――――憎い。憎い憎い憎い憎い憎いッッ!!!!!
シャガクシャ、と呼ばれる一人の男がいた。
男は、孤独だった。
生まれたその日、周囲の人間はみんな死んでいた。
周囲の何もかもが焼け焦げ、まるで流星が墜ちた様に窪んだ大地の中心で、シャガクシャだけが無事だった。
生誕は誰にも祝福されず、呪われた子としての生が始まった。
男は、孤独だった。
生まれたその日、周囲の人間はみんな死んでいた。
周囲の何もかもが焼け焦げ、まるで流星が墜ちた様に窪んだ大地の中心で、シャガクシャだけが無事だった。
生誕は誰にも祝福されず、呪われた子としての生が始まった。
家族も、友も、財産も何も持っていなかったシャガクシャだったが、憎悪だけは相棒の様に、常に彼と共にあった。
誰かを憎む度に、酷く肩が疼いた。
誰かを憎む度に、酷く肩が疼いた。
月日は経ち、シャガクシャは国中に名を届かせる戦士となった。
憎悪を糧に戦うシャガクシャに敵う相手はいなかった。一人として。
憎悪を糧に戦うシャガクシャに敵う相手はいなかった。一人として。
戦場で憎悪を胸に敵兵を蹂躙するのは心地よかった。
一人殺すたびに肩が愉悦と快感を伴い疼いた。
だが、そんな快楽も決してシャガクシャを癒しはしなかった。
彼は、どれだけ強くなろうと、どれ程の憎悪を募らせようと、孤独以外に得る物はなかった。
一人殺すたびに肩が愉悦と快感を伴い疼いた。
だが、そんな快楽も決してシャガクシャを癒しはしなかった。
彼は、どれだけ強くなろうと、どれ程の憎悪を募らせようと、孤独以外に得る物はなかった。
だが、そんな彼にも転機が訪れる。
一組の姉弟が、シャガクシャと出会ったのだ。
その姉弟は英雄シャガクシャを畏怖するでもなく、媚び諂うでもなく。
対等に、しかし敬意を持ち彼と接した初めての人間だった。
一組の姉弟が、シャガクシャと出会ったのだ。
その姉弟は英雄シャガクシャを畏怖するでもなく、媚び諂うでもなく。
対等に、しかし敬意を持ち彼と接した初めての人間だった。
初めて、憎悪と虚無以外の感情がシャガクシャの中で産声を上げた。
彼は初めて、誰かのために何かをしたいと思ったのだ。
だから、少女に贈るために花を買った。
彼は初めて、誰かのために何かをしたいと思ったのだ。
だから、少女に贈るために花を買った。
全てが終わったのはそのすぐ後の事だ。
戦争がはじまり、自国の敗北を誰よりも敏感に予感したシャガクシャは姉弟だけを連れ逃げようとした。
だが、その時には全てが手遅れだった。
敵国の待ち伏せを受けたシャガクシャと姉は弓矢の雨の洗礼を受ける。
シャガクシャは生き残り、少女は事切れた。
戦争がはじまり、自国の敗北を誰よりも敏感に予感したシャガクシャは姉弟だけを連れ逃げようとした。
だが、その時には全てが手遅れだった。
敵国の待ち伏せを受けたシャガクシャと姉は弓矢の雨の洗礼を受ける。
シャガクシャは生き残り、少女は事切れた。
待ち伏せした敵国の兵を皆殺しにしても、少女が生き返ることはなかった。
シャガクシャは泣いた。この世全てを憎み慟哭の叫びを上げて。
どす黒い涙で前が見えなくなった直後―――この、殺し合いに連れてこられていた。
シャガクシャは泣いた。この世全てを憎み慟哭の叫びを上げて。
どす黒い涙で前が見えなくなった直後―――この、殺し合いに連れてこられていた。
シャガクシャの両手には、今しがたデイパックから取り出した木の実と一枚のDISCがある。
ゴロゴロ実と、のとぉりあす・BIGいうらしいそれは、悪魔と契約する代わりに強大な力を得られるという。
ゴロゴロ実と、のとぉりあす・BIGいうらしいそれは、悪魔と契約する代わりに強大な力を得られるという。
―――いいだろう。
願いを叶えると言うなら、叶えて見せるがいい。
その為なら、何人だろうと殺して見せよう。
願いを叶えると言うなら、叶えて見せるがいい。
その為なら、何人だろうと殺して見せよう。
迷うことなく、シャガクシャは殺し合いに乗った。
▼
「…
……
…………」
……
…………」
身体の感触の確かめる様に、パーマの少年は何度か握りこぶしを作る。
今しがた支給されたサバイバーというらしいCDを一枚、頭に入れたためだ。
頭部に居れたというのに体に不調は見られない。安泰である。
今しがた支給されたサバイバーというらしいCDを一枚、頭に入れたためだ。
頭部に居れたというのに体に不調は見られない。安泰である。
効果のほどは眉唾物だが、これならば行動に支障はないだろう。
「……」
次いでデイパックから取り出したのは一本の古びた槍だ。
ハリセンよりはマシだが、できる事ならば銃器の方が良かった。
やや不満げに、槍を握りしめながらパーマの少年は行動を開始する。
ハリセンよりはマシだが、できる事ならば銃器の方が良かった。
やや不満げに、槍を握りしめながらパーマの少年は行動を開始する。
少年――桐山和雄には恐れも戸惑いもなかった。
何故なら、彼は殺し合いの経験者であり、この殺し合いにも既に乗っているからだ。
殺した人間の数は両手の指の数を超えてからは数えていない。
きっと、これからも殺し続ける。人を殺すというのは、彼にとって何者より勝る快楽だった。
何故なら、彼は殺し合いの経験者であり、この殺し合いにも既に乗っているからだ。
殺した人間の数は両手の指の数を超えてからは数えていない。
きっと、これからも殺し続ける。人を殺すというのは、彼にとって何者より勝る快楽だった。
そうして、出会ったのは彼と同じ”殺すもの”だった。
浅黒い肌の偉丈夫。その顔は、常人ならば一睨みされただけで動け無くなるほどの憎悪と殺気で満たされていて。
しかして桐山和雄は常人ではなかった。笑みを浮かべながら、槍を構え。
人というよりは怪物と呼ぶのが相応しい者達が、睨み合う。
浅黒い肌の偉丈夫。その顔は、常人ならば一睨みされただけで動け無くなるほどの憎悪と殺気で満たされていて。
しかして桐山和雄は常人ではなかった。笑みを浮かべながら、槍を構え。
人というよりは怪物と呼ぶのが相応しい者達が、睨み合う。
―――あぁ、これだ。こうでこそ、バトルロワイアルだ。
ぶつけられる殺気すら心地いい。精神が研ぎ澄まされていく。体中に力が漲る。
いつの間にか槍を握る桐山の髪が茶がかったパーマから整った黒髪へと変わり、腰まで伸びていく。
そんな変貌さえ今の桐山にはどうでもいい。今は目の前の極上の獲物へと集中する。
ぶつけられる殺気すら心地いい。精神が研ぎ澄まされていく。体中に力が漲る。
いつの間にか槍を握る桐山の髪が茶がかったパーマから整った黒髪へと変わり、腰まで伸びていく。
そんな変貌さえ今の桐山にはどうでもいい。今は目の前の極上の獲物へと集中する。
雷鳴が轟いた。
褐色の男から放たれた数千万ボルトはある雷撃。
それは人間に避けられる速度でも、耐えられる威力でもない。
しかし、標的は黒焦げの肉塊に変わってなどいなかった。
それは人間に避けられる速度でも、耐えられる威力でもない。
しかし、標的は黒焦げの肉塊に変わってなどいなかった。
槍を振り上げ、桐山は人間を超えたスピードで褐色の男に迫る。
狙うは肩口。
狙いに深い理由はない。
ただサバイバーのスタンドの恩恵を受けた桐山の視界には、最も肩口が輝いて見えたからだ。
狙うは肩口。
狙いに深い理由はない。
ただサバイバーのスタンドの恩恵を受けた桐山の視界には、最も肩口が輝いて見えたからだ。
男の姿が変貌する。
褐色の肌は青白くスパークする雷廟へと変わり、槍から逃れようと眼にも映らぬ速度で身を翻し。
数十メートルを一足で移動する。だが、それでは相対者に対しては余りにも遅かった。
褐色の肌は青白くスパークする雷廟へと変わり、槍から逃れようと眼にも映らぬ速度で身を翻し。
数十メートルを一足で移動する。だが、それでは相対者に対しては余りにも遅かった。
移動のために一瞬切った視界の端から槍が迫る。
「お前だけは逃がさない」
担い手ではなく槍自身が、まるでそう告げているかのような理外の速度。
本来自然系でも最強種の一つに数えられるゴロゴロの実の能力者であれば、物理攻撃を避ける必要はない。
だが、槍の持つ常軌を逸した存在感は、褐色の男・シャガクシャの脳内に警鐘を鳴らしていた。
「お前だけは逃がさない」
担い手ではなく槍自身が、まるでそう告げているかのような理外の速度。
本来自然系でも最強種の一つに数えられるゴロゴロの実の能力者であれば、物理攻撃を避ける必要はない。
だが、槍の持つ常軌を逸した存在感は、褐色の男・シャガクシャの脳内に警鐘を鳴らしていた。
槍が雷電の身体の実態を捉え、肩口を抉り、鮮血が舞う。
――――おぎゃあああああ!!!
それは本来のシャガクシャであれば実の能力がなくともかすり傷に等しい傷だ。
だが、その槍で肩口を抉られた瞬間――シャガクシャは撤退を選んでいた。
雷光で桐山の目を一時的にくらませ、戦闘を完全に放棄し再び雷と化した身体で逃走を開始する。
完全にシャガクシャの決意に反した行動であった。
だがまるで、己の体の中の別の意思が突き動かしたかのように、歩みは止まらず。
だが、その槍で肩口を抉られた瞬間――シャガクシャは撤退を選んでいた。
雷光で桐山の目を一時的にくらませ、戦闘を完全に放棄し再び雷と化した身体で逃走を開始する。
完全にシャガクシャの決意に反した行動であった。
だがまるで、己の体の中の別の意思が突き動かしたかのように、歩みは止まらず。
―――憎い。憎い憎い憎い憎い憎いッッッ!!!!!
久しく忘れていた、世界全てが敵と憎悪する感情に浸りながら、シャガクシャは槍から逃げ続ける。
肩の疼きは、止まらない。
まるで生誕を待つ胎児の様に、脈動を続けていた。
肩の疼きは、止まらない。
まるで生誕を待つ胎児の様に、脈動を続けていた。
【シャガクシャ@うしおととら】
[状態]:肩にダメージ(小)、憎悪
[装備]:ゴロゴロの実@ONE PIECE、ノトーリアスBIGのスタンドDISC
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~1
[思考・状況]基本行動方針:優勝して願いを叶える
1:憎しみのままに殺し続ける。
2:肩がひどく疼く。
3:―――おぎゃああああ
[状態]:肩にダメージ(小)、憎悪
[装備]:ゴロゴロの実@ONE PIECE、ノトーリアスBIGのスタンドDISC
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~1
[思考・状況]基本行動方針:優勝して願いを叶える
1:憎しみのままに殺し続ける。
2:肩がひどく疼く。
3:―――おぎゃああああ
【ノトーリアスBIG@ジョジョの奇妙な冒険】
自動操縦型のスタンド。本体が死亡することによって初めて発現する。
本体がいないため射程距離がなく、肉体やスタンドなどのエネルギーを取り込んでいくので持続力も無限大である。
またエネルギーを取り込む度に巨大化していく。
近くにあるものの中で『最も速く』動くものをそれと同じスピードで最優先に追跡し攻撃するが、逆に速く動きさえしなければ攻撃されることもない。
細切れになっても破壊されても永遠に再生を繰り返し、実質的には不死のスタンド。完全殺害不可能。
自動操縦型のスタンド。本体が死亡することによって初めて発現する。
本体がいないため射程距離がなく、肉体やスタンドなどのエネルギーを取り込んでいくので持続力も無限大である。
またエネルギーを取り込む度に巨大化していく。
近くにあるものの中で『最も速く』動くものをそれと同じスピードで最優先に追跡し攻撃するが、逆に速く動きさえしなければ攻撃されることもない。
細切れになっても破壊されても永遠に再生を繰り返し、実質的には不死のスタンド。完全殺害不可能。
【ゴロゴロの実@ONE PIECE】
悪魔の実の中でも最強種に数えられる実の中のひとつ。
食べる事で雷を自在に操る能力を得る。これにより、金属を熱加工することもできる。
自身の体を雷に変え、雷速で移動したり攻撃を無効化できる。
心臓が止まった時は電気の力で心臓マッサージを行い復活も可能。
不定形のものに変化することで攻撃を無効化するという自然系共通の能力に加え、下手に触れれば感電しダメージを負うという厄介な特性を持つ。
悪魔の実の中でも最強種に数えられる実の中のひとつ。
食べる事で雷を自在に操る能力を得る。これにより、金属を熱加工することもできる。
自身の体を雷に変え、雷速で移動したり攻撃を無効化できる。
心臓が止まった時は電気の力で心臓マッサージを行い復活も可能。
不定形のものに変化することで攻撃を無効化するという自然系共通の能力に加え、下手に触れれば感電しダメージを負うという厄介な特性を持つ。
極上の獲物に逃げられてしまった。
黒の長髪から茶のパーマに戻った桐山和雄は、珍しく不快そうな表情を浮かべてそう判断した。
黒の長髪から茶のパーマに戻った桐山和雄は、珍しく不快そうな表情を浮かべてそう判断した。
…だが、まぁいいだろう。
殺し合いはまだ始まったばかり、あれほどの強さを持った獲物であれば、また戦う機会も巡ってくる。
焦る必要はない。
そう結論付け。
殺し合いはまだ始まったばかり、あれほどの強さを持った獲物であれば、また戦う機会も巡ってくる。
焦る必要はない。
そう結論付け。
「…………」
次なる血を求めて、桐山は行動を再会する。
だれかを殺さずには生きられない、きっと桐山和雄という人間はどんな世界でもそんな存在なのだろう。
生ある限り、彼は嗤う殺戮マシーンとして、このバトルロワイアルに君臨する。
だれかを殺さずには生きられない、きっと桐山和雄という人間はどんな世界でもそんな存在なのだろう。
生ある限り、彼は嗤う殺戮マシーンとして、このバトルロワイアルに君臨する。
【桐山和雄@実写版バトルロワイアル】
[状態]:肩にダメージ(小)、憎悪
[装備]:獣の槍@うしおととら、サバイバーのスタンドDISC
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~1
[思考・状況]基本行動方針:バトルロワイアルを楽しむ
1:快楽のままに殺し続ける。
2:殺し合いサイコー!
3:褐色の男(シャガクシャ)は次に会ったら殺す。
[状態]:肩にダメージ(小)、憎悪
[装備]:獣の槍@うしおととら、サバイバーのスタンドDISC
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~1
[思考・状況]基本行動方針:バトルロワイアルを楽しむ
1:快楽のままに殺し続ける。
2:殺し合いサイコー!
3:褐色の男(シャガクシャ)は次に会ったら殺す。
【サバイバーのスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険】
かつてDIOがプッチ神父に渡したスタンド。
対象の脳内の電気信号に影響を与えることで闘争本能を極限まで引き出し凶暴化させる。
能力の影響下に置かれた者達は闘争心の赴くままに殺し合いを始める。
また凶暴化した者達は相手の「最も強い部分」が輝いて見え、ダメージを負った部分が消し炭のように黒く淀んで見えるようになる。
敵味方問わず乱闘を引き起こす能力を持つこのスタンドをDIOは「最も弱いが、手に余る」と評価している。
かつてDIOがプッチ神父に渡したスタンド。
対象の脳内の電気信号に影響を与えることで闘争本能を極限まで引き出し凶暴化させる。
能力の影響下に置かれた者達は闘争心の赴くままに殺し合いを始める。
また凶暴化した者達は相手の「最も強い部分」が輝いて見え、ダメージを負った部分が消し炭のように黒く淀んで見えるようになる。
敵味方問わず乱闘を引き起こす能力を持つこのスタンドをDIOは「最も弱いが、手に余る」と評価している。
【獣の槍@うしおととら】
春秋・戦国時代に中国で作られた、白面の者を殺すための槍。
両親を白面の者に殺されたギリョウ、ジエメイの兄妹が命を込めて作成した。
春秋・戦国時代に中国で作られた、白面の者を殺すための槍。
両親を白面の者に殺されたギリョウ、ジエメイの兄妹が命を込めて作成した。
(妹、ジエメイが溶鉱炉に身を投げ、それを材料に剣を打った兄の体が融合し槍となった)
獣の槍に選ばれた者が使うことで、使用者の魂と引き換えに身体能力、治癒能力が向上する。
獣の槍に選ばれた者が使うことで、使用者の魂と引き換えに身体能力、治癒能力が向上する。
ただし、魂を与えすぎると使用者は、字伏という妖怪に変化する。
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