「……許せないよ、こんなふざけた殺し合いなんて」
勇者は誓った、この殺し合いを開いた邪智暴虐の元凶を打ち倒さないといけないと
四方世界における勇者、かの世界の歴史において数少ない『白金等級』の冒険者としての地位を持つ少女
並外れた才能と恐るべき強運を持ち合わせ、だからといってその2つに胡座をかかず、仲間から剣術や魔術、知恵や心得を学び、入念な準備を以ってして冒険に挑む
相応の努力を重ね、仲間の助けも借りて、だからこそ「世界を救える」。だからこそ彼女は勇者と呼ばれていた
「……でも、怒ってばかりじゃいられない。ボク一人じゃ出来ることは限られてるし、まず人を探して、考えて、助けが欲しい人がいたら助けてあげて、と」
勿論、一人で出来ることの限界を勇者は知っている。世界は救えても、それでみんなを救えるわけじゃない。それを勇者が一番知っている。いつもなら隣りにいてくれる賢者と剣聖は、今ではどこにいるかはわからずじまい
だからこそ、やれることから、自分の出来ることをしよう。そう考えた、その時であった
だからこそ、やれることから、自分の出来ることをしよう。そう考えた、その時であった
「……いい夜だ、本当にいい夜だ」
得体のしれない何かが、勇者の前に現れた
◯ ◯ ◯
血界の眷属――通称BB(ブラッドブリード)。ある世界に於ける、人界の伝承における吸血鬼そのもの
その実態は、人間のDNAに超常の存在が直接呪文を書き込む事で生まれた生物兵器
大体の眷属は人間と同じ形をしているが、鏡に映ることがことがないという共通点や例外が無い限りは事実上感知は不可能
特定の戦術で挑まない限りまともに対抗出来ず、対抗できたとしてもその傷は一瞬で美しく再生する
その実態は、人間のDNAに超常の存在が直接呪文を書き込む事で生まれた生物兵器
大体の眷属は人間と同じ形をしているが、鏡に映ることがことがないという共通点や例外が無い限りは事実上感知は不可能
特定の戦術で挑まない限りまともに対抗出来ず、対抗できたとしてもその傷は一瞬で美しく再生する
黒タイツのような外見に綺羅びやかに輝ける金色の長髪を持った美青年、ザメドル・ルル・ジアズ・ナザムサンドリカもまた、その血界の眷属の、その中で上位に位置する『長老級(エルダークラス)』に数えられる存在の一人だ
自らに科せられている首輪にかつて自身を密封した術式が施され、一定以上のダメージを食らうと自動的に『密封』される
かつて牙狩りを相手に『諱名』を知られ、『密封』された彼からすれば苦い経験ではあるが、こうして再び解き放たれたのなら問題はない
何故自分がこんな場所にいるのか、どのような神格存在が密封封印されていたはずの自分をここに呼び出したのかは検討もつかない。だが、『殺し合い』というゲームであるのなら、せっかくなので暇つぶしに楽しませてもらうのが、彼の流儀であり方針であった
かつて牙狩りを相手に『諱名』を知られ、『密封』された彼からすれば苦い経験ではあるが、こうして再び解き放たれたのなら問題はない
何故自分がこんな場所にいるのか、どのような神格存在が密封封印されていたはずの自分をここに呼び出したのかは検討もつかない。だが、『殺し合い』というゲームであるのなら、せっかくなので暇つぶしに楽しませてもらうのが、彼の流儀であり方針であった
「さて、お嬢さん。そんな怖い目をして、僕に何の用なのかな?」
「……それはそっち次第じゃないかな。あんまりこういうのを初対面の人に言いたくないんだけどさ……あなた、とてつもなく血の匂いがするんだね」
「……すまないすまない、愛犬の粗相が悪くて、餌やりの時に返り血がよく付くもので、ね」
「……ッ!!」
「……それはそっち次第じゃないかな。あんまりこういうのを初対面の人に言いたくないんだけどさ……あなた、とてつもなく血の匂いがするんだね」
「……すまないすまない、愛犬の粗相が悪くて、餌やりの時に返り血がよく付くもので、ね」
「……ッ!!」
ザメドルの飄々とした言葉、ただその一言一言がまるで体に刺すような感覚として勇者は感じている。根本的に力の『質』が違う、今まで戦ってきた誰よりも、強いと、勇者はその身を以って実感していた
そして同時に悟った。この男は私を逃がす気などないと、そもそも『逃げられない』と
そして同時に悟った。この男は私を逃がす気などないと、そもそも『逃げられない』と
「――さて。実は僕も、流石にこの広さの会場を歩き回るには一苦労しそうだからね。――ちょうど斥候がほしかったところだ」
ザメドルの両肩から、骨のようなモノが生える。翼とも爪とも思える骨のようなナニカ
「魔物の仲間入りなんてお断りだよ」
勇者はその柄から剣を取り出す。聖剣ではなく天空の剣なる代物であるが、今の彼女には十分な代物
「―――そう、実に残念だ」
その言葉とともに、勇者の視界からザメドルの姿は消える
気づいたときには、勇者の身体は壁に叩きつけられていた
◯
結果だけいえば、戦況は勇者の惨敗に等しいものだった
奇跡的に避け続けている、避ける事ができている。だが、一撃が確実な致命傷。何度も喰らい、血溜まりが出来上がるほど血を吐き続け、根気だけで立ち上がり、血を吐き、覚醒してはすぐに突き刺され、立ち上がり、血反吐を吐く
いくら骰子を振りづつけて、どれだけ運が良かろうと、全てが6になることなどありえない。数十数百数千数万も振り続ければいつかは1の数字は出てしまう
なんとか渾身の一撃を当てても、当たった途端に再生。まるで攻撃そのものが無意味だと言わんばかりに
もはや勝敗は火を見るよりも明らかであった
もはや勝敗は火を見るよりも明らかであった
「――87秒。牙狩りよりも持たなかったようだ」
「……まだ、だ。私、は」
「君も諦めが悪い。もう勝敗は決したんだ、大人しく僕の軍門に下るのが最善だと思うのだけれどね」
「誰、が、お前なんか、の、仲間、なんか、に……」
「……まだ、だ。私、は」
「君も諦めが悪い。もう勝敗は決したんだ、大人しく僕の軍門に下るのが最善だと思うのだけれどね」
「誰、が、お前なんか、の、仲間、なんか、に……」
勇者はまた立ち上がろうとする。だけど、立ち上がれない。全身の骨という骨が折れたのか。視界も血で滲んでよく見えない。手足の感覚がまともに感じられない。手持ちの武器に至っては既に砕け散った
「……諦めたり、なんか、したくない。ボクだって、やりたいことがあるから、ボクにしか、出来ないことがある、から。それで誰かが笑顔になるんだったら、ボクはそれでいい。だってボクは、勇者、なんだから!」
だけど、だからといって、諦めたくなんかない。絶対に生きて帰って、元の世界に戻る。どこまでも諦めず、自分が選んだ道を、決して曲がらないままに歩み続けるのが、彼女の変わることのない在り方
「――勇者。その学ばぬ愚かさだけは、頭の端にでも覚えておくことにしよう」
故にザメドルは、その『愚かさ』に呆れ、トドメを刺すことにした。骨の槍が、死に体の勇者に迫る。もはや避けることも防ぐことも不可能。
―――しかし、ここで神の骰子は、『大幸運(クリティカル)』の目を出した
「え?」
「……何?」
「……何?」
突然、勇者の身体が、虚空に空いた『孔』に飲み込まれ、消えた
それを確認したザメドルは、周囲を見渡した後、展開させた骨を収める
それを確認したザメドルは、周囲を見渡した後、展開させた骨を収める
「……空間転移の術式? ……誰の手引かは知らないが、どうやら深追いはしないほうが良さそうか」
この殺し合いにおいて、そのようなものがそう安々と罷り通るものではない。恐らくは移動距離に制限が掛けられていると予想される
「あの時の牙狩りの連中といい―――運のいい奴らだ」
人間とは愚かな生き物だ。実力差を分かっていながら、無謀だと分かっていながらも歯向かってくる。そしてその果てに自分のような超常存在に対し勝利をもぎ取ってしまう
どこまでも弱く、愚かな生き物。だが一度、この身はそんな人間どもに遅れを取った。故に
どこまでも弱く、愚かな生き物。だが一度、この身はそんな人間どもに遅れを取った。故に
「……次はないぞ」
あの時は義眼持ちの小僧に諱名を暴かれ、封印されたが。封印の術式を使える牙狩りがいない以上、この首輪さえ何とかすれば、最低限自分をどうにか出来る連中はいなくなるだろう
もう二度も遅れを取るつもりはない。あの勇者を名乗った小娘は、次出会うならば必ず殺す。ザメドルはただ、次なる獲物と未知を求め、再び歩き始めるのであった
もう二度も遅れを取るつもりはない。あの勇者を名乗った小娘は、次出会うならば必ず殺す。ザメドルはただ、次なる獲物と未知を求め、再び歩き始めるのであった
【ザメドル・ルル・ジアズ・ナザムサンドリカ@血界戦線】
[状態]:健康
[服装]:いつもの服装
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品3つ
[思考]
基本:せっかくだからこの殺し合いを楽しませてもらう
1:この首輪は忌々しいからさっさと外したい所
2:広い会場を一人で探索するのは骨が折れるから、有能な斥候は手に入れたいとは思う
[備考]
※原作第八巻『幻界病棟ライゼズ(後編)』より、クラウスに「密封」された後からの参戦です
※首輪の制限により、一定以上のダメージを喰らった場合自動的に密封状態となり、事実上の脱落となります
※再生能力はある程度低下しています
[状態]:健康
[服装]:いつもの服装
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品3つ
[思考]
基本:せっかくだからこの殺し合いを楽しませてもらう
1:この首輪は忌々しいからさっさと外したい所
2:広い会場を一人で探索するのは骨が折れるから、有能な斥候は手に入れたいとは思う
[備考]
※原作第八巻『幻界病棟ライゼズ(後編)』より、クラウスに「密封」された後からの参戦です
※首輪の制限により、一定以上のダメージを喰らった場合自動的に密封状態となり、事実上の脱落となります
※再生能力はある程度低下しています
◯ ◯ ◯
「……しっかりしてください!」
「……ん、あれ……」
「……ん、あれ……」
朧気な意識の中、勇者はその声を聞く。
「……ボク……って、うわぁ?!」
「あら、目が覚めたかしら?」
「あら、目が覚めたかしら?」
目を開けると、どこかの病室のような場所。そこにいるには、身体に包帯を巻かれている自分の姿。そんな勇者の姿を見てホッと胸をなでおろす黒髪の少女。そして目覚めた勇者に話しかけてきた所謂中華風の服装を来た金髪の女性
「あの、助けてくれ、たの、かな……?」
「まあ、そういう事になるわね。あと貴女の傷を治したのは私じゃなくて、そっちのあの娘よ」
「まあ、そういう事になるわね。あと貴女の傷を治したのは私じゃなくて、そっちのあの娘よ」
勇者が再び黒髪の女性を見る。長い黒髪に白い衣装。何より目立つのはその右腕だ。包帯のようなものが巻かれた十字架のようなオブジェクト。義手、のようなものだろうか、と勇者は訝しむ
「いえ、私はそんな……ただ手助けをしただけなんです」
「手助け?」
「レリック……まあ魔法みたいなものだと思ってください。私のレリックは損傷してしまった傷を一時的にマナで代替えする力なんです。貴方の場合はマナではなく魔力で代替したそうですけど……」
「へぇ……優しい力なんだね」
「……治癒はあくまで患者自身の治癒力頼みなんです。それに部位の修復にも時間が限られていて。そんな褒められた事だなんて」
「いやいや、ボクからしたら……ええと」
「すみません、自己紹介が遅れていましたね。私はサーニャって言います」
「じゃあサーニャちゃん。本当にありがとうね。あとそこの金髪の人も。私のことは勇者でいいから」
「……ストレートに勇者でいいって言われても普通は困惑するわよ? ……私は八雲紫。幻想郷という場所で賢者をやっているわ。よろしくね、勇者ちゃん?」
「……(ええと、悪い人ではないんだろうけど、なーんか怪しそう)」
「手助け?」
「レリック……まあ魔法みたいなものだと思ってください。私のレリックは損傷してしまった傷を一時的にマナで代替えする力なんです。貴方の場合はマナではなく魔力で代替したそうですけど……」
「へぇ……優しい力なんだね」
「……治癒はあくまで患者自身の治癒力頼みなんです。それに部位の修復にも時間が限られていて。そんな褒められた事だなんて」
「いやいや、ボクからしたら……ええと」
「すみません、自己紹介が遅れていましたね。私はサーニャって言います」
「じゃあサーニャちゃん。本当にありがとうね。あとそこの金髪の人も。私のことは勇者でいいから」
「……ストレートに勇者でいいって言われても普通は困惑するわよ? ……私は八雲紫。幻想郷という場所で賢者をやっているわ。よろしくね、勇者ちゃん?」
「……(ええと、悪い人ではないんだろうけど、なーんか怪しそう)」
サーニャのことは兎も角、八雲紫の悪人ではなさそうだけどなんとも悪巧みしてそうな雰囲気に勇者、思わず心の内で怪しむ
「ねぇ、私ってそんなに信用ならないかしら?」
「紫さんはどちらかといえばその悪巧みしてそうな表情をやめるべ……いだだだだ冗談です冗談ですって、八雲紫さんは裏表のない優しい人です!」
「……よろしい」
「紫さんはどちらかといえばその悪巧みしてそうな表情をやめるべ……いだだだだ冗談です冗談ですって、八雲紫さんは裏表のない優しい人です!」
「……よろしい」
勇者の表情に感づいた紫がサーニャに尋ねるも、返答が気に障るものだったのか頭ぐりぐり。思わずサーニャが急ぎ訂正の言葉を述べたことで納得する紫
そんな二人の顔を見て、聞き忘れたことを思い出した勇者が尋ねる
そんな二人の顔を見て、聞き忘れたことを思い出した勇者が尋ねる
「あの、どうして助けてくれたんですか?」
「……ええ、私は元々助けるつもりなんてなかったんだけど、この子が色々と喧しくてね。それに私も私で貴女に聞きたいことがあったから、物の序でにって事よ」
「……見かけたのは偶然です。それに紫さんが断っていたのなら私が一人でも行くつもりでした。……私はこんな殺し合い、絶対に許したくありません。こんな不用意に犠牲者を増やすような悪質な催しを。それに、私は死にそうになっていた貴女を放っておけなかった、それだけです」
「……と、まあ。色々と癖のある子でちょっと扱いに困ってたのよね。……貴女もどちらかといえば構わず救って行きそうなタイプと見たわ」
「たとえ世界を救えても、全ての人々を救えるなんて思ってないよ、ボクは。でも、だからって助けられるはずの命を見捨てたくない、それだけかな」
「……」
「……ええ、私は元々助けるつもりなんてなかったんだけど、この子が色々と喧しくてね。それに私も私で貴女に聞きたいことがあったから、物の序でにって事よ」
「……見かけたのは偶然です。それに紫さんが断っていたのなら私が一人でも行くつもりでした。……私はこんな殺し合い、絶対に許したくありません。こんな不用意に犠牲者を増やすような悪質な催しを。それに、私は死にそうになっていた貴女を放っておけなかった、それだけです」
「……と、まあ。色々と癖のある子でちょっと扱いに困ってたのよね。……貴女もどちらかといえば構わず救って行きそうなタイプと見たわ」
「たとえ世界を救えても、全ての人々を救えるなんて思ってないよ、ボクは。でも、だからって助けられるはずの命を見捨てたくない、それだけかな」
「……」
勇者のその真摯な眼差しをみた紫は、目を閉じて呆れたようにため息をつく。そして再び目を見開くと、雰囲気を一変させて
「……じゃあ本題に入っていいかしら? 貴女が戦っていたあのバケモノ、何?」
勇者が先程戦ったバケモノの事を問おうとするのであった
【勇者@ゴブリンスレイヤー】
[状態]:負傷(中・自然治癒中)、魔力消費(中)
[服装]:所々に包帯を巻いている
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品2つ
[思考]
基本:こんな殺し合いを許してはおけない
1:助けが欲しい人はなるべく助けたい
[備考]
※最低でも魔王を撃破した後からの参戦です
[状態]:負傷(中・自然治癒中)、魔力消費(中)
[服装]:所々に包帯を巻いている
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品2つ
[思考]
基本:こんな殺し合いを許してはおけない
1:助けが欲しい人はなるべく助けたい
[備考]
※最低でも魔王を撃破した後からの参戦です
【サーニャ@UNITIA ユニティア 神託の使徒×終焉の女神】
[状態]:健康
[服装]:いつもの服装
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品3つ
[思考]
基本:出来るだけ生命を救う
[備考]
※参戦時期は後続の書き手にお任せします
[状態]:健康
[服装]:いつもの服装
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品3つ
[思考]
基本:出来るだけ生命を救う
[備考]
※参戦時期は後続の書き手にお任せします
【八雲紫@東方Projectシリーズ】
[状態]:健康
[服装]:いつもの服装
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品3つ
[思考]
基本:さて、どうしようかしらね?
[備考]
※参戦時期は後続の書き手にお任せします
※境界を操る程度の能力にある程度の制限が掛けられています。制限の度合いは後続の書き手にお任せします
[状態]:健康
[服装]:いつもの服装
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品3つ
[思考]
基本:さて、どうしようかしらね?
[備考]
※参戦時期は後続の書き手にお任せします
※境界を操る程度の能力にある程度の制限が掛けられています。制限の度合いは後続の書き手にお任せします
【天空の剣@ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁】
伝説の勇者が装備していた剣。道具として使うと、様々な特殊効果を消し去る「いてつくはどう」と同じ効力を持つ
伝説の勇者が装備していた剣。道具として使うと、様々な特殊効果を消し去る「いてつくはどう」と同じ効力を持つ
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