会場を中心から見て北北西に位置する場所に、ジャンク・ジャンクションと呼称されたエリアが存在する
鉄板数枚で構成された簡易な住居エリアが立ち並ぶスラム街や廃ビル群、寂れた排気煙突からは黒煙すら噴出せず静寂を刻む小さな廃工場、他とは違い美しさと鳴り響く稼働音が特徴的な近代的な大型工場が一つだけ存在するも、それを除けば前述の施設か、ジャンクが乱雑に積み重なり複数のゴミの山の迷路が佇むのみだ
そんな古ぼけた場所も夜になれば月光に照らされ少しばかりはマシに見える。ゴミの山も視点を変えればアーティスティックな影を映すオブジェクトだ
勿論、そんな場所にもNPC……このエリアを住処として虎視眈々と獲物を狙うゴブリンや魔物たちが存在するのだが
――だが、ジャンクションエリアの南に位置するスラム街郡のゴブリンや魔物たちはほぼ全滅していた
このエリアに存在するモンスターは曲者揃い。弱いながら悪知恵のあるゴブリンの他
鋼鉄の巨躯を持つ竜種――メタルドラゴン
死の呪文を唱える氷の凶鳥――ホークブリザード
防御力に関わる呪文を巧みに扱う金色の竜戦士――シュプリンガー
他にも強敵となりうる魔物は存在は今はその説明を割愛させてもらう。だが、そんな魔物たちを一掃し、エリアの一地区に陣地を組み上げた参加者たちが、ここにはいた
◯ ◯ ◯
ジャンクション南、スラム街エリア
積み上げられ、燃やされているのはある参加者たちによって狩られた魔物たちの死体
そしてある程度内部を改装したであろう廃屋の一角に佇む三人の少女
積み上げられ、燃やされているのはある参加者たちによって狩られた魔物たちの死体
そしてある程度内部を改装したであろう廃屋の一角に佇む三人の少女
「これで一先ずは、安心ということですわね」
右手に持った刀を眺めながら喋るのは、所謂ゴシックロリータと言われる黒い衣装に身を包んだ、さながら貴族の令嬢を思わせる風貌の少女
「でもちょっと疲れちゃったぁ〜。外に出たら団長さんが待ってくれていた、なんて事ないかなぁ……」
とゆったりとした口調で呟くのは、左目が隠れた形になった薄紫のロングヘアーを持つ、トランジスタグラマーな体型と中々に際どい服装が特徴的な、まるで羊のような角が頭から生えている女性
「……あなた、本当に呑気ですわね。ドラフ、と言いましたか。その種族は貴方のような埒外が沢山いるものなのかしら?」
「こいつが色々と特別なだけだから気にしないほうが良いぞ」
「こいつが色々と特別なだけだから気にしないほうが良いぞ」
ゴスロリの少女の呆れたような呟きにそう答えたのは、胸元に大きなリボンが付いた外側が紅、内側が紺色をしたマントとひらひらしたミニスカートを身に纏う、幼児体型な金髪ロングの美少女
ゴスロリ少女の名は月読百合奈
薄紫髪の女性の名はナルメア
金髪ロングの美少女の名はカリオストロ
何故彼女たちが一緒に行動しているのか、少し時間を遡る
まずここに訪れていたのは月読百合奈。訪れていたというよりは、ルール説明後に最初に飛ばされたと言ったほうが正確だ
元より正義感の強い彼女がこのような殺し合いに乗るようなこともなく、この殺し合いそのものへの反逆を決意。支給品には自分の得物である愛用の黒傘はなかったものの、代わりにあったのは小烏丸天国なる漆黒の直刀。剣道の心得もある百合香からすれば結果として悪くはない武具ではあった
エリア内を捜索中に魔物の類に襲われ、シュプリンガーの呪文に苦しめられたりするも、一番のピンチはメタルドラゴンの硬さに手間取っていた所に、百合香の豊満な肉体を狙って襲いかかってきた時
彼女はある事件でその身体に快楽を刻み込まれており、ゴブリンの露出された下半身を見た途端に身体が疼いてしまい、あわやまたしてもマゾヒズムに目覚めようとした時であった
彼女はある事件でその身体に快楽を刻み込まれており、ゴブリンの露出された下半身を見た途端に身体が疼いてしまい、あわやまたしてもマゾヒズムに目覚めようとした時であった
そんな彼女を助けたのはナルメアとカリオストロの二人だ。
ゴブリン以外のモンスターの束は二人にとっても少々手こずる程度であったらしいが、何とか戦線に復帰した百合香も含め、あっという間にこのスラム街周りのモンスターを一掃してしまった
そこまで数が多くなかったというのも要因ではあるが、それでも百合奈からすれば二人の実力は想像の範囲を遥かに超えたものであった
そこまで数が多くなかったというのも要因ではあるが、それでも百合奈からすれば二人の実力は想像の範囲を遥かに超えたものであった
魔法と剣を融合させた独自の剣技、刀を全く別の形状に変化させる力、ただ移動しただけにも関わらずまるで瞬間移動したかのような速さを持ち合わせるナルメア
その高飛車な性格と物言いに相応しい実力を持ち合わせ、様々な術を自在に使いこなすカリオストロ
自分のいた世界が、どれほどまでに狭かったのかを、二人の実力をその肌で感じることで思い知らされることとなった
その高飛車な性格と物言いに相応しい実力を持ち合わせ、様々な術を自在に使いこなすカリオストロ
自分のいた世界が、どれほどまでに狭かったのかを、二人の実力をその肌で感じることで思い知らされることとなった
そんなこんなで、一帯の魔物やゴブリン達をある程度殲滅した後、カリオストロがジャンクを材料に簡易的な魔物避けのオブジェクトを作成設置。勿論ありあわせで作った簡易なものであり、流石に殺し合いに乗った連中を避けるようなことは出来ない。だが、安定せずとも事実上の安全地帯というだけで十分に価値はあった
◯ ◯ ◯
「――さて、と。重要なのはこれからの方針だ」
[重要なことはこちらに書け。この首輪に盗聴及び監視用の映像録画機がないとは限らんからな]
[重要なことはこちらに書け。この首輪に盗聴及び監視用の映像録画機がないとは限らんからな]
廃屋の、簡素に置かれた机を挟み三人は今後のことを話し合う。カリオストロ曰くこの廃屋には監視の類に繋がる術式も器具もなかったらしい
まずこの話題に入る前にお互いの世界観に関する説明は済ませた。存外すんなりと異なる世界に対してカリオストロとナルメアの理解が早かったのは、かつて彼女たちがいた世界においても他世界から転移してきた人物たちの一件もあり、カリオストロ本人も別の世界に行ったことがある経験故であった
百合奈の方は当初はちんぷんかんぷんだったものの、ミステリー研究部故の知識の広さのおかげか何とか理解した
まずこの話題に入る前にお互いの世界観に関する説明は済ませた。存外すんなりと異なる世界に対してカリオストロとナルメアの理解が早かったのは、かつて彼女たちがいた世界においても他世界から転移してきた人物たちの一件もあり、カリオストロ本人も別の世界に行ったことがある経験故であった
百合奈の方は当初はちんぷんかんぷんだったものの、ミステリー研究部故の知識の広さのおかげか何とか理解した
「私は団長ちゃんを早く探したいところなんだけど……」
「馬鹿か貴様、そもそもここに団長が呼ばれているかどうかすらわからんのだぞ」
「あ、すみません……」
「馬鹿か貴様、そもそもここに団長が呼ばれているかどうかすらわからんのだぞ」
「あ、すみません……」
「その団長さんというのは兎も角として、もっと便利な移動手段が欲しいですわ。この大きさだと移動するにも一苦労でしょうし」
[カリオストロさん、もしこの首輪の探知方法が電波か、もしくは魔法による独自術式の場合どう対処します?]
[カリオストロさん、もしこの首輪の探知方法が電波か、もしくは魔法による独自術式の場合どう対処します?]
「……そうだな。飛空艇とまではいかんが……百合奈、お前の世界で言う所の自動車、だったか? それを作らせてもらう」
[……独自術式か。お前のいう事が事実だったら、それに対する対抗術式か、もしくは術式を阻害できる鉱石等を材料としたカバーか合鍵で首輪を……。まあただの人間にしては上出来だ。検討しておく]
[……独自術式か。お前のいう事が事実だったら、それに対する対抗術式か、もしくは術式を阻害できる鉱石等を材料としたカバーか合鍵で首輪を……。まあただの人間にしては上出来だ。検討しておく]
「……車のデザインはこちらで考えておきますわ」
[……電波妨害の材料はある程度頭には叩き込まれていますわ、こっちは私が担当しますわ]
[……電波妨害の材料はある程度頭には叩き込まれていますわ、こっちは私が担当しますわ]
「いや、デザインも内部設計もオレ様に任せろ。超カワイくてイケイケな仕様にさせてもらうんだぞ☆」
[忌々しいが、そっち方面はさすがのオレ様でも不得意だ。もしもの時は任せるぞ]
[忌々しいが、そっち方面はさすがのオレ様でも不得意だ。もしもの時は任せるぞ]
結果として方針は決まった。表向きは移動手段の開発であるが、その実は首輪解除のための手段探し。案として現状挙がったのはこの2つ
余談であるが若干会話にハブられ気味というか若干ネガ入っていたナルメアであるが、材料探しと同時進行で団長を探すという提案で立ち直った
余談であるが若干会話にハブられ気味というか若干ネガ入っていたナルメアであるが、材料探しと同時進行で団長を探すという提案で立ち直った
◯ ◯ ◯
ジャンクションエリア南部、少しだけ自然が見える場所、そこに月読百合奈とナルメアは、気分転換として外の景色を眺めていた。ちなみにカリオストロは徹夜漬けで移動手段の開発中
「……ねぇナルメアさん、貴女の言う団長って人は、どのような方ですの?」
あの時から疑問に思っていた事だ。どうにもこうにもナルメアは、その団長という人を弟みたいな扱いをしているように見えたから訪ねてみたのだ
「……そうねぇ。団長ちゃんは、あの人と重ねちゃうのよ」
「あの人?」
「そう、私が刀を使うきっかけになった親戚のお侍さんがいたの。私は、その人に近づこうとして必死に努力したの、だけどあの人は振り向いてくれなかった。力のなかった私なんかに、全然振り向いてくれなくて」
「……」
「私、必死に努力したの、魔法も覚えて、毎日毎日剣を振り続けて……でも、それでも……あの人は」
「ナルメア、さん……」
「でもね、私、ある時団長ちゃんに出会って、団長チャンやルリアさん達が認めてくれた時、とてもうれしかったの。……それから、色々あって、やっと、あの人に……ごめんなさいね。辛気臭い話になっちゃって」
「あの人?」
「そう、私が刀を使うきっかけになった親戚のお侍さんがいたの。私は、その人に近づこうとして必死に努力したの、だけどあの人は振り向いてくれなかった。力のなかった私なんかに、全然振り向いてくれなくて」
「……」
「私、必死に努力したの、魔法も覚えて、毎日毎日剣を振り続けて……でも、それでも……あの人は」
「ナルメア、さん……」
「でもね、私、ある時団長ちゃんに出会って、団長チャンやルリアさん達が認めてくれた時、とてもうれしかったの。……それから、色々あって、やっと、あの人に……ごめんなさいね。辛気臭い話になっちゃって」
あこがれの人に認めてもらいたくて血の滲むような努力して、それでも認められなかった。だけど新たな出会いを得て、大切な人が増えて、色々な積み重ねを得て、ようやく見てもらえた、認めてもらえた
ただ、それだけで十分だったのだ
ただ、それだけで十分だったのだ
「……いいですわ。……会えるといいですわね、その、団長さんと」
「……はいっ!」
「……はいっ!」
月下の夜の中、黒の令嬢は、彼女と少しだけ仲良く慣れた、そんな気がしたのであった
【月読百合奈@黒衣の少女探偵 月読百合奈】
[状態]:健康、疼き(極小)
[服装]:いつもの服装
[装備]:小烏丸天国@11eyes -罪と罰と贖いの少女-
[道具]:基本支給品、ランダム支給品2つ
[思考]
基本:この殺し合いを止めて、主催には報いを受けてもらう
1:ナルメアさんのことが少しだけ別れた気がする
[備考]
※原作終了後からの参戦です
[状態]:健康、疼き(極小)
[服装]:いつもの服装
[装備]:小烏丸天国@11eyes -罪と罰と贖いの少女-
[道具]:基本支給品、ランダム支給品2つ
[思考]
基本:この殺し合いを止めて、主催には報いを受けてもらう
1:ナルメアさんのことが少しだけ別れた気がする
[備考]
※原作終了後からの参戦です
【ナルメア@グランブルーファンタジー】
[状態]:健康
[服装]:いつもの服装
[装備]:閻魔@ONE PIECE
[道具]:基本支給品、ランダム支給品2つ
[思考]
基本:この殺し合いを止めるために主催は倒す
1:団長ちゃん、今どこにいるんだろう……
[備考]
※最低でも最終再臨フェイトエピソードが終わった後からの参戦です
[状態]:健康
[服装]:いつもの服装
[装備]:閻魔@ONE PIECE
[道具]:基本支給品、ランダム支給品2つ
[思考]
基本:この殺し合いを止めるために主催は倒す
1:団長ちゃん、今どこにいるんだろう……
[備考]
※最低でも最終再臨フェイトエピソードが終わった後からの参戦です
【カリオストロ@グランブルーファンタジー】
[状態]:健康
[服装]:いつもの服装
[装備]:シンフォーザベルゼ@Death End Re:Quest
[道具]:基本支給品、ランダム支給品2つ
[思考]
基本:殺し合い?下らん
1:移動手段の開発
2:首輪解除のための材料集め
[備考]
※参戦時期は後続の書き手におまかせします
[状態]:健康
[服装]:いつもの服装
[装備]:シンフォーザベルゼ@Death End Re:Quest
[道具]:基本支給品、ランダム支給品2つ
[思考]
基本:殺し合い?下らん
1:移動手段の開発
2:首輪解除のための材料集め
[備考]
※参戦時期は後続の書き手におまかせします
【小烏丸天国@11eyes -罪と罰と贖いの少女-】
草壁五宝の一つ。妖力の蓄積・開放を行うことで高い攻撃力を得る事が出来る
草壁五宝の一つ。妖力の蓄積・開放を行うことで高い攻撃力を得る事が出来る
【閻魔@ONE PIECE】
大業物21工の一振り。地獄の底まで切り伏せると称される、光月おでんのかつての愛刀。
持ち主の覇気を勝手に放出して必要以上に切断する特性を持ち、普通の剣士では力を吸われ干からびてしまう。
大業物21工の一振り。地獄の底まで切り伏せると称される、光月おでんのかつての愛刀。
持ち主の覇気を勝手に放出して必要以上に切断する特性を持ち、普通の剣士では力を吸われ干からびてしまう。
【シンフォーザベルゼ@Death End Re:Quest】
かつて神が用いていたとされる杖。複数の能力が大幅にアップする
かつて神が用いていたとされる杖。複数の能力が大幅にアップする
【メタルドラゴン@ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁】
NPC。銀色のボディを持つ機械仕掛けのメカドラゴン。
NPC。銀色のボディを持つ機械仕掛けのメカドラゴン。
【ホークブリザード@ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁】
NPC。身を切るような寒風とともに現れ、涼しげな水色の体に冷気をたくわえており、近づく者すべてを凍らせる
NPC。身を切るような寒風とともに現れ、涼しげな水色の体に冷気をたくわえており、近づく者すべてを凍らせる
【シュプリンガー@ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁】
剣の扱いと補助魔法に長ける黄色い鱗の竜戦士。竜人族のエリート戦士らしい。
剣の扱いと補助魔法に長ける黄色い鱗の竜戦士。竜人族のエリート戦士らしい。
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