「な、何ですかこれ……」
深い森の奥。
そこで橘ありすは一人怯えていた。
何時ものように事務所の扉を開けた途端、急に意識が遠くなり目が覚めたら殺し合いをしろと言われた。
加えて見知らぬ人間が首を吹き飛ばされる瞬間が目に焼き付いてしまっている。
そこで橘ありすは一人怯えていた。
何時ものように事務所の扉を開けた途端、急に意識が遠くなり目が覚めたら殺し合いをしろと言われた。
加えて見知らぬ人間が首を吹き飛ばされる瞬間が目に焼き付いてしまっている。
「うっ…」
思わずこみ上げる吐き気を必死に抑える。
飛び散る血と肉片。
あれは一体何だ。これは本当に現実なのか?
様々な疑問がありすの脳内にグルグルと渦巻いている。
飛び散る血と肉片。
あれは一体何だ。これは本当に現実なのか?
様々な疑問がありすの脳内にグルグルと渦巻いている。
「ま、全くもう…Pさんったら、こ、こんな仕事やらせるなんて……」
口から出たのは、この状況をドッキリ企画のようなものだと思い込む言葉。
よくよく考えれば有りえないではないか。
突然人を連れ出して殺し合え?優勝者は何でも願いが叶う?
いったいどこの漫画の世界の話だ。
最初に殺された人だって特殊メイクか何かだろう。
よくよく考えれば有りえないではないか。
突然人を連れ出して殺し合え?優勝者は何でも願いが叶う?
いったいどこの漫画の世界の話だ。
最初に殺された人だって特殊メイクか何かだろう。
「そ、そうですよ…きっとその……はず……」
しかしその一方で、ありすの冷静な部分はそんな現実逃避気味な考えを否定する。
幾ら何でもプロデューサーがこんな悪趣味な仕事を持って来るだろうか。
いつも自分たちアイドルの事を一番に考えてくれる、そんな優しいあの人が本当にこんな企画に自分を参加させるか?
それに見せしめと称して人が殺された時に漂ってきた血の臭い。
作り物と言うには、いやに生々しかった気が――
幾ら何でもプロデューサーがこんな悪趣味な仕事を持って来るだろうか。
いつも自分たちアイドルの事を一番に考えてくれる、そんな優しいあの人が本当にこんな企画に自分を参加させるか?
それに見せしめと称して人が殺された時に漂ってきた血の臭い。
作り物と言うには、いやに生々しかった気が――
「いやっ!」
頭を抱えてその場に蹲る。
これがドッキリなどでは無い、本当の殺し合いだと言うのなら、自分もあの見せしめの人のように殺されるのか。
それが嫌なら殺される前に殺さなければいけないのか。
これがドッキリなどでは無い、本当の殺し合いだと言うのなら、自分もあの見せしめの人のように殺されるのか。
それが嫌なら殺される前に殺さなければいけないのか。
どちらも出来るはずが無い。
けれど死にたくは無い。一体自分はどうすれば良いのか。
けれど死にたくは無い。一体自分はどうすれば良いのか。
「Pさん……」
助けを求めるか細い声がありすの口から漏れる。
その時、ガサリ、という雑草を踏む音が聞こえた。
ID:X2Gn2tbg0 返信
391 : SYNERGY ◆ytUSxp038U sage 2020/08/17(月) 00:55:59
「っ!?だ、誰ですか…!?」
391 : SYNERGY ◆ytUSxp038U sage 2020/08/17(月) 00:55:59
「っ!?だ、誰ですか…!?」
ビクッとありすの肩が跳ね上がる。
そうだ、ここは殺し合いの場。
自分以外にも大勢が呼ばれているのだ。
姿を見せぬ者に怯えつつも、ありすはほんの少し期待してしまった。
ひょっとしたらプロデューサーや、同じアイドルの仲間が出てきてくれるのでは…と。
ありすのそんな思いを知るはずも無く、姿を現したのは…
そうだ、ここは殺し合いの場。
自分以外にも大勢が呼ばれているのだ。
姿を見せぬ者に怯えつつも、ありすはほんの少し期待してしまった。
ひょっとしたらプロデューサーや、同じアイドルの仲間が出てきてくれるのでは…と。
ありすのそんな思いを知るはずも無く、姿を現したのは…
「GRUUUUUUU…!!」
赤みがかった体毛の巨大なクマだった。
唸り声を上げながら、のっそりとありすに近づいて来る。
唸り声を上げながら、のっそりとありすに近づいて来る。
「ひっ…!」
予想していなかった猛獣の出現に、ありすは腰を抜かしてしまう。
クマはよく見ると皮膚の所々が剥がれ落ち、肉が露出している。
だというのに弱弱しさは微塵も感じられない。
ギラ付いた目でありすを睨みつけ、口の端からは涎が垂れている。
クマはよく見ると皮膚の所々が剥がれ落ち、肉が露出している。
だというのに弱弱しさは微塵も感じられない。
ギラ付いた目でありすを睨みつけ、口の端からは涎が垂れている。
「ぅあ……」
そんな化け物のようなクマを前にし、恐怖で歯がカチカチと鳴る。
逃げなければと頭では分かっているのに、足に力が入らず立てない。
逃げなければと頭では分かっているのに、足に力が入らず立てない。
ここで自分は死ぬのだろうか。
殺し合いなんていう訳の分からないものに巻き込まれて。
怪物のようなクマに引き裂かれ、噛み砕かれて。
殺し合いなんていう訳の分からないものに巻き込まれて。
怪物のようなクマに引き裂かれ、噛み砕かれて。
「や…いやぁ……」
ああもうだめだ。
もうこんな近くにまで来てしまっている。
生温かい鼻息が顔に当たる。
もうこんな近くにまで来てしまっている。
生温かい鼻息が顔に当たる。
「ぁ……」
「GAAAAAAAA!!」
「GAAAAAAAA!!」
そうして熊は巨大な口でありすを――
「叩っ斬る」
ザンッ
噛み砕く直前で首を斬り落とされた。
「…………え?」
呆然とするありすの目の前には、一人の男が立っていた。
無精髭を生やし、顔には一筋の傷。
左手に握る血の滴る刀、足元に転がるクマの頭部。
無精髭を生やし、顔には一筋の傷。
左手に握る血の滴る刀、足元に転がるクマの頭部。
自分が何とか助かったと理解し終えると、そこでありすは意識を手放した。
◇ ◇ ◇
オ オ オ ォ ォ ォ
冷たい風が自分のコートを揺らすのを感じながら、宮本明は考えていた。
(どうなってやがる…。こいつは雅の野郎が仕組んだのか?)
宿敵であるあの男ならば、こんなふざけた催しを開いたとしても不思議は無い。
だがあの奇妙な場で殺し合いを命じた者は雅でも、まして吸血鬼でも無かった。
あの雅が人間と手を組むとは、明には考えられないことだった。
だがあの奇妙な場で殺し合いを命じた者は雅でも、まして吸血鬼でも無かった。
あの雅が人間と手を組むとは、明には考えられないことだった。
そもそも殺し合いに参加させられているのは自分だけなのか。
鮫島達もどこかに居るのか。
自分の仲間だけではなく、雅の息子達も参加しているのか。
雅が主催者で無いのなら、一体誰が殺し合いを動かしているのか。
鮫島達もどこかに居るのか。
自分の仲間だけではなく、雅の息子達も参加しているのか。
雅が主催者で無いのなら、一体誰が殺し合いを動かしているのか。
今の明には分からない事が多過ぎた。
「…ここで考え込んでも仕方ねえ。まずは森を抜けるか」
刀に付いた血を振り払い鞘に納めると、気絶したままのありすの胴に手を回し持ち上げた。
上等な運び方では無いが、生憎こっちは腕一本の身。
そこは我慢してもらいたいものだ。
上等な運び方では無いが、生憎こっちは腕一本の身。
そこは我慢してもらいたいものだ。
獣の鳴き声を聞き駆け付けてみると、この少女が殺されそうになっている場面に遭遇し、即座にクマの首を刎ねた。
異様な見た目のクマは以前にも遭遇した吸血鬼化した動物だったのだろう。
少女の方は緊張の糸がプッツリと切れたのか、そのまま気を失ってしまったが。
異様な見た目のクマは以前にも遭遇した吸血鬼化した動物だったのだろう。
少女の方は緊張の糸がプッツリと切れたのか、そのまま気を失ってしまったが。
(年の頃は勝っちゃんと同じくらいか…)
見ず知らずの、わざわざ面倒を見てやる義理も無い子供だが、あのまま放置して死なれるのも目覚めが悪い。
何にせよ今は森を抜けるのが先決だと、明は走り出した。
何にせよ今は森を抜けるのが先決だと、明は走り出した。
【橘ありす@アイドルマスター シンデレラガールズ】
[状態]:精神疲労(中)、気絶
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]:基本行動方針:死にたく無いし、誰かを殺したくも無い
0:……
[状態]:精神疲労(中)、気絶
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]:基本行動方針:死にたく無いし、誰かを殺したくも無い
0:……
【宮本明@彼岸島】
[状態]:健康、右腕欠損
[装備]:竈門炭治郎の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]:基本行動方針:殺し合いをする気は無いが、襲って来るなら容赦しない
1:少女(橘ありす)を連れて森を抜ける
2:吸血鬼や化け物は殺す
3:居るかは不明だが鮫島たちを探す
4:これは雅が仕組んだ事なのか…?
[備考]
参戦時期は48日後…で姑獲鳥撃破後。
右腕の義手は没収されています。
[状態]:健康、右腕欠損
[装備]:竈門炭治郎の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]:基本行動方針:殺し合いをする気は無いが、襲って来るなら容赦しない
1:少女(橘ありす)を連れて森を抜ける
2:吸血鬼や化け物は殺す
3:居るかは不明だが鮫島たちを探す
4:これは雅が仕組んだ事なのか…?
[備考]
参戦時期は48日後…で姑獲鳥撃破後。
右腕の義手は没収されています。
【竈門炭治郎の日輪刀@鬼滅の刃】
本編の主人公、竈門炭次郎が刀鍛冶の里で手に入れた日輪刀。
縁壱零式の内部に隠されていた戦国時代の刀を、鋼鐵塚蛍が研ぎ直し再び使えるように仕上げた一品。
鍔は煉獄杏寿郎の遺品が使われている。
本編の主人公、竈門炭次郎が刀鍛冶の里で手に入れた日輪刀。
縁壱零式の内部に隠されていた戦国時代の刀を、鋼鐵塚蛍が研ぎ直し再び使えるように仕上げた一品。
鍔は煉獄杏寿郎の遺品が使われている。
【ヤオ・グアイ@Fallout4】
NPC。放射線によって変異したクマ。雨を妨げる場所に巣を作る。
変異した事で俊敏性、体力、狂暴性がただの動物だった頃より強化されており、油断していると一撃で殴り殺されるので注意。
NPC。放射線によって変異したクマ。雨を妨げる場所に巣を作る。
変異した事で俊敏性、体力、狂暴性がただの動物だった頃より強化されており、油断していると一撃で殴り殺されるので注意。
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