少年は海が見たかった。
狭い壁内を出て、潮風を浴び、無限に続く水平線を目にする。
きっと、それを叶えた者は、この世で最も自由を手に入れたものだと信じていた。
狭い壁内を出て、潮風を浴び、無限に続く水平線を目にする。
きっと、それを叶えた者は、この世で最も自由を手に入れたものだと信じていた。
多くの骸を踏み越えて、少年はその奇跡異に到達した。
鼻孔を擽る潮の匂いも、初めて耳にする波音も、無限に広がる蒼の地平も全てが輝いて見えた。
これこそが自由なのだと、これから全てが始まるのだと無邪気にそう思い。
鼻孔を擽る潮の匂いも、初めて耳にする波音も、無限に広がる蒼の地平も全てが輝いて見えた。
これこそが自由なのだと、これから全てが始まるのだと無邪気にそう思い。
その幻想は、残酷な世界に打ち砕かれた。
鳥かごの外にはより大きな鳥かごが待っていただけだった。
少年は青年となり、それを知った。
鳥かごの外にはより大きな鳥かごが待っていただけだった。
少年は青年となり、それを知った。
今、青年の手には一つの果実がある。
食べれば海に嫌われるのと引き換えに、世界を滅ぼせる程の力が得られるという。
青年に迷いはなかった。あんぐりと咢を開き、咀嚼し、嚥下した。
例え帰った先で海に嫌われるのだとしても、この場で死ねば同じことだ。
青年は力を欲していた。慣れた力に変わる力を。
生きるために、戦うために、進むために。
そのためならば、少年の頃の憧れとも決別できた。
食べれば海に嫌われるのと引き換えに、世界を滅ぼせる程の力が得られるという。
青年に迷いはなかった。あんぐりと咢を開き、咀嚼し、嚥下した。
例え帰った先で海に嫌われるのだとしても、この場で死ねば同じことだ。
青年は力を欲していた。慣れた力に変わる力を。
生きるために、戦うために、進むために。
そのためならば、少年の頃の憧れとも決別できた。
彼は決して諦めない。
どんな時代であろうと、どんな場所であろうと、自由のために戦う。
自由のために、進み続ける。
どんな時代であろうと、どんな場所であろうと、自由のために戦う。
自由のために、進み続ける。
例え、世界を敵に回したとしても。
例え、壁の外の全ての命を駆逐したとしても。
例え、壁の外の全ての命を駆逐したとしても。
◆
「―――これを使うのも、久しぶりだな」
巨人の姿で戦闘を行うことが増え、最近はあまり身に着けていなかった立体起動装置。
しかし身体は覚えていてくれたらしい。今も淀みなく、身に着ける事ができる。
背に背負う、自由への翼は以前よりも重く感じた。
装置の装備が終わり一息ついた時、彼の視界の端に、小鬼の姿が映る。
ヒュッ、と空気の裂く音と共に、石礫が飛んできたのはその直後の事だった。
しかし身体は覚えていてくれたらしい。今も淀みなく、身に着ける事ができる。
背に背負う、自由への翼は以前よりも重く感じた。
装置の装備が終わり一息ついた時、彼の視界の端に、小鬼の姿が映る。
ヒュッ、と空気の裂く音と共に、石礫が飛んできたのはその直後の事だった。
青年―――エレン・イェーガーは何の感情も映さず、静かに手で石礫を受け止める。
勢いよく石が当たった手の甲はぽたぽたと赤い雫を垂らすが、何も起こらない。
勢いよく石が当たった手の甲はぽたぽたと赤い雫を垂らすが、何も起こらない。
「やっぱり巨人にはなれない、か」
進撃の巨人の能力で未来を見た際、こんな記憶は存在しなかった。
今のエレンはまるで始祖ユミルから切り離されていると言わんばかりに、巨人になる事ができない。
故に、これから起きる事は今までエレンが見てきた未来に繋がるのかさえ分からない。
完全なるブラックボックスだ。
未来は誰にも分らない。
今のエレンはまるで始祖ユミルから切り離されていると言わんばかりに、巨人になる事ができない。
故に、これから起きる事は今までエレンが見てきた未来に繋がるのかさえ分からない。
完全なるブラックボックスだ。
未来は誰にも分らない。
…それでも、前には進まなきゃいけないよな。
エレンはぽつりとそう呟いて、錆びたナイフを手に躍りかかってくる小鬼へ向けて掌をかざした。
ぴしり、と空間に罅が入る。大気が揺れ、大地が脈動する。
そして、崩壊が訪れる。
地震、という大地のエネルギーを直接浴びたゴブリンは、潰れた虫の様に身体を崩壊させて崩れ落ちる。
ぴしり、と空間に罅が入る。大気が揺れ、大地が脈動する。
そして、崩壊が訪れる。
地震、という大地のエネルギーを直接浴びたゴブリンは、潰れた虫の様に身体を崩壊させて崩れ落ちる。
まるで近い未来、エレンが踏みにじる筈だった少年たちの様に。
「―――さて、行くとするか」
小鬼の末路に何の感慨も示さず、エレンは立体起動装置を起動する。
優勝し、願いを叶えるために。
ただこのゲームから脱出するのではダメなのだ。
例え手ぶらで帰った所で、エレン達に、エルディアに、或いはエルディア以外の国家に未来はない。
だが、もし…願いを叶える力が本当であるなら『地鳴らし』なんて虐殺を行う必要もなくなる。
優勝し、願いを叶えるために。
ただこのゲームから脱出するのではダメなのだ。
例え手ぶらで帰った所で、エレン達に、エルディアに、或いはエルディア以外の国家に未来はない。
だが、もし…願いを叶える力が本当であるなら『地鳴らし』なんて虐殺を行う必要もなくなる。
この場に呼ばれた数十人、エルディアと世界。
天秤などかけるまでもない。
天秤などかけるまでもない。
昔の自分が、今の自分の選択を見たらどう思うだろうか、エレンはふとそんな事を考えた。
きっと、軽蔑するだろう、憤怒するだろう、憎悪さえ、するかもしれない。
だが、最早自分は余りに多くの物を背負い過ぎた。
この世界は残酷だ。何一つ犠牲を背負わないまま叶う事など何もない。
だから殺す。エレン自身の殺意によって。
きっと、軽蔑するだろう、憤怒するだろう、憎悪さえ、するかもしれない。
だが、最早自分は余りに多くの物を背負い過ぎた。
この世界は残酷だ。何一つ犠牲を背負わないまま叶う事など何もない。
だから殺す。エレン自身の殺意によって。
―――さぁ、進撃を始めよう。
自由を求めた前進、無限に続く殺し合いの連鎖を終わらせるための前進だ。
そのためなら全てを、駆逐する。この会場にいる全ての命を、地獄へと導こう。
自由を求めた前進、無限に続く殺し合いの連鎖を終わらせるための前進だ。
そのためなら全てを、駆逐する。この会場にいる全ての命を、地獄へと導こう。
【エレン・イェーガー@進撃の巨人】
[状態]:進撃の巨人(脳内のみ)
[装備]:グラグラの実、立体起動装置
[道具]:基本支給品、ランダム支給品
[思考・状況]:基本行動方針:パラディ島を救うために、この場の全ての命を駆逐する。
1:全ての命を駆逐する。
[備考]
30巻で座標に辿り着く直前より参戦です
[状態]:進撃の巨人(脳内のみ)
[装備]:グラグラの実、立体起動装置
[道具]:基本支給品、ランダム支給品
[思考・状況]:基本行動方針:パラディ島を救うために、この場の全ての命を駆逐する。
1:全ての命を駆逐する。
[備考]
30巻で座標に辿り着く直前より参戦です
【グラグラの実@ONE PIECE】
悪魔の実シリーズの1つで、食した者は「振動」の力を操る「振動人間」となる。
特にこの実を食した白ひげはその規格外の強さから、地震人間とも呼称されていた。
悪魔の実シリーズの1つで、食した者は「振動」の力を操る「振動人間」となる。
特にこの実を食した白ひげはその規格外の強さから、地震人間とも呼称されていた。
超人系の中でも際立って破壊力の高い天災を操ることができる能力であり、振動のエネルギーを自在に操り、ありとあらゆるものを揺り動かす。
超人系悪魔の実の中でも最強の攻撃力を有すると言われ、その力は「世界を滅ぼす力」とまで称される。
【立体起動装置@進撃の巨人】
巨人によって絶滅寸前まで追い込まれた人類が開発した、兵士の腰部周辺に装着する一揃いの装置。
巨人によって絶滅寸前まで追い込まれた人類が開発した、兵士の腰部周辺に装着する一揃いの装置。
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