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ignition 過去ログ②

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レゼリア国


ここは、『レゼリア国』。カオス界でも有名な王国にして、観光名所のひとつとされている緑豊かな国。
上層と下層に別れながらも国全体としては煌びやかな印象を与え、行きかう住民たちもみな笑顔が絶えず、
陰りなど何一つ見受けられない様子であった―――


フレイミス「 パ サ ァ … (全身を包む様に覆っていた黒マントをはためかせ、初めて踏み込む城下町の様子を一望した後、上層部にそびえたつ城を見上げて感心したように口を開いた)……ここがレゼリア…。この時代はこんなに栄えていたのか。親父もよく来ていたって御袋も言っていたが… 」

はらぺこあおむし「(城下町の噴水前でハロウィンのアルバイト(無許可)をしている) 」

バウムおじさん「ガラガラ……おっと?(城下町の中をリヤカーを引いて歩いているみすぼらしい恰好の40代くらいの男性がいた)やあ、そこの坊主。見かけない顔だが、観光客かね?ようこそ、レゼリアへ。腹は減ってないか?レゼリア名物のバウムクーヘンは食べたくないかね?アッシはここでバウムクーヘンを売り続けて30年!バウム・クエヘンだ!町のみんなからはバウムおじさんと呼ばれているよ?バウムクーヘン食べるか? 今なら一切れたったの700円!立ち寄る観光客も街のみんなもうまいうまいと好評だよー!どうだい!?(ずいずいとフレイミスに詰め寄っていく) 」

フレイミス「(バウムクーヘン売ってる癖して嫌いそうな名前してんなこのおっさん…)(すごい勢いで詰めてくるおじさんに軽く口元がひきつる)700円…700円……ん?今一切れっつったか?しかもちっせぇな!!一口どころかカブトムシゼリーくらいのサイズ感だろ!!全然バウムクーヘンの形じゃねえんだが!?てか高くねえかあ!? 」

カブトムシエレン「ムシャムシャ(ぼったくりバウムにムシャクシャしながらムシャムシャしている) 」

星見ヤービィ「キュゴオオオオオオオオォォォォォオオオオオ(レゼリア国にちらばるありとあらゆるメロンを吸い尽くしているこいつはバケモン) 」

トランクス「おーーーーーーーーーーーい!嘘でぇす!!!ここにあるバウムクーヘンは全てうそです!!ここにあるバウムクーヘンはすべて、国外産です!!!米〇国のものです!!ハイ!ハイ!!地産地消なんて、全てウソでぇす!!(※言ってない)おーーーーーーーーーい!!ッハァ☆(トランクスルー) 」

ヘラクレスオオカブトちぃちゃん「(ぼったくりバウム屋台を倒していく) 」

バウムおじさん「何を言う!?早見優!(2000年代のギャグ)このバウムクーヘンは貴重で高級な食材をふんだんに使った贅沢なバウムクーヘンだ!多少高くても、食べるだけの価値はあるぞ!むしろ700円で買えるならお得過ぎるくらいだと思うがね!!あーーーーっ!?何をするかねーーー!?(倒されたリヤカーを慌てて戻そうとしている) 」

×××「コツ、コツ、コツ…―――――(「落としましたよ」と小包装されたバウムクーヘンを拾い上げ、それをおじさんに無言で差し出す) 」

牛タクト「このリヤカーは天やから提供された可能性があるモー!!(猛烈な左車輪だけ加速するアクセルで左車線から飛び出しリヤカーの右側面へ執拗にタックルを仕掛ける) 天や資本は徹底して排除するモー!!牛の左側の肉を全てくまなく使った牛丼屋を崇拝して完璧で幸福になるんだモー!!!!!! 」

肯定・キリステ「(遠くの谷から走ってくるなり牛タクトを聖剣・十字架で八つ裂きにし切り捨てる) 」

スピキ(シャモ星のすがた)「スピキモリチャバダンギジDOOR!!!!あーーーーーーーーう(ねっとり) 」

バウムおじさん「んああああああ!!んだよモオオオオまたお前かよおおおおお!!!!(同業者?の牛タクトによる執拗なタックルでまたリヤカーを転倒させられる始末)……おお!ああ、ごめんよぉ!ご親切になあ…!お詫びと言っちゃなんだが、お嬢ちゃんにも安く売って………って、えええええええ!?(拾い主の顔を見上げて突如絶叫する) 」

××× → 光姫「―――やれやれ…城下町で王都の許可もなく路上販売するのは禁止していると再三注意したはずだが?店主よ。(そこにいたのは、西洋騎士を彷彿とする装いを身に纏った高貴なる女性。赤いポニーテールを揺らす中、特徴的な"鷹の目"が男性を鋭く、冷ややかに睨み付けていた) 」


―――― レゼリア国親衛隊七人衆 "神狩" 『光姫』


バウムおじさん「ギクゥッッッッッ!!!!!!(し、しまったァーーーーッ!!!こ、このお方は……ッ!!)ひッ、ひぃぃ…こ、これはこれは…光姫様ではございませんかぁ~…!!き、許可書ならすでにもらっておりましてぇ~…(タラタラ…)えっとぉ…んとぉ……?あれれぇ~…?おっかしいですねぇ~…!?いつも持ち歩いているはずの販売許可書が見つかりませんなぁ~~~~…!は、はははは…!(などとわざとらしく嘯きながらリヤカーを立ち上がらせ撤退準備に勤しむ)すみませんでしたーーーーーーーーーーーーーー!!!!!(ガララララララララッ!!!)(光姫の眼力による圧力に耐えきれなくなり、ついにリヤカーを引いて全力逃走したのだった) 」

フレイミス「……やっぱり怪しいやつだったか…姉ちゃんからもらった金貨無駄にしなくてよかった…(逃げていくおじさんから、静かに光姫に視線を移す) 」

カブトムシエレン「🖕🖕🖕🖕🖕🖕🖕(逃走するぼったくりおじさんに中指を立てながら、しれっと拾った大量のバウムクーヘンを貪っている) 」

光姫「懲りないものだな…だがあの調子だとまた来そうだが……今度は観光客向けに注意書きでも立てておくか……(フレイミスの視線に気づいて振り返る) 他所から来た客人か。来訪早々見苦しい体験をさせてしまって済まない。本来あのような輩を摘発すべきなのが我々の職務なのだが…あの店主は衛兵の目を盗んでどこからともなく勝手をするから困ったものだ。君に被害がなかったのが幸いだ。レゼリアは何もあんな輩ばかりではない。気を悪くしないでくれ。(申し訳なさそうに軽く頭を下げる) 」

フレイミス「ああ、いや… でも、割り込んできてくれたことには実際助かった…感謝するよ。俺、今ここに来たばかりであまりこの国のことを知らなくてさ……(光姫の装いを見つめて一目で感じた。心身ともに気高く強そうだと) 」

光姫「だろうな… その装い…旅人と見受ける。ならば歓迎と共に挨拶をしておこう。レゼリア国親衛隊の『 光姫 』だ。(毅然としながらも友好的に握手を差し出す) 」

フレイミス「 フレイミスだ、よろしく。(差し出された手を組みかわす)親衛隊…かっこいい響きだな。さっきのおっさんは例外として…見た感じこの国の治安が良さそうなのも、アンタたちのお陰でなりたっているんだな。 」

カブトムシエレン「(ヴィクトリア家政のサボりアルバイターのエレン・ジョーだよと無言でぺこりとお辞儀する…と見せかけて落ちているバウムクーヘンを自慢の角に引っ掛けているだけだった) 」

光姫「フレイミスというのか…ああ、ようこそ、レゼリアへ。ああ、そうだな。我が国は戦争を拒み、常に平和的志を掲げ他国と友好的に貿易を交わしてきた。だが、それを平和ボケした国だと罵る戦争国に何度も攻め入れられた歴史もある。我が国は決して兵器を所持しない。だが、国民を守るための防壁を築くための巨万の富があるわけでもない。故に国王「アルミナ」は、親衛隊と呼ばれる精鋭部隊を結成させた。はじめは7人だった少数勢力も、今では同志を募り兵力を伸ばし…この国随一の防衛力を担うほどに力を得たのだ。 」

光姫「……だが、それでも……我が国は一度大敗を喫し、崩壊寸前まで陥ったことがある。もはや国の最高など不可能なほどに…王族も国民も、誰もが絶望に打ちひしがれた。当初幼かった私もそのうちの一人だった。このまま、上死ぬだけの末路を迎えるだけかと思われた。しかし…そんな時、私は『奇跡』に出会った。この国と深い所縁のある『ある男』が現れたのだ。 」

フレイミス「……そんな過去が……(ある男……?)(静かに耳を傾け続ける) 」

光姫「『彼』の言葉が、鶴の一声のようにこの国の人々に勇気をくれたのだ。決して折れることのない不屈の意思を。可能性ある未来への希望を。そのおかげで、レゼリアは長い年月をかけて再興し…今に至る。親衛隊が結成されたのもそれがきっかけだ。私も…国民の誰もが、諦めることを放棄した。故に今のレゼリアがある。我々が愛した国が、ここにある。(伏し目がちに、それでもフッと軽やかにほくそ笑む) 」

フレイミス「………(この国にも、大きな傷があった。未来で滅んだ知る由はないにしろ、きっと…この国はずっと諦めずに戦い続けてきたんだろう。たとえ俺のいた時代で姿形やその影をなくしても、その意思は、未来永劫…―――――)(ふと街並みへ振り返る。初めて目にするはずの景色に、早くも愛着に近い感情が湧いてくる。煌びやかな光に隠された影は濃く、それでも消えようとはしなかった。光姫の人間性がそうであるように、この国の誰もがきっと気高い心を持っているのだと知る) 」

カブトムシエレン「ムシャムシャ(感動的な話を肴に角に通したバウムクーヘンをむしり取ってもぐもぐしているこいつはカブトムシでサメでメイドでJKでただの通りすがりの野生児) 」

光姫「……おっと、私としたことが…つい後ろめたい過去まで喋り過ぎたな。ただの客人には重すぎる話をしてすまない。 」

フレイミス「いや、そんなことはないぜ。すごく有意義な話だった。まだ何も見て回ったわけじゃないが、おかげでこの国を見る目が変わった。もちろん、良い意味でな。………昔、『親父』がこの国によく赴いていたって聞いたんだ。いつかは行ってみたいと思ってたが…なるほど、なんとなくだが分かった気がする。ありがとな、光姫さん。俺、もうちょっとこの国を見て回ってみるよ。百聞は一見に如かず…まずはこの目で直接見なきゃわからねえこともあるはずだからな。(感謝の意を込めたサインを送り、そのまま城下町の奥まで進みだした) 」

カブトムシエレン「ムッシャムシャ………トコトコ (立ち去っていくフレイミスの背中を見つめていたカブトムシ。何を思ったのか彼についていくようにトコトコと追いかけていく) 」

光姫「――――――(横切るフレイミス。彼が羽織っていたマントの端が視界に映りこみ、思わず何かを思い出して振り返る。だが、既に足早に街の方へとその歩を進めていた少年の背を、どこか名残惜しそうに見送っていた)………かの少年… なぜだ……私は……あの後ろ姿に見覚えがある… あれは……まさか…――――――― 」




― レゼリア国・下層部・城下町 ―




フレイミス「どこも賑わってんな~…(風情ある街並み。多くの国民や観光客が行きかう通りの真ん中を歩きながら、脇道に所せましに立ち並ぶ店や屋台に目移りしている) 」

カブトムシエレン「ペロチペロチ…(いつの間にかフレイミスの肩に勝手にしがみつきその辺の出店でもらったぺろぺろキャンディーを舐め回している) 」

オルフェーヴル矢岸「――――お父様ァー!御母様ァーーーー!!た、大変ですわァーーーー!!こちらの叔父様バウムクーヘンであこぎな商売してらしてましたわァーーーー!!な、なんてあくどいんですのォーーーー!!!!! でぇぇぇもそこに痺れる憧れるゥゥゥーーーー!!!!悪とは!!社会における障害でありレールから外れた異物!!それ即ち拘束の外、運命の束縛から外れた車輪!!生かすものもなければ殺 すものもいないアウターヘイヴン!!!!!私はこのビチグソを喰らい乗り越え更なる悪の高みに立ってやるのですわァァァーーーーーーー!!!!! 」

オルフェーヴル矢岸「(桜色の頭髪、齢にして6歳という幼女が先程のバウムおじさんの首根っこを掴んで引きずっている!!その衣服には車輪の跡があり!!財布からズボンのポケットまでカラッカラに『してやられている』!!相手が小悪党なのをいいことに!!地元の国家権力を利用し小銭をむしり取るこの悪童が12年後夢幻の彼方へ"逝く"のは別のお話) 」

バウムおじさん「のおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!や、やめてくれえええええええええええええ!!!い、い、命だけはお助けをおおおおおおおおおおお!!!悪かった!!このバウムクーヘンの食材がレゼリア産ではなく西の大地のキッタネー王国で安価で手に入れたものだったのは訳があるのだあああああ!!!ぎゃああああああああああああああああああす!!!!(踏んだり蹴ったり) 」

フレイミス「って、うおわっ!?お前さっきのカブトムシじゃねーか!レゼリアに住んでんのか…?変な生き物とかも住み着いてたりすんのかなの国は…(ぎょっとしながらも下手に抵抗せずそのまま諦めたように放置する)………(さっきの悪徳バウム屋が自分よりもは遥かに年下な幼女に引っ掻き回されている光景を目撃し思考が停止する) 見なかったことにするか  」

ウェカピポの妹の夫「(シャリシャリと市場からぶんどったリンゴを咀嚼。取り巻きの騎士たちを引き連れ市井を我が物顔で闊歩する)……チッ、不味いなこのリンゴ。あんのババア、この俺にクソ不味いリンゴをおしつけやがって。……確か、ババアの一人娘、けっこう良い女だったなぁ。どうしよっかなあ~~、ンッン~(リンゴをポイと捨て騎士たちとゲラゲラ笑いながら進む)」 」

カブトムシエレン「(バウムおじさんが悪役令嬢的幼女にしてやられているのを見て無表情で爆笑している) 」

とりまき騎士『ヘッヘッwww旦那ぁwwwまたヤっちまうんすかぁ?www ヒュー♪やりますねぇ先輩!(ウェカピポの妹の夫を囲むように歩いている)』

浅黒い黒髪の青年「ここがレゼリアかァ!デイズ・ニーランドに来たみたいでワクワクするなァ!!(修学旅行だろうか。西風学園と思しき制服の団欒がたむろっている。大概は友人と雑談する、観光名所を探すなどしている中、この爽やかな笑みを浮かべる青年は風を切り周囲へ目配せしながら半ば駈けていた。底が抜けそうなスニーカー、土埃が付着した半袖のワイシャツ、ズタ袋のようなリュックから極貧学生とわかる)ーーーーどぉっ……!?(注意が散漫だったのかカブトムシエレンを踏みかけ、咄嗟に彼女を跨ぎふらつく)ごめんごめん大丈夫?ぶつけてない? あー、君のペット?(エレンの頭をぽんぽんと叩き髪の誇りを払いながらフレミスへ微笑む 」

根暗の男「…………――――― ス (ウェカピポの妹の夫が投げ捨てた食べかけの林檎。それをのっそりとした動作で拾い上げ、緩慢な動作にもかかわらず彼に追いついてそのリンゴを差し出した)……失礼。こちら、落としましたよ?(皮肉でも何でもない純粋な親切心で向き合いながら) 」

カブトムシエレン「😡💢(事なきを得たとはいえ自分のことを踏みかけた青年に無表情でぷんぷん怒っている様子) 」

フレイミス「ああいや…こいつは勝手に俺の背中にくっついてただのカブトムシだ… 気にしないでくれ(今にも青年に食いつきそうなエレンを制止するように抱き上げる)あれは……この町の衛兵か…?さっきの光姫のイメージとはずいぶん雰囲気が違うが…… 」

ウェカピポの妹の夫「ヤるにしてもなーーー。どこでどうやるかなー。光姫とかにみつかるとめんどくせーしよおお~~~(取り巻き騎士に答えつつ、ふと根暗の男の声にピクリと反応し)……あ?(睨んだり凄んだりするわけではないが、それでも気だるげに目を細め)おお、そうかそうか。そりゃあすまねえーなあー。じゃあお礼サ。それ、やるよ。遠慮するこたぁーねえ。犬猫だって喜んで食うからな。オメーも気兼ねなく喜んで食えばいい。それだけだ(ビッと指をさして根暗男を突き放すように言った)」 」

根暗の男「………(破棄された林檎に指さされ、促されるように視線を落とす。しばらく無言を貫いていたが…)……滅相もありません。わたくし目のような貧相な民族が、騎士様からお恵みをいただくなど畏れ多い… (腰を低くしながらも、やや頑なに夫に林檎を返そうとしている) 」

浅黒い黒髪の青年「えらいカブトムシべっぴんさんなカブトムシだねー!ほんとごめんて(笑)そうだ!ほらっ、ペロキャンあげるから機嫌直してよ(いちご味のペロキャンの束をナップサックから取り出しエレンに握らせる) んー?どーだろ、ここは治安もいいしそれを維持する組織、騎士団だったかな?そのへんの戒律も厳しいはずなんだけど、なんかチンピラみたいだしなー(頭をぼりぼりかきつつ遠目にウェカピポの妹の夫達を見渡す) っていうかそういう君もこのへんの騎士くんには見えないけど、観光かい? 」

カブトムシエレン「 😋 (ペロキャンの束をもらってご満悦) 」

フレイミス「ああ、そうだ。今さっき入国したばかりなんだ。入って早々さっき引きずられていったバウムクーヘンのおっさんにぼった暗れそうになったけど…その騎士団の人に助けられたんだ。光姫…って名前だったんだが…… 」

ウェカピポの妹の夫「(────次の瞬間、カッと目を見開き)テメーッッ!! ……この俺が、『食えばいい』と言ったんだ。わかるか?ようは『食え』って言ってんだよ。レストランで出されたもんを、テメー、恐れ多いからって全部残す奴がいるか?いねーよなあ!? だったらテメーも同じように食えばいいんだよこのスカタン野郎がッ!!(溜まっていたストレスのはけ口にするように頭ごなしに恫喝する) 」


ヒソヒソ… ヒソヒソ… (まあ怖い……!  あの人、親衛隊の中で性格が終わってるって曰くつきなんだ…関わるとロクなことがねェ… 目を合わせちゃだめよ、坊や えー、なんでー? おっかなくて草)(国民や観光客たちが次第にウェカピポの妹の夫一向から距離を取り始める)


新入りの騎士団員「ギューオセンパァイまずいですよ!ねえちょっ……アレ止めないと……! 」

如月「止めてどうなる?私やホタルに何か関係があるのか?そこを踏まえてもう一変聞いてやるから言葉よく選んで言ってみろ、止めてどうなる? 」

根暗の男「………(男の恐喝に怯える様子も驚く様子もないが、屈するように項垂れて手に握られた土塗れの林檎に憐憫の眼差しを落とす) ……いただきます…―――――― シ ャ ク リ (そして、おとなしく従うように咀嚼したのだった。口内から聞こえてくるのは小気味よい咀嚼音なんかではない。砂利を無理やり噛み砕くような異音が響くのだった) 」

新入りの騎士団員「(んんんんんんんんんんクソッッッカッッッッス……!!) 」

フレイミス「………―――――― おい、ちょっと待てよ(青年と会話を続ける最中にずっと夫と根暗の男の様子を静観していたが、ついに我慢の限界を迎えたように夫の前にしゃしゃり出る) 人の恩を仇で返してんじゃねェよ (身長差のある夫を睨み上げる) 」

とりまき騎士『おいおい、なんだこの生意気なガキんちょは? 見たことがねえな…余所者だろうなあ? 旦那ァ!どうしますかぁ?』

浅黒い黒髪の青年「えじゃーなに、その光姫さんはもう近くにいない感じ?そりゃーまいったね、俺も君もよそ者じゃ騎士様に意見するなんてそんなノンデリなことできやーしないよ!せめてあの人が無事であることを祈るのと……何か慰めることぐらいしか……ーーーー(咀嚼と共に砂利の音。一見偶然から始まったそれに見えたが、必然的悪意に満ちた出来事であることを悟る)いやおっかねぇ~……聞いてた話と違うよ~~…… 」

ウェカピポの妹の夫「(根暗の男が食べ始めたのを見て、ようやく落ち着きを取り戻したのか)……ンッン~、初めからそうすりゃあいいんだよ。ヘタな遠慮はよ~、時として無礼に値するんだぜ? いい勉強になったな(フン、と鼻で笑いつつ)ま、ま、まぁまぁまぁ?俺も~、急に大声を出しちまったからなああ~~~~? いや、悪かったよ。別にお前さんを、糾弾しようとか、人格否定しようとか、そう言うんじゃないんだ。虫の居所が悪いときってあるだろ? つまりそういうもんなんだ。────…………わかったか、クールボーイ? この話はここで終わりだ。なにも問題はない。オッケーだな?ん?異議申し立て、ないだろ?ええオイ 」

カブトムシエレン「 🖕🖕🖕🖕🖕🖕 (自慢の角先の形が←みたいに変形し、ウェカピポの妹の夫たちに喧嘩を売る) 」

金髪の女子高生「   ド ン   (ウェカピポの妹の夫の腰辺りに違和感が生じる。小柄な少女の頭部が接触していた、地図を見ながら"アイスクリーム"を食べていたのが原因の事故らしい。当然、半液状の砂糖の塊を持って誰かと接触したなら) ネチョォ (必然として、被害者の烙印を押すかのように妹の夫にカラフルな甘ったるいスタンプが押されてしまう) あっ、ご、ごめんなさい……(辿々しく、しかし抑揚のない声で顔を伏せた少女は"一応"の謝罪をした) 」

ウェカピポの妹の夫「(割って入ってきたフレイミスを見て一瞬左瞼をひくつかせる)……オイ、今お互い、平和的な解決をしたところだぜ? 見てたよな? 見ててそうしたのか?この俺に? 今まさしく平和的に何事もなく解決しただろうが?この俺がッ!わざわざッ!話し合いで解決してやったんだろうがッ!それをないがしろにしようってか~~~?(フレイミスを睨み返した後、シャンと背筋を伸ばし)よろしい!コイツをひっ捕らえろ!平和を乱す害虫めがッ!(取り巻き騎士たちに上司然とした命令を下す) 」

とりまき騎士『へい、わかりやした! へへっ、悪く思うなよ坊主…旦那に逆らうとこうなるのは必然ってもんだ…!(鎖を手にフレイミスにじりじりと詰め寄っていくが…)』

フレイミス「――――― ズ ザ ザ ァ ッ !(詰め寄る兵士たちを前に咄嗟的に防衛本能が働き、いつでも殴り掛かる姿勢に入るが…)―――――(こいつがしたことを許すわけにはいかねェ…けど、ここで問題を起こすわけにも……)……チッ……(ふと冷静に帰り、握りこめていた拳を振りほどいて両腕を上げることで投降の意を示す) 」

ウェカピポの妹の夫「……こ、こ、この小娘がぁぁ~~~……お、俺の制服にこんな薄汚いものを! ボサッと歩いてんじゃあねーぞこのウスラトンカチがッ!! テメーも独房送りになりてえか!?なりてえんだよなああオイ!!?(金髪の女子高校生にブチキレ)……ぐぬぬ、さっさとその男を縛り付けろ。城までひったてい!!」 」

とりまき騎士『ガシャガシャ…(大人しく投降したフレイミスの両腕を鎖で縛りつける) 旦那ァ!ばっちりですぜぇ! あとは俺たちが「上層部」へ連行しやす!』

カブトムシエレン「・・・・・・・(鎖に縛り付けられたフレイミスの肩から咄嗟に降り立つ。一瞬だけ彼の横顔を一瞥すると人間では通り抜けられない狭い通路の奥へと走っていった) 」

金髪の女子高生「 あわわ、ほ、ほんとうにごめんなさい。ただ私完璧で幸福になりたかっただけで……(そうボソボソと呟きながら少女は顔を上げる。その素顔は―――――)―――――あなたも完璧で幸福になりたいですよね? あなたは、"赤"を信じますか?  」

悪魔博士「ケッソ!クルッソ!!ッハァー!!!(ついでに別件で連行される悪魔博士) 」

とりまき騎士『オラッ!来やがれ小僧! ヘヘッ…女だったらそのままヤり部屋に連れて行くんだがなぁ…!やっぱ俺たちじゃあ旦那みてえな運はねえぜ…ケッ!(フレイミスを連行していく)』

金髪の女子高生→サン・ペドロビッチ・ムリ子「(―――――それはあまりに冒涜的な形相であった。人間は目で映像を見ていない、目から取り込まれた映像を脳で再生しているに過ぎない。この少女の顔に対して、脳が映像にすることを拒絶し精神を守ろうとしているのだ。だがその防衛反応が、アレルギー反応が作用している時点で精神にかかる負担はあまりにも大きい。   ウェカピポの妹の夫はサン値チェック) 」

フレイミス「…………(……悪ぃ…姉ちゃん…… しばらく帰れそうにねえかも……――――――)(少年はその心のうちに静かなる怒りを灯しながらも、郷に従うままに連れていかれるのだった―――) 」

ウェカピポの妹の夫「    。(少女の顔をモロに見てしまう。その瞬間、脳が後頭部裏側に押し付けられるような圧迫感を覚える。意識が無限の吸引力に吸い込まれ、圧縮されるかのような違和感。そして)WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!?(白目で奇声を上げながらも、なんとか持ち直す)チクショウ、チクショウ……なんで、俺がこんな目に……クソオ(そのままヨロヨロと去っていく) 」

和久平八郎「「こりゃあんまりよくない場所だなぁ・・・?(様子をうかがう元刑事) 」

根暗の男「…………(事の発端を引き起こしてしまった根暗の男だけがその場に取り残される。男は衛兵に連行されるフレイミスの背中をただ黙して見送る。その目には、自分が回避された安心感や、自分に代わって赤の他人が罪を背負うことになってしまった罪悪感のような色味は感じられない。だが、その背中が人混みに消えていくその最後まで、見送り続ける) 」

根暗の男「   ゴ   ク   リ   ッ   (そして、喉奥に張り付いた砂利という違和感を確実に飲み干し、男は反対の方角へと踵を返す。哀愁漂う丸みを帯びたその背中が、かの少年と同じように人混みの中に消えていくのだった――――) 」



― レゼリア国・上層部・レゼリア城・地下監獄―


フレイミス「ジャラ、ジャラ…(薄暗い、しかし鉄格子の窓から吹き込む外の風と光によって決して陰鬱ではない雰囲気の監獄の檻内に閉じ込められている。背後に回された両腕は手錠で拘束されている)………参(め)ぇーったな……こっからどうするか……(手錠とこの檻を自力で破壊して脱出することくらい、俺には訳ねェ…けど、問題はそのあとだ… 万が一脱出したことがバレたら大問題になる… おそらくここは城内だろうし…兵の数も多いはず……どうにかして穏便にこの国を抜け出さないと……) 」

囚われの衛兵「……そこの君、大丈夫か…?(思考を巡らせているフレイミスへ声をかけたのは、看守の兵…ではない。彼と同じように向かい側の監獄に囚われている一人の男性の衛兵だった) 」

フレイミス「ん……?あ、あぁ…なんとか… あんた…見た感じこの国の兵士…だよな…?なんで捕まってんだ……? 」

囚われの衛兵「……大方、君と同じ理由かもしれないな… 君をここへ連れてきたあのガラの悪そうな衛兵たち…あいつらは身内でも少々悪いうわさが流れている連中でね… 「旦那」と呼ばれる男が頭(かしら)を仕切っているようだが、奴につるんでいる兵もみな下劣でな… 私は親衛隊に選ばれたばかりの新米兵士だが、根が良くも悪くも生真面目過ぎてな… あの男の国民に対する悪行を注意しただけでこの有様だ。もうすでに1週間が経過しているが、看守は誰も新米である私の声に耳を傾けようとはしない。 」

フレイミス「そうか……アンタもあいつらの被害者だったのか…… 親衛隊ってのは、どいつもこいつもあんな連中なのか…? 」

囚われの衛兵「とんでもない!レゼリアの親衛隊は我が国の剣であり、盾だ…!民や国を守るために戦う。誇り高き騎士道精神と熱い根性を叩き込まれたものだけが、一般衛兵から親衛隊へとなれるんだ。だが…親衛隊という身分を利用し、これはお国のためだからと民に理不尽な行動を強いる連中が出てくるのも致し方ない…奴らがその見本だ。 」

フレイミス「…皮肉なもんだな…本当の正義が、くそったれな偽善に虐げられるなんてよ。 」

囚われの衛兵「……君は…見たところ他所から来た人間だな…?このレゼリアが上層部と下層部に別れていることは知っているか? 」

フレイミス「そういえば…俺をここへぶち込んだ奴らもそんなことを言っていたような… いや、詳しいことは知らないな… 」

囚われの衛兵「まずは下層部だが、ここは一般国民の居住区となっている。農産業はすべてここで行われ、採れた食材や物資が上層部に輸入されるようになっててな…一般衛兵と一部の親衛隊はここを巡回している。そして上層部は、いわば王都だ。地位の高い王族や親衛隊七人衆などの選りすぐりの兵士たちが徘徊するとともに暮らしをしている。田舎っぽい下層部に比べれば、上層部はダントツで都会だ。一応だが一部地域を除いては一般国民でも立ち入り可能だが、上層部への門を通過するには門番へ都度その場で申請手続きを行わなければならない。 」

フレイミス「…なるほどな…?上と下でそれほど差があるんだな…けど、貧富の差というよりは民と兵士で別たれている分はそれほど差別的というわけでもなく…あくまで王族を守るための作りになってんだろ…? 」

囚われの衛兵「少年、若いのに察しがいいな。その通りだ。このように区分化されたのにはある大きな理由がある。それは…過去にこの国の王妃が暗殺された大事件があったからだ。現国王「アルミナ」様はその悲しみから…取り残された大切なご令嬢「サキエル」姫を守るために国を二分化し、他所からの侵入を許さない防衛手段を講じられた。実際、この取り組みを経てから何人たりとも侵入者を許したことはない。 」

フレイミス「そういう経緯が……まあ、そうなるよな……(家族の死に痛いほど共感するようにやや伏し目がちになる) 」

囚われの衛兵「それが今のレゼリアという国だ。多くの戦争国家に囲まれながらも、自国の防衛に余念がなく、しかして国民に剣を握らせない。我々は戦うための国家を作るのではなく、守るためにその繁栄を築く。その崇高な理念に、私をはじめ多くの者たちが憧憬を抱き…親衛隊へと入団したのだ。もっとも、その上に立つ七人衆の皆様方は本当にご立派だ。中でも光姫様の正義感に救われた者たちも数多いだろう。私が今こうして理不尽に囚われていようとも、あの方ならば真摯に話を聞いてくれるはずだが…奴らに嵌められてしまっているためか、七人衆の方々がこんなところへ足を踏み込むことはないのだろうな… 」

フレイミス「(光姫…またあの人の名前か…相当いろんな人に慕われているんだな…)……その光姫さんって、どんな人なんだ…? 」

囚われの衛兵「光姫様の話か?そうだな…語る伝説は数多くあるが… あの方は、親衛隊の中でも国王様に選ばれた7人のエリートである親衛隊七人衆の一角であり、そのリーダー格を担われるお方だ。麗しき女性でありながら成人男性100人が束になってかかっても叶わない百戦錬磨の剣の達人だ。正義感は親衛隊の中でも…いや、この国の何者よりも強いだろう。それほどに義理堅いお方なのだ。あの方を前にすれば、どんな嘘も欺瞞も通用しない。あの方だけが持つ"鷹の目"はすべてを見透かすといわれているくらいだからな。故に、最も信頼におけるのだ。 」

フレイミス「へぇ……(確かに…初めて会ったあの時…一目見ただけでもわかる強い覇気だった… 城下町で会ったあのクソ野郎みてえにドス黒い気配が微塵も感じられなかった… むしろ…この人にならすべてを打ち明けられる…そんな信頼感を齎してくれる感じというか… )………すげぇ人なんだな、その光姫さんって。 」

囚われの衛兵「ああ…私もあの方が説く正義に惹かれて入団を決意したくらいだからな。だが、そんな光姫様も生まれた時から恵まれたわけじゃない。あのお方が幼き日の頃…当時のレゼリアは隣国で戦争が絶えず、我が国もその未曽有の大被害を被った。誰もが絶望に暮れた…だが、そこに『ある人物』が現れたのだ。何者かは私には存じないが…幼き光姫様はそのお方の言葉に触れ、レゼリア復興に燃えるようになったと聞く。今の光姫様を形作ったという大恩人らしいが……その邂逅を経てから、光姫様は誰よりも国の未来を想うようになったといわれている。この国の影と光を踏みしめて…成長されたのでしょうな… 」

フレイミス「ふん、ふん………ぅん…?(待て…その話、なんか聞き覚えが―――――) 」


「 だが、それでも……我が国は一度大敗を喫し、崩壊寸前まで陥ったことがある。
もはや国の最高など不可能なほどに…王族も国民も、誰もが絶望に打ちひしがれた。
当初幼かった私もそのうちの一人だった。このまま、餓え死ぬだけの末路を迎えるだけかと思われた。
しかし…そんな時、私は『奇跡』に出会った。この国と深い所縁のある『ある男』が現れたのだ。  」


「 『彼』の言葉が、鶴の一声のようにこの国の人々に勇気をくれたのだ。
決して折れることのない不屈の意思を。可能性ある未来への希望を。
そのおかげで、レゼリアは長い年月をかけて再興し…今に至る。親衛隊が結成されたのもそれがきっかけだ。
私も…国民の誰もが、諦めることを放棄した。故に今のレゼリアがある。我々が愛した国が、ここにある。 」


フレイミス「……(既視感のある話を思い出すのにそれほど時間はかからなかった。数時間前に出会ったばかりの光姫本人が自身に語ってくれたことと、一致していたからだ)……な、なあ……?その話だけど…もっと詳しく―――――(前のめりになりかけたその時―――) 」

カブトムシエレン「ヨジヨジヨジ… ガシャガシャン! (外の塀をよじ登り、あのカブトムシが鉄格子の窓から顔を覗かせてきたのだ)ググググッ……スポンッ☆(小さい体を自ら鉄格子の隙間にねじこませ、何とかすっぽりと監獄内へ侵入する) \ ッデーーーーーーン! / (助っ人参上と言わんばりに偉そうな態度でフレイミスの前に降り立つ) 」

フレイミス「あっ!!!お前…!!何でここがわかったんだ……!? 」

カブトムシエレン「 ツンツン (自分の鼻を指す。カブトムシの嗅覚を舐めるなと言いたいらしい)ギョイーーーーーーーーーーーン!(そしてなんと!自慢の角が伸縮自在であるかのように勢い良く伸びたかと思えば檻から飛び出したところで柔軟に曲がり、鍵穴に角先を突っ込む) ガチャガチャガチャ……ガコンッ!(器用な角捌き?でなんと解錠に成功。無表情のままドヤ顔する) 」

フレイミス「おおっ!よくやった…!よしっ……ググッ、ガシャンッ!(少しの力を加えるだけでいとも容易く手錠を破壊する)こうなったらその光姫さんに直接会って本当のことを離した方が手っ取り早く解決するかもしれねェ… アンタはどうする?(囚われの衛兵に) 」

悪魔博士「おう少年!俺様も助けやがれ!!HO!言っておくがよ!俺様を助けてくれたお礼に、ミニミニ世界を支配させてやるでNO!こぉんな国の住民共なんか、みんなミニミニにしてやってな…ヘヘッ!みんなトカゲ星人の奴隷になるんだ!(隣の檻の中に閉じ込められている) 」

カブトムシエレン「ビョイーーーーン!(悪魔博士に無慈悲のトルネードスロー(※甲虫王者ムシキングの技)) 」

悪魔博士「うおっ!?なにすう!?っはあああああああああああああああああ!!!!(くたばる) 」

桜小路きの子「(悪魔博士だったものに寄生するかのように生える) 」

囚われの衛兵「……!脱走するというのか…確かに、光姫様にとりあってもらえばあるいは…というところだが…そう上手くいくとは思えない……―――!(何かを閃くように顔を上げる)そうだ…!私の正装を着込んでいくといい!そうすれば君は少なくとも新米兵士として一部の衛兵の目を欺けるはずだ…! 」

フレイミス「いいのか…?アンタも一緒に来てくれれば… 」

囚われの衛兵「脱走者が二人…並んで表を出歩くのは危険だ。それに私は顔をある程度知られているが、君は違う。誤魔化せる理由には十分だ。さあ、私のを持って行ってくれ…! 」


※少年着替え中※


フレイミス「おお、すげえ…(衛兵から正装を拝借する。成人用のためかなりぶかぶかすると思われたが、衛兵の手を借りん辛うじて違和感を抑えることができた) 」

囚われの衛兵「…よし、多少よれてはいるが…そこまで問題はないだろう。先も言ったように、この国の上層部ではしばらく侵入者を許したことはない…故にこの場内には看守がいない。私個人としてはいかがなものかと思うが…今はむしろ好機と捉えるべきだ。地下を抜けたらなるだけ他者との関わりを避けて城外へ出るのだ。光姫様は基本的に外を巡回しておられることが多い。衛兵の数が多い城内で探すよりはよっぽどリスクを回避できるだろう。 」

フレイミス「わかった…何から何までありがとな…!っと、お前もな…!一緒に来るか?(カブトムシエレンに) 」

カブトムシエレン「 ヒョイッ (フレイミスの誘いを受けて彼の背中にしがみつき、さっさといくぞ!とイチゴ味のペロキャンを指示棒代わりに指し示す) 」

囚われの衛兵 → デック「気にするな。助け合ってこそのレゼリア国民だ。それに…君がここに連れ込まれた理由は知らないが、とても何か悪さを企んでいるようには思えない。私はデックだ。君の名前を、避ければ教えてもらえないだろうか? 」

フレイミス「 フレイミスだ。ちゃんと真実を伝えて…あとでデックさんのことも助けてやるからな…!そこでもうちょっとだけ待っててくれ…!(はにかんだ笑みを一つ残し、親衛隊の正装を纏った少年がカブトムシを背負って監獄を颯爽と後にした) 」

デック「………武運を祈るぞ、フレイミス。 」

悪魔博士「俺様も後で助けにこーい!こいこーーーーい!!(きの子に寄生されながら横たわっている) 」



― レゼリア城内 ―


親衛隊・隊員『(厳かな雰囲気漂う城内。通路や脇道、兵舎部屋に何人もの兵士が巡回している)』

フレイミス「ぁー……(うじゃうじゃいんなぁ……一応変装はしているがなるだけ目立たず避けていきたいところだ……)(余所余所しく柱を背にして衛兵が巡回している通路を覗き込む) 」

カブトムシエレン「 グイグイ (あっち、と伝えるように角先矢印代わりに伸ばして指示を出す) 」

フレイミス「ん…あっちの方が人が少ないか…?わかった(エレンの指示通りに遠回りに脇道からずれて庭のほうへと出る) ……おっ!確かに兵共が見当たらなくなったな…よし、このまま突っ切ってやるか……ん?(意気揚々と小走りで駆け抜ける最中、ふと何かに視線を奪われる) 」

×××「 ♪~ (庭の花園…そこに並ぶ木の下の根本に腰を下ろして足を延ばしている一人の少女がいた。美しい翡翠色の長い髪を、黄色いリボンで一本に束ねたドレス衣装の少女。見たところ兵士ではないが、厳かな城内には似つかわしくないほどに朗らかな笑みを浮かべる少女は、今どきの女の子らしくスマートフォンを両手に文字を打っていた) 」

フレイミス「ザッ、ザッ、ザッ…――――(兵士…じゃないな… 女…?見たところ俺より年上っぽいが…)(小走りで駆け抜けながら、木影で憩いの時間を過ごしている少女を凝視していた) 」

×××「―――――?(芝生を踏み鳴らす音に顔を上げ、フレイミスの存在に気づく。こちらを見つめる小さな背丈をした衛兵を、少女は不思議そうに小首を傾げながら立ち上がる)―――――― ねえっ! (そして、横切ろうとしたまさにその瞬間で、フレイミスを呼び止めた) 」

フレイミス「(ギクゥッッッ)(少女の呼び声に思わず硬直し足を止めてしまう) 」

×××「…………ぅ~~~~~ん?(急停止したフレイミスの周りを、ドレスのスカートをひらひらと躍らせながら回りながら四方八方から舐め尽くすように見つめる)…………貴方……ううん、君……見たことない顔かも…?もしかして、新人さん?(微笑みながら両手を後ろに回し、少年との距離を詰めていく) 」

フレイミス「(Σギックゥッッッ!!!)…そ…そうだ…アジャナカッタ…そ、そうであります…!!(ぎこちない挙動でビシィと背を伸ばすが、意地でも目を合わせないように頭上を一直線に見つめる) 」

カブトムシエレン「(演技下手くそで草と思いながらフレイミスのリュックサックのフリをしながら静かにキャンディをぺろぺろしている) 」

×××「へぇ~…ふぅ~~ん……?(目をじんわりと細めながらどこか悪戯っぽく口角を釣り上げる)じゃあ…私のフルネーム……言える? 」

フレイミス「(へヱ˝!?!?!?!?)(仰天する)……タラタラタラタラ……💦(いや誰だよお前知らねえよおおおおおぉぉぉ!!!この国で知ってる名前なんか二人しかいな―――――)(もうどうにでもなれ精神である人物の名前を口にする)………こ…光姫様…でありますか……!? 」

×××「………………プッ…!あははっ…♪(フレイミスの回答にたまらず吹き出してしまう)あっれれぇ~…?おっかしいなぁ~……確かに…光姫って、私と同じポニーテールだけど…髪の色は赤色だったと思うんだけどな~~?私の髪、赤く見えてる~?(わざとらしく詰め寄っていく) 」

フレイミス「(嗚呼……終わった……すまねえ、デックさん……俺、ダメだったよ……orz)(観念したように悲壮感丸出しで瞳を閉ざす) 」

×××「…ふふっ…♪(ちょっと可愛いかも…♪あ、そうだ……♪)(フレイミスの分かりやすい表情差分を愉快そうに見つめている中で何かを閃いたように目を大きく見開いた)むむむっ…君はなんだか怪しいねぇ~?じゃあ、バツとして私の部屋に来てもらおうかなっ…♪(そう言うとぐいっと細い手でフレイミスの手首をつかみ、どこかへ小走りで向かい出す) 」

フレイミス「えっ、あっ…?!ちょま…っ……!(また捕まっちまうのかよぉぉ~~~~~~!!!)(成す術もなく連れていかれる) 」



― レゼリア城内・とある王室 ―


×××「 パ タ ン ッ … ! (両開きの出入り口をしっかりと閉じる。少年少女二人きりの広すぎる室内へとフレイミスを誘い、改まった表情で向き合った) ふふっ…緊張しないで。ここは私の部屋だから、兵のみんなはいないよ。リラックスしてね…♪あっ、そうだ…!紅茶とかクッキーとかあるんだけど…良かったら食べてく?この前スフィアードから美味しいのをプレゼントされてねぇ~(豪華な棚に手を伸ばし始める) 」

フレイミス「………あ、あの……っ……俺、は……いったいどうすれば……(ダラダラ……) 」

×××「……?ああ、そっか…!ごめんねぇ。まずは…自己紹介からしよっか♪ 」

××× → ホタル「 私は『 ホタル 』。本当の名前は「サキエル・ロウ・ナイル」。でも、好きな人がつけてくれた「ホタル」って名前の方が、私は好きなんだ…♪好きな方で呼んでいいよ?でも…今度からちゃんと覚えてね?(かしこまるフレイミスの緊張をほぐすように愛嬌のあるウインクを飛ばす) 」

フレイミス「……ホタル、か……(その名前に、少年は何となく気づく。彼女の長く麗しい髪、その煌めきが蛍色のようであったから、と―――)……あ、ああ…すまねェ…いや、すみませんであります!お、俺は―――― 」

ホタル「くすっ…♪楽にしていいよ。君がお城の兵士さんじゃないことも…国民でもないことはわかってるから。だから、ありのままの君を教えてほしいな…♪(屈託も裏表もない純粋無垢な笑顔を振りまく) 」

フレイミス「……!(あるいは最初から、一目見た時からすべて見透かしていたであろうホタルに驚きを隠せなかった)………俺は…フレイミス。フレイミス・ティルク・カオスだ。(深呼吸一つをし、落ち着きを取り戻し、自らを偽らず名乗りを上げた) 」

ホタル「……!「カオス」……(その名前に何かを感じたのか、一瞬高鳴りかけた心臓の鼓動を抑え込むように、胸元を両手で添え抑えた)……どこから来たの?(紅茶を淹れながら尋ねてみる) 」

フレイミス「……………未来…………と言っても、信じちゃくれねえよな…… 」

ホタル「……?へぇ~…!そういう人に会うのは初めてかも…♪本当に未来から来たの…?♪(その瞳に好奇心の輝きを灯す) 」

フレイミス「……ああ… 今からずっと遠い未来からだ。(信じてもらえるかどうかも怪しい話に好奇心を抱くホタルに驚きつつも話を続ける) 」

ホタル「そっかぁ……だから、私のこと知らなかったんだね…(ふむふむ、と納得したように相槌を打つ)そちらの小さい子はお友達?可愛いね♪クッキー食べる? 」

カブトムシエレン「 😊 (お行儀よく椅子に座って大量のクッキーが盛られた皿を前に手足をばたばたさせる) 」

ホタル「さあさあ、フレイミスも座って!まずはお茶にしよっ?(ずっと案山子のように突っ立っているフレイミスの両肩にてをのばし無理矢理椅子に座らせる)紅茶は飲める?オレンジジュースも用意したから、遠慮なく召し上がってね…♪(自分も向かいの席に腰かけ、ニマニマと笑顔を浮かべながらフレイミスの顔を見つめている) 」

フレイミス「(リラックスしづぇぇぇぇぇぇえええ~~~~~~~~~~ 俺一応部外者だし脱走犯なのになんでこんなとこでのんきにお茶とかしばいてんだ……つーか喉通らねェよぉぉぉ……)(変な汗を流しながらホタルの視線から目を反らす) 」

ホタル「ふふっ…まだ緊張してる?大丈夫大丈夫!君のことを取って食おうとは思ってないから!ただその前に、ちょっとだけおしゃべり相手になってくれる…?実は私さ…今謹慎処分?っていうの?缶詰め状態?っていうのかな…?レゼリアの王政を徹底機に学ぶように光姫にうるさく言われてて…しばらく城の外へ出かけられないんだぁ~…(はぁ…と心底退屈そうに溜息をつきながらティーカップに手を伸ばす) はぁ……王女サマってのも楽じゃないんだよなー……ぶつぶつ…ススス……(不服そうに糸目になりながら紅茶を啜る) 」

フレイミス「そうなのか……アンタも苦労してんだな……(オレンジジュースに手を伸ばして少しずつ喉に流し込む)………?(ん、今なんつった……???)( 「はぁ……王女サマってのも楽じゃないんだよなー……」 ) Σブフゥーーーーーッ!!!!!! (数秒前のセリフを思い出して思わずあらぬ方向へジュースを吹き出してしまう)ゲッホゴホァッ……!お、お、王女おぉ!?(待てよ…そういやさっき「サキエル」って言ってなかったか…?確かデックさんが言ってた国王の娘って……まさか……!!) 」

ホタル「ふぇっ!?だ、大丈夫…?(吹き出したフレイミスにハンカチを差し出す)あれ…?言ってなかったっけ…??あ、そっか…!私のこと知らないんだもんね…当然か……!ごめんごめんっ!(てへぺろっ☆) でも、王女だからって気を遣わないでね?むしろ遣われると嫌というか…距離感を感じて寂しくなるというか……お友達感覚で接してくれると嬉しいなって♪ 」

フレイミス「(受け取ったハンカチを申し訳なさそうに受け取って口元を拭う)マジかよ…いやそう言われて急に馴れ馴れしく話しかけんのはさすがに俺でも抵抗あるわ……仮にここで仲良くなったとして、国のみんなはよく思わねえだろ! 」

アルミナ「 いや、私はよいと思うぞ (しれっと四人掛けのテーブルの空席に居座る一人の男…翡翠色の髪の一部に白髪がかかった老翁とも取れる年配の男性が、いつのまにか会話に同席していた) 」

フレイミス「Σえっアンタだれぇ!? 」

ホタル「あっ、お父様…!(意外そうな顔はするがそこまで驚いていない様子) 」

フレイミス「Σお父様ぁ!?(アルミナを二度見) 」

カブトムシエレン「 チンッ♪🍻 (アルミナとジュースグラスで乾杯し合っている) 」

フレイミス「Σなんでもう仲良くなってんのお!?(エレンとアルミナを見て) 」

アルミナ「ははは、愉快なティータイムが廊下まで聞こえてな。ついついこそっと入ってみてみれば可愛らしい客人とサキエルが楽しそうに会話していたからな。たまらず入ってしまったよ。(コーヒーカップでエレンと乾杯してぐいっと喉に通す)……うん、どう味わってもコーラだなこれは。サキエル、まだまだ嫁に出すには早いようだな。(ハハハと乾いた笑いを上げる) 」

ホタル「えっ、コーヒーだと思ってた!ごめんねお父様!今お砂糖用意するから! 」

フレイミス「Σそこじゃねーだろ!糖分多めの飲みもんにこれ以上糖分増してどうすんだよ!! 」

アルミナ「心配いらないよ少年。私はもう重度の糖尿病だ。今更構うものか。 」

フレイミス「Σ構えよ!!!飲むんじゃねえよ!!! 」

エレン「 ( ᓀ‸ᓂ)σlllllllll  (持て余したクッキーでドミノ倒しをしている) 」

フレイミス「Σ食いもんで遊ぶなお前は!!!! 」

悪魔博士「俺ぁ悪魔博士だよ!!(脱走犯) 」

フレイミス「Σテメェもしれっと脱走してんじゃねえよ!!(なりゆきで悪魔博士を窓外へ蹴落とす) 」

アルミナ「さて、フレイミス君といったかな?はじめまして。私はレゼリア国の現国王「アルミナ・ロウ=レゼリア」だ。サキエルが自分の部屋に客人を…それも初めてお会いする君のような子を招くのは珍しいことだ。お互い警戒することはないということだ、ゆっくりくつろいでいってくれ。 」

フレイミス「あ、えと……はじめまして……(急に委縮したように落ち着きを取り戻す) 」

アルミナ「ところでサキエル、勉学の方は捗っているか?数年後に控えた世界首脳会議…5年に一度開かれるこの国際会議に、次は私に代わりお前が出席することになるんだ。私はまだまだ現役だと言い張りたいが…歳には抗えん… お前を甘やかして王政を継がせる責務を遅らせてしまったのは私の責任なのだが… 」

ホタル「う、うん…っ!がんばってるよ!でも…結構難しくて…気分転換にお外へ散歩に出かけたいのに、光姫ったら頑なに外に出るなー!って閉じ込めるんだから…… だから、フレイミスみたいに外からお客さんが来てくれて嬉しかったの…♪(ここでフレイミスの方へ振り返りふふふと朗らかに微笑む) 」

アルミナ「そうか……そうかそうか……(そんな娘の様子を見て安堵したように静かにほくそ笑む)………本当に、すまないな。すべてを押し付けるわけではなかったが……皮肉にも、そのせいでまた…おまえをここに閉じ込めてしまうことになるとは……(厳かな横顔に、陰りが移ろう) 」

ホタル「………気にしないで、お父様。私、もう平気だよ?過去は過去。今は…大好きなこの国とみんなのために…私が頑張らなくちゃいけないんだから。もう…記憶を閉じ込めていたあの頃の私はいない。今は未来に向かって羽ばたくために、うんと助走をつける時だってわかってるから。(なんともないよと言い聞かせるようにぎこちない笑みを零す) 」

フレイミス「…………(急に流れ出す気まずい空気に、口に含んだジュースが喉を通らない)……ゴクリッ…… その……えっと……すんません… 俺、部外者だから……あまりこの国のことをよくわからなくて…… 何か…あったんすか……?(恐る恐る問いかける) 」

アルミナ「………サキエル……良いか…? 」

ホタル「うん、私は平気だから。 」




アルミナ「………(コーヒーカップを受け皿にことりと置き、イスに深く凭れ掛り神妙な顔つきで天井を仰ぐ)………今より数年前のことだ。この国の王妃……私の妻が、暗殺された事件のことだ。 」

フレイミス「……!(監獄でデックから聞いた話が脳裏を過る) 」

アルミナ「レゼリアは度重なる重苦に耐え忍んだ歴史を重ねてきた。だが、その中でも二度の深い傷を負った。一度目は戦争による大敗で国が滅びかけたことだ。だがそれは国民たちが奮い立ったことで、長い年月を経て乗り越えることができた。しかしそこから数年後…私とサキエルにとっては最も愛おしいものを失うことになった。それが二度目の傷…王妃の暗殺事件だ。 」

アルミナ「王妃は…妻は……多くの国民たちに慕われていた。だが、ある日突然…彼女はその命を落とした。死因から他殺。即ち暗殺だと気づいたとき、私はしばらく立ち直ることができずにいた。だが、それ以上にもっと恐れていたことがあったのだ。母の死を…当時幼かったサキエルがこの残酷な事実を受け入れられるかどうか、だ。私は……結果的に伝えることを恐れ、娘を安全な城の奥に閉じ込めることしかできなかった。それで娘が深い傷を負うことはなくなると、あの時の私はそう思っていた… 」

ホタル「………… 」

アルミナ「だが、その判断は誤りだった。長い間娘を閉じ込め続けたせいで…サキエルの精神は過剰なストレスによって荒みかけていったのだ。良好な関係を築いていた兵士たちとも口を交わす機会を設けられず、私自身も彼女に構ってあげられる時間すら設けることができないほどに字意見の処理に追われていた。誰一人として、娘の心の拠り所となる者がいなくなっていったのだ。そしてある日…サキエルはついに我慢の限界を迎え…国を脱走した。 」

アルミナ「娘が城を抜け出したことで、当然国内では大騒動になった。そこで私は、自分が浅はかな父親であったことを痛感した。取り残された大事な娘すら守れなかったのだ。決死の捜索活動に徹した。1週間以上かかったある日…サキエルは帰ってきた。新たな心の拠り所を見つけてな。 」



「 お前……名前は…?  」

「 ……わかんない…  」

「 帰る家はあるか…? 」

「  ……帰りたくない…… 」

「  ………じゃあ、さ……俺のところに、来るか…? 」

「  ……! 」



アルミナ「……のちに判明したことだがな…国を抜け出したサキエルは、過度な精神ストレスによって、一時的な記憶喪失障害を患ってしまった。自分の名前と故郷を忘れ…だが、本能的にあるべき場所へ帰ることを強く拒絶した。だが…そんな娘も、奇跡の出会いによって少しずつ心を開くようになり…失いかけた記憶を取り戻していった。その頃だったな…サキエルが、『ホタル』という素敵な名前になったのは。 」

アルミナ「だが…運命の残酷は再び引きおこる。寄せては返す波のように。妻を暗殺した犯人が…ずっと狙いを定めていた娘が脱走したタイミングを見計らい…その命を奪おうとしたのだ。 」



「  サキエル・ロウ・ナイルを発見。我がマスターの命令により――――抹殺いたしマース  」

「  このままじゃ埒が明かねえ…… いけッ、カオス!!ホタルを連れてレゼリアへ向かえッ!! 」

「  [[バルザ]]お前…どうする気だ……!?  」

「  ヘッ…こんなポンコツロボ…俺一人で十分だろ…!わーったらささっといきやがれ!!親父さんに本当のこと伝えんだろ!? 」

「  ………わかった…… 行くぞ、ホタル!!  」

「  バルザくん…!う、うん…っ…!  」

「  何処へ逃げても無駄デース!邪魔者もターゲットも、全員排除しマース!  」

「  来いよ……――――こっから先は行かせねぇぞおおおあああッ!!!    」



アルミナ「―――……そうして、勇気ある少年たちがサキエルを守り抜いてくれたおかげで、私は再び娘と心から向き合うと決めた。そして誓った。これから先…たとえさらに深い傷を負うことになろうとも…もう、涙は流さない。涙を流すのは…娘が本当の幸せを掴んだ時にしようって… 」

アルミナ「 「サキエル」も…「ホタル」も… 私にとってこれ以上ない大切な存在だ。だが、彼女はもうただの少女ではない。母の遺志を継いで、一国の未来のために逃げることをやめた立派な王女になろうと心を強く決意したのだ。その道は…確かに今は困難かもしれない。だが、もう憂いも恐れもしない。なぜなら…――――― 」

ホタル「――――― 大切な人たちに、私は囲まれているから。私を愛してくれる国中のみんな…外の世界でできたたくさんの友達…そして……初めて好きになった人… みんなが、いつだって傍にいてくれるから。私はもう前を向いて歩いて行けるんだって、強くなれた気がしたんだ。 」

ホタル「……お父様…私、今でもすごく感謝しているよ。だから、頑張るよ。これからこの国の未来だけじゃなく…世界全体を良くしていくために、もっと外の世界の人たちと繋がらなくちゃいけないから。もう戦争で悲しい思いをしないように…大切な誰かが失うことのないように…私ができることで、ここから少しずつ変えていきたい。首脳会議でそう胸を張って伝えられるように、精一杯頑張るからっ…!(陰りを吹き飛ばす太陽のように眩しい笑顔を浮かべる) 」

アルミナ「………我が娘ながら、大きく成長したな。(皴だらけの厳かな表情が、くしゃりと破顔する) 」

フレイミス「………(そして少年は知る。この国が受けてきたその深い傷跡を。光姫やデックが語っていた真相の続きを。幼くも一国の王女として立ち上がったホタルの想いに触れ、この国が今日まで繁栄を築き上げてきたその歴史の重みを思い知る) 」

フレイミス「(俺のいた時代では…レゼリアはもう影も形もない伝説となっていた…けど、未来は所詮、未来だ。過去とは違う。変わる可能性がある。だから俺も、過去を通じてその可能性を掴みに来たんだ。ずっと一人閉ざされていたホタルが、今は外の世界にいるたくさんの人たちと繋がりたいと望み、自分で斬る可能性を信じ続けている。未来が変わることを、誰よりも強く信じている。そうだ……俺も……そうあらなくちゃいけない。どれだけ痛みを重ねてきても、どれだけ小さな足幅でも、進み続けなくちゃ未来はやってこない。) 」

フレイミス「………フッ…… ありがとう…ホタルさん、アルミナ王…… 俺がこの国に来た本当の目的…貴方たちの話から得られるとは思わなかった。 」

フレイミス「――――ホタル!(思わずががばっと起立する) あんたなら…きっと立派な王女になれる。俺はそう信じてる。あんたが示す生き様を…俺も倣って生きていくよ。この先の未来へ、ずっと… 」

ホタル「……!うんっ…ありがとう…♪フレイミスが何かを大事なことを掴めたのなら…私も嬉しいよ…♪(何かを確信得たように立ち上がったフレイミスを見て最初は驚きこそはするが、すぐにその真意に気づいたのか、友好的な眼差しを浮かべてほくそ笑む) 」

フレイミス「ああ…! ………? (衝動的に立ち上がったことで、目先にある何かの存在に気づく)………これは……(それは、ホタルの部屋の壁にかけられたいくつもの額縁。たくさんの写真が飾られている。国民や衛兵たちとの写真、友達と思わしき者たちとの写真、恋人と思わしき青年とのツーショット、幼き日に撮ったであろう三人の家族写真……だが、そんな中で、ひとつ気になるものがあった) 」


フレイミスの目に留まった一枚の写真… そこには、国王アルミナと友好的な握手を交わす金髪の青年の二人を写したもの。
金色(こんじき)の髪に、ルビー色の瞳…そして、どこか見覚えのある黒いマント。男は、紳士的な笑みを浮かべてアルミナと向かい合っていた。
その写真を見て、少年の中で不確かで確かな直観が過った―――



フレイミス「……………『 親父 』……っ………? 」

ホタル「……?(どうしたの?と硬直したフレイミスの背中から覗き込むように、その写真を見つめる) 」

アルミナ「嗚呼…懐かしいな……(ホタルにつられて額縁のもとまで歩み寄っていく)……『彼』はね、私の同胞だよ。もう何度も深い縁を築いてきた。隣国との外交が上手くいかなくて難航していた時、その仲を取り持ってくれたりしてな… さらにはレゼリアが窮地に陥った際に、いの一番に駆けつけてくれたのが『彼』だった。母国ではないが、まるで自分の故郷であるかのように国や民人のすべてを愛おしく想ってくれていた。 」

アルミナ「……もう何度救われてきたことだろうか……そうだろう…―――――――『 ヴィナミス 』?(まるで懐かしむように、色褪せかけたその写真に話しかけた) 」

フレイミス「………っ………(何度も目を見開いては、開いた口が塞がらない。父がレゼリアによく赴いてたいという話は、未来の母親から何度も聞いたことがある。そして、事実は確定した。追い続けていた父を、写真でしか拝んだことのなかった顔と一致していることに、これまで以上に身震いが止まらなかった) 」

アルミナ「………少年、どうしたのかね?この男が、そんなに気になるかね…? 」

フレイミス「……気になるも何も……これは……この写真の人は……俺の……俺の……『親父』なんだ……っ…… 」

アルミナ「(ここで初めて怪訝そうに眉をひそめ、フレイミスの顔を見下ろす)………すまないが少年、名を何という…? 」

フレイミス「……フレイミス… 「フレイミス・ティルク・カオス」だ……  」

ホタル「フレイミスはね、未来から来たんだって…!最初は信じられないと思ったけど…でも、この子が嘘をついているようには思えなくて。それに……なんでかな…私も、フレイミスのフルネームを聞いて…なにか、特別なものを感じた気がするの。 」

アルミナ「………(フレイミスの本名、そしてホタルの供述を受けると、感嘆したような浅いため息をついて再びその写真に目を向けた)………あの男とは何度も談笑を重ねてきたが……息子がいるとは聞いたことがなかった…… そうか……それが未来の話だというのなら……なるほどあながち嘘ではないのかもしれない。君が…どうやってこの時代に来たのか…あるいは本当に彼の息子なのか、我々には知る由はないが…一つだけ、確信できるものがある。(そうしてフレイミスに再び視線を落とす。彼の眼差しを見つめると、続けて身に纏っていた黒いマントに目を移した) 」

アルミナ「失礼…(フレイミスへ近寄るや否や、その黒いマントの端を手に取り、まるで鑑定士のような鋭い眼光で凝視する)…………そのマント………ああ、間違いない… 彼がよく身に着けていたものだ… レプリカにしては出来過ぎているくらいだが、その年季の入り具合はまごうことなき本物… 」

アルミナ「……ああ……そう、か……時を超えて……『お前』はもう一度……私に会いに来てくれたのだな……フ、ハハ……(今にも泣きそうなほどに声を震わせる) 」

フレイミス「………教えてくれ…いや…教えてください、国王様。親父は……親父は今も、この時代に生きているんですか……?(意を決したように、喉に詰まった疑念を吐き出す) 」

アルミナ「…………… 」

ホタル「…………(黙り込むアルミナの様子を伺い、何かを察したように思わず伏し目がちになる) 」

フレイミス「……っ……?な、何か知っているんですか……?頼みます……!俺、親父のこと…未来でも何も知らなくて……!この時代に来たのだって、その手がかりをつかみに来たようなもんなんだ……!なんでもいいんだ…!些細なことでも…!お願いします……!!(縋りつくような眼差しでアルミナの顔を見上げる) 」

アルミナ「……………………… 」

アルミナ「…………少年…いや、フレイミスよ。君が、本当に『彼』のことを知らないというのなら……今から話すことは、きっと君にとって残酷な事実になる。その結末を……最後まで聞き入れる覚悟はあるか? 」

フレイミス「……どういう……ことですか…っ……?いや…なんだっていいんだ……!親父は……俺が産まれる前に消えてしまったって……だから…っ… 本当のことを知りたい…… 俺が産まれる前のこと……親父が何をしていたのか……どこへいってしまったのか……!だから…ッ…!! 」

アルミナ「…………(ヴィナミス……お前も私も、酷な男だ… 未来ある若者たちにこのような形で遺していくなど……)(縋るように見上げるフレイミスと、そんな彼を心配そうに見つめるホタルを見比べ、決断したように肩の荷を落とした) 」

アルミナ「…………わかった… すべてを、語ろう。君の父君……この世界の英雄が……その最期に何を残したのかを…… 」


あれは……"ほんの数か月前のこと"だった―――――――




― 数か月前・カオス界・某戦場 ―




『 う˝ お゛ お゛ お゛ お゛ お゛ お゛ お゛ お゛ お゛ お゛ お゛ お゛ お゛ お゛ 』


乾いた広大な大地に、軍靴の足跡を広げ、地鳴りのような進撃が響く。
轟く銃声。響き合う衝突。鳴りやまぬ砲撃。途絶えるのは絶叫。
硝煙と血肉が焦げるような腐臭が充満する中で、また一つ事切れた命だけが物言わぬ踏み場となっていく。


「殺せ」「屠れ」「蹂躙しろ」


色鮮やかな民族衣装を纏う一騎当千の戦士たちと、黒い軍服と重火器で統制された無情なる兵隊たち。
両勢力が入り乱れ、互いに殺し合うここは――――― 戦場 。


「迷うな」「怖れるな」「進め」


この日、ケイオス侵略を目論む地球軍『 CIA 』がついにカオス界へ攻撃を開始した。
ケイオスを第二の地球とする為に、その支配を掲げて狼煙を上げた。


「総員、プランEを実行。隊列を崩さず防壁を作る」「了解(ラジャー)」「航空B3小隊が撃ち落とされた、至急増援を求む」


この進撃に迎え撃つは、『マイテイ国』が誇る騎士団。
否…もはや騎士団員のみならずとも、マイテイの国民全員が国王の一声に賛同し、一国として立ち向かうことを決意したのだった。


「行け行け行けェーーーッ!!」「我ら戦闘民族の意地を思い知らせてやれェ!!」「突撃しろおおおお!!!」


これは、自由を謳う混沌と、支配を貴ぶ秩序を掲げた者たちによる、凄惨な戦いの歴史―――――


レインド「……『あの野郎』…まだ諦めていなかったのか。(戦場を一望できる傾斜面の高台。既に突撃から数分が経過し、未曽有の大混戦と化した戦況を冷静に俯瞰しながらも、その鋭い相貌に冷ややかな怒りを滾らせていた) 」

カオスマスター「(バサリ、と黒いマントを靡かせながら馳せ参じるのは、この当時まだ存命であったカオス界の神と呼ばれた伝説の男。いつもの衣装ではなく、マイテイ国騎士団に所属していた名残の正装を纏い、再び戦場に返ってきたというように厳かな眼差しで戦況を俯瞰していた)……状況はあまり芳しいものとは言えません。敵軍は臨機応変に隊列を切り替えながら、こちらの攻撃に対し柔軟に対応している。それに…あちら側が開発したであろう四次元空間を介して兵器を次々と投入している模様… 戦力の全貌が掴めない以上、要警戒態勢で臨まねばなりません。 」


「ぼ ん っ」 ―――
唐突に、どこか気の抜けた音と共に、前線から離れたマイテイ国軍後方、防御魔法を担う魔術型マイテイ人達の陣地から、『地球軍の使用する発煙筒』の煙が上がる。
それが意味するのは、即ち――――


モルボー「なんだ――――?(結界術に秀でた魔術型マイテイ人の男性。少数人で陣形を組んで防御魔法の展開維持を行っていたが、至近距離で何かがうちあがる音を聞いて振り返る)発煙筒…?誰だ、あんなものを打ち上げたのは?作戦で勝手なことをするなと―――― が ッ ! ? (気が付けばその体にはいくつもの風穴が開かれていた。周囲にいた同胞たちもすでにやられていることに気づいたのは、絶命に目を閉ざすその瞬間であった――――) 」

バレル「(マイテイ国市民の一般的な服装の上に迷彩柄のポンチョを羽織り、短機関銃を背負った姿で、発煙筒の火元から離れる様に移動しながら、無線機を口の傍に宛がい)―――こちらブラボー、重要ターゲットの制圧に成功。ポイントへの爆撃を要請する、オーバー。(無線を切った後、手元のグリップスイッチを数回握り込み)さて、目立った所で花火を上げるとしようか……どかん、だな 」


ド  ッ  ゴ  オ  ォ  ォ  ン ! ! (耳を劈く様な轟音が響き、その後方陣地の彼方此方で爆発が起こる。防衛設備を、後方支援に当たっていた予備兵力を、防空を担っていた魔術型マイテイ人達を、次々に爆炎で吹き飛ばした、その悲鳴と轟音に紛れて、上空から落下音が微かに響き………)―――ひゅるるる……


ゴ ッ ————————ド ォ ォ ォ ォ ォ —————ン………(発煙筒を目印に、上空から大型ミサイルが叩き込まれる。その爆発は、施設や人員を吹き飛ばした先の物を優に超える威力で……『陣地そのもの』に壊滅的な打撃を与えるのに、十分な威力を有していた)


レイミィ「―――――― き ゃ あ あ ぁ ッ ! ! (戦場に突如投下された爆撃、その余波だけで地面を何度もバウンドしながら吹き飛ばされていく)…っ…はぁ……はぁ…… (たくさんの絣傷を刻み、土塗れになった体を奮い立たせるように起こしていく)……そん、な……っ……(レインド……レインドは無事なの……っ…?)(戦場の中央で一人、誰も彼もが目の前の敵を狩ることに集中している中で、焦燥感を募らせていた) 」

バレル「ゲッホ、ゲホ、ゴホッ……もう少しラグがあると思ったが、優秀なのかせっかちなのか……(爆撃の後、せき込みながら地下から顔を出し)……部隊の人間を先に逃がして私が最後に残ったのは正解だったな。浸透戦術に成功したのに誤爆で被害が出るなんて笑えもしない。さて……向こうの増援が来る前に、残飯を片付けて私も逃げないとな(背負っていた短機関銃を構え直し) 」

ドーズ「……不味いですね…一刻も早く敵の本陣を落とさねばなりません。( ギュオンッ――――)(一方、戦場の前線を狩る一人の剣術型マイテイ人が、空爆による被害を遠めに家訓んして踵を返すように駆けだす。ちょび髭が特徴的な男性が西洋剣を手繰り寄せ、右手首の身を華麗に振り回し始める) フ ァ ル フ ァ ル フ ァ ル フ ァ ル ッ ! ! ! (それは宛ら芝刈り機の如く剣を片手のみで高速回転させ、CIAの特攻兵たちを一瞬のうちに撫で斬りにしていく) 」

CIA特攻隊『 がッ゛  ごぉ゛ ぅん゛ッ˝  ひォ゛ ぎゃ˝  (瞬く間に肉片として捌かれていく兵隊たち。いくら武装していようが、所詮は地球人。生まれながらに並外れた身体能力を持つマイテイ人を相手にするのは困難を極めていた)』

ドーズ「振り返ってはなりません。前衛部隊、突撃せy―――――― チ ュ ン ッ (士気を立て直そうと血塗れた剣を虚空に撫で払い、その切っ先を前面へ突き付けた直後、思考が急停止する) ド サ ァ … ッ … ! !  (開眼したままその身が傾倒し、地に伏す。狙撃によって撃ち抜かれたであろう頭部から滲み出す鮮血が赤い湖を作り出している。確かにマイテイ人のスペックは地球人の比にならない。しかし、体の構造自体は人間と非なるものであるが、急所は共通する) 」

ラトニカ「ダン!ダン!ダン!ダン!(マイテイ国最前線にて、要所へと退去するCIAの部隊を次々に鹵獲した銃で撃ち抜いて居たが、後方の異変に気付き)……っ、そんな、後方に直接爆撃……?あそこには、防御魔法が展開されていた筈じゃ………まさか、堕ちた……?ま、まずいです、撃たれ放題ですよ……!上から……!! 」

よっちゃん「……やった……やってやったぞおおおおおおおおおおおお!!!!俺が……俺がァァァ……!マイテイの精鋭の一人をよォ……討ち取ってやったんだなァァァァアアアア!!?WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!(CIA側へ寝返った純粋地球人が、兵士から拝借したスナイパーライフルでドーズのこめかみを撃ち抜いたことでHIGHになる) 」

レーイズ「くっそが……クッソがぁぁぁぁああああッ!!!(金髪褐色肌の格闘型マイテイ人の女性が、荒ぶるように鉄拳を血色に染め上げていく。マイテイ人の強さと誇りを侮辱した地球軍の攻めに癇癪が暴走し、大地を穿つ勢いの破壊力で特攻兵たちを容赦なく蹂躙していく) 」

ドナルド?「やぁ!おはよう!お手紙ありがとう!(体に取り付けた風船で飛びながら現れる)ドナルドは今日早起きしたよ!(ハンバーガー爆弾を無差別に降らせる) 」

タイキックさん「戦闘民族?俺ガタイキックデ沈メテヤル!! 」

ピョートル「チッ、クッソ……守備隊は何してやがったんだよ、お仕舞いじゃねえか…!(最前線の防衛拠点にて、兵士たちを次々になぎ倒していたが……爆撃によって、防御魔法の展開陣地が完全に破壊されたことを悟り)……人数を揃えればまだあの術式は使える筈だ、俺が人を集める……ここの防衛は頼む。多分、俺が一番早く人を集められる……じゃあな(そう言うと同時にその場から消える) 」




レインド「(陣地の一つが"落とされた"ことで目つきが鋭く変わる)――――― 俺たちも出るぞ、ヴィナミス  」

カオスマスター「ええ…――――― 久しぶりの共闘と行きましょう、レインド  」


バ ッ / ダ ッ (そして、高台から二つの影が颯爽と飛び出していく。傾斜を滑走する二人は瞬く間の戦場の渦中へとその身を投げうった―――)


CIA遊撃隊『――――!敵将が戦地に現れたぞ!! あの二人だ!討ち取れ! 了解(ラジャー)! (ズダダダダダッ!!!)(サブマシンガンを携えた部隊が横一文字に並列し、レインドとカオスマスターを迎え撃つように一斉射撃を行う)』

イリインスカヤ「 ビスッッ (乾地の足場が動く。ただテクスチャを貼り付けていただけの布切れを被っていた"何か"が上体を挙げ、手にした銃剣の先端に空を走らせる。ただそれだけの動作で付近を移動していたマイテイ人二名の喉笛をかき切っていた。 全身を様々な地形を模した布切れのパッチワークで覆ったこの男の身長は2m50cm、体重150kg、その殆どが筋肉と骨が占める戦闘マシーン。 "地球"において戦闘民族と謳われた純粋なロシア人の傭兵である)――――喜ばしいことだ、そうだろう。 ああ、本当に良かった 」

イリインスカヤ「(腰を低く、まるで地面に埋めるかのようにナイフとMP-443 グラッチを構える。 脱力したその姿勢に相応しく、殺気も生気もないガラス玉のような眼球にレインド・カオスマスター両名の姿を捉え) ―――――俺は地球人類最高水準の肉体を持つ、ギリシャより隔たれた事以外は現代におけるヘラクレスと自他共に認めている。 化け物を屠るのは人の手である、そのようにして神話は築かれるべきだ。そうだろう、ああ。(前方のCIA職員の首根っこを鷲掴みにし、力任せにカオスマスター・レインドへ投擲)  BAMG!! BAMG!! (続け様にCIA遊撃隊のバックルに備えられた閃光弾・発煙弾・手榴弾を撃ち抜く) 」

CIA遊撃隊『きさっっ  なッッ    み "  ッッ   (ほぼ腰を中心に爆散。血と骨肉が四散し、殺傷力が増しているばかりか、目潰しとしても特化したそれが両雄へ降り注ぐ)』

カイル「お前ら、決して手柄を上げようなどとは考えるな!戦闘民族たる俺達マイテイ人が、侵略者共の私利私欲などに屈しない「護る」力が長けている事を思い知らせてやれ!!!(レザーガントレットを嵌め直し、マントを翻して金髪を靡かせる)燃え滾る欲望は世界を超えてでも映るもんか……(前線で拳を鳴らしながら、王としての役目を果たす為、地球人の多数を相手どっていく) 」

レインド「 ヒュッ  ヒュオッ ヒュッ   オゥッ (風を切るような疾走感に加え、吹き付ける強風の流れに乗るように耐え忍ぶ草葉のような柔軟性、そして並外れた動体視力をもって横薙ぎに降りかかる銃弾の嵐を紙一重に掻い潜っていく) 」

カオスマスター「 キンッ カァンッ キィン ガキンッ  (騎士団時代から振るい続けてきた一振りの剣(つるぎ)。年季を感じさせず刃毀れ一つしていない実直の刃ひとつで鉛玉をバターのように裂いては吐き捨てるように弾き返す) 」

レインド / カオスマスター『―――――――(そして、命を愚弄する巨漢が屠った兵隊"だった"者たちの肉片、その所持品である閃光弾や発煙弾などによる目くらましが両者の視界を覆い尽くそうとした時――――)』 」

レインド「 フィリヤースライド ―――― (グッと握り込んだ右の拳に大気中の酸素が吸引され、拳が瞬く間に赤熱する) 」

カオスマスター「 抜剣 ―――― (鞘のない剣による居合い抜きの姿勢。その剣身に闘志を込める) 」

レインド / カオスマスター『  "ブロウ" / "「神鼬」"(カマイタチ)  』


┣¨    ギ ュ˝         才˝       ォ˝      ァ˝  ッ˝  !  !   !    !    (肩を並べる両雄の振るう至高の一撃が重なる。それは大地を焦がす太陽風の熱波のように、大海を揺らし呑み込み竜巻のように、強大な"破壊の塊"が彼らを遮るものすべてを食らい尽くす。その威力は戦場の舞台を"書き換える"ほどに、地球人の想像できうるスケールを遥かに超えていた)


イリインスカヤ「(二の句が出ないとはこの事だ。敵が化け物であることは把握している、それ故相手が『人の身一つで最先端・最大火力の近接兵器級の攻撃を行う』という想定で動いていた。 遮蔽物の配置、接近までのルート、全て計算づくで動いていたし、ここまでマイテイ人の戦士を相手取るに不足したことはなかった。    )  俺は人類最強だ、こんなハッタリで**(確認後掲載)るはずがない。そうだろう、あ"   ッッ                      (故に自身が肉片になるという想定は、なかった。) 」

よっちゃん「は????????  " " " 終わった " " "  (戦場に放たれた驚天動地の一撃の余波に巻き込まれるように他の兵隊たち諸共遥か彼方へと吹き飛ばされていく) 」

民間人「天皇陛下万歳!!!!!!(吹き飛ばされる) 」


――――――― ズ ッ゙ガ ァ゙ ァ゙ ァ゙ ァ゙ ア゙ ア゙ ア゙ ア゙ ア゙ ア゙ ア゙ ア゙ ン゙ ッ゙ ! ! ! ! (地球軍の誰一人として止めることのできない混沌最強の一撃。斜線上に配置されたバリケードはもちろん、被爆の射程圏内にぎりぎり入っていた戦車の重装甲ですら消し飛ばされ…ここまで乱れることのなかったCIAの陣形が大きく崩される事態へと発展した)


いかりや長介「(だいばくしょうじだいのすがた)(軍隊コントの上官の格好で)だめだこry・・・・・・!!!(吹き飛ばされる) 」

臭い最終兵器「ダルビッシュ………戊辰戦争……(CIA側に勝手に加わり、吹き飛ばされる) 」

CIA防衛陣『があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ゛ ! ! !  伝令!伝令ッ!!本陣に甚大な被害が発生!!防衛機構が機能しませんッ!!大至急増援を!!繰り返しますッ!! が…ぁ゛……!ばけ……もの、どもが……ッ˝…… 救護班急げェ!!重傷者を優先に下げさせろッ!!』 」

サイラス「(激戦区から遠く離れた区画。臨時テントが立ち並ぶ拠点にいながら、両雄が繰り出した一撃の余波に煽られ目を腕で覆う)おお……ッ 彼らが動いた……流石は御大……! 今の内です!非戦闘員と負傷兵から優先し車両へ! 医師の先生方も何人か同乗していただきたい!!急いで、さァ!!(マイテイ人、戦士に非ず。しかしこの土地を愛するが故動く善意の人々が、後衛にて一人でも多くの命を繋ごうと奮闘している) 」

CIA観測手「想定以上だな……だが、計画に変わりはない。狙撃と爆撃で突起戦力の排除に当たる。(遠方の丘の上、無線機と双眼鏡を持ちながら、相棒の狙撃手の肩を軽く叩き)……相手は人間だ。12.7mm弾の直撃を受けて、人間の骨格を持つ生物が生きていられる訳が無い……煙が晴れ次第撃て。HQ、指定する座標に爆撃を。位置は―――…… 」

CIA狙撃手「問題ない、派手に衝撃波を出してくれたおかげで、空気抵抗も少ない……距離の割に、簡単なミッションだ。 ダ ァ ン !!!! (大型の長距離狙撃銃の照準をカオスマスターの身体へと合わせ、引き金を引く) 」

ジョン「(CIA観測手と "遠目に目が合う"。偶然だろうか、両手を瞼の上に置いているだけの初老の男が、観測手の方向を向いて、歯を見せ笑ったのだ。次に男は、戦地に転がる戦車の残骸に手を宛てがい ) ヴァル…………  (さながら"投球予備動作"のようにして、美しいフォームで振りかぶる。特筆すべきは、その手に持っているのが砲弾ですらなく、"戦車本体"であることだ) 」

ジョン「―――――――――― キリィ!!!! (空間の一部が切り取られたかのように無彩色になる。大気の層を何重にもぶち破り錐揉み回転する戦車、もとい鉄塊が狙撃手達の元へ着払いで返送されてきた) 」

CIA観測手「チッ……(ジョンと目が合う。戦場の状況、そして自らの豊富の経験から……一瞬で次の展開を悟り)……聞こえるか、HQ。爆撃は頼んだ……以上(無線での通信を終える。それと同時に……飛来した戦車、そして相棒の狙撃手と、同じ運命を辿った) 」

CIA機動隊・隊員【エオラプトル】「こちら機動隊。本陣襲撃により、「EORAPTOR《エオラプトル》」出動。敵将の殲滅を開始します。(ガション、ガションッ…!)(二基のガトリング砲を搭載した二足歩行の大型起動兵器が兵舎のカタパルトより出陣。戦場の中心部で猛威を振るうレインドたちを標的とし、緩やかに進撃を開始する) 」

レインド「……デカいのが来たな…さてどう崩すか (CIAの特攻兵を体一つで蹴散らしながら、前方より迫ろうとしている大型の影を見据えるように睨む) 」


パカラッ、パカラッ、パカラッ―――――(レインドの背後より、馬が駆る小気味よい蹄音が徐々に高鳴っていくのが聞こえる)




クォール「―――― 我らに任されよ、レイ・ローゼ!カイル様の命により、主らを援護しに参った!助太刀いたす!!(黒馬に乗って現るは白銀の鎧を身に纏う白髪と白髭を蓄えた歴戦の老翁。その甲冑の背面に6門にも及ぶ鈍重な大砲を背負っていながらも老いを感じさせない覇気を醸しながら大型兵器へと直進する) ゆくぞ、ナギリよ!  」


――― マイテイ騎士団・カイル団・右巌副将 『クォール』




ナギリ「―――― ええ、父様。ここで盤上を引っ繰り返しますよ。(老翁と対を成すように白馬を走らせるのは、金色(こんじき)の甲冑を身に纏う糸目の青年。クォールの息子でありなが若くして父と同じく王に仕える身分を獲得した歴戦の剣士。越本に携えた二振りの刀を抜刀し、クォールと挟み討つように起動兵器の側面へと旋回し始める) 」


――― マイテイ騎士団・カイル団・左巌副将 『ナギリ』


レインド「カイルの腹心たちか……だったら…!(先行して左右それぞれに別つ両者を見据えつつ、自身は愚直に真正面へと直行していく) 」

CIA機動隊・隊員【エオラプトル】「新手が二人…殲滅する!(ズガガガガガガガガッ!!)(両腕のように伸び出したガトリング砲が左右へ別つ二人の副将へと照準を合わせ、乱射する) 」

クォール「フォーフォーフォー…!何処を狙って居る、盆暗め。(幾千もの修羅場を乗り越えた圧倒的自信。銃撃の間合いを完全に把握した立ち回りで黒馬を走らせ回避していく) ほぉれゆくぞぉ!  "絶砲" ォ ッ ッ ! !  (―――― ズッ ┣¨ ォ ゥ ン ッ ! ! ! )(背面砲台がガシャンと傾倒。露わとなった6門の砲台から一斉に"アンビション"を纏った砲弾が剛速を得て大型起動兵器を爆撃する)   」

ナギリ「なるほど、対能力者用に構えた切り札ですか。用意周到とお見受けしますが…マイテイの真骨頂を見くびられては困ります。深手を負う度に、我ら戦闘民族は火事場の馬鹿力を発揮する。(無駄のない洗練された剣舞で銃弾を悉く捌き切る。直後にチャキリと構え直された二刀が黒く変色。"アンビション"が纏われた刀身から陽炎の如き大気を歪める波動が奮い立つ) 波動――――――"カリバー" (――― ズ   オ   バ  ァ˝   ッ˝ !  !   !  )(黒く塗り潰された"飛ぶ斬撃"が+から×へと回転を帯びながら放たれる) 」

CIA機動隊・隊員【エオラプトル】「 がッ゛…!? (右側からの砲撃、左側からの斬撃の強大な力に圧砕され、砲台が木っ端微塵に大破してしまう) い、いかん…ッ!一時撤退を―――――― 」

レインド「 キ ィ ィ ィ ン ――――― (闘志を燃やす瞳が「紫」色に切り替わる。それは、潜在能力"チェンジカラー"の解放を意味する) ―――― もっとマシな玩具を持ってくるんだな (拳を突き出した姿勢のまま流星の如く、逃げるしかできない鉄屑を突き抜けたまま背後に滑るように着地する) 」

CIA機動隊・隊員【エオラプトル】「(馬鹿な、バカなバカな…ッ!!奴らの戦闘データを基に製造した対殲滅機構だぞ…!?こんな、はすでは―――――)    ボ     グ     ア˝     ッ    !    !    !    (その胴体に大きな風穴を開けられ、瞬く間に鉄屑と化した起動兵器が火柱を上げて爆ぜた) 」

レインド「(一時解放した能力が鎮まり、元に戻った瞳で更にその先を睨み抜く)―――――― 出て来い、『 クロフォード 』。今度こそ、ケリをつけてやる。


ガチャ……チャキッ(遥か先の位置から、D.E.の重厚なスライド音が響く。弾倉に余白は無いか、それを確かめるようなリロードの再装填の音が後から響き渡った)




クロ「黙れ、植民地の蠅共が。我々は得ねばならない。居場所を。我々は捨てねばならない。共存を。全ての汚名も名誉もかなぐり捨てる。その決意を前にして、貴様ら凡愚の生き様などゴミにも満たない価値(D.E.を片手に、その戦況を遠方の前哨基地から伺う)此処まで来てみろ。CIAの技術は外側だけではない事を、じっくり教えてやる 」


――― CIA総司令官 『ジャック・クロフォード』


カオスマスター「行ってください、レインド。ここは、我々が。 」

レインド「……頼む。(視線を彼方に立つ建物に釘づけたまま、戦場を狩る獣はその疾駆で直線状に佇む有象無象の人影を駆逐していく) 」


戦況は苛烈を極めた。
太陽は曇天に覆われ、次第に蔭る闇が色濃くなっていく戦場。両勢力ともに負傷者・犠牲者は多く、一進一退の攻防戦を繰り広げる。
肩の荷を下ろせば背後から首を搔き切られる緊迫感が続く殺伐とした空気に、彼らの呼吸は重く上がっていく――――


レインド「 ダン、ダン、ダンッ…―――――― ド ゴ ォ ァ ア ッ ! ! (ものの数分でクロが潜む前哨基地の内部を単身で制圧し、部下と思わしき兵隊諸共扉を蹴破り、一室へと殴りこんだ)――――― 後ろで死神が笑ってるぜ、クロフォード。(観念しろ。そう告げるように血反吐を吐き捨てる。ここまで駆け登ってくる道中で相当の無茶をしたのか、かすり傷の多くを作りながらも呼吸を乱すことなく相対する) 」

クロ「貴様を殺せる。そう嬉し泣いてる(レインドが入室を施すと、半身ずつ向き直り、その狂った瞳を突き刺すような視線で固定する)……こうして貴様を迎え入れるのは、あの日以来か(心底苦痛そうな、苦虫をかみつぶしたような口元で目を細める。且つてレインドが地球で暴れたCIA本拠地の映像がフラッシュバックし、今にも殺.してやりたいといわんばかりに笑ってみせた) 」

レインド「(追憶に薄ら笑みする男の表情を見やり、自身もまた脳裏にフラッシュバックする。いつか蒼い星へひとり遠征へ向かった時のこと。愛する故郷を脅かす危険分子をたった一人で根絶やしに向かった、あの冬の日々を――――)……そうだ。そして、今度こそ終わりだ。俺はあの時、テメェらの命までは取らなかった。だが、この戦争で既に両軍ともに多くの犠牲を出した。テメェを生かしてしまった俺の不始末だ。そのケリをつけにきた。(もはやここまでだ。宣告するように片手のみでポキリと指の骨を鳴らし威嚇する。距離はある。だが、その気になればすぐにでも男の首を食いちぎる気概がある。一切の油断や慢心を許さず、一歩を踏み出そうとす 」

クロ「不始末を嘆くのであれば己の存在を顧みろ。貴様という英雄に課せられた使命の元、命を散らした人生がいくつある?あぁ、だが再び歩み始めた命は在ったな。確かに此処に。ふざけた話だ(視線を逸らさず、自身の位置をずらす。其処には自分の身体で隠した一つの命があった) 」

浅花「        (男の背後に覆われていた小さな人影…レインドにとって、かけがえのない命。最も親しき少女の姿が、そこにいたのだった) 」

浅花「………レインド…兄さん…っ……(背後に回された両腕を手上で縛られ、リボンで束ねた髪を恐怖心に揺らしていた) 」

レインド「    っ゛   (それでまで、張り詰めていた敵意や闘気、あるいは自我というものまでも放棄してしまうほどの衝動がその身に鋭く駆け走り、軽々しかった足取りが急激に重みを増した) 」

レインド「…………浅花……どうしてっ……? 」

浅花「…クロフォードさんを…説得しようとして……!戦争なんてやめて…レインド兄さんたちと真剣に話をしてほしいって……!ただ、それだけを願って……(戦争が勃発する数時間前…彼女は果敢にも一人、クロのもとへ説得に赴いていた。親しき仲であった彼ならば、きっと話に応じてくれると信じてやまなかったからだ。だが、その善意を、皮肉にも踏みにじられたのだ―――――) 」

レインド「………テメェ……ッ……!(かつての敵意はもはや憎悪に。獣が歯間で小さくも激しい唸り声をかき鳴らす) 」

クロ「その憎悪に何の意味がある。最早その憤怒は俺達地球人が先に抱いてきた古。そう、古。浅花ちゃんは愚かにも『友達』という枠組みで俺の感情を踏み荒らしてきた。貴様はどうだ、レインド。貴様もまた、怒り狂い、俺の正義を踏みにじる事が出来るだろうか(50口径の銃口を、見せつけるように浅花の頭部に突きつける)貴様の感情の礎を踏みにじってでも 」

レインド「……やめろ……"やめろッ"―――――(出かかる言の葉も霞み掠れるような焦燥。憎悪が体を搔き立てると同時に、絶望がストッパーをかける。無様にも曝け出された体から構えが徐々に解けていく。心の臓が、胸部の皮膚を突き抜けるようにドクンと強く高鳴る) 」

クロ「……(これが覚悟の差だ、レインド。貴様は犠牲を何でもないように振舞っているが、その実は善性に振り切った異端者だ。故にこそ世界と愛の天秤の綻びがこうして生じる。貴様は英雄である以上、非情であるべきだったというのに。そうであれば、俺の首など既に搔っ切っていたはずだろうに――)死ぬがいい(最早そんな顔さえも見たくはない。そういわんばかりに銃口をレインドに向け) ダ ァ ン ! (D.E.から強烈な一弾が空を切り割きながら、高鳴る心臓目掛け回転していった) 」

レインド「 ッ゛ ――――――― ( "動け"――動かない "戦え"――戦えない "殺せ"――殺せない さもなくばお前自身にすべてが降りかかってくるぞ。そう言い聞かせたのは、囁いたのは。はじめから見えていたはずの死神は。憎むべき敵ではなく自分に嗤っていたことを知る。だが知ったところでどうにかなるわけでもない。理解が刹那を超えても、行動に移すための血肉への伝令は遮られている。) 」


"死" ――――― その絶望への、覚悟によって


大気を捻じり込む銃弾が錐揉み回転してまっすぐにレインドの心臓に向かっていくのを、彼自身はその意識の中で見届けるしかできない。
辛うじて動くことのできた瞼だけがゆっくりと閉ざされ、暗闇が広がる。再び開かれることはないだろう。
死神が嗤っている。死が近づいている。すぐそこまで。そして悟る。人生の終焉を。


その最後に思い浮かべた親友(とも)の顔が覗き込む―――――――――――


―――――――― ド ス ゥ ッ ! ! ! 


レインド「―――――――――――― 」


不思議だ。痛覚を感じない。そうか、これが「死」か。痛みを越えた感知はもはや人間(ひと)としてのせいを終えたことなのだろう
だが……なぜだ。なぜ、まだ呼吸が上がる。なぜ、鼓動はまだ止まないのか。自分は………まだ、生きて、いるのか……?


レインド「    ! ?     (恐る恐る瞳を開く。自分の体から痛みも、何かが滴るような感触も感じられない違和感を覚え、ゆっくりと前方を見上げる。そして、その違和感の意味を知る―――――) 」


カオスマスター「          (――― 親友(とも)が、彼を庇ったのだ。一発の凶弾から。彼が死ぬことを、強く否定したのだ。) 」




レインド「………ヴィナ…ミス……?(焦点や波長の合わない声音を震わせ、胸元に風穴を開けたまま背にしている男を見た) 」

カオスマスター「…ハァ……ハァ……――――― 間一髪、間に合ったみたいですね(胴体はクロとの対峙を維持しつつ、その横顔が背後にした親友を一瞥する) 」

レインド「………馬鹿…野郎…… なにが……間に合った…だ…… なんで……なんで、お前が……っ… 」

カオスマスター「 レインド (激しい疑念と同様に揺れる親友へ、男は強い口調をもって背中で語る)……この世界を護れるのは……に、にげろ…レインド (言の葉を紡ぐたび、声音の震えに作用して吐血が進行。口の端からつぅ、と鮮血が滴っていく) 」

レインド「なんッ――――――(馬鹿なことを言うな。そう訴えかけるような強い感情にその身が前のめりかかるが―――) 」

カオスマスター「 人を… 国を… 世界を… 私が愛したすべてを……今度は貴方が…守り抜いてください。その為に…生きなさい。貴方は…ここで消えるべき光ではない。 」

カオスマスター「  頼みましたよ   」

レインド「   ! ! !    」


かつて世界を愛し、そして世界に愛されたその男が、ついにその身を落とす。
最後に親友を守り抜けたことを誇りに思いながら、その口辺を釣り上げ、満面の笑みを残したまま。


―――――――― カオスマスター "殉職" 


レインド「           」

レインド「………なんで…だよ……っ… だからってお前が……いくこたぁねえじゃねェかよ……っ…!なあ……っ、なぁ゛…っ…!? 」


男は、物言わぬ遺体を抱きかかえる。次第に冷たくなっていくその体を。かつて「親友」と呼び合っていた男を。


浅花「 …ぁ……あ……っ゛………(目の前で人が血を流して死ぬ。その生々しい現実はごく普通の女子大生にはあまりにも衝撃が強く、意識を途絶えさせてしまう―――) 」

レインド「………ヴィナミス………――――――(嗚咽交じりの吐息を零し、男はそれでも「親友」を抱き続ける。その手と体が赤に染まろうとも。遥か遠いどこかへ向かおうとする彼を連れ戻そうとするように、強く、抱いて――――) 」

クロ「(カオスマスターに風穴を開けた事を認識する。だが、彼が真に欲する命は餓狼にあった。飛んだ一つの薬莢に目もくれず、次の弾丸を放とうと指に力をこめるが)……(其処に映る英雄達の絶望。それは生きる者にとって、死よりも苦痛な自傷の連続)……(選択は終えない方がいい。あくまでも憎き宿敵の苦難を望むのであれば、これから自身の成す世界に生きてこそ、彼は真の意味で絶望に染まる。そう考えた地球人は銃口を下ろし、倒れかけた浅花を片手で捉え、レインドめがけ投げ渡す)行け。手向けは多いほうがいいだろう 」

レインド「(投げ渡された少女の体を抱きしめるように静かに受け止める。彼女に傷は無い。だが、自分のせいで、関係のない少女まで巻き込んでしまったこと… 親友の命っまで犠牲にしてしまった事実が、重く圧し掛かる。そう…何もかもきっとうまくいく。すべて救えると信じてやまなかった理想が、崩されたのだ。自分がやってきたことは戦闘などではない…"戦争"なのだと。今までしてきたことの常識が一気に覆される感覚をかみしめるように、男は少女を不器用に抱きしめ続けた) 」

レインド「……テメェだけは…… テメェ、だけは…… (俯きかけた眼差しを、眼前の獲物に突きつける。絶望に震える双眸は怯えるウサギのように。しかしてその瞳の奥に宿した憎悪の炎は、未だ彼が餓狼であることを微かに留める熱を滾らせていた) 」

クロ「お前に何が出来る。友を喪い、その絶望に眼が眩み、希望を憎悪に変えて憤怒に散り往く。熱を帯びた牙は決して寒冷に身を委任せず。それでもお前は、一人の少女の為に膝を付け、友に託され、今も尚沈みながらも俺に殺意を向けている(司令官室の隅。硝子張りになった室内を歩み、重心を定めずに身を前後に振る。そうして辿り着いた一つの不自然な座席へと手を付け) 」




クロ「だがな、俺の復讐が先だ。貴様単体における復讐は其処に居る神もどきに総てを担ってもらった。ならば俺が――私がすべきは、地球人としての復讐(座席に浮かんでいた一つのボタン。そこに迷う事なく手を掛け、押下する)これが私達から貴様らケイオスに住まう人間に対する招待状だ。最早植民地などと宣う必要は無い。私達の意志が、貴様らを迷宮へと誘おう。滅亡への迷宮へと――(布巾の本棚が左右にスライドする。其処にはシェルターがあり、中には脱出炉があった。颯爽と身を隠し)絶望に、身を焦がせ。レインド(シェルターを閉じながらも、その生に満ち溢れた瞳へと自身の憎悪を投げうった) 」


―― ピカンッ ――


――― ォ ォ ォ ォ ォ ォ  オ  オ オ オ オ オ   オ オ  オ  オ オ オ オ オ オ オ オ オ オオオオオオオオオオオオオ !!!!!


光る。戦場を中心とした位置。光る。何かが光った。
その光は命や希望など存在せず、包む物を全て


焼き尽くす炎であった


レインド「…待て……待ちやがれ、クロ―――――― ? (クロの不自然な動作に眉を顰める余裕もないほどに切羽が詰まる。だが、彼が姿を消したと同時に窓ガラスの向こうから迸る滅光の点滅に、ようやくはじめて意識が向くべき方角へと突き動かされる。曇天を裂き、今なおとてつもない速度をもって地上へと落ちていく、あの光の正体を察して瞳孔が瞬く間に縮小する。「核」だ。それも、この広大な大地を丸ごと呑み込むほどの戦火を齎すほどのものを) 」

レインド「(逃走の猶予はない。止める術もない。ならば自分にできることはただ一つ。手の届く位置にいる一人の命と、既にその命を散らしながらも消えるべきではない遺体を限られた二本の手で手繰り寄せ、自らの懐へ潜り込ませた―――――) 」


そして、混沌とした大地に滅びの光が齎された。
瞬く間に消し飛んだ大地の跡地には何もなく、ただ凄惨なる深い爪痕だけが残されていたという。
マイテイ軍も、地球軍も、あるいはその戦争に乗じた者たちでさえ…姿を消した。


かくして、両勢力による戦争は…ケイオス側に甚大なる被害が被られたという形で終結したのだった―――――







フレイミス「――――………親父が……その戦争で………… 」

アルミナ「………誠に遺憾だった… 我々レゼリアがその戦争にもっと早く赴いていれば…ヴィナミスも…あるいは多くの死傷者が出る結末を拭えていたかもしれん……だが、それは結果論だ。地球軍との戦闘によってケイオスは甚大な被害を被り、マイテイ国軍はカイル王の戦士をもって事実上の壊滅…敵であった地球軍側も多くの死者を出し、誰もが望まぬ結末をただ迎えることとなってしまった…。 」

ホタル「………(父が語る悲痛の出来事に胸がひどく締め付けられたのか、胸元をぎゅうと抑え込んでいた) 」

アルミナ「……その後のことだ… 核の被害から何とか生き延びた「レインド」という男が、深い傷を負った長く苦しい旅路の果てに…すべての黒幕であったあの男を…ヴィナミスの仇を、討ったそうだ。ヴィナミスの最期を看取った彼が…生前に託された言葉を胸に、その契りを果たしたのだ。……親友(とも)の遺品であった、あのマントを身に着けてな…(ここでもう一度フレイミスが身に纏う黒いマントに視線を落とす) 」

フレイミス「……レインドのおっちゃんが……(そして少年もまた、自分が纏うマントに視線を落とす。くたびれながらも朽ち果てず色褪せず残された父の遺品が自分の手に渡った経緯を知り、掴みかけたその手で布地をそっと撫で下ろしたのだ) 」

フレイミス「……そう、か……そういう…ことだったのか……(脳内に散在していた断片的な情報のすべてが、パズルのピースのようにピタリとはまったようにすべて繋がり、合点がいって静かに頷く) 」

アルミナ「……少年…いや、フレイミス… 今の話は……お前さんにはあまりにも酷なことだろう。彼方より行方を捜していた父君の顛末を知ることは……肉親に先立たれる気持ちは…あまりにも悲痛だ。私やサキエルがそうだったように…。大人げないことをしたことを、どうか詫びさせてほしい。 」

フレイミス「……いいんだ、王様。……ほんとはさ……なんとなく、そうなんじゃないかって…思ってたんだ。御袋やレインドのおっちゃんがよく言ってたんだ。親父は……俺の親父は、本当にすげぇ人だったんだって。誰かを愛し愛されて…誰よりもこの世界のことを想っていたって。そんな親父が…俺たち家族を置いてどこかへ消えていくなんて…いくら考えても分からなかった。おふくろもおっちゃんも教えてくれなかったし。きっと…子どもの俺には言えない何か深い事情があったんだって…気づいてたから… 」

フレイミス「……そうだったのか……っは…… 親父……やっぱ、すげえな… 最後の最後まで…この世界のことを想い続けて… 最期は笑っていったんだって思うと……親父が、本当にこの世界が大好きだったってことがよく分かった。(壁にかけられた色褪せた写真をもう一致度見上げる) 」

フレイミス「……たとえ親父がこの時代で生きていたとしても…俺は未来の人間なんだ。親父が死んだ後に生まれた存在なんだ。 だから…会っちゃいけねえんだ… 会ってしまったら……俺は…きっと…そんな親父の子供として生まれてこなかったかもしれねえからさ…っ…… だから……いいんだ……これで……っ…(喉を震わせながら、少年は義手を強く握りしめて俯きだす。求めていたものは、もう手の届かないところにいる。その事実がきっぱりと分かったことで安堵し―――――) 」

ホタル「―――― 本当に、そう思ってる? 」

フレイミス「……ぇっ……? 」

ホタル「……ごめんね…私は、あの戦争のことも…フレイミスのことも…心から分かってあげることはできないかもしれない。でもっ……今のフレイミスが…自分の気持ちに嘘をついているってことは…私にもわかる。だって……昔の自分に…似ているもの…(若くして母を亡くしたこと。その現実を受け止めきれなかったこと。暗い現実を閉ざそうとしていたあの頃の幼い自分がリフレインする) 」

ホタル「……本当は…「会いたい」んでしょ…?ずっとずっと探していたお父さんに…心の底から会いたかったんでしょ? 」

フレイミス「………………… 」




フレイミス「………おれ…は……―――――― 」







「 なーなー!母ちゃんー!「父ちゃん」、いつになったら帰ってくんのさー? 」

「 ……ふふっ… 想い続けていれば、きっとすぐに帰ってくるわ。お父さんは、そういう人だもの。 」

「 ふーん……? 」



「親父」のことを聞くたびに、御袋はいつも笑顔で答えてくれた。その時の顔は笑っていて、でもどこか悲しそうで。


あの頃の俺にはよくわからなかったけど…きっと、御袋も同じように"想い続けて"いたんだと思う。


いつか、いつか本当に帰って来る時を。家族がそろう瞬間を。もう一度…心の底から幸せそうに笑える日々を。



「 おっちゃん~?父ちゃんと仲良かったって本当なのかよ~? 」

「 そんなもんじゃねェさ。「俺たち」ぁ…いつだってそうだった。言葉を交わさなくたって、相手の言いてェことが全部わかるみたいな…そんな関係さ。 」

「は~~~…?わっかんね~…… 」

「お前も、そういう友達(ダチ)を持つようになるさ。 」



レインドのおっちゃんもそうだったのかな。親父の最期を見届けて…本当は誰よりも悲しかったはずなのに…


でも……おっちゃんが語っているときは、どこか嬉しそうにも見えた。悲しいはずなのに、心から笑ってるようで。


きっと今でも、自分の隣に「親父」がいることを信じていたのかもしれない。


見えなくても、言葉を交わさなくても、心で通じ合った本当の親友(ダチ)のことを信じて―――



フレイミス「………… 」



俺は……どうなんだ……?悲しいのか…?それとも、みんなに慕われていたことを知って嬉しいのか…?


いや……ほんとはわかってんだ… だって、俺は……親父の息子だから…っ……


親父が守り抜いた未来で生まれた……カオスマスターの子どもだから……っ…


だから……だから…っ……――――――



フレイミス「……「会いたい」に……決まってんだろ…っ゛……?だって……俺にとって親父は…たった一人なんだから…ッ……!たとえ……自分が消えることになるかもしれなくても……!それでも……本当は会いてェよぉ゛…!! 」

フレイミス「 ぁ゛…ぁ…ッ…―――――――― ぁ ぁ ぁ あ あ あ あ … っ ! ! ! (羽織るマントごと自分の体を抱き寄せて、膝から崩れ落ちてしまう) 」

ホタル「…………(泣き崩れる少年を、姫君は優しく抱擁する。幼き頃に死別した母が、赤子だった自分をきっとこうして抱きしめていたように。本音を零した少年の心に寄り添い、微笑みながらも泣きながら強く抱きしめ続ける) 」

カブトムシエレン「………(泣き崩れるフレイミスに無言で寄り添い、ただ傍で泣き止むのをアルミナと共に静観していた) 」


室内に響き渡る少年の慟哭を、姫君がいつまでも優しく宥める。
悲しくも温かい時間だけが、昼下がりの陽光と共に進んでいくのだった―――














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最終更新:2026年07月16日 00:35