木が倒れる。
電柱が倒れる。
ガラスの雨が降る。
ゴブリンが襲いかかる。
魔物が麻痺させる息を吐く。
突如舌を出した魔物に襲われる。
炎を纏った戦士が炎の魔法を放つ。
顔見知りを連想させる人形が踊り狂う。
飛んできた看板がギロチンのように飛ぶ。
世界が意思を持って彼女を殺そうとしている。
それが当然なように彼女の周り全てが襲いかかる。
電柱が倒れる。
ガラスの雨が降る。
ゴブリンが襲いかかる。
魔物が麻痺させる息を吐く。
突如舌を出した魔物に襲われる。
炎を纏った戦士が炎の魔法を放つ。
顔見知りを連想させる人形が踊り狂う。
飛んできた看板がギロチンのように飛ぶ。
世界が意思を持って彼女を殺そうとしている。
それが当然なように彼女の周り全てが襲いかかる。
この状態を一言で表すなら【災厄】だろう。
「……」
【災厄】を受けている彼女は何も言わない。
攻撃のタイミングに合わせて、避け、防ぎ、いなし、打ち消し、障壁を貼り、ただ淡々と対処する。
視界を塞ぐほどの帽子を被っているのに、まるで見えているかのような軽々しい動きを見せる。
そのような動きができる正体は、空想視<イマジナリーチェイン>と呼ばれる戦闘能力にある。空想力を共有し、敵味方の数秒先までの行動を予知する能力だ。
攻撃のタイミングに合わせて、避け、防ぎ、いなし、打ち消し、障壁を貼り、ただ淡々と対処する。
視界を塞ぐほどの帽子を被っているのに、まるで見えているかのような軽々しい動きを見せる。
そのような動きができる正体は、空想視<イマジナリーチェイン>と呼ばれる戦闘能力にある。空想力を共有し、敵味方の数秒先までの行動を予知する能力だ。
「…先輩……なんで……」
しかしだ。
そのような能力を持っているのに、彼女は自分から攻撃することはしない。
向かってくる【災厄】を淡々と対応するが、それどころではなさそうに。
そのような能力を持っているのに、彼女は自分から攻撃することはしない。
向かってくる【災厄】を淡々と対応するが、それどころではなさそうに。
彼女はここが殺し合いの場であることは認識している。心の中では。
たけど、目の前の景色が見えていないように、小さく何かを呟きながら、顔を下に向けたままである。
たけど、目の前の景色が見えていないように、小さく何かを呟きながら、顔を下に向けたままである。
「うーん、『豹馬君』みたいにうまくいかないなあ」
この【災厄】を引き起こした、赤いマフラーを身に着けた少女が呟く。
彼女の名前はクロ。誰からも認識されない透明人間である。
彼女の名前はクロ。誰からも認識されない透明人間である。
誰からも見てもらえず、聞いてもらえず、孤独に生きていたクロは、一人の少年と出会った。
少年は彼女とは逆に、透明人間しか認識することが出来なかった。
少年はクロの協力があり、日常生活に復帰した。彼女もまた、少年に協力することに喜びを感じた。
そうして透明人間の少女と、透明人間しか認識できない少年―――クロと豹馬は恋人同士になった。
少年は彼女とは逆に、透明人間しか認識することが出来なかった。
少年はクロの協力があり、日常生活に復帰した。彼女もまた、少年に協力することに喜びを感じた。
そうして透明人間の少女と、透明人間しか認識できない少年―――クロと豹馬は恋人同士になった。
だけど、豹馬は殺されてしまった。だから、彼女は自殺して豹馬の後を追った。
しかし、彼女の世界はそれで終わらなかった、彼女は死後、幽霊となり世界を改変する力を与えられた。
彼女は平行世界を渡った、その力を使って『豹馬君』を生かすために。何度でも。
しかし、彼女の世界はそれで終わらなかった、彼女は死後、幽霊となり世界を改変する力を与えられた。
彼女は平行世界を渡った、その力を使って『豹馬君』を生かすために。何度でも。
『豹馬君』以外には興味は無い。殺し合いなんてどうでもいい。
だから力を使って『豹馬君』の傍に戻ろうとした、しかし、不思議な力でかき消された。
『豹馬君』の傍に戻るために、優勝する事を選ぶのにそう時間はかからなかった。
この世界ではどういうわけか、改変の力を使って直接人を殺すことが出来ないようであった。
だから、事故を起こしたり、物音を立てて魔物の群れをおびき寄せ、出会った彼女を殺そうとした。
だから力を使って『豹馬君』の傍に戻ろうとした、しかし、不思議な力でかき消された。
『豹馬君』の傍に戻るために、優勝する事を選ぶのにそう時間はかからなかった。
この世界ではどういうわけか、改変の力を使って直接人を殺すことが出来ないようであった。
だから、事故を起こしたり、物音を立てて魔物の群れをおびき寄せ、出会った彼女を殺そうとした。
「早く『豹馬君』の所に戻らないと、『豹馬君』を助けてあげないと」
帰らないとまた、『豹馬君』が殺されてしまうから。
その、『豹馬君』に酷いことを言われても。何度でも。
その、『豹馬君』に酷いことを言われても。何度でも。
「『豹馬君』が消えてしまわないように、私はもっともっと頑張らないと」
『豹馬君』、『豹馬君』と繰り返す。さながらそれは神様に祈る聖職者のよう。
神様に祈っても助けて貰えなかった彼女にとって、『豹馬君』は彼女だけの神様だった。
神様に祈っても助けて貰えなかった彼女にとって、『豹馬君』は彼女だけの神様だった。
「私は『豹馬君』を嫌いになったり、見捨てたりなんかしないから」
「……なんで」
「……なんで」
ふと、【災厄】を受けている少女が呟いた。
それは救いを、答えを求めているようであった。
それは救いを、答えを求めているようであった。
「なんで、貴方は、豹馬さんのことを信じられるんですか?」
「え、私のこと見えるの?まあいいや」
「え、私のこと見えるの?まあいいや」
なら、教えてあげようと、彼女は笑顔で答えた。
「だって私は、『豹馬君』のことが大好きだから」
何を当たり前のことを、とでも言うように曇りなき目でまっすぐに。
「『豹馬君』は私に心配かけないように本音を隠してくれてるんだよ、バレてるのに」
クロの世界では自殺した者はウソを付くことが出来ない。
「私は『豹馬君』のことなら全部わかってる」
だから、これは、本心。
「だって『豹馬君』は私を救ってくれた人だから!」
彼女は信じていた。
「『豹馬君』は凄い人だから!私なんかには思いもつかないような理由があるんだよ!」
彼女は狂っていた。
「『豹馬君』は無理してるのかも知れない!はやく助けて、元のとっても優しい『豹馬君』に戻してあげないと!」
『豹馬君』を信じる。その言葉が『豹馬君』に否定されても。『豹馬君』は凄いから。
『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』
『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』
『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』
『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』
『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』
『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』
『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』『豹馬君』
「『豹馬君』は凄いよ!『豹馬君』は格好良いよ!『豹馬君』は素敵だよ!」
その『豹馬君』像が幻想だとしても。彼女はそれに縋るしかなかった。
〇〇〇
―――なに言ってるんですか?先輩はずっと一緒に居てくれますよ?
―――これからも私と一緒に居てくれますよね
先輩は「もちろんだ」と言った。
―――「俺がついてる」って言ってくれましたもんね、ふふ、先輩
だが、彼女は―――神楽鈴奈は、裏切られた。最悪のシナリオで。
この目ではっきり見てしまった。だけど、受け入れられなかった。
運命の人に銃口を向けられたことを。馬鹿にするように指を降る動きを。撃たれたことを。
この目ではっきり見てしまった。だけど、受け入れられなかった。
運命の人に銃口を向けられたことを。馬鹿にするように指を降る動きを。撃たれたことを。
―――夢?これは、夢?夢なんじゃないですか?ねぇ
先輩がそんなことするはずない、だからきっと操られているんだと。
―――そっか、夢じゃないのね
その矢先に参加させられたのがこの殺し合いだ。
人は常に正解を求める。
彼女も正解を見つけた。
どうしようもなく追い詰められた者は、正解を与えられた時、それに縋るしかなくなる。
それが、正しい答えでなくても。
彼女も正解を見つけた。
どうしようもなく追い詰められた者は、正解を与えられた時、それに縋るしかなくなる。
それが、正しい答えでなくても。
〇〇〇
先輩が私を裏切るわけないですよね。
じゃあ、やっぱり、きっと、これは夢だ。
私は、先輩を、信じないと。先輩は、私を、騙さないから。
早く、覚めないと。
じゃあ、やっぱり、きっと、これは夢だ。
私は、先輩を、信じないと。先輩は、私を、騙さないから。
早く、覚めないと。
「クロちゃん、でしたっけ」
「何?」
「私と、協力しませんか?」
「何?」
「私と、協力しませんか?」
少しばかり考えた後、同意する。
他者から認識されないハンディを背負う彼女にとって、協力者が居ることで助かることは多い。
それに改変の力も何度も使えるものではない、使える容量は決まっている。
ならば、迅速に『豹馬君』の元に帰るためには、同意したほうが良いことは明白だ。
他者から認識されないハンディを背負う彼女にとって、協力者が居ることで助かることは多い。
それに改変の力も何度も使えるものではない、使える容量は決まっている。
ならば、迅速に『豹馬君』の元に帰るためには、同意したほうが良いことは明白だ。
「うん、わかった、帰るまでね」
「ええ、よろしくお願いします」
「ええ、よろしくお願いします」
人間には自分の心を守るための防衛機能が存在する。
辛いトラウマの記憶を封じ込めたり、自分の都合の良いように解釈することがそれである。
だから彼女達は思い込むことにした。縋ることにした。壊れてしまわないように。
辛いトラウマの記憶を封じ込めたり、自分の都合の良いように解釈することがそれである。
だから彼女達は思い込むことにした。縋ることにした。壊れてしまわないように。
二人は歩きだす、悪夢から覚めるために。想い人とずっと一緒に居るために。
その気持ちは愛か、執着か、依存か。整理なんてされてない。
一人の少年にぐちゃぐちゃに壊されたまま、そのことに気づかぬままで。
その気持ちは愛か、執着か、依存か。整理なんてされてない。
一人の少年にぐちゃぐちゃに壊されたまま、そのことに気づかぬままで。
【神楽鈴奈@Caligula Overdose-カリギュラ オーバードーズ-】
[状態]:健康
[装備]:ー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:先輩と一緒にいる、ずっと
1:先輩のもとに帰る
2:これは夢、早く覚めないと
※参戦時期は楽士ルート最終決戦で主人公に裏切られ敗北した直後です。
※キャラエピソードは完遂済みです
※この殺し合いと元世界での主人公の裏切りを夢だと思い込みました。
[状態]:健康
[装備]:ー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:先輩と一緒にいる、ずっと
1:先輩のもとに帰る
2:これは夢、早く覚めないと
※参戦時期は楽士ルート最終決戦で主人公に裏切られ敗北した直後です。
※キャラエピソードは完遂済みです
※この殺し合いと元世界での主人公の裏切りを夢だと思い込みました。
【クロ(リーダー)@最悪なる災厄人間に捧ぐ】
[状態]:健康
[装備]:ー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:『豹馬君』と一緒にいる、ずっと
1:『豹馬君』のもとに帰る
2:『豹馬君』のそばにいる
3:『豹馬君』と生きる
※参戦時期は少なくても「災厄に捧ぐ」にて後追い自殺した以降です。
※透明人間であるため普通の生物から彼女の声や姿を認識することは出来ません。
ただしこのロワでは「見えないものが見える」キャラであれば彼女を認識することが可能です。
※このロワでは世界改変の力で直接人を攻撃することが出来ません、結果的に攻撃を受ける形であれば可能です。(倒した電柱がたまたま当たった等)
[状態]:健康
[装備]:ー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:『豹馬君』と一緒にいる、ずっと
1:『豹馬君』のもとに帰る
2:『豹馬君』のそばにいる
3:『豹馬君』と生きる
※参戦時期は少なくても「災厄に捧ぐ」にて後追い自殺した以降です。
※透明人間であるため普通の生物から彼女の声や姿を認識することは出来ません。
ただしこのロワでは「見えないものが見える」キャラであれば彼女を認識することが可能です。
※このロワでは世界改変の力で直接人を攻撃することが出来ません、結果的に攻撃を受ける形であれば可能です。(倒した電柱がたまたま当たった等)
【パペットマン@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
NPC。人形型モンスター。踊ってくるやつ。倒すと仲間になるかもしれない。
NPC。人形型モンスター。踊ってくるやつ。倒すと仲間になるかもしれない。
【ほのおのせんし@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
NPC。人型モンスター。火吹いてくるやつ。倒すと仲間になるかもしれない。
NPC。人型モンスター。火吹いてくるやつ。倒すと仲間になるかもしれない。
【しびれくらげ@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
NPC。くらげ型モンスター。麻痺させてくるやつ。倒すと仲間になるかもしれない。
NPC。くらげ型モンスター。麻痺させてくるやつ。倒すと仲間になるかもしれない。
【ベロゴン@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
NPC。こいつ何型モンスター?。舐めまわしてくるやつ。倒しても仲間にならない。
NPC。こいつ何型モンスター?。舐めまわしてくるやつ。倒しても仲間にならない。
※NPCのまもののむれは空気読んでどっか行きました。
このSSが面白かったなら……\ポチッと/
感想/