「殺し合いとか……めっちゃやむ」
鬱蒼とした森林地帯。夢見りあむは途方に暮れていた。
「クソザコメンタルのぼくにバトロワとか無理ゲーすぎない? 死んじゃうよ、いや本当に……無理ゲーじゃん」
突然放り込まれた殺し合い。その現状に、アイドルとは言えただの少女が耐えられる筈が……。
「なんちゃって! いやいやPサマ!? 確かに仕事欲しいって言ったけどさ、こういう無茶振りホント無理だから! もー……」
深刻そうな顔が一転、おちゃらけた笑顔になる。
些かわざとらしいテンションだが、りあむはアイドルの『夢見りあむ』らしい行動をとっていた。
些かわざとらしいテンションだが、りあむはアイドルの『夢見りあむ』らしい行動をとっていた。
頭がイカれた訳でも、殺し合いでも平然としていられる程根が図太い訳でもない。
単純に、りあむはこの催しをテレビの企画か何かだと思っていた。
拉致されて殺し合え、優勝すれば願いを叶えます。なんて、あまりにも胡散臭いし、何より現実感がない。
アポ無しのドッキリだった方が遥かに説得力がある。
単純に、りあむはこの催しをテレビの企画か何かだと思っていた。
拉致されて殺し合え、優勝すれば願いを叶えます。なんて、あまりにも胡散臭いし、何より現実感がない。
アポ無しのドッキリだった方が遥かに説得力がある。
(この場合って、優勝を目指せば良いのかな? うーん、今流行りのデスゲームモノ、オタクが好きそうだよね!)
とりあえず、りあむはアイドルとしてのキャラをつらぬく事にした。
まだまだ憧れのアイドルを名乗るのは烏滸がましい(と本人は思っている)が、しっかりとプロ意識はあるのだった。
まだまだ憧れのアイドルを名乗るのは烏滸がましい(と本人は思っている)が、しっかりとプロ意識はあるのだった。
(まぁ何とかなるかな? だいたいのオタクは乳揺れしとけば許してくれそうだし? それっぽく喋っとけば良いでしょ!)
「えーと、こういう場合は支給品の確認が大事なんだよね! うん、銃とかあるかも……。クイズ! ぼくのクソザコエイムで何人仕留められるでしょうか! なんつって……」
りあむなりに番組を盛り上げそうなセリフを語りつつ、自分のものらしきデイパックを漁ってみる。
食料だろうか、何故かカップ麺三つとストゼロが入っていた。
食料だろうか、何故かカップ麺三つとストゼロが入っていた。
「いやいやぼくギリ未成年だから! これこそ炎上しちゃうよ! ……てかお湯は? え? まさかの現地調達!? やむ!」
そんな突っ込みを入れつつ、取り出すのは妙な模様の不気味な果実。
「何これキモ!? あ、これ説明書? えーと、……『メラメラの実』?」
同封されていたメモによると、この変なのは悪魔の実というらしく、食べると一生泳げなくなる代わりに、1つだけ特異な能力を得られると書かれていた。
いかにも漫画チックなアイテムに、りあむはいよいよこの催しが企画だという確信を深めた。
いかにも漫画チックなアイテムに、りあむはいよいよこの催しが企画だという確信を深めた。
「いやいや、ぼくがよく炎上するからって炎になる能力とか安直すぎない? というかコレ、ちゃんと食べられるものなの? すっごい不自然な感じするけど……」
あまり食欲をそそられる果実では無かったし、正直口にはしたくない。
しかし、食べないのはテレビ的には美味しくない。
しかし、食べないのはテレビ的には美味しくない。
「うぅ、めっちゃ不味そう。でも……えーい、ままよ!」
暫し悩んだ末、りあむは思いきって果実を丸かじりした。
瞬間、口内に広がる、形容しがたい味覚の暴力。
瞬間、口内に広がる、形容しがたい味覚の暴力。
「うぷ、ヴォエ!! まず!? これゲロマッズ!!」
想像の倍は不味かった。
おぞましい食感に吐き気を催しつつ、我慢して飲み込む。多少は、というかかなり吐き出したが……。
おぞましい食感に吐き気を催しつつ、我慢して飲み込む。多少は、というかかなり吐き出したが……。
「ペッペッ! うぅ……まだ味残ってる… 水が欲しいよぉ。でもあるのはストゼロだけ。アイテム設定おかしいよ」
「うーん、で、これでぼくは超能力者になったのかな。全然実感無いな~…… こう、気合いとか入れてみたら……」
とりあえず設定は守ろうと、おふざけ半分でそれっぽく気合いを入れてみる。
「お わ ぁ !!」
瞬間、りあむの全身が燃え上がった。
「ギャアアアアーーーー!!! 燃え、燃ええ!! アチッ! アチチ! 水、水ゥゥゥ!! あれ? ……熱く、ない?」
一瞬で火達磨になったりあむは、半狂乱で地面を転げ回る。しかし、やがて違和感に気がつく。
燃えているのに、熱くない。いや痛くない。
そう、りあむが燃えているのではない。りあむ自身が火に成っているのだ!
燃えているのに、熱くない。いや痛くない。
そう、りあむが燃えているのではない。りあむ自身が火に成っているのだ!
「え?、え?、……えぇ!?」
種も仕掛けも分からない。というかそんなものもはない、異常な現象。
もしやあの説明書はそれっぽい設定ではなく、本物? いやいや、それはおかしい。そう、それならこの催しはーー
もしやあの説明書はそれっぽい設定ではなく、本物? いやいや、それはおかしい。そう、それならこの催しはーー
この催しはテレビの企画。
りあむのメンタルを保たせていた設定が根本から大きく揺らいだ。
りあむのメンタルを保たせていた設定が根本から大きく揺らいだ。
「……ハ、ハハハ! こ、これならワンチャンあるかな?あるかな?」
優勝すれば人生逆転のチャンス?とか思ったり。いや無理だから。
これはドッキリ、企画だから!だからヘーキヘーキ!これもそう、映画とかの小道具に使うアレでしょ!そうに決まってるって!
これはドッキリ、企画だから!だからヘーキヘーキ!これもそう、映画とかの小道具に使うアレでしょ!そうに決まってるって!
そう自分に言い聞かせ、りあむはその場から逃避した。
あとに残るのは、焼け焦げた地面だけ。
あとに残るのは、焼け焦げた地面だけ。
力を得たりあむが殺し合いの場で何をもたらすのか、まだ分からない。
【夢見りあむ@アイドルマスターシンデレラガールズ】
[状態]:健康、混乱(中)、悪魔の実の能力者(メラメラの実)
[装備]:ー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×2
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いとか……やむ。
1:え、本物? 嘘でしょ!?
2:……ドッキリ、ドッキリだよね!?
[備考]
メラメラの実@ONEPIECEを食べたことで能力者になっています。
参戦時期は第8回シンデレラガール総選挙の後。
[状態]:健康、混乱(中)、悪魔の実の能力者(メラメラの実)
[装備]:ー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×2
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いとか……やむ。
1:え、本物? 嘘でしょ!?
2:……ドッキリ、ドッキリだよね!?
[備考]
メラメラの実@ONEPIECEを食べたことで能力者になっています。
参戦時期は第8回シンデレラガール総選挙の後。
【メラメラの実@ONE PIECE】
自然(ロギア)系悪魔の実の一種。外見はオレンジ色のパイナップル型であり、どことなく炎を彷彿とさせる形をしている。
食べると全身が炎になり、火炎を操る事が出来るが、一生泳げない体質になる。
自然(ロギア)系悪魔の実の一種。外見はオレンジ色のパイナップル型であり、どことなく炎を彷彿とさせる形をしている。
食べると全身が炎になり、火炎を操る事が出来るが、一生泳げない体質になる。
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