森林地帯。鬱蒼とした森の中で、一人の参加者が居た。
「テ~レ~ポ~ト~!!」
銀髪と白髪の中間のような髪型の、やたら肩幅が強調された男性が、実に間の抜けた、しかし本人にとっては真剣そのものの様子で呪文を唱えていた。
「駄目です。移動できません」
しかし、予想していた効果は発揮されず、彼は落胆したように肩を竦めた。
本来ならダンジョンの外に転移するテレポート魔法は、何らかの制限が課せられているようだった。
この調子なら、他に習得している魔法も制限されているかもしれない。
確認しておきたいが、MPが勿体無いので試すのは止めておいた。
本来ならダンジョンの外に転移するテレポート魔法は、何らかの制限が課せられているようだった。
この調子なら、他に習得している魔法も制限されているかもしれない。
確認しておきたいが、MPが勿体無いので試すのは止めておいた。
「僕はどうすれば良いのですか?」
男は困惑していた。
彼はキングダムの辺境、ローレル村出身の勇者である。
この催しに招かれる直前、悪の根元であるブラックドラゴンを討伐するため、神聖な木の命に従い、ドラゴンの剣とドラゴンの盾を獲得するため、古代遺跡に転送される筈だった。
その筈が、何故かこうして殺し合いに参加させられている。
彼はキングダムの辺境、ローレル村出身の勇者である。
この催しに招かれる直前、悪の根元であるブラックドラゴンを討伐するため、神聖な木の命に従い、ドラゴンの剣とドラゴンの盾を獲得するため、古代遺跡に転送される筈だった。
その筈が、何故かこうして殺し合いに参加させられている。
いや、あるいはこの催し自体が、伝説の武器を得るための試練なのかもしれない。彼にそれを確かめる術はないが。
「装備は没収されています。装備はこれだけですか?」
所持していた剣や盾、防具は全て没収されていた。身に付けているのはローレル村を出発した直前のように青Tシャツ一枚。
いかに100年に一人の勇者と言えども、この装備ではそこらのコボルトやただのウルフは勿論、ローレル村周辺に群生しているジェリームにすら勝てないだろう。
いかに100年に一人の勇者と言えども、この装備ではそこらのコボルトやただのウルフは勿論、ローレル村周辺に群生しているジェリームにすら勝てないだろう。
やがて勇者は、何か装備がないか落ちていたデイパックを漁り始めた。
中身は、基本的な支給品と、開け方のよく解らない容器、同じくよく解らない食べ物らしき物体が3つずつ。
中身は、基本的な支給品と、開け方のよく解らない容器、同じくよく解らない食べ物らしき物体が3つずつ。
テレッテッテッテ~(クソデカBGM)
『家宝の宝剣 盾 獲得!』
そして、匠の技が施された立派な剣と盾が入っていた。
勇者は慣れた手付きで一瞬で装備すると、その場でバク宙する。
勇者は慣れた手付きで一瞬で装備すると、その場でバク宙する。
「スゴい武器ですね」
どこか他人事のような感想だが、どうやら満足したらしい。
伝説級の品には及ばないものの、実に素晴らしい逸品に彼は感動していた。これなら、剣術スキルも問題なく発動できる。
同封されていたメモには『令嬢剣士の家宝の宝剣と盾』と書かれていた。
伝説級の品には及ばないものの、実に素晴らしい逸品に彼は感動していた。これなら、剣術スキルも問題なく発動できる。
同封されていたメモには『令嬢剣士の家宝の宝剣と盾』と書かれていた。
「これは家宝の武器ですね。家宝の武器なのか……?」
持ち主には申し訳ないが、遠慮無く使わせて貰う事にした。
歴戦の勇者といえど、素手ではゴブリンやコボルト一匹にすら勝てないのだ。
歴戦の勇者といえど、素手ではゴブリンやコボルト一匹にすら勝てないのだ。
「主催者はどこに居ますか? この会場のどこかにいますよ」
不自然な自問自答を呟く。どうやら勇者は、主催者を倒してこの場からキングダムに帰還するつもりらしい。
とりあえず地図にしたがって街に向かおうとした瞬間、悲鳴が聞こえてきた。
とりあえず地図にしたがって街に向かおうとした瞬間、悲鳴が聞こえてきた。
「ん?????」
驚く勇者。どうやら、もう誰かが何者かに襲われているらしい。
「モンスターの仕業ですね!」
勇者は一瞬の間も置かず即答。特に原因は解らないのに断言すると、騒動のもとに駆け足で向かった。
彼は100年に一度の勇者。悲鳴の主を見捨てることはできない。
もしくは、こういった場合、被害者を助けると、新たな魔法や装備の獲得手段となる事を彼は知っていたのだった。
彼は100年に一度の勇者。悲鳴の主を見捨てることはできない。
もしくは、こういった場合、被害者を助けると、新たな魔法や装備の獲得手段となる事を彼は知っていたのだった。
【勇者(主人公)@ファイナルソード】
[状態]:健康
[装備]:令嬢剣士の家宝の宝剣と盾@ゴブリンスレイヤー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1
[思考・状況]基本行動方針:勇者として主催者を倒します。
1:襲われている人を助けます。
2:主催者はどこに居ますか? この会場のどこかにいますよ
3:この催しは神聖な木の試練ですか?
[備考]
支給品は確認済み。
参戦時期は神聖な木と会話した直後。
現在地にて謎の叫び声を聞きました。発生源に向かっています。
[状態]:健康
[装備]:令嬢剣士の家宝の宝剣と盾@ゴブリンスレイヤー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1
[思考・状況]基本行動方針:勇者として主催者を倒します。
1:襲われている人を助けます。
2:主催者はどこに居ますか? この会場のどこかにいますよ
3:この催しは神聖な木の試練ですか?
[備考]
支給品は確認済み。
参戦時期は神聖な木と会話した直後。
現在地にて謎の叫び声を聞きました。発生源に向かっています。
【令嬢剣士の家宝の宝剣と盾@ゴブリンスレイヤー】
令嬢剣士の家宝の剣と盾。特殊効果は無いが家宝に相応しく非常に高品質。
剣と盾のセットで支給品2つ分。
令嬢剣士の家宝の剣と盾。特殊効果は無いが家宝に相応しく非常に高品質。
剣と盾のセットで支給品2つ分。
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