市街地。二人の参加者が対峙している。
片方の人物は佐々木哲平、週刊少年ジャンプにて、新進気鋭の傑作『ホワイトナイト』を連載する漫画家である。
片方の人物は佐々木哲平、週刊少年ジャンプにて、新進気鋭の傑作『ホワイトナイト』を連載する漫画家である。
「ーーあ、あの、すみません。何かボーッとしちゃってて……」
佐々木はこの催しの序盤に出合った同業者を名乗る参加者と会話していた筈だったが、なぜか『記憶』が飛んでいた。
慣れない連載で疲労が貯まっていたのか、それとも殺し合いという状況からのストレスが原因か、どちらにしろ、情報交換の途中だったし失礼に当たる。
慣れない連載で疲労が貯まっていたのか、それとも殺し合いという状況からのストレスが原因か、どちらにしろ、情報交換の途中だったし失礼に当たる。
そんな感覚で謝罪を口にするも、件の同業者ーー『岸辺露伴』は、険しい表情で佐々木を観察していた。
佐々木は困惑する。
同業者という事もあり、先刻まで比較的に友好な雰囲気だった筈だが、その様子は一変していた。
露伴はまるで養豚場の豚を見るような目をしてくるばかりで、佐々木と一向に口を効こうとしない。
同業者という事もあり、先刻まで比較的に友好な雰囲気だった筈だが、その様子は一変していた。
露伴はまるで養豚場の豚を見るような目をしてくるばかりで、佐々木と一向に口を効こうとしない。
「ど、どうしましたか。露伴さん?」
「とんでもない恥知らずだな。君は」
「は? え?」
意図の解らない言葉に、佐々木は混乱する。
しかし、続けられた露伴の回答に背筋が凍りついた。
しかし、続けられた露伴の回答に背筋が凍りついた。
「佐々木哲平。君……『盗作』をしただろう」
「正直、君を『本』にした時は興奮させられたよ。未来の週刊少年ジャンプ、電子レンジのタイムマシン化、どれも素晴らしい漫画の『ネタ』に使える。そう思っていた。
しかし、その先が頂けない。率直に言って、ぼくは『漫画家』として君と同じ空気を吸いたくない。
しかし、その先が頂けない。率直に言って、ぼくは『漫画家』として君と同じ空気を吸いたくない。
ーー心底気持ち悪いよ。佐々木哲平」
見下げ果てたと言わんばかりの露伴に、佐々木の心臓が痛いほど鼓動をならし始める。冷や汗が止まらない。
まさか、まさかこの男は……でも、どうやって!?
「……な、何の話ですか? 意味がよくわからーー」
「しらばっくれるんじゃあない。もうぼくは君を本にして『読ませて』もらった。
君の家の電子レンジがタイムマシンで、未来の週刊少年ジャンプが送られてくる事も、そこから原稿をトレースして持ち込みをした事も、さらにアイノイツキの『ホワイトナイト』を自分名義にして連載を続けた事も、全て知っている」
君の家の電子レンジがタイムマシンで、未来の週刊少年ジャンプが送られてくる事も、そこから原稿をトレースして持ち込みをした事も、さらにアイノイツキの『ホワイトナイト』を自分名義にして連載を続けた事も、全て知っている」
何故、この男は電子レンジの事も、ホワイトナイトの事も知っているんだ!?
秘密を知られた衝撃で震え出す佐々木を、しかし露伴は気にもかけない。
ただ、恐ろしいまでに冷たく佐々木を糾弾するだけだった。
ただ、恐ろしいまでに冷たく佐々木を糾弾するだけだった。
「そ……それでも、僕は、皆に楽しんでもらえる漫画を…… そ、それに! 最初はあれが現実だとは思えなかった! 夢だとばかり…… だって、タイムマシンなんてあり得ないじゃないですか!」
何とか捻り出された弁解を、しかし露伴は一切の手心なく一刀両断する。
「立派な目標ではある。しかし、それだけだ。微塵も擁護するつもりはない。
君は、都合のいい理屈を並べ立てて、盗作を正当化しているだけだよ。
それに、”夢だと思った”だと?馬鹿馬鹿しい。何年かけても欠片も捻り出せなかった構想が、急に完成形で出てくる訳がないだろう。
どちらにしろ、結果は変わらない。理由や動機がなんであれ、『作品の盗作』……クリエイターにとっての最大のタブーを、お前は破ったんだ。佐々木哲平」
君は、都合のいい理屈を並べ立てて、盗作を正当化しているだけだよ。
それに、”夢だと思った”だと?馬鹿馬鹿しい。何年かけても欠片も捻り出せなかった構想が、急に完成形で出てくる訳がないだろう。
どちらにしろ、結果は変わらない。理由や動機がなんであれ、『作品の盗作』……クリエイターにとっての最大のタブーを、お前は破ったんだ。佐々木哲平」
「で……でも! 『ホワイトナイト』は世紀の傑作で…… 『皆が楽しめる』作品なんです! だから……」
「だからって盗作は駄目だ。そんな事、そこらの小学生でもわかっている事じゃあないか?」
佐々木は、何も言えなかった。
全て正論だった。理屈も何もかも、ぐうの音も出ない程に露伴が正しい。
全て正論だった。理屈も何もかも、ぐうの音も出ない程に露伴が正しい。
佐々木がアイノイツキのホワイトナイトを盗作したことは事実であるし、かの傑作が自分のものではない事は佐々木本人も痛いほど実感している。
佐々木がどれだけ努力したとしても、億、いや京ほども、かの傑作漫画に匹敵する作品を生み出せるとは思えない。
佐々木がどれだけ努力したとしても、億、いや京ほども、かの傑作漫画に匹敵する作品を生み出せるとは思えない。
(でも……それでもっ!)
しかし、佐々木は納得がいかない。
岸辺露伴という、聞いたこともないマイナーな漫画家が、『ホワイトナイト』を否定する事実が、佐々木はどうしても認められなかった。
岸辺露伴という、聞いたこともないマイナーな漫画家が、『ホワイトナイト』を否定する事実が、佐々木はどうしても認められなかった。
「確かに『ホワイトナイト』は僕の作品じゃない。でも、貴方にそこまで否定される謂れは……ない」
「……は?」
「耐えられなかったんです。『ホワイトナイト』が、世紀の大傑作が、アイノイツキという天才の集大成が、消えてしまうことなんて……『ホワイトナイト』は、僕の理想の漫画そのものなんだ!
傑作を世に残す。ただ、そのためだけに僕はホワイトナイトを『代筆』しました。
僕は漫画家として、いや……最初の読者として、『ホワイトナイト』を、あの作品を世に出す義務があった!
そのためなら、僕は罪の十字架を背負う覚悟です!」
傑作を世に残す。ただ、そのためだけに僕はホワイトナイトを『代筆』しました。
僕は漫画家として、いや……最初の読者として、『ホワイトナイト』を、あの作品を世に出す義務があった!
そのためなら、僕は罪の十字架を背負う覚悟です!」
あくまで『盗作』ではなく『代筆』と言い張る、どこまでも噛み合わない歯車としか言い様のない理論武装を熱弁する佐々木に、露伴はまるで宇宙人を見るかのような視線を向けていた。
「心底どうしようもないな。君は」
漫画家としても、人としても、露伴の言葉は佐々木に一切届かなかった。
【岸辺露伴@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:健康、佐々木哲平への不快感(大)
[装備]:スタンド『ヘブンズ・ドアー』
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:様々な参加者を取材しつつ、主催者の打倒を狙う。
1:危険人物は取材のついでに無力化を狙う。ただし無理はしない。
2:どうしようもないなこいつ……。
[備考]
参戦時期は四部終了後。
佐々木哲平を本にしたため、ホワイトナイトの盗作などを把握済みです。
[状態]:健康、佐々木哲平への不快感(大)
[装備]:スタンド『ヘブンズ・ドアー』
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:様々な参加者を取材しつつ、主催者の打倒を狙う。
1:危険人物は取材のついでに無力化を狙う。ただし無理はしない。
2:どうしようもないなこいつ……。
[備考]
参戦時期は四部終了後。
佐々木哲平を本にしたため、ホワイトナイトの盗作などを把握済みです。
【佐々木哲平@タイムパラドクスゴーストライター】
[状態]:健康、岸辺露伴への反抗心(大)
[装備]:ー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:死にたくはないが、人殺しもしたくはない。
1:『盗作』じゃなく、『代筆』という点を露伴に理解させたい。
[備考]
露伴に本にされましたが、そのときの記憶は忘れています。
[状態]:健康、岸辺露伴への反抗心(大)
[装備]:ー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:死にたくはないが、人殺しもしたくはない。
1:『盗作』じゃなく、『代筆』という点を露伴に理解させたい。
[備考]
露伴に本にされましたが、そのときの記憶は忘れています。
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