ライラックの追想 過去ログ②

.
リラ「―――――………(語り部は閉ざされていた瞳を静かに開きだす) ……あの後、警察に保護された私は、とある一家に養子として引き取られることになりました。血の繋がりなどないはずですのに、そこでは以前にはなかった"寵愛"を受けて育ち、今に至るのです。………すみません、長く語ってしまいましたね。 」

テツヤ「(ミステリアスな雰囲気を醸し出す少女の影に隠れた壮絶な過去。その語りを一言一句聞き逃すことなく聞き入っていたのか、要所要所で頷いていた)………それが、アンタの人生を大きく変えた『運命の人』との出会い、か。本当に、素敵な事じゃないか。 」

リラ「ええ… 決して忘れることのできない… いえ…いつまでも忘れずにいたいくらい、大切な思い出です。今もこうして生きていられるのは、『 アオ 』様のお陰なのです。絶望の淵に立たされ、まさに身を投げ出そうとしていたあの頃の私の手を引いてくれた、命の恩人なのです…―――――(優雅な佇まいで、粛々と語り出す己が過去と憧憬。史実とは思えないほどのリアリティを疑う余地などない。そこには誇張表現も虚偽改竄もない。体験してきた凄惨な過去を赤裸々に語り終えて一息ついたかと思われた次の瞬間―――――) 」

リラ「っはぁぁぁぁぁぁああ~~~~~~❤❤❤ ダメなのです…!初恋の瞬間を思い出す度に!必死に押し留めていた「アオ」様への想いが爆発してしまうのです~~~~❤❤( う っ と り )(恍惚。圧倒的、恍惚。二重人格を疑う程の豹変ぶり。清廉潔白を体現した令嬢とはあるまじき痴態。彼女自身が奥底に閉じ込めていた秘密の感情が、過去の追想によって解禁されてしまう。無の感情は朗らかに崩れ、毅然と伸びていた背筋がくねくねと捩じれ、ハイライトの無かった瞳にハート模様の光彩が浮かび上がったではないか) 」

テツヤ「ん????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????? 」

稔「へ?????????????????????? 」

疑問猫「Huh??????????????????????????????????? 」

デッドプール「(俺ちゃんのファンだと思ってた)(寄宿舎の外で聞き耳を立てていた。背を向けて体育座りしハートを割る) 」

リラ「嗚呼…アオ様……アオ様ぁ……❤何度も何度も思い出すのです…!あのお方の雄姿を…♪か弱かった頃の私を身を呈して御救いくださったお姿を…❤あの巧みなナイフ捌きの戦いぶり…先の窮地を見越した反撃の布石を張る聡明ぶり…!不運に見舞われようと、それすら幸運に変えてしまう奇跡の持ち主…!ちょっぴりやられた姿も御愛嬌…そんなボロボロの体でも崩れないあの素敵な笑顔…たまらなく胸を射抜かれてしまうのです…❤(はぁはぁ) 」

リラ「 どうか、これからはずっと君が笑顔でいられますように (※迫真のイケボによる声真似) だってぇ~~~~❤も、もうっ…!らめ…っ…❤そんなことを面と向かって言われた日には、私、もうっ…意識保てないのですぅ……❤はぁはぁダメ呼吸が間に合わないアオ様成分を吸わないと呼吸困難になりますのですクンクンクンッ♪(貸出カードのサイン部に鼻を近づけて嗅ぎ始める奇行に走る)っはぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~♪生き返りますのです~~~~!こ、これが…偶然にも見つけた、アオ様の直筆のサイン…!あの方が借り上げた小説も読了しましたが心の中で何度も号泣しましたわ~~~~😭😭😭(ここでマジ泣きする情緒不安定が炸裂) 」

テツヤ「…………ま、まさかアンタ…そのために、「それ」を………?(愕然隠し切れない表情で貸出カードを恐る恐る指差す) 」

稔「これが限界ヲタクという奴ですか…初めて目にしました…(えぇ…とドン引きしている) 」

ヒロ「…………………こんなとこで何してんだ(外から帰ってきてデッドプールを見て) 」

いかりや長介「(軍隊コントでおなじみの上官に扮し)ここで立ち聞きはするな!(デッドプールをメガホンで叩き起床ラッパを吹きならす) 」

ペニーワイズ「(軍隊コントの軍服に扮し)おい一般人を殴るなよ! 」

首領パッチ「(同じく軍隊コントの軍服で)俺たち人外は一般人に手を出しちゃならねえ。わかっとるんか! 」

いかりや長介「お前らが言うな!!(メガホンでワイズとパッチの頭を叩く) 」

フレアチューバーのトラック「(後退でゾンビとピエロとコンペートーを引いたままフェードアウト) 」

ジェノサイドちぃちゃん「(寄宿舎から出現しそのトラックを内蔵武装で徹底的に破壊) 」

リラ「お黙るのです小僧共!!!!!貴方たちに「あの方」の崇高さが理解できるのですか!!!??? 晴れ渡る青空のようにすべてを受け入れる慈悲深さと闇を照らす輝きを帯びた微笑みを持って生まれた数千年に生まれる一人の天才が「アオ様」なのです!!!!!!弱き者を御救いくださり、悪を挫く、素敵で素敵な、愛しい我が憧れの人なのです!!!!貴方たちに「晴天様」が救えるか!!!!????(有象無象共を次々と弓矢で射貫き始める) 」

テツヤ「ステイステイ落ち着け落ち着け💦(必死の形相でリラを止めにかかる)す、すさまじいほどの深い"愛着"を感じた…!いや、正直…ここまで大規模な"愛"を盛った奴を見たのは生まれて初めてだ……が…強大すぎてオーバーフローしてやがる……(困惑気味に顔が引きつる) 」

リラ「な・に・よ・り…!人がせっっっっっかく!!世間では語られることのなかった知る人ぞ知る貴重なエピソードを!!まだあの方が"英雄"と呼ばれる以前の勇姿を!!生き証人である私が語っているというのに!!ここの烏合の衆共と来たら何も知らないくせにーー!!!(キーーー!)誰のおかげで安寧の日々を送れているとお思いなのですか!!?警察?政府?否ッ!!断じて否ッッッ!!!すべては「晴天様」がこの世界を御救いくださったからなのです!!!その有難みも知らず、あるいは忘れて、のほほんと暮らしている昼行灯の庶民にはわからんでしょうねえ!!アゥッアゥオゥウア゛アアアアアアアーーーゥアン!(※某議員のような号泣) 」

ペットショップ「キー!(リラの金切り声に反応) 」

稔「情緒が渋滞していますね 」

テツヤ「しっかしだなぁ~…あんたがその人に救われただけで世界がどうとかって…いくらなんでも大げさな表現なんじゃ…… 」

リラ「(ずずずずいっとテツヤに迫る)それとこれとはまた違う話です。"世界を救った"というのは事実なのです。ご存知でないというのでしたら語りましょう。あの一件の後、半年も経たぬ内に起きたある出来事を。 」

テツヤ「(これはまた長くなりそうだ…) 」


16年前 ―――― 2009年12月18日


あの事件の直後、警察に身柄を確保された私は、程なくしてある一家に養子として引き取られました。そこで迎え入れてくれたのは―――――


アリス「………(迎え入れられたのは、以前とは異なる豪邸。だが、禁欲で塗り固められた張りぼての豪奢な雰囲気のそれではない。万華鏡の様な色鮮やかな輝きを、差し込む陽の光によって写し取られたステンドグラスが長い廊下を挟み込んだそこは、神聖な空気が漂っているように感じ取れた。幼き少女は、すぐに以前の邸宅との違いを察知した。 」


陽の光を満たす深紅のカーペットの上を、心地の良い足音を掻き鳴らして歩いている人影が二つ。ひとりは修道服に身を包んだ淑女。その隣にいるは、西洋の白制服をきっちりと着こなした少年。二人を繋ぐ特徴は、赤毛をしていることだった。


ようこそ、いらっしゃい。そして、はじめまして…ですね。アリスちゃん。貴方を心から歓迎します。わたくしは―――――


アンジュ「  『 アンジュ・マーカス 』――――――これから貴方の「母」となります。そして、こちらが…  」

セイン(※当時9歳)「 『 セイン・マーカス 』と言います。よろしく、お願いします。  」


見ず知らずの家庭。初めての邂逅。だけど、感じたのです。なんて、なんて、あたたかな笑顔なんだろう、と。生前の両親には決して向けられることのなかったもの。幼き日の私が心の何処かで期待していたもの。それはまるで、先日助けてくださった、あの『晴天の様なお方』にも似た輝きだったのです。


私が引き取られた「マーカス家」は、聖暁教会を母体としている名家でした。元世界貴族の騎士団長である父「ヴォルム」と、修道院でシスター長をしている母「アンジュ」。そして、後に生涯を共に長く暮らすこととなる義兄「セイン」の三人家族。そこに、ヴェーハー家唯一の生き残りであった私「アリス」が加わることとなりました。


血の繋がりなどない、あくまで他人の家庭になじむことなど無理だと当時の私はそう思い込んでいました。きっと、同じ状況に立たされれば誰でもそう思うでしょうが。それでも、お義父様とお義母様、そしてお義兄様はみな一様に、こんな私に慈愛をもって接してくださったのです。他人である自分を迫害するようなことなど微塵もなく、まるで本当の我が子のように抱きしめてくださる。初めて経験した「家族」というあたたかさに、初めの頃はよく涙を流していたものでした。


故に、新たな家庭に馴染めるのも時間はかかりませんでした。裕福な家庭でありながらも禁欲に徹し、他者を愚弄せず信じ合い、人や草木にも等しき愛を与え、人の優しさというものを教えてくださりました。見ず知らずの誰かを助けること。それは、『あのお方』がそうであったように。欺瞞や背反といった絶望に呑まれた私を、彼らは聖なる日の元へと手を引いてくださったのです。


しばらくして、私たち「兄弟」はご両親からそれぞれ教えを乞うこととなりました。セインお義兄様は騎士として父上より「剣」を、私は母上よりシスターとして「敬愛」を。母上は「聖母」でした。それは職業柄ということでもありますが、彼女の為人としての意味も兼ねておりました。私と母上は敬虔なシスターとして、毎日「神」へ祈りを捧げてきたのです。「神」とは何か。幼い私には理解できませんでしたが、ある日、その疑問に母上は答えてくださりました――――


アンジュ「 『神』とは、なにか。そもそも「神様」というものは人や国によって、その文化や宗教により、姿形を変えるもの。あるいは「神」など存在しない現実主義的な思想もあります。そこには、正解も不正解もありません。「こうである」と断定することのできない不思議な存在なのです。 」

アリス「……じゃあ、どうして、そんな「神様」に祈りを捧げるの…?いないかもしれない、「神様」を……? 」

アンジュ「人は、何かを信じていなければ生きていけない弱い存在なんです。自分を、他人を、信じることができないからこそ、何に縋っていればよいのかと不安に駆られる小さな小さな生き物なんです。迷い、疑い、苦しみ…人が持ちうる大切な「心」というものを蝕んでしまい、自分を或いは誰かを、傷つけてしまう。 」

アンジュ「だからこそ、"信じる"ものが必要なのです。それが間違っているものであるとしても、あるいは…初めから存在しないものだとしても…"自分が自分でいられる意味"を持つためには、信じる何かが誰の心にもあるべきなのだと、私はそう思います。 」

アンジュ「アリス。いつか貴女にも、"信じる何か"を持ちなさい。そういうものを見つけられたのなら、信じ続けなさい。そうすれば、『神』はそこにいます。それが、貴女にとって『神様』なんですよ。 」

アリス「………! 」


わかったような気がした。そんな曖昧な帰着ではありましたが、「今はそれでいい」と母上は笑ってくださいました。 それ以来私は、まだ心の中に浮かぶことのない「神」というものに祈り続けました。いつか、きっと、私にとっての『神様』が現れることを信じて


そして…その時がやってきたのです――――――――


メフィレス「  さァ…カオスエメラルドよ…最後のショーの…――――――― 幕 を 開 け ろ ォ !   」




その日、突如として世界は"闇"に覆われました。その超常現象に前触れはなく、一瞬で青い空が黒く覆われました。青天白日の元に生きる我々人類の誰もがきっとパニックに陥ったことでしょう。私たち家族も例外なく――


ヴォルム「政府より救援の要請が入った。これより騎士団本部へ戻り、この事態の鎮圧に対処する。セイン…お前は、ここで母とアリスを守り抜くのだ。これから何があろうとも、騎士としての誇りをその胸に刻み、己が「剣」を振るうのだ。よいな? 」

セイン「はい、お父様。母上とアリスは、必ず私がお守りいたします。(幼き日の少年は鞘に収まったままの無名剣をその手に握りしめ、騎乗して颯爽と旅立つ父の背を見送った) 」

アンジュ「 澄ミ渡ル蒼ニ贖罪ヲ 歪ミ淀ム漆ニ断罪ヲ  」

アリス「 捧ゲル純血ノ罰杯ニ  咎人ハ晴天ニ首垂レ  」

アンジュ「 五臓ニ堕トシタ泪デ贖イタマエ  」

アリス「 カールラ  」


祈りを。祈りを。今こそ、祈りを


何が、起こっている…!?あの空は何だ…!?世界崩壊か…?地震が、止まらない…!もうダメだ…なにもかも、お終いなんだ…!


祈り、祈り、祈り続けて…


政府は何をしているんだ!?あんなものにどうやって太刀打ちしようとするんだ…!? 何処へ逃げても無駄だ…もうすぐこの世界は闇に覆われてしまう……俺たちは、みんな… やめて…!聞きたくない……!もう、何も見たくない……!


…………いったい、「何」に?


アリス「……っ………(祈り手を結ぶ両の手が、微かに震えだす) 」


結局、その時の私は未だに何を信じればいいのか、その答えに辿り着けていなかった。疑念が、雑念が、祈祷を嘲笑う悪魔の嗤い声が、心を掻き乱す。そして、思い出されるは、絶望。抗いようがない強大な恐怖に、震えが止まらなかったのです。


アンジュ「……!アリス……!(彼女の祈祷に違和感を覚えて瞳を開けると、そこで震えだしていた娘を庇うように抱きしめる。敬虔なシスターは、このような事態だからこそ「神」に祈りを捧げなければならない。しかし、シスターである前に「母親」である自分には、恐怖に慄く愛娘が愛おしいのである。)嗚呼…「神様」どうか、我々を…この世界を、御救いください……! 」


祈らなければ。信じ続けなければ。しかし見つからない。縋るものなど。ああ……結局は私も一人の人間。ちっぽけで、弱くて、何かを信じることさえできやしない。そんな矮小な存在。


だけど…もしも… もしも…… 『神様』という存在がいるのだとしたら… 『奇跡』というものがあるのだとしたら… もう一度、見てみたい。


あの日、あの時、私を救ってくださった 『あの人』のように―――――――――――


キ ュ ―――――――――――― ン (その時である。漆黒の闇に包まれゆく世界に、一筋の光芒が閃いた。金色(こんじき)に輝く彗星は地上から天に向かって真っすぐに飛んで行く。ジェット機よりも速く。太陽よりも眩しく。その『光』は、絶望に覆われた世界を照らす唯一の"奇跡"――――――)


アオ「―――――――――――(金色に輝く彗星を纏うは、その全身を黄金に染め上げた、『あの青年』だった) 」




アリス「……――――――― ! (ふと、教会のステンドグラス越しに、外の世界に輝きが照らされるのを見出した。その光に魅入られるように境界を飛び出して上空を見上げる。そして、その激しい光芒の中に…少女は確かに"奇跡"をその目に焼き付けた。『運命』との、二度目の再会を―――――――) 」


ギ ュ オ ン ッ ――― ギ ュ オ ン ッ ――― ギ ュ オ ン ッ ――― ギ ュ オ ン ッ ――― ギ ュ オ ン ッ ――― (アオだけではない。先陣切って飛び出した彼の光に導かれるように、地上から幾つものい光が次々と飛び出していく)


レイ(カオス)「この世界を滅ぼさせはしねえよ 」

バルサ「ここまで来たらやるしかねえよな! 」

スーパーソニック「行くぜ、俺たちで駆け抜けてやろうぜ! 」

リンク「ああ…!俺たちで、この世界を…「カオス界」を救う!! 」

夜神月「メフィレス…新世界の神になるのはお前じゃない…僕だ!! 」

浅花「―――――――(勇気ある者たちが最終決戦の舞台へと飛び立っていく中、先んじて身を投げ出したアオの想い人である彼女は地上でその結末が報われることを信じるように手を結んだ) 」

ソラリス「 ォ  ォ  ォ  ォ  ォ  ォ  ォ  ォ  ォ  ォ  ォ  ォ  ォ (世界を消滅へと導くは、破滅の堕天使。はるか上空に君臨する超次元生命体は、地上より向かってくる幾つもの「光」を迎え撃つようにその両翼を盛大に広げた) 」


ズ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ――――――――― ッ  !  !  (天蓋を埋め尽くさん大規模の闇色の隕石群。意思を持つように公転するそれらが次から次へと絶え間なく、金色のベールを纏う戦士たちへ襲い掛かっていく)


アオ「みんな…―――――― 行 く ぞ ッ ! ! ( ギ ュ オ ァ ッ ! )(経験などない空中戦。それでも動揺や混迷など介在の余地などない覚悟を全振りに、黄金の気を纏った全身で空間を駆け巡り隕石群を華麗な軌道、そして圧倒的な速度で潜り抜けていく) 」

レイ(カオス)「俺にも、アオの力が流れ込んでくる…何でもできる気がする(バリッ―――バチッ――――バリバリバリィッ!!)(右手から白い稲妻、左手に黒稲妻を生み出すとその両手を前方へと突き出し―――)―――― "暴発"(バースト)ッ!! ( バ リ イ ィ ィ ィ ィ イ イ イ ン ッ ! ! ! )(モノクロに交わった稲妻が、巡り巡る隕石を貫き砕いていく) 」

バルザ「ヘヘッ、テメー等だけに良い格好はさせねーよ!( バ ゴ ォ ォ オ ン ッ ! ! )(カオスエメラルドの力に覚醒したアオに触れて、自らにも覚醒した混沌の力。その力を纏った拳をもって、迫る巨大隕石を一撃の鉄槌を下して粉砕する) 」

スーパーソニック「ヘッ――――ハッ―――ハァッ!!(光の速度をもって空間を掌握するように飛び回る音速のハリネズミ。逆立つ金色の髪から零れだす粒子は絶え間なく溢れ、それは蛍火のように…砕いた隕石の残骸と共に真下の海面へと降り注ぐ) 」

リンク「はぁぁぁああああッ!!(ザギィンッ―――ザギィンッ――――ザギィィイイイイインッ!!!)(十文字に振り抜かれた黄金の斬撃波が、並列する隕石群を一瞬で断裂していく) これが…最後の戦いだ…!俺たちは…負けはしない、絶対にだッ!! 」

夜神月「……メフィレス…お前との長かった因縁の決着も、ここで終わる。僕は僕のやり方で、この世界の神になる!!(死神の翼を羽搏かせて飛翔能力を得た青年は、金色の色を纏った死神の鎌を豪快に振り回しながら隕石を瞬く間に残骸に変えていく曲芸に躍り出る) 」


世界の終焉。世界中の誰もが未来を諦めていた。それでも、六つの光はその結末に抗い続けようと駆け抜けていた。闇夜に浮かぶ星々が、曇りかけた私たちの心を、照らし出そうとしていた―――――


ソラリス「 キ ュ ォ ォ ォ オ … ッ ――――――――――    ┣¨         ギ ュ゛         ァ゛  ッ゛    !  !  !  (終焉を齎そうとする堕天使の核を担う赤い球体部が歪な光を帯び始める。最大限まで発光を帯びたそのコアより、万物を滅する閃光が解き放たれたのだった) 」

レインド「――――――(果敢に立ち向かう者たちを、腰かけたベンチから見守る者がいた。大いなる戦いの舞台に、歴戦の猛者は手も口も出そうとはしない。"信じている"からだ。彼らが、誰もが望んだ物語の結末を駆け抜けてくれることを) 」

アオ「 ギッ―――ォウッ――ヒュンッ―――――― ズ ォ ア ッ ! (光は鋭き軌道を描いて破滅の閃光を、その間隙を縫うように絶え間なく降り注ぐ隕石を横断する)―――――― ッ゛ ! ! (放たれた閃光の余剰熱波に頬が焼き裂かれて掠り傷が浮かぶ。直撃すれば、間違いなく命を落とすことになるだろう。それでも青年は恐怖しない。頼れる者たちが傍にいる限り。その背中に守るべき者たちがある限り。帰りを待つ者の為に。託された想いを、果たす為に―――) 」

レイ(カオス)「―――――アオッ!!(最前線で危険を冒して敵の攪乱を請け負う彼の姿を見据えると、その両手に最大出力まで帯電した白黒の稲妻を球形状に落とし込むように凝縮させる) バルザッ!お前たちッ!「こいつ」をアオに届けるッ!!任せた――――――― ぞォァッ!!(――― ド ヒ ュ ゥ ウ ン ッ ! ! ! )(剛速球の勢いで対に投げ飛ばした稲妻弾。華麗な投球から繰り出された稲妻は美しい曲線を描いて、まずはバルザへと接近していく) 」

バルザ「乗ってやるぜ…お前の賭けに…ッ!(背後から徐々に加速する稲妻弾を他所目に鮮やかなバク転飛行。その際に稲妻弾に手をかけると―――) ダンッ   ダンッ      ダンッ    !   (何もない虚空に光の床を断片的に生み出し、そこに向けてバスケの容量で稲妻をドリブルさせながら突き進む。迫る隕石群を、ボールを奪い去りに来る敵チームに見立て、それらを掻い潜りながらゴールへのシュートを構える仲間へと届ける為に前進していく) そぉら行くぞォァッ!!(―――― ド シ ュ ゥ ウ ン ッ ! ! )(ドリブルと共に徐々に肥大化した稲妻を、今度はソニックに向けてパスした) 」

スーパーソニック「――――任せなッ!(バルザから稲妻弾を受け継ぐように片手でキャッチすると今度はサッカーのように豪快に蹴り飛ばす) ハッ! (自らが蹴り飛ばした稲妻を光の速度で追跡。隕石群を次々と貫きながらついに追いつくと――――)――――頼んだぜッ!!(――― ド ォ ゥ ン ッ ! ! )(発光する脚部で豪快に蹴り上げた稲妻弾を、夜神月に向けて放った) 」

夜神月「僕が…!?フン…いいだろう、付き合ってやる!(ソニックから蹴り飛ばされた稲妻弾に驚きを示しつつもすぐに意を汲み取って大鎌でかすめ取るように手繰り寄せる) その姿で、神を気取るつもりなんだろう…だが…ッ!新世界の神になるのは―――― 僕だッ!! (長きに渡る因縁に終止符を。死神の翼による俊敏な飛翔能力で隕石の襲撃を横切り、稲妻弾を蓄えた大鎌を振るい、アオに向けて勢い良く振るった) 」

ソラリス「 キ ュ ォ オ … ッ ――――――――――    ┣¨     ギ  ュ゛    ン゛  ッ゛    !  !  (カオスたちの作戦、その目論見に気づいたのかどうか定かではない。だが、堕天使は再びそのコアに邪なる光を集束させ、裁きの閃光を解き放つ。その光は、彼らが紡いだ稲妻弾を無慈悲に掻き消そうと迫るが―――――) 」

リンク「(――――!)させない…―――――― さ せ る も の か ァ ァ ア ア ア ア ッ ! ! ! (みんなで紡いだ想いを、消させはしない。その強い意思を自らが振るうマスターソードに込める。剣身に立ち込める青い光粒子。鋼の刃に青白い輝きが満たされ、とてつもない衝撃が剣に宿る) 」

リンク「 彗星の如く、解き放つ ――――――――― “銀河新星(ギャラクシー・ノヴァ)” ! ! ! (  ズ  バ  ァ  ン  ッ  ッ  !  !  !  !  !  )(その蒼剣より振るわれるは、銀河のように青く、神々しく輝く斬撃。後に、カオス界"最強"と謳われる究極剣術。銀河の輝きを満たした衝斬が、悪しき閃光を真っ向から斬り払ったのだ) 」

アオ「――――――― ! (リンクによって斬り払われた閃光の残滓を食い破るように飛来した稲妻弾の存在に、横目節に振り返る。カオスから始まったその"最後の切り札"は、気が付けば大きさも早さも桁違いなほどに増幅されていた。"それ"を最後に、自分に託してくれたのだと察知するのも時間を要しなかった。笑みが零れる。頼れる仲間が、自分を頼ってくれたのだから。受け継がれた稲妻の弾をその手で掬いあげて―――――"掴む") 」

アリス「―――――――― 」


"信じる何か"を持ちなさい。そういうものを見つけられたのなら、信じ続けなさい。そうすれば、『神』はそこにいます。それが、貴女にとっての『神様』なんですよ


アリス「――――――――(信じること 信じられるもの ―――――――) 」

アオ「 う゛ お゛ お゛ お゛ お゛ お゛ お゛ お゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ ッ゛ ! ! ! ! ! (稲妻は眩く強い光へと。その手に掴んだ『光』で、今…すべてを終わらせようと勢いよく突き出したのだった―――――) 」

アリス「――――――――(ようやく、見つけられた ―――――――) 」


あの時に見た、『 晴天のような輝き 』を――――――――


ソラリス「                   (様々な想いを宿した"混沌の意思"が、世界に断罪を齎す堕天使を、今…打ち貫いたのだった――――――――) 」


闇夜に包み込まれた世界に、白い種火のような光が雨のように降り注ぎ、世界をあるべき姿に照らしていく。絶望から希望に変わる瞬間を、地上にいた誰もがその最後まで見届けていた


崩壊という危機をはじめて迎えた混沌世界が、たった今、救われたのだ。その世紀の瞬間に立ち会った者たちは、口を揃えてこう呼んだ


レイ(カオス)&バルザ&スーパーソニック&リンク&夜神月『(互いにフィスト・バンプを、サムズアップを、笑顔を交える。晴れ渡る空を見上げ、その頭上にいる一人の人間に待望の眼差しを向けた―――――)』 」


『彼ら』こそ――――――


アオ「――――――――― ニ ッ  ( ―――――――"英雄"なのだと ) 」

アリス「   !   !   !    」


闇を裂く光。そこから顔を覗かせた蒼い空の中にいた『彼』の姿を見て、あの時気づいたのです


信じられるもの… 私にとっての『 神様 』は―――――――――


――――――――――― 近くて遠いところにいたということを





リラ「――――………そうして私は、二度も『あの方』に命を救われたのです。ですが、もはや私だけではありません。 この世界を、そこに住まう人々を、『あの方たち』はその身を呈して守り抜いたのです。世界に覆われた闇を切り払った"英雄"の伝説は…そこからはじまったのです。 」

稔「……そのお話は、私は存じ上げておりません。15年も前のこととなると、そもそも私はまだこの星にいなかったものですから。ですが、こと"英雄"に関するお話は、時折ヴォイドさんからお伺いすることはありました。『彼ら』の存在が、この世界に真の平和を齎しているのだと。体裁を気にかけ、欺瞞に溢れ、代償を求める今の政府とは違い…『彼ら』は、誰に頼まれるでもなく、見返りを求めるでもなく、ただ己が信念のもと赴くままに、そうしてきたのだと…… 」

テツヤ「俺も、そういう話は都市伝説だと思っていた。だが、当たり前のように続いている日常の背後には、そういう傑物が自分の身を犠牲に人知れず戦っていたのだと知ると… なんだか感慨深い気持ちになるもんだな…。 」

リラ「ええ…そうなのです…。私は…その世紀の瞬間を…"英雄"が生まれるその瞬間を、目の当たりにしました。闇を切り払うほどの強い閃き…されどあたたかな輝き…太陽のような『光』に、幼き日の私は心まで救われたのです。今の時代には、"英雄"と呼ばれる方々達はその姿を見せることはなくなり、歴史の影に消え入りました。 」

リラ「ある時代(とき)には、「非英雄」などと揶揄されることもありました。人間は、つくづく愚かな存在です。ずっと守られてきた者たちが、隠蔽された真実に濡れ衣を着せられた彼らを弾圧し、その影に追いやったのです。到底許されるべきものではありません。ですが、どんなものであろうと、万人から認められる人間などいないのです。それは致し方ないことなのです。しかし、それでも…私は信じ続けます。いつか、きっと、"英雄"がもう一度現れるその日を。そして、また私たちを御救いくださる、その時を…――――― 」

リラ「…………ごめんなさい。長く語り過ぎてしまいましたね。こんな私のお話にお付き合いくださり、ありがとうございます。『あの方』のこととなると、私は我を忘れて熱く語り過ぎてしまうのです。自分でもどうにかしたいと思っているのですが…崇拝する『神』の教えを説くシスターのそれとは違って、私は所詮煩悩塗れのしがない人間なのです。"英雄"の足元などにも及ばない、ただの凡人なのです。私のことはもう避けていただいて構いません。 」

リラ「でも………どうか、これだけは忘れないでいてあげてください。今ある"日常"は、決して当たり前に続いてきたものではないことを。それはこれからも… (ふと、悲哀に表情を曇らせる)………失礼いたしました。(そして少女は踵を返してエントランスへと足を運ぶ。あれほど熱く語り尽くしていた者とは思えないほどに、その背中は何処か小さく、狭く、丸みを帯びているような気がした―――――) 」

テツヤ「…………(別れの挨拶を告げようと口を開きかけるが、ふとした時に見せた悲哀の瞳に思わず閉口。何か一言でも言葉をかけたかったが、結局その背を無言で見送るしかできなかった) 」

稔「…………変わったお方でしたね。でも…さっきのお話は、聞いているだけでとても価値のあるものだと、私もそう感じました。お金には代えがたい大きな価値を。………まっ!それでも私は金こそが時代を動かすものだと信じてやみませんがね!(謎のドヤ顔) 」

テツヤ「まあ、金は天下の回り物だというからな。だが…そうだな…… お陰で、今ある俺たちの"日常"への見る目が変わったのは事実だ。この世界は誰かの働きによって回っている。この建物を建設した人。建設に必要な木材を提供する人。その木材を調達する人。元となる木を育てる人。その木を耕す大地を生み出す人。そうした連鎖によって社会成り立っている。この世界だって、俺たちの知らない歴史が育んできたように、な… 」

テツヤ「…………さて、と… なら俺も、働き手として社会に貢献しようじゃないか。この寄宿舎を愛する人がいるのなら、その人たちの為にこの居場所を維持するのも、俺にとっちゃ立派な仕事だと思いたいからな。(軽く背伸びをして工具セットを手にする) じゃあ、やりますか…!  」



ネモ(LoR)「バダ君見てください!生命維持エネルギー伝達装置の集束が安定してきました。各充電高調もこのままいけば元通りになりそうです!(桜が散りばめられた河川敷、その行路に異質な全身義体の男が、行動を共にする者へと自身の義体装置の一部を見せびらかしている) 」

バダ(LoR)「社長……ただでさえ街中で奇異の目に晒されていたのに、大声出さないでください。裏路地の夜がないからと言って、安全とは限らないのですから(ネモの義体確認に付き合っており、手元の充電集束装置の電源をオフにする。困り顔にため息と、苦労人の様が見受けられる程にネモに引っ張られているようだった) 」

ネモ(LoR)「そう!安全ではないかもしれませんが、裏路地の夜がありません! 」

ネモ(LoR)「深夜帯に近づくにつれ毎度毎度あの液体燃料で形成されたゴミカス共に配慮しなくてはならない日々でしたが 」

ネモ(LoR)「もはや今はそんなの気にしなくていいんです!私の電力回収に関わる債務も余裕で熟せますね!はっはっは!!! 」

バダ(LoR)「社長……寄宿舎の管理者のご厚意があるから、社長は生命維持装置の充電高調を気にせず済むんですよ。足元を見られた契約だってさせられるかもしれなかったのに、あの少女に善意で生かされていることには変わりありません 」

ネモ(LoR)「だまらっしゃい! 」

ネモ(LoR)「稔くんは貸借勘定を記していました。私の生命維持にはなんらかの得があると踏んだのでしょう!つまり善意などではなく私利私欲です。都市に戻ればいくらでも金で解決してあげられますが、ここはケイオス!訳わからん世界です!無理ですね!私が寄宿舎のマスコットにでもなってやりますかね!!! 」

バダ(LoR)「どうか我々が追い出されないことだけを祈りましょう……いざとなったら物件は探します。事務所を設立させて、都市の時と同じように稼ぎましょう 」

ネモ(LoR)「バダ君。我々の事務所は普通の仕事をして星の地位まで上り詰めたわけではありませんよ。図書館に入る前にも言いましたが、いつだって機会を伺わないと…… 」

ネモ(LoR)「正直、金勘定にがめつい小チビに契約条件を言い渡されたときはふざけているのかと思いましたけど…… 」

ネモ(LoR)「都市の生き方に沿う必要のない世界なら肩の力を抜いてもいいと気づいたんですよね!これからも自由に準備しましょう!! 」

バダ(LoR)「はぁ……機嫌の調整は私の方で担当します。社長は稔さんへの発言を控えてください……というかしない方針でお願いします…… 」

稔「(その頃寄宿舎) へくちっ…!……? (くしゃみ後鼻先を人差し指で擦りながらなんでもない天井を見上げてすぐに事務作業に取り掛かった) 」


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2025年04月28日 21:46