフォームで手玉に取った程。
まさか新世界を創った今になって再び、父が変身したビルドと戦う事になるとは。
だが戦況を左右するのは能力差だけではない。
戦兎の精神的な不調もまた、自らを縛る枷となり敗北へ近付かせる。
戦兎の精神的な不調もまた、自らを縛る枷となり敗北へ近付かせる。
忍の肉体があるなら、精神は一体どうなった。
主催者達に囚われているのか、別人の体に幽閉されたのか。
忍だけでなく、万丈や仲間達の体まで利用されている可能性も否定できない。
主催者達に囚われているのか、別人の体に幽閉されたのか。
忍だけでなく、万丈や仲間達の体まで利用されている可能性も否定できない。
何より、考えたくない最悪の事態。
忍の精神は不要と見なされ、既に殺されてしまったのでは?
忍の精神は不要と見なされ、既に殺されてしまったのでは?
旧世界での死が覆ったのは、新世界の創造(ビルド)という一度限りの方法があったからこそ。
もし忍が新世界から連れて来られて精神を消されたら、今度ばかりはどうにもできない。
嘗てエボルトの手で忍が殺された瞬間、葛城巧/桐生戦兎の心が剥がれ落ちる痛みが思い出される。
終わった筈の悲劇の再来にもう一度涙を流す以外、自分に選択肢は残されていないのか。
もし忍が新世界から連れて来られて精神を消されたら、今度ばかりはどうにもできない。
嘗てエボルトの手で忍が殺された瞬間、葛城巧/桐生戦兎の心が剥がれ落ちる痛みが思い出される。
終わった筈の悲劇の再来にもう一度涙を流す以外、自分に選択肢は残されていないのか。
無論これらは確証のない推測に過ぎず、忍の精神は消えていないとも十分考えられる。
しかしその逆だって有り得ないとは言えない。
しかしその逆だって有り得ないとは言えない。
考えるのは後にして、今は戦闘に集中しろ。
正論を自分に何度言い聞かせても、一度根付いた想像は消えてくれない。
不安を掻き消すかのように振るった剣は届かず、無慈悲な刃が自身を襲った。
正論を自分に何度言い聞かせても、一度根付いた想像は消えてくれない。
不安を掻き消すかのように振るった剣は届かず、無慈悲な刃が自身を襲った。
○
ジョーカーとスカル、切り札の記憶と骸骨の記憶。
黒いボディの戦士達は外見こそ異なりスペックにも多少の差は有れど、本質は身体機能と技の強化。
メモリの力で作り変えられた体は、純粋な肉弾戦をメインの戦法とする。
放つ拳は弾丸よりも強烈で、繰り出す蹴りは刃物よりも鋭い。
互いの技量がものを言う戦いがそこにあった。
黒いボディの戦士達は外見こそ異なりスペックにも多少の差は有れど、本質は身体機能と技の強化。
メモリの力で作り変えられた体は、純粋な肉弾戦をメインの戦法とする。
放つ拳は弾丸よりも強烈で、繰り出す蹴りは刃物よりも鋭い。
互いの技量がものを言う戦いがそこにあった。
「シッ!」
長い足を叩きつけ合い、両者弾かれれば拳の応酬へ移行。
スカルが狙うは顔面部、強化皮膚の範囲内とはいえ胴体や四肢に比べれば耐久性は劣る。
頬を殴り脳を揺らせば戦意とは裏腹に、隙だらけのサンドバッグが完成だ。
加虐趣味ではない、極めて機械的な判断により右拳を突き出す。
対するジョーカーもまた、左拳を以て迎撃。
装着したブレスレットが打撃の威力を強化、スカルの一撃と真っ向からぶつかる。
スカルが狙うは顔面部、強化皮膚の範囲内とはいえ胴体や四肢に比べれば耐久性は劣る。
頬を殴り脳を揺らせば戦意とは裏腹に、隙だらけのサンドバッグが完成だ。
加虐趣味ではない、極めて機械的な判断により右拳を突き出す。
対するジョーカーもまた、左拳を以て迎撃。
装着したブレスレットが打撃の威力を強化、スカルの一撃と真っ向からぶつかる。
両名拳に衝撃は走れど痛みは極僅か。
強化外骨格の恩恵を受け、生身ならば骨が砕ける痛みも最小限に止める。
先に動いたのはスカル、反対の拳が腹部を叩く。
だがジョーカーからの呻き声は聞こえない。
膝を上げ即席の盾にし防いだと、視界から情報を得るより先に次の攻撃へ出る。
右拳を手刀に変え胸部を一突き、貫通はしないがそこいらのナイフ等とは比べ物にならない威力だ。
短い呻き声と共にジョーカーが後退、迫る風切り音に両腕を交差。
追撃に備え防御の構えを取ったが、スカル相手には無駄。
脚を唸らせた蹴りが真横から叩き込まれ、ダメージこそ高くないものの体勢が崩れた。
立て直しのチャンスはくれてやらず、殴打の嵐が襲い来る。
強化外骨格の恩恵を受け、生身ならば骨が砕ける痛みも最小限に止める。
先に動いたのはスカル、反対の拳が腹部を叩く。
だがジョーカーからの呻き声は聞こえない。
膝を上げ即席の盾にし防いだと、視界から情報を得るより先に次の攻撃へ出る。
右拳を手刀に変え胸部を一突き、貫通はしないがそこいらのナイフ等とは比べ物にならない威力だ。
短い呻き声と共にジョーカーが後退、迫る風切り音に両腕を交差。
追撃に備え防御の構えを取ったが、スカル相手には無駄。
脚を唸らせた蹴りが真横から叩き込まれ、ダメージこそ高くないものの体勢が崩れた。
立て直しのチャンスはくれてやらず、殴打の嵐が襲い来る。
ジョーカーとスカルのスペックにそこまで大きな差は無い。
備えられた機能とて、上位・下位互換を決定付けるものとも違う。
であれば優劣を決めるのは変身者の力か。
蓮の肉体となった左翔太郎は決して弱者ではない。
元々得意な喧嘩の腕を体術へと昇華させ、生身に置いても優れた身体能力を持つ。
相棒のフィリップと共に解決して来た数々のガイアメモリ事件を経て、その強さには更に磨きが掛かった。
だが体術の練度で言うなら、鳴海荘吉は翔太郎の上を行く男。
翔太郎に戦い方を教えたのは、他ならぬ荘吉なのだから。
それぞれの肉体に染み付いた戦いの記憶は、現状スカルが上手く引き出せている。
備えられた機能とて、上位・下位互換を決定付けるものとも違う。
であれば優劣を決めるのは変身者の力か。
蓮の肉体となった左翔太郎は決して弱者ではない。
元々得意な喧嘩の腕を体術へと昇華させ、生身に置いても優れた身体能力を持つ。
相棒のフィリップと共に解決して来た数々のガイアメモリ事件を経て、その強さには更に磨きが掛かった。
だが体術の練度で言うなら、鳴海荘吉は翔太郎の上を行く男。
翔太郎に戦い方を教えたのは、他ならぬ荘吉なのだから。
それぞれの肉体に染み付いた戦いの記憶は、現状スカルが上手く引き出せている。
「おるあああああっ!」
なれど此度の闘争は、ジョーカーとスカルだけの舞台では無い。
少女らしからぬ腹の底からの咆哮を発し、割って入るは不死身の兵士。
銃床がこめかみ部分を叩き、スカルの猛攻を強制的に阻止した。
痛みは無い、しかし揺れる視界に無理な追撃は危険と判断を下す。
ジョーカーを殴るつもりだった拳は、乱入者の攻撃を防ぐのに使用
突き出された刃を押し留め、レンズ越しに敵と目が合う。
少女らしからぬ腹の底からの咆哮を発し、割って入るは不死身の兵士。
銃床がこめかみ部分を叩き、スカルの猛攻を強制的に阻止した。
痛みは無い、しかし揺れる視界に無理な追撃は危険と判断を下す。
ジョーカーを殴るつもりだった拳は、乱入者の攻撃を防ぐのに使用
突き出された刃を押し留め、レンズ越しに敵と目が合う。
「どんだけいるんだよ、仮面なんちゃらってのは!」
腰巻きを使いけったいな鎧姿に変わる者達。
戦兎やDIO以外にも次から次へと現れ、まだ出て来るのかと少々呆れてしまう。
言動の軽さとは裏腹に、杉元が繰り出す攻撃には容赦というものがまるで無い。
手を抜けば殺される、油断を持ち込めば殺される、確実に殺さなければ殺される。
死が常に付き纏い舌なめずりをする世界を生きた男だ、不死身の異名は決して飾りじゃない。
戦兎やDIO以外にも次から次へと現れ、まだ出て来るのかと少々呆れてしまう。
言動の軽さとは裏腹に、杉元が繰り出す攻撃には容赦というものがまるで無い。
手を抜けば殺される、油断を持ち込めば殺される、確実に殺さなければ殺される。
死が常に付き纏い舌なめずりをする世界を生きた男だ、不死身の異名は決して飾りじゃない。
歩兵銃には返却してもらった銃剣を取り付け、打撃・刺突両方が可能となった。
日露戦争と金塊争奪戦で数多の敵を薙ぎ払った銃剣突撃。
杉元が最も得意な戦法を駆使し、スカルを苛烈に攻め立てる。
日露戦争と金塊争奪戦で数多の敵を薙ぎ払った銃剣突撃。
杉元が最も得意な戦法を駆使し、スカルを苛烈に攻め立てる。
「アルセーヌ!」
歩兵銃が横薙ぎに振るわれ、銃身での殴打を躱す。
その直後だ、スカルへ別方向からの脅威が迫ったのは。
シルクハットの怪人、雨宮蓮の反逆の証。
ジョーカーの指示を受けたアルセーヌが腕を振るい、ナイフの如き爪で切り裂く。
体術で上を行かれるのなら、敵には無い力を用いて不利を引っ繰り返すまで。
防いだ傍からスラッシュが放たれ、肩部装甲より火花が散る。
たたらを踏んだところへ杉元が蹴り付け、靴底が腹部を叩いた。
か弱い少女ではない、蓬莱人の身体能力を乗せた一撃へ更に大きくよろめく。
その直後だ、スカルへ別方向からの脅威が迫ったのは。
シルクハットの怪人、雨宮蓮の反逆の証。
ジョーカーの指示を受けたアルセーヌが腕を振るい、ナイフの如き爪で切り裂く。
体術で上を行かれるのなら、敵には無い力を用いて不利を引っ繰り返すまで。
防いだ傍からスラッシュが放たれ、肩部装甲より火花が散る。
たたらを踏んだところへ杉元が蹴り付け、靴底が腹部を叩いた。
か弱い少女ではない、蓬莱人の身体能力を乗せた一撃へ更に大きくよろめく。
「マガツイザナギ!」
大技を叩き込むチャンスを見逃さない。
鮮血色のオーラを纏い、道化師のアルカナが示す魔人が顕現。
燃費の悪さは有れど、攻撃へ特化した強力なスキル持ちのペルソナだ。
長得物を豪快に振り回し、木っ端微塵に切り刻むべく指示を出し――
鮮血色のオーラを纏い、道化師のアルカナが示す魔人が顕現。
燃費の悪さは有れど、攻撃へ特化した強力なスキル持ちのペルソナだ。
長得物を豪快に振り回し、木っ端微塵に切り刻むべく指示を出し――
――血の海に沈む、白スーツの男が見えた。
「っ!?」
思考が止まり、マガツイザナギもペルソナ使いの意思無くしては動けない。
敵の隙を突いた筈が、逆に自分の方が隙を晒してしまった。
敵の隙を突いた筈が、逆に自分の方が隙を晒してしまった。
「おい!ボサッとすんな!」
間近の怒声で我に返り、目の前に白い長髪が靡くのが見える。
急に動きを止めたジョーカーへの疑問も無く、スカルが拳を放ったのだ。
ギリギリのタイミングで杉元が間に合い、歩兵銃で防御。
銃身に重さが掛かるも、DIOが放ったラッシュに比べればどうとうことはない。
反対に押し返し銃剣を突き出す、それを木の葉のように跳んでスカルは距離を取った。
急に動きを止めたジョーカーへの疑問も無く、スカルが拳を放ったのだ。
ギリギリのタイミングで杉元が間に合い、歩兵銃で防御。
銃身に重さが掛かるも、DIOが放ったラッシュに比べればどうとうことはない。
反対に押し返し銃剣を突き出す、それを木の葉のように跳んでスカルは距離を取った。
白兵戦だけが杉元の取れる手では無い。
歩兵銃を肩に掛け、空いた両手へ霊力を掻き集める。
弾幕ごっことは違う、遊び抜きの火球を連射し焼き殺す。
苦手な銃をチマチマ撃つよりは、数で押し切るこちらの方が使い易い。
歩兵銃を肩に掛け、空いた両手へ霊力を掻き集める。
弾幕ごっことは違う、遊び抜きの火球を連射し焼き殺す。
苦手な銃をチマチマ撃つよりは、数で押し切るこちらの方が使い易い。
しかしスカルもまた、殴る蹴るしか出来ない戦士に非ず。
右掌に生成した銃、スカルマグナムを構えトリガーを引く。
一撃必殺を信念とする荘吉とは違い、火球へ対抗する為の連射攻撃だ。
発射された光弾は火球を狙い撃ち霧散、それも自分へ当たるものだけを正確に見極めた上で。
命中どころかただの一発も掠らず、弾幕を無傷で凌いだ。
右掌に生成した銃、スカルマグナムを構えトリガーを引く。
一撃必殺を信念とする荘吉とは違い、火球へ対抗する為の連射攻撃だ。
発射された光弾は火球を狙い撃ち霧散、それも自分へ当たるものだけを正確に見極めた上で。
命中どころかただの一発も掠らず、弾幕を無傷で凌いだ。
「嘘だろ!?」
宿敵の狙撃手とはまた違う銃の腕に思わず目を剥く。
日本軍で正式採用されてるのとは違う、仮面ライダー用の武器だとしてもだ。
まさか銃一丁で防がれるとは予想外。
日本軍で正式採用されてるのとは違う、仮面ライダー用の武器だとしてもだ。
まさか銃一丁で防がれるとは予想外。
スカルの射撃性能は後年に開発されたダブルの倍。
この程度は苦も無く実行に移せる。
この程度は苦も無く実行に移せる。
「くっ…」
防御だけで終わらせはしない、撃ち殺すべく殺到する光弾をマガツイザナギで斬り落とす。
その間も胸中ではざわめきが治まらず、精神へ負担が強いられる。
その間も胸中ではざわめきが治まらず、精神へ負担が強いられる。
戦闘が始まってからずっとこうだ。
荘吉と戦わなければならない事への悲しみ、荘吉の体が利用されている事への怒り。
荘吉へ大きなダメージを与えようとすれば、彼の最期がフラッシュバックする。
荘吉と戦わなければならない事への悲しみ、荘吉の体が利用されている事への怒り。
荘吉へ大きなダメージを与えようとすれば、彼の最期がフラッシュバックする。
蓮とて鳴海荘吉の肉体が殺し合いに使われ、良い気分な訳がない。
だが今心を震わせる感情は、幾ら何でも強過ぎる。
夢で見ただけの相手への想いにしては、蓮本人が抱くには流石に不自然だ。
だが今心を震わせる感情は、幾ら何でも強過ぎる。
夢で見ただけの相手への想いにしては、蓮本人が抱くには流石に不自然だ。
これはまるで、左翔太郎の怒りと悲しみが自分へ宿ったようではないか。
「あっぶね…!」
焦る声に再び現実へ引き戻される。
近くの木の後ろへ身を隠し、どうにか光弾を防ぐ杉元だ。
再生能力があるとは言ってもなるべく不要な傷は作らないに限る。
不死を過信しては足元を掬われ兼ねない。
近くの木の後ろへ身を隠し、どうにか光弾を防ぐ杉元だ。
再生能力があるとは言ってもなるべく不要な傷は作らないに限る。
不死を過信しては足元を掬われ兼ねない。
深く考え込んでいる場合じゃない。
そう分かっていても、蓮の中には自分自身でさえ持て余す様な感情が渦巻いていた。
そう分かっていても、蓮の中には自分自身でさえ持て余す様な感情が渦巻いていた。
○
仮面ライダーやスマッシュでもない、ただの無力な女なら。
わざわざ本気を出すまでも無く、ほんのちょっぴりの力で制圧し捕えられただろう。
生憎、敵は人の姿をしていながら人を超えた能力の持ち主。
引き金を引くのに躊躇はいらない。
敵が生身の女だからと言って、手加減してやる必要はどこにもない。
わざわざ本気を出すまでも無く、ほんのちょっぴりの力で制圧し捕えられただろう。
生憎、敵は人の姿をしていながら人を超えた能力の持ち主。
引き金を引くのに躊躇はいらない。
敵が生身の女だからと言って、手加減してやる必要はどこにもない。
『すばしっこいのは結構だけどよ、どいつもこいつも羞恥ってもんが無いのかね』
ルブランを襲撃した鬼を思い出し、口を飛び出す呆れを含んだ言葉。
誰の耳元へも届かず銃声に掻き消され、ブラッドスターク以外には聞こえず終い。
下着が見えるのもお間構い無しで駆け回った少女(犬)、おまけに今度は薄い布一枚の下半身を惜し気もなく晒す女と来た。
強さと引き換えに羞恥心を捨て去ったのか。
どうでもいい事を考えながらも、銃を撃つ手にブレは生じない。
クリアゴーグルに隠された視覚センサー、射撃時の挙動を最適化するグリップ部分の機能。
何より銃を撃つ本人の技能を活かし、トランスチームガンの性能を最大限に発揮。
誰の耳元へも届かず銃声に掻き消され、ブラッドスターク以外には聞こえず終い。
下着が見えるのもお間構い無しで駆け回った少女(犬)、おまけに今度は薄い布一枚の下半身を惜し気もなく晒す女と来た。
強さと引き換えに羞恥心を捨て去ったのか。
どうでもいい事を考えながらも、銃を撃つ手にブレは生じない。
クリアゴーグルに隠された視覚センサー、射撃時の挙動を最適化するグリップ部分の機能。
何より銃を撃つ本人の技能を活かし、トランスチームガンの性能を最大限に発揮。
「ほう、貴様は玩具の使い方も悪くないようだな」
しかし余裕たっぷりの挑発を口遊むのは、一発も命中していない証拠。
木々を盾にし駆け回り、時には両手を翳しシールドを張る。
女の肌を焼き、食い千切る役目を高熱硬化弾は果たせていなかった。
嘲り交じりとはいえ、これまで戦った者より射撃能力が上なのはギニューも認めている。
赤血操術とは勝手の違う銃を使う脹相、そもそも戦闘行為自体が素人のリト。
彼らと違い元々使い慣れた武器故か、ブラッドスタークの狙いは精確だ。
木々を盾にし駆け回り、時には両手を翳しシールドを張る。
女の肌を焼き、食い千切る役目を高熱硬化弾は果たせていなかった。
嘲り交じりとはいえ、これまで戦った者より射撃能力が上なのはギニューも認めている。
赤血操術とは勝手の違う銃を使う脹相、そもそも戦闘行為自体が素人のリト。
彼らと違い元々使い慣れた武器故か、ブラッドスタークの狙いは精確だ。
「だがその程度では掠りもせんわ!」
されどギニューも一流の実力を誇る戦士。
レーザーやエネルギー弾の飛び交う戦場を駆け、その都度勝利を収めて来た実力は健在。
仮に無力で脆い只人の肉体であったら、自慢の戦闘技能も宝の持ち腐れ。
あっというまに蜂の巣となったのは想像に難くない。
その問題はボディーチェンジで手に入れた、501部隊のウィッチの体が解決済み。
弛まぬ日々の訓練とネウロイ討伐の実戦で作り上げた体、そして彼女を象徴する固有魔法。
悟空程では無くとも、バルクホルンの肉体は武器として使うのに申し分ない。
レーザーやエネルギー弾の飛び交う戦場を駆け、その都度勝利を収めて来た実力は健在。
仮に無力で脆い只人の肉体であったら、自慢の戦闘技能も宝の持ち腐れ。
あっというまに蜂の巣となったのは想像に難くない。
その問題はボディーチェンジで手に入れた、501部隊のウィッチの体が解決済み。
弛まぬ日々の訓練とネウロイ討伐の実戦で作り上げた体、そして彼女を象徴する固有魔法。
悟空程では無くとも、バルクホルンの肉体は武器として使うのに申し分ない。
「こ、こっちに来た……!」
ブラッドスタークの銃撃を警戒しながらも足は止めない。
接近を試みる相手は網目模様の白武者、アーマードライダー斬月。
優先的に狙う戦兎や通信機器を持つエボルトに比べれば、さして関心を抱かない相手だが敵は敵。
見逃してやるから失せろ等と情けを掛けるつもりはない。
精悍さと美しさを備えた顔を、餓えた獣のように変え突撃。
真っ向から敵意をぶつけられ体が震える、だが斬月とて一日の間に何度も戦いを経験して来たのだ。
無双セイバーを構え照準を合わせる。
黄金色のカメラアイのアシストを受け、ギニュー目掛けて光弾を撃つ。
接近を試みる相手は網目模様の白武者、アーマードライダー斬月。
優先的に狙う戦兎や通信機器を持つエボルトに比べれば、さして関心を抱かない相手だが敵は敵。
見逃してやるから失せろ等と情けを掛けるつもりはない。
精悍さと美しさを備えた顔を、餓えた獣のように変え突撃。
真っ向から敵意をぶつけられ体が震える、だが斬月とて一日の間に何度も戦いを経験して来たのだ。
無双セイバーを構え照準を合わせる。
黄金色のカメラアイのアシストを受け、ギニュー目掛けて光弾を撃つ。
「それで狙ってるつもりか?バカめ!」
無双セイバーのマズルに睨み付けられ、あろうことかギニューはシールドを解除。
自棄を起こしたのではない、シールドに頼るまでも無いと分かったから。
駆ける速度は緩めず、体を地面に擦り付け斬月の足元へ滑り込む。
スライディングを行い回避成功、外れた光弾には見向きもせずに片足で蹴り上げた。
自棄を起こしたのではない、シールドに頼るまでも無いと分かったから。
駆ける速度は緩めず、体を地面に擦り付け斬月の足元へ滑り込む。
スライディングを行い回避成功、外れた光弾には見向きもせずに片足で蹴り上げた。
「きゃっ……」
搭載された機能の恩恵、闘争の空気を知った肉体が自然と反応。
何よりこのタイミングで、スカルと戦闘中の蓮がマハスクカジャを使い5人と一匹の敏捷性が強化された
それでも咄嗟にメロンディフェンダーを翳したのは、元々一般人の彼女にしては見事な動き。
怪力の固有魔法を使った今のギニューの蹴りなら、アーマードライダーの装甲であっても脅威となる。
一度防がれた程度、動揺を誘うには至らない。
岩をも砕く勢いで拳がメロンディフェンダーを叩き、銅鑼が打ち鳴らされたような音が続く。
何よりこのタイミングで、スカルと戦闘中の蓮がマハスクカジャを使い5人と一匹の敏捷性が強化された
それでも咄嗟にメロンディフェンダーを翳したのは、元々一般人の彼女にしては見事な動き。
怪力の固有魔法を使った今のギニューの蹴りなら、アーマードライダーの装甲であっても脅威となる。
一度防がれた程度、動揺を誘うには至らない。
岩をも砕く勢いで拳がメロンディフェンダーを叩き、銅鑼が打ち鳴らされたような音が続く。
「あうう……」
魔法力を付与し放つラッシュ、パワー・スピード共に脱落した男達のスタンドにも引けを取らない。
生半可な防御は紙切れ同然の連打を受けて尚、メロンディフェンダーは無傷。
ほんのちょっぴりの亀裂一つ付けられず、ギニューの猛攻から使い手を守る。
戦極ドライバーの開発者が見たら、自身が作った装備の高性能に改めて鼻を高くするだろう光景。
盾を構える真っ最中の斬月にとっては、何一つとして面白くないが。
生半可な防御は紙切れ同然の連打を受けて尚、メロンディフェンダーは無傷。
ほんのちょっぴりの亀裂一つ付けられず、ギニューの猛攻から使い手を守る。
戦極ドライバーの開発者が見たら、自身が作った装備の高性能に改めて鼻を高くするだろう光景。
盾を構える真っ最中の斬月にとっては、何一つとして面白くないが。
防いでいるとは言っても、暴力に晒されて恐怖を感じるなと言う方が難しい。
メロンディフェンダーが殴られる度に衝撃が腕へ伝わり、少しずつだが痺れてくる。
腰を捻り勢いを付けての一撃を受け止め、先に限界が来たのは斬月の方。
腕の痺れに構えは崩れ、殴打の威力に堪らずよろけてしまう。
急いで立ち上がらねばと考える余裕すらない、カメラアイが映すのは仮面を叩き割る靴底。
メロンディフェンダーが殴られる度に衝撃が腕へ伝わり、少しずつだが痺れてくる。
腰を捻り勢いを付けての一撃を受け止め、先に限界が来たのは斬月の方。
腕の痺れに構えは崩れ、殴打の威力に堪らずよろけてしまう。
急いで立ち上がらねばと考える余裕すらない、カメラアイが映すのは仮面を叩き割る靴底。
『俺の事は無視か?ツレない態度は無しにしようぜ』
斬月へ伸ばしかけた足は引っ込めず、軸となった反対の足で回転。
背後に繰り出す回し蹴りへ、ブラッドスタークも蹴りで迎え撃つ。
剥き出しの白い足と装甲を纏った脚部が激突。
傍目には異様な光景だろう。
へし折れ引き千切れても不思議は無い女の脚が、ブラッドスタークの蹴りと拮抗しているのは。
背後に繰り出す回し蹴りへ、ブラッドスタークも蹴りで迎え撃つ。
剥き出しの白い足と装甲を纏った脚部が激突。
傍目には異様な光景だろう。
へし折れ引き千切れても不思議は無い女の脚が、ブラッドスタークの蹴りと拮抗しているのは。
膠着状態はどちらも好まず、脚を離すや否やブラッドスタークの左手が動く。
スチームブレードが狙うは四肢、まだ命を奪う気は無いが余計な抵抗は封じるに限る。
リーチこそ短いが切れ味抜群、人体を刺身に変えられるのも時間の問題。
スチームブレードが狙うは四肢、まだ命を奪う気は無いが余計な抵抗は封じるに限る。
リーチこそ短いが切れ味抜群、人体を刺身に変えられるのも時間の問題。
地面を濡らす赤い雨も、激痛を訴える叫びも訪れない。
代わりに金属同士の衝突を伝える、短い音を聴覚機能が拾った。
引き抜かれた刀はスチームブレードを防ぎ、ウィッチの体が傷付くのを認めない。
絵美理のデイパックから見付けた刀はこれまで使う機会はなかったが、ようやく出番に恵まれた。
代わりに金属同士の衝突を伝える、短い音を聴覚機能が拾った。
引き抜かれた刀はスチームブレードを防ぎ、ウィッチの体が傷付くのを認めない。
絵美理のデイパックから見付けた刀はこれまで使う機会はなかったが、ようやく出番に恵まれた。
『良い刀使ってるじゃねぇか。どこで拾ったのか教えて欲しいもんだ』
眩い虹色に煌めかせる刀身。
見た目に性能全振りのガラクタではない、スチームブレードを受け止め軋み一つ上げないのだ。
急速加熱した刃で標的を溶かしながら斬る、それがブラッドスタークの使う短剣の特性。
原形を保ち打ち合えるのは、仮面ライダーの武器くらいのものと思ったが。
見た目に性能全振りのガラクタではない、スチームブレードを受け止め軋み一つ上げないのだ。
急速加熱した刃で標的を溶かしながら斬る、それがブラッドスタークの使う短剣の特性。
原形を保ち打ち合えるのは、仮面ライダーの武器くらいのものと思ったが。
「さてどこだろうな?拾得場所を教える代わりに、貴様で切れ味を試してやる」
軽口には軽口を返し、虹という名の刀がブラッドスタークの首へ迫る。
ボディスーツの耐久性を無視し斬首を行えはしないだろうが、急所へのダメージは無視出来ない。
スチームブレードで弾き返し反対に斬り掛かるも、手首を蹴り付け狙いを逸らされた。
再度虹を振るうが、狙った先に居るのはブラッドスタークじゃない。
斜め後ろへ一閃を描き、白武者の刀と火花を散らす。
自分の方は見て無かったのにあっさり防がれた、斬月の驚愕を置いてけぼりに闘争は続く。
ボディスーツの耐久性を無視し斬首を行えはしないだろうが、急所へのダメージは無視出来ない。
スチームブレードで弾き返し反対に斬り掛かるも、手首を蹴り付け狙いを逸らされた。
再度虹を振るうが、狙った先に居るのはブラッドスタークじゃない。
斜め後ろへ一閃を描き、白武者の刀と火花を散らす。
自分の方は見て無かったのにあっさり防がれた、斬月の驚愕を置いてけぼりに闘争は続く。
「気配でバレバレだ!素人丸出しの小娘が!」
嘲りと共に蹴りを放ち斬月を呻かせ、視線を外しブラッドスタークを襲う虹。
荒々しくも鋭い剣筋、十全の殺意を乗せた刃は決して低くは見れまい。
しかし取り回しの面ではスチームブレードが有利、四方八方からの凶刃を防ぐ。
そしてブラッドスタークの武器はもう一つある。
右手のトランスチームガンは、高熱硬化弾を吐き散らすタイミングを待ち侘びていた。
荒々しくも鋭い剣筋、十全の殺意を乗せた刃は決して低くは見れまい。
しかし取り回しの面ではスチームブレードが有利、四方八方からの凶刃を防ぐ。
そしてブラッドスタークの武器はもう一つある。
右手のトランスチームガンは、高熱硬化弾を吐き散らすタイミングを待ち侘びていた。
袈裟斬りを弾き返し、右腕を跳ね上げ照準を合わせるまでに1秒と掛らない。
至近距離での銃撃、だが高熱硬化弾は発射されなかった。
右腕が動き掛けた時既に、ギニューは撃たれると察し対処に動いたのだ。
至近距離での銃撃、だが高熱硬化弾は発射されなかった。
右腕が動き掛けた時既に、ギニューは撃たれると察し対処に動いたのだ。
「痛いっ……!?」
『っ…』
『っ…』
黄金に輝く斬月の兜の前立て部分を掴み、トランスチームガンの射線上へ引き摺り出した。
各部の装甲と専用装備の重量もあり、斬月の体重は100kgを超える。
女の細腕で動かせる重さでは無いが固有魔法を使ったギニューには無問題。
即席の盾に使われた斬月を前に、トリガーへ掛けた指からを力を抜かざるを得ない。
各部の装甲と専用装備の重量もあり、斬月の体重は100kgを超える。
女の細腕で動かせる重さでは無いが固有魔法を使ったギニューには無問題。
即席の盾に使われた斬月を前に、トリガーへ掛けた指からを力を抜かざるを得ない。
真正面の気配が消え、真横からの敵意が急接近。
射線上に引き摺られた斬月にギニューの姿が隠れた一瞬で、死角へ移動し虹を突き出す。
スチームブレードで防ごうにもよろけた斬月と衝突し、対処へ遅れが出るのは確実。
一撃だけと腹を括り、ダメージを覚悟するか?
いいや、御免だ。
射線上に引き摺られた斬月にギニューの姿が隠れた一瞬で、死角へ移動し虹を突き出す。
スチームブレードで防ごうにもよろけた斬月と衝突し、対処へ遅れが出るのは確実。
一撃だけと腹を括り、ダメージを覚悟するか?
いいや、御免だ。
『手荒な真似だが文句はそいつに言ってくれよ』
「わわ……!?」
「チッ!」
「わわ……!?」
「チッ!」
自分の方へ倒れ込む斬月へ足を振り上げ、爪先で蹴り飛ばす。
但し狙ったのは斬月が手に持つ巨大盾、メロンディフェンダーをだ。
倒れる方向を強引に変えられ、丁度メロンディフェンダーがギニューの前に来る。
ついさっき殴打の嵐を受けて尚も、軋み一つ上げなかった耐久性は変わらない。
虹を防ぎ、斬月が地面とキスする前に腕を掴んで後退。
降り立った先で小休憩の暇も無く、地を蹴り斬り込むギニューを相手取った。
但し狙ったのは斬月が手に持つ巨大盾、メロンディフェンダーをだ。
倒れる方向を強引に変えられ、丁度メロンディフェンダーがギニューの前に来る。
ついさっき殴打の嵐を受けて尚も、軋み一つ上げなかった耐久性は変わらない。
虹を防ぎ、斬月が地面とキスする前に腕を掴んで後退。
降り立った先で小休憩の暇も無く、地を蹴り斬り込むギニューを相手取った。
(ちょいとマズいか)
頭部を叩き割らんと振り下ろされる虹を防ぎ、押し返す前にギニューは別の急所へ切っ先で突く。
回避しながら銃を向ければ、斬月の方へと身を躍らせた。
無双セイバーをするりと躱し顔面を鷲掴みに、苦し気な声に構わず自分の方へ突き飛ばす。
身を捩り横で痛がる少女の声は無視し、間髪入れずに斬り掛かられ剣戟へと発展。
回避しながら銃を向ければ、斬月の方へと身を躍らせた。
無双セイバーをするりと躱し顔面を鷲掴みに、苦し気な声に構わず自分の方へ突き飛ばす。
身を捩り横で痛がる少女の声は無視し、間髪入れずに斬り掛かられ剣戟へと発展。
ギニューの対処へ意識を割きつつ頭は冷静に働かせ、こちらの現状を色目抜きに把握。
導き出されたのは、場の流れをギニューが支配しつつあるということ。
導き出されたのは、場の流れをギニューが支配しつつあるということ。
横目で様子を窺う限り、他二組も旗色が悪い。
葛城忍と鳴海荘吉の肉体を使った揺さぶりは成功し、普段通りの力が発揮されていない。
かく言うエボルト自身も表向きは余裕ぶった態度を取っているが、自分達の不利は理解する他なかった。
葛城忍と鳴海荘吉の肉体を使った揺さぶりは成功し、普段通りの力が発揮されていない。
かく言うエボルト自身も表向きは余裕ぶった態度を取っているが、自分達の不利は理解する他なかった。
こうなった原因の内一つは、単純にお互いのコンディションの差。
3回目の放送後、街を離れたエボルト達は道中ダグバと遭遇。
避けては通れぬ戦闘に臨み、勝利を収めたもののノーダメージとはいかなかった。
必要に迫られたとはいえブラッド族のエネルギーを使った強化で、体力を激しく削られたのは記憶に新しい。
竈門家で幾らか休憩を取ったとはいえ、疲労全てが体から抜け切ったのではない。
一方ギニューもまたボディーチェンジが原因で、バルクホルンの肉体に蓄積された疲労を引き継ぐ羽目になった。
しかしエボルト達と違い、放送後はC-2に来るまでに一度も戦闘を行っていない。
ハワードから命令を受ける等想定外の事態こそ起きたが、時間の大半を休憩に使えた事が大きい。
不満を感じずにはいられなかった岩塩焼きガニも、普通の食事以上に疲労回復へ貢献した。
此度の戦闘はエボルトに比べれば疲れで動きを鈍らせずに戦えている。
3回目の放送後、街を離れたエボルト達は道中ダグバと遭遇。
避けては通れぬ戦闘に臨み、勝利を収めたもののノーダメージとはいかなかった。
必要に迫られたとはいえブラッド族のエネルギーを使った強化で、体力を激しく削られたのは記憶に新しい。
竈門家で幾らか休憩を取ったとはいえ、疲労全てが体から抜け切ったのではない。
一方ギニューもまたボディーチェンジが原因で、バルクホルンの肉体に蓄積された疲労を引き継ぐ羽目になった。
しかしエボルト達と違い、放送後はC-2に来るまでに一度も戦闘を行っていない。
ハワードから命令を受ける等想定外の事態こそ起きたが、時間の大半を休憩に使えた事が大きい。
不満を感じずにはいられなかった岩塩焼きガニも、普通の食事以上に疲労回復へ貢献した。
此度の戦闘はエボルトに比べれば疲れで動きを鈍らせずに戦えている。
二つ目は、エボルトと共にギニューと戦っているのが甜花である事。
他者との共闘自体はエボルトとしても問題無い。
だが殺し合いが始まってから肩を並べて戦ったのは蓮やジューダス、アルフォンスといった戦闘に慣れた者ばかり。
甜花もアーマードライダーの力へ慣れつつはあっても、本来は争いと無縁のアイドル。
故に蓮達と違って戦いに関してはほとんど素人同然。
なまじこれまで戦闘経験者とばかり共闘して来た為、ここに来て一般人と組ませられるのは思った以上に立ち回りへ負担が大きい。
他者との共闘自体はエボルトとしても問題無い。
だが殺し合いが始まってから肩を並べて戦ったのは蓮やジューダス、アルフォンスといった戦闘に慣れた者ばかり。
甜花もアーマードライダーの力へ慣れつつはあっても、本来は争いと無縁のアイドル。
故に蓮達と違って戦いに関してはほとんど素人同然。
なまじこれまで戦闘経験者とばかり共闘して来た為、ここに来て一般人と組ませられるのは思った以上に立ち回りへ負担が大きい。
蓄積された疲労と283プロのアイドル。
ダグバの時は自分達の勝因に繋がったソレへ、今度は逆に追い詰められるとは何とも皮肉だ。
ダグバの時は自分達の勝因に繋がったソレへ、今度は逆に追い詰められるとは何とも皮肉だ。
ギニューの狙いが戦兎なのはナビからのメッセージで知った。
首輪を外されるのを主催者達が嫌い、ギニューを使って阻止に動いたのか。
だったら初めから戦兎を参加させなければ良いだろうとか、戦兎の首輪を爆破した方が手っ取り早いだろうに等思うも、主催者の真意は理解しかねる。
首輪を外されるのを主催者達が嫌い、ギニューを使って阻止に動いたのか。
だったら初めから戦兎を参加させなければ良いだろうとか、戦兎の首輪を爆破した方が手っ取り早いだろうに等思うも、主催者の真意は理解しかねる。
何にしても今戦兎を殺されるのは防ぎたい為、早急にギニューを無力化し戦兎の方へ駆け付けたいが肝心の敵が許してくれない。
ギニューも戦兎達の加勢に行かせる気は無いようで、離れようとしても即座に妨害へ動く。
いっそ甜花を囮にする手もあるにはあるが、首輪も外してない段階でそんな真似に出た結果、後々余計に頭の痛い事態へならないとも言い切れない。
全く、やり辛いことこの上なかった。
ギニューも戦兎達の加勢に行かせる気は無いようで、離れようとしても即座に妨害へ動く。
いっそ甜花を囮にする手もあるにはあるが、首輪も外してない段階でそんな真似に出た結果、後々余計に頭の痛い事態へならないとも言い切れない。
全く、やり辛いことこの上なかった。
(実力はあるようが…フフ、残念だったな!その小娘が枷になっているのだろう!)
ギニューとて動きを見れば、エボルトの実力の高さは分かる。
同時に甜花との共闘で、いまいち足並みが揃ってないのも明らかだ。
ハワード曰く要注意が必要とのことだが、勝利の予感は確実に自分へ流れて来ている。
いらぬ真似に出る前に、決着を付けるのも不可能ではない筈。
同時に甜花との共闘で、いまいち足並みが揃ってないのも明らかだ。
ハワード曰く要注意が必要とのことだが、勝利の予感は確実に自分へ流れて来ている。
いらぬ真似に出る前に、決着を付けるのも不可能ではない筈。
(その為にも…あの時の感覚を思い出せ、オレ…!)
柄を握る手へ力を籠め、繰り出す刃の速さを引き上げる。
攻撃手段を徒手空拳から刀に変えた理由は、敵の武器に合わせただけではない。
殺し合いで一時期使った技、あれをもう一度使えるようにする為。
元501部隊所属の坂本美緒ならともかく、バルクホルンの手に刀は馴染んでいない。
網走監獄でボディーチェンジするまでに培った感覚を思い出し、ウィッチの体で剣士の動きに近付ける。
攻撃手段を徒手空拳から刀に変えた理由は、敵の武器に合わせただけではない。
殺し合いで一時期使った技、あれをもう一度使えるようにする為。
元501部隊所属の坂本美緒ならともかく、バルクホルンの手に刀は馴染んでいない。
網走監獄でボディーチェンジするまでに培った感覚を思い出し、ウィッチの体で剣士の動きに近付ける。
ギニューが鬼を斬る為の技術を使えたのは、肉体に宿る記憶を引き出せたから。
体が覚えているとでも言うべき、殺し合いで度々確認された現象がギニューの身にも起きた。
ギニュー自身が一から技を学び、己がものとしたのではない。
体を変えた今となっては思うように技を出せないのが現実だ。
体が覚えているとでも言うべき、殺し合いで度々確認された現象がギニューの身にも起きた。
ギニュー自身が一から技を学び、己がものとしたのではない。
体を変えた今となっては思うように技を出せないのが現実だ。
しかし再び自由に繰り出せるようになれば、この先の戦闘で役に立つ。
悟空の体を一体いつ手に入れられるか、ギニュー自身にも分からない。
向こうから現れた際には好きにしろと言われたが、直前になって撤回されないとも限らない。
有り得ないと言い切れないのが非常に腹立たしい。
悟空の体とチェンジする機会がいつになるか不明な以上、使える武器や技は多くあって損はない。
悟空の体を一体いつ手に入れられるか、ギニュー自身にも分からない。
向こうから現れた際には好きにしろと言われたが、直前になって撤回されないとも限らない。
有り得ないと言い切れないのが非常に腹立たしい。
悟空の体とチェンジする機会がいつになるか不明な以上、使える武器や技は多くあって損はない。
何よりも、カビのように脳裏へこびり付くハワードの言葉。
孫悟空の体は野原しんのすけの精神と相性が良く、ギニューが使うよりもしんのすけが入ったままの方が望ましい。
主催者達の方針として淡々と伝えられた内容は、エリート戦士としてのプライドを逆撫でする威力を秘めていた。
孫悟空の体は野原しんのすけの精神と相性が良く、ギニューが使うよりもしんのすけが入ったままの方が望ましい。
主催者達の方針として淡々と伝えられた内容は、エリート戦士としてのプライドを逆撫でする威力を秘めていた。
ああ、認めよう。
確かに自分はナメック星での戦いで、孫悟空の力を上手く引き出せなかった。
そのせいで格下の地球人共にも不覚を取る羽目になったのは、どうやったって消せない醜態だ。
だが、だからといってどこの馬の骨とも知れない素人の方が、自分では扱い切れなかった力を引き出せるだと?
お粗末な戦い方しか出来なかったどこぞのガキが、自分より才能があるとでも?
確かに自分はナメック星での戦いで、孫悟空の力を上手く引き出せなかった。
そのせいで格下の地球人共にも不覚を取る羽目になったのは、どうやったって消せない醜態だ。
だが、だからといってどこの馬の骨とも知れない素人の方が、自分では扱い切れなかった力を引き出せるだと?
お粗末な戦い方しか出来なかったどこぞのガキが、自分より才能があるとでも?
(ふざけるなよ…このオレを差し置いてあんな奴の方が上だと言うのか…!!)
自分はギニュー。
宇宙の帝王に実力を評価され、特戦隊隊長の座に任命されたエリート戦士。
断じて見下される存在ではない、軽く見られて良い筈がない。
己のプライドに賭けて、何より自分を認めてくださったフリーザ様の顔に泥を塗らない為にも。
必ずや孫悟空の力を今度こそ完全に使いこなしてやる。
ならば、地球人のガキの剣術程度、我が物に出来なくてどうするという。
宇宙の帝王に実力を評価され、特戦隊隊長の座に任命されたエリート戦士。
断じて見下される存在ではない、軽く見られて良い筈がない。
己のプライドに賭けて、何より自分を認めてくださったフリーザ様の顔に泥を塗らない為にも。
必ずや孫悟空の力を今度こそ完全に使いこなしてやる。
ならば、地球人のガキの剣術程度、我が物に出来なくてどうするという。
(オレを誰だと思っている!偉大なるフリーザ様の部下、ギニューだぞ!!!)
思い出せ、思い出せ、思い出せ。
全身の血液が沸騰し、指の端にまで力が漲る感覚を。
時には穏やかな流水のように、時には荒れ狂う大渦の如き剣技を。
体が違う?そんなものは問題にならない、いやなってたまるか。
たとえ肉体の記憶に刻まれておらずとも、精神に根付いたあの感覚を――
全身の血液が沸騰し、指の端にまで力が漲る感覚を。
時には穏やかな流水のように、時には荒れ狂う大渦の如き剣技を。
体が違う?そんなものは問題にならない、いやなってたまるか。
たとえ肉体の記憶に刻まれておらずとも、精神に根付いたあの感覚を――
――『ひとつひとより和毛和布!』
そうして浮かんだのは、サイヤ人の肉体でふざけた動きに出た者。
杖の力で暴走していた時の微かな記憶の中にある奇妙な動き。
まるで、そう、『水』のように何者にも捕らえられない、憎たらしいあの『ガキ』の剣術を思わせる。
どいつもこいつも本当に苛つかせる奴ばかりだ。
杖の力で暴走していた時の微かな記憶の中にある奇妙な動き。
まるで、そう、『水』のように何者にも捕らえられない、憎たらしいあの『ガキ』の剣術を思わせる。
どいつもこいつも本当に苛つかせる奴ばかりだ。
よりにもよって、切っ掛けを掴む鍵となったのだから余計に腹が立つ。
数十度目の衝突を経て、互いの武器が弾かれる。
次の手に出るまでの、数秒あるかないかも分からない時間。
次の手に出るまでの、数秒あるかないかも分からない時間。
ギニューは見た、隙が生まれた事を知らせる「糸」を。
――水の呼吸 壱の型 水面斬り
両腕を交差させてから水平に振るう、水の呼吸の基本となる型。
動作はシンプル、なれど単純な動作を一つの技へ昇華させた斬撃だ。
練り上げた呼吸は鬼殺隊の柱に比べれば、まだまだ粗が目立つ。
呼吸法が染み付いていない肉体ならば当然だ。
しかし、ゲルトルート・バルクホルンも異形と戦い人を守る軍人。
友を救うべく、シャーロット・E・イェーガーが改造を施したユニットを駆り空を舞った猛者。
限界以上に機動力を高めた性能にも耐えきり、ネウロイを撃破した魔女の肉体ならば。
彼女にとって未知の技術を使いこなせるポテンシャルが、決して無いとは言えない。
動作はシンプル、なれど単純な動作を一つの技へ昇華させた斬撃だ。
練り上げた呼吸は鬼殺隊の柱に比べれば、まだまだ粗が目立つ。
呼吸法が染み付いていない肉体ならば当然だ。
しかし、ゲルトルート・バルクホルンも異形と戦い人を守る軍人。
友を救うべく、シャーロット・E・イェーガーが改造を施したユニットを駆り空を舞った猛者。
限界以上に機動力を高めた性能にも耐えきり、ネウロイを撃破した魔女の肉体ならば。
彼女にとって未知の技術を使いこなせるポテンシャルが、決して無いとは言えない。
『おっとぉ!?』
ギニューの動きへ変化が起きたのは、ブラッドスタークの目にも明らか。
拙くはないがジューダスのように優れた剣の腕ではない、これまではそうだった。
なのにどういう訳か、今のは闇雲に振るうのではなく一つの「技」だ。
斬り込むつもりの腕を引き戻し、スチームブレードを翳し防御。
刀身を叩く衝撃の強さも増している。
拙くはないがジューダスのように優れた剣の腕ではない、これまではそうだった。
なのにどういう訳か、今のは闇雲に振るうのではなく一つの「技」だ。
斬り込むつもりの腕を引き戻し、スチームブレードを翳し防御。
刀身を叩く衝撃の強さも増している。
――水の呼吸 弐の型 水車
名前の如く縦に回転し、全身に勢いを乗せて斬る。
ただでさえ怪力の固有魔法を使った所へ、全身の筋肉を活用し威力をより強化。
マトモに受け止めるのは悪手だ、斬月の腕を掴んで跳び退く。
遅れて空気を斬り地面を抉る回転斬りが炸裂。
草花と土が舞い上がり、目晦ましの役割を果たす。
視覚センサーを用いれば安易に視界は確保可能、だがほんの僅かな隙すらも「糸」が生まれる瞬間を見逃さない。
ただでさえ怪力の固有魔法を使った所へ、全身の筋肉を活用し威力をより強化。
マトモに受け止めるのは悪手だ、斬月の腕を掴んで跳び退く。
遅れて空気を斬り地面を抉る回転斬りが炸裂。
草花と土が舞い上がり、目晦ましの役割を果たす。
視覚センサーを用いれば安易に視界は確保可能、だがほんの僅かな隙すらも「糸」が生まれる瞬間を見逃さない。
――水の呼吸 漆の型 雫波紋突き
「あぐっ……!?」
刺突技な為、鬼の頸を落とすのには向かない。
その代わり水の呼吸で最速の型は、あらゆる防御や回避を許さず刃を届かせる。
マハスクカジャの効果が続いていなければ、より大きなダメージとなっただろう。
どうにか体を動かし、虹の切っ先が付いたのは左肩の装甲部。
メロウスリーブと呼ばれる部位が衝撃を吸収しダメージを軽減。
残念ながら完全無効化には至らず、両足が地から離れ吹き飛ばされた。
その代わり水の呼吸で最速の型は、あらゆる防御や回避を許さず刃を届かせる。
マハスクカジャの効果が続いていなければ、より大きなダメージとなっただろう。
どうにか体を動かし、虹の切っ先が付いたのは左肩の装甲部。
メロウスリーブと呼ばれる部位が衝撃を吸収しダメージを軽減。
残念ながら完全無効化には至らず、両足が地から離れ吹き飛ばされた。
形だけでも斬月を気にしている余裕は無い。
敵は突きを放った体勢から、即座に次の型へと繋げに入った。
上半身と下半身を限界まで捩じり、解き放たれるは新たな技。
敵は突きを放った体勢から、即座に次の型へと繋げに入った。
上半身と下半身を限界まで捩じり、解き放たれるは新たな技。
――水の呼吸 陸の型 ねじれ渦
水中にて放てば名の通り渦を、地上で放てば暴風の如き斬撃が発生。
勢いの強さも相俟って、刀が起こす風に触れるだけでも肌が赤く染まるだろう。
ブラッドスタークの頑強な装甲の前にはそよ風同然。
なれど、刀身を叩きつけられるのは流石に防ぐ必要に迫られる。
勢いの強さも相俟って、刀が起こす風に触れるだけでも肌が赤く染まるだろう。
ブラッドスタークの頑強な装甲の前にはそよ風同然。
なれど、刀身を叩きつけられるのは流石に防ぐ必要に迫られる。
『ッ!!』
翳したスチームブレードと虹が歪な音楽を奏で、鼓膜が破れかねない金属音が鳴った。
どちらの剣も破損は無い、刃こぼれ一つ確認出来ない。
斬られずに凌げたと、ブラッドスタークに安堵は皆無。
スチームブレード越しに衝撃が全身へ伝わったかと思えば、斬月同様宙を舞う。
どちらの剣も破損は無い、刃こぼれ一つ確認出来ない。
斬られずに凌げたと、ブラッドスタークに安堵は皆無。
スチームブレード越しに衝撃が全身へ伝わったかと思えば、斬月同様宙を舞う。
『うおおおおおおおお!?』
斬撃を防御し勢いを殺した筈が、風に揉みくちゃにされる枯れ葉のような有様。
怪力の固有魔法だけではなく、虹の効果が発揮された為だ。
通常の攻撃よりも数段強力な、俗にクリティカルとも言う一撃を高確率で起こす。
水の呼吸の勢いに乗せてクリティカルが発生したなら、重装甲なブラッドスタークを弾き飛ばすくらいは容易い。
怪力の固有魔法だけではなく、虹の効果が発揮された為だ。
通常の攻撃よりも数段強力な、俗にクリティカルとも言う一撃を高確率で起こす。
水の呼吸の勢いに乗せてクリティカルが発生したなら、重装甲なブラッドスタークを弾き飛ばすくらいは容易い。
『――っ。ああしくじっちまった、狙いはそっちか…!』
受け身を取ってすぐ、自分のミスに気付いて舌を打つ。
今の攻撃でブラッドスタークに傷を与えられるかはどうでも良かった。
斬られたデイパックの肩紐を見れば馬鹿でも分かる。
今の攻撃でブラッドスタークに傷を与えられるかはどうでも良かった。
斬られたデイパックの肩紐を見れば馬鹿でも分かる。
大振りな技を放つ動作でわざと警戒させ、本命からは気を逸らす。
ギニューの狙いは最初からブラッドスタークの支給品を奪うこと。
胴体へのダメージを防ぐべくスチームブレードを動かすのに意識を割かれ、切っ先が肩紐を掠めたと今になって気付いても遅い。
これまで入手した道具の入ったデイパックは、ギニューの手元へ奪取済み。
素早く口を開き中身を確認し、真っ先に目に付いたソレを掴み取る。
ギニューの狙いは最初からブラッドスタークの支給品を奪うこと。
胴体へのダメージを防ぐべくスチームブレードを動かすのに意識を割かれ、切っ先が肩紐を掠めたと今になって気付いても遅い。
これまで入手した道具の入ったデイパックは、ギニューの手元へ奪取済み。
素早く口を開き中身を確認し、真っ先に目に付いたソレを掴み取る。
「む…他にも変身手段を持っていたのか。丁度良い、このギニューさまの役に立ててやろう!」
腰の機械で姿を変える戦士の存在は知っている。
所謂パワードスーツの一種かは知らないが、ギニュー本人は元々好んで使わない。
尤も殺し合いでは一旦拘りを捨てるべきだと分かっており、使える道具を無意味に眠らせておく方が間違いだ。
それにこういった道具の使用へ、多少なりとも興味が無い訳ではない。
所謂パワードスーツの一種かは知らないが、ギニュー本人は元々好んで使わない。
尤も殺し合いでは一旦拘りを捨てるべきだと分かっており、使える道具を無意味に眠らせておく方が間違いだ。
それにこういった道具の使用へ、多少なりとも興味が無い訳ではない。
導かれるかのように取り出し腹部へ装着。
純白を際立たせる赤い輝きが、一層強まった気がした。
純白を際立たせる赤い輝きが、一層強まった気がした。
『ARK ONE』
「さあ見るが良い!変身!」
『SINGURISE』
地球人の玩具と思いつつも高揚感は抑え切れず、独自のポーズを取りながらの変身実行。
人類滅亡を掲げたヒューマギア達のシンギュライズデータが、プログライズキーを通じドライバーへと流れ込む。
赤い稲妻を発し流体金属が出現、瞬く間にギニューへと絡み付き装甲へと変化。
人類滅亡を掲げたヒューマギア達のシンギュライズデータが、プログライズキーを通じドライバーへと流れ込む。
赤い稲妻を発し流体金属が出現、瞬く間にギニューへと絡み付き装甲へと変化。
『破壊 破滅 絶望 滅亡せよ』
『CONCLUSION ONE』
悪意の鎧を纏いし怪物の降臨を、電子音声が無慈悲に告げる。
憎悪に囚われた若き社長、究極の闇をもたらす王に続く三人目の変身者。
悪意に終わりは無いとでも言うように、仮面ライダーアークワンが再び現れた。
憎悪に囚われた若き社長、究極の闇をもたらす王に続く三人目の変身者。
悪意に終わりは無いとでも言うように、仮面ライダーアークワンが再び現れた。
「おお……悪くない、中々悪くないぞこの仮面ライダーとかいうやつは!」
ギニュー好みの派手な変身シークエンスに、身体能力の大幅な上昇。
これだけでも使ってみた価値はあったというもの。
当人以外からすれば全く笑えないが。
これだけでも使ってみた価値はあったというもの。
当人以外からすれば全く笑えないが。
「ひっ、な、なにあれ……ボスキャラみたいで、恐い……」
『あながち間違っちゃいねぇな』
『あながち間違っちゃいねぇな』
どうにか倒せたライダーとまたもや殺し合う羽目になるとは。
変身者が前と違うなど、何の慰めにもならない。
生身の状態での強さを思えば、ダグバの時より厄介な相手かもしれないのだから。
今回ばかりは言い訳出来ない自分のミスだ、しくじりに改めてため息を吐く。
変身者が前と違うなど、何の慰めにもならない。
生身の状態での強さを思えば、ダグバの時より厄介な相手かもしれないのだから。
今回ばかりは言い訳出来ない自分のミスだ、しくじりに改めてため息を吐く。
「そう気を落とすな。この道具をくれた礼として、貴様らで力を試してやる!」
アークワンの力が如何程かは、実戦にてしかと確認するのみ。
丁度良い練習台なら目の前に二人もいるのだ。
仮面だけでは隠せない邪悪さを剥き出しに、虹を構えて斬り掛かる。
変身の影響は確実に表れている、これまで以上の速さで接近。
丁度良い練習台なら目の前に二人もいるのだ。
仮面だけでは隠せない邪悪さを剥き出しに、虹を構えて斬り掛かる。
変身の影響は確実に表れている、これまで以上の速さで接近。
「フリーザ軍復活の礎となれ!」
敵が装甲を纏っていようと関係無い、頭頂部から股まで真っ二つにし兼ねない気迫を伴った刃。
一刀両断の四文字が現実の光景に――
一刀両断の四文字が現実の光景に――
「ふんっ!」
「なにぃっ!?」
「なにぃっ!?」
なるのを『彼』は認めない。
仲間がピンチなら、何処へいたっておたすけに駆け付ける。
悪意の刃を受け止める、ヒーローの姿がそこにあった
仲間がピンチなら、何処へいたっておたすけに駆け付ける。
悪意の刃を受け止める、ヒーローの姿がそこにあった