――少女は地獄を見た
極々ありふれて、それでいて少しだけ非日常があって
優しい母親がいて、実は恋い焦がれているクラスメイトがいて、自分は自分で魔法少女として魔罪人を倒すのに忙しかったけど、それでも充実した毎日で
そんな日常がいつまでも続くと思っていた
……最初はとある魔罪人との戦いで、初めて刻まれた快楽からであった
それから全て脆くも崩れ去ってしまった。学園での魔罪人ハクラクとの戦いで、母を人質に取られた事での初めての敗北。好きでもない男子に初めてを奪われ、性処理係にへと堕ちぶれた
唯一信じることの出来たボーイフレンド、清良トキのおかげでハクラクは倒すことは出来た、だけど何もかも、清良トキの……否、魔罪人ヨトギの紡いだ脚本どおりであった
母親は既に堕とされていた、唯一信じることの出来た、恋い焦がれたボーイフレンドは最初から敵だった。茶番だった、最低最悪の茶番だった。
心は砕け散った。自分から快楽を求めた。裏切られたと知っても、それでも大好きな人の子を宿せれるなら何でもいいと思った。
そんなささやかな、狂い壊れた願いすらも、いとも容易く踏みにじられた
目が覚めると、知らない夜空があった。周りには緑色の身体をした何かがいた。魔罪人なのか、それとも別の何かなのか、どうでもよかった
そういえば殺し合いなんて言っていた人がいた、みせしめとして殺された人がいた。でもどうでもよかった
何もかもどうでもよかった。このままこいつらの慰み者になってもいいと思っていた。狂った後の学園での日常と何も変わらないからだろうか
緑色の何かの性欲に下卑た視線が酷く心地よく思えた。慣れてしまったからだろうか
……どうしてなんだろう。どうして、もうどうでもいいと思ったのに。どうして泣いているんだろう
頭も、身体も、心も、どうにもならない程に壊れてしまったはずなのに
頭も、身体も、心も、どうにもならない程に壊れてしまったはずなのに
……ああ、そうだ。どれだけ快楽の淵に堕ちても、絶望しても、壊れても―――
――取り戻したかったんだ
あの優しかったお母さんを、ヨトギに壊され、私なんか見向きもしなくなってしまったけど、それでも取り戻したいと願っていた
でも、この身体で何が出来るのか。自ら快楽を貪る事を望んでしまうほどに身体も心もボロボロになった私に
あの優しかったお母さんを、ヨトギに壊され、私なんか見向きもしなくなってしまったけど、それでも取り戻したいと願っていた
でも、この身体で何が出来るのか。自ら快楽を貪る事を望んでしまうほどに身体も心もボロボロになった私に
そんな事を考えていた最中だ
「―――マジカル・スプラッシュ・フレアァァァッッッ!!!」
そんな誰かの大声と共に、目の前にピンク色のハートの形をした、大きな何かが輝いているのが見えた
その輝きは、今にも緑色の何かを飲み込んでいく。このまま動かないのであれば私も飲み込まれてしまうのだろう
その輝きは、今にも緑色の何かを飲み込んでいく。このまま動かないのであれば私も飲み込まれてしまうのだろう
だからなのか、それとも本当は私が諦めたくなかったと思っていたのか、わからないけど
「メン……タル・イル、シオンッ……プラク、ティ、エル・ラ、―――マギ!」
………私は、有栖川理愛は―――
◯ ◯ ◯
きっかけだけを言うならば、この私、煌樹まみかの盛大な勘違いであった
いやだって、なんか白い液体っぽいのまみれで座り込んでいた、焦点があってない眼の女の子に、それを取り囲む緑色の魔物なんて構図って、どう考えてもいやらしい何か案件じゃないですか!?って
「―――マジカル・スプラッシュ・フレアァァァッッッ!!!」
勿論怒りが途轍もなくこみ上げて、その感情のままにマジカル・スプラッシュ・フレアを放っちゃいました。……あ、勿論女の子を巻き込まないようには考慮はしたんだけど……
周りに居た緑色の魔物は消し炭になりました。……周りの草花ごと。周りが草原だから良かったにしても、もし市街地とか人が居たりとかだったら明らかに大惨事になっていたので、頭が冷えた後はちょっとだけホッとしました
なんて落ち着いていたら、目の前に光の玉かなんかが現れて、それが消えたと思ったら何だから衣装チェンジというか私と同じ魔法少女だったらしい、先程の女の子の姿です
「……えっと、あの」
まずいと思いました。多分ものすごーく怒ってるのかなぁ、って最初は思っていました。
いくら怒りで曇っていたとはいえ、実際やらかしかけたわけなので。やっぱり元いた世界と勝手が違うのは今でも慣れません
ですけど、どうやら――
いくら怒りで曇っていたとはいえ、実際やらかしかけたわけなので。やっぱり元いた世界と勝手が違うのは今でも慣れません
ですけど、どうやら――
「………あ、あの」
「……はい」
「……どちら、様?」
「……ほえ?」
「……はい」
「……どちら、様?」
「……ほえ?」
……私の考えは、ただの杞憂で済んだようです
◯ ◯ ◯
爆心地のような状態になった場所から少し離れた場所にあるとあるお寺の境内。一旦そこへ移動した二人は改めてお互いの事を話していた
まみかの話した創造主の世界やらに関しては、理愛は「とりあえずアニメの世界から来たのかな?」という軽い感覚で納得し
理愛の話した心の世界、魔罪人は、まみかからすればある意味自分の元いた物語と似たりよったりな世界だという認識で納得したのだが
まみかの話した創造主の世界やらに関しては、理愛は「とりあえずアニメの世界から来たのかな?」という軽い感覚で納得し
理愛の話した心の世界、魔罪人は、まみかからすればある意味自分の元いた物語と似たりよったりな世界だという認識で納得したのだが
「……あの、その。ごめんなさい」
「さっきのことでしたら大丈夫ですよまみかさん」
「いや、そっちじゃなくて……その、理愛ちゃんは」
「……いいんです。もう」
「さっきのことでしたら大丈夫ですよまみかさん」
「いや、そっちじゃなくて……その、理愛ちゃんは」
「……いいんです。もう」
不用意に理愛の内情を聞いて、まみかはその不用意さ後悔することになった。あまりにも残酷すぎて、救いのない結末(ものがたり)。もし彼女のそれが誰かが書いた物語であったのならが、その創造主に思わずゼロ距離マジカル・スプラッシュ・フレアをぶちかましてやりたいと思ってしまうほどに怒りに打ち震えそうになる
そして話を聞くに、理愛は一度心が壊れたらしい。そこまで至った経緯がどれほどの地獄だったのか、同じ女性としてなんとなく理解できてしまうが故に
そして話を聞くに、理愛は一度心が壊れたらしい。そこまで至った経緯がどれほどの地獄だったのか、同じ女性としてなんとなく理解できてしまうが故に
「……でも、許せないよ。好きだった人が、そんな酷い人だったなんて。そんな外道だったなんて」
それ以上に、煌樹まみかは彼女から聞いた清良トキ、もとい魔罪人ヨトギに対して特に強い怒りを抱いていた。
理愛の母親を壊したばかりか、理愛を追い詰めるためだけにあんな酷い真似をした人の形をした、吐き気を催す邪悪に対して
理愛の母親を壊したばかりか、理愛を追い詰めるためだけにあんな酷い真似をした人の形をした、吐き気を催す邪悪に対して
「……ごめん。好きだったんだよね。そのトキって人のことが」
「良いんです、まみかさん。あの人は最初から敵だった、それに私もお母さんも気づけなかった。ただそれだけなんです」
「良いんです、まみかさん。あの人は最初から敵だった、それに私もお母さんも気づけなかった。ただそれだけなんです」
憤っていながら理愛の方を見れば、彼女の目尻には涙が溢れている。また余計なこと言っちゃったのかなと思い謝罪するまみかであったが、理愛はそんな彼女を気遣うように、我慢して作っているような笑顔をまみかに向ける
「だから、私が止めないといけないって思ってます。この殺し合いにトキくんがいるのかはわからないですけど。いるにしろいないにしろ、まずはこの殺し合いを何とかして止めないと」
「身体は、大丈夫なの?」
「身体は、大丈夫なの?」
殺し合いを止めたいという二人の気持ちは同じであるが、まみかからすればまだ快楽の痕跡が残り続けている理愛の身体の方が心配であった。事実、魔力を使ったのが原因なのか、理愛の身体は恐らく常温よりも高い。顔も赤らんでおり、気を抜いたらへなへなと座り込んで地面にシミを付けかねないほどだ
「……ちょっと、大丈夫、じゃない、かな。でも、足手まといにはならないぐらいには、頑張る、から。――ごめん、トイレ行ってくるね」
そう言い残すと、理愛は一先ず覚束ない足取りながらもトイレのある寺の小屋へと向かっていった
恐らくは抜けきっていない快楽を自ら慰めに行ったのだろう
恐らくは抜けきっていない快楽を自ら慰めに行ったのだろう
「……はぁ」
一人取り残されたまみかは、ただため息をつく。『今の世界』の複雑さなんて今に始まった事ではないのは彼女自身が一番理解している。
自分のいた世界は優しかった。魔法で誰も傷つくことなく、悪しき存在を浄化し退治する。そんな法則で彩られた物語であった
だからこそ彼女が最初に創造主の世界を訪れ、軍服の姫君の話を鵜呑みにしていた頃は、まさに世間知らず、というべきだった
だからこそ、だったのだろう、世界を知って、その上で、元の世界に戻っても恥ずかしくない生き方を、最後までみんなの信じてくれたマジカルスレイヤー・まみかであり続けることを
自分のいた世界は優しかった。魔法で誰も傷つくことなく、悪しき存在を浄化し退治する。そんな法則で彩られた物語であった
だからこそ彼女が最初に創造主の世界を訪れ、軍服の姫君の話を鵜呑みにしていた頃は、まさに世間知らず、というべきだった
だからこそ、だったのだろう、世界を知って、その上で、元の世界に戻っても恥ずかしくない生き方を、最後までみんなの信じてくれたマジカルスレイヤー・まみかであり続けることを
耳を傾けると、理愛の喘ぎ声のようなものが聞こえる。あまり聞きたくはないものであるが、理愛も理愛で、自分の中に根付いた快楽と戦っているのだろうと、まみかはそう信じていた
「……こんな所で、私もいつまで落ち込んでばかりじゃいられないよね。……アリスちゃん」
沈黙の夜空の下、今はどこにいるとも分からぬ友人の名を呟く
結局死に別れてしまった形になってしまったけど、もし彼女ならこの殺し合いに巻き込まれても正しい道を進んでくれているんだろうと信じている。
結局死に別れてしまった形になってしまったけど、もし彼女ならこの殺し合いに巻き込まれても正しい道を進んでくれているんだろうと信じている。
少女は誓う、誰かに恥じない、みんなの信じた自分を貫き通すために
少女は誓う、一度は壊れてしまった自分だけど、今度こそ大切な母親を取り戻し、恋人だった男と決着をつけると
彼女たちは誓う。煌めく涙は星に、再び決意を胸に秘め
【煌樹まみか@Re:CREATORS】
[状態]:健康
[服装]:魔法少女姿
[装備]:マジカルステッキ@Re:CREATORS
[道具]:基本支給品、ランダム支給品2つ
[思考]
基本:こんな殺し合いなんて止めないと
1:理愛ちゃんの身体が心配。無理をしてないといいけど
[備考]
※本編第九話「花咲く乙女よ穴を掘れ」で、死亡後からの参戦です
[状態]:健康
[服装]:魔法少女姿
[装備]:マジカルステッキ@Re:CREATORS
[道具]:基本支給品、ランダム支給品2つ
[思考]
基本:こんな殺し合いなんて止めないと
1:理愛ちゃんの身体が心配。無理をしてないといいけど
[備考]
※本編第九話「花咲く乙女よ穴を掘れ」で、死亡後からの参戦です
【有栖川理愛@魔法娼女理愛 獣欲に嵌まる母娘】
[状態]:発情(大)、快楽中毒(中)
[服装]:魔法少女姿
[装備]:魔法の杖(変身前はペンダントの形態)@魔法娼女理愛 獣欲に嵌まる母娘
[道具]:基本支給品、ランダム支給品2つ
[思考]
基本:殺し合いを止めたい
1:身体の疼きが……
2:もしトキくんと出会ったら、その時は……
[備考]
※本編第五章『砕ける心、隷属の刻』終了後からの参戦です
※トキによって仕掛けられた『道具』は解除されています
[状態]:発情(大)、快楽中毒(中)
[服装]:魔法少女姿
[装備]:魔法の杖(変身前はペンダントの形態)@魔法娼女理愛 獣欲に嵌まる母娘
[道具]:基本支給品、ランダム支給品2つ
[思考]
基本:殺し合いを止めたい
1:身体の疼きが……
2:もしトキくんと出会ったら、その時は……
[備考]
※本編第五章『砕ける心、隷属の刻』終了後からの参戦です
※トキによって仕掛けられた『道具』は解除されています
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