森林地帯。殺し合いの開幕から早々に、物騒な鬼ごっこが繰り広げられていた。
「ハァ……ハァ……こないでください!」
千川ちひろは背後から迫る追跡者に懇願する。残念ながら、その言葉は一切聞き入れられなかった。
「待て!待つのじゃ! ウヌは勘違いしておる!」
頭に二本角の生えた女が、侵害だと言わんばかりに怒鳴り返す。
彼女の名はパワー。鬼ではなく血の魔人である。
彼女の名はパワー。鬼ではなく血の魔人である。
「ええい逃げるでない! ワシは殺し合いには乗っておらんと言うとるのに!」
その言葉に反して、パワーの右手には怪しく煌めく妖刀が握り絞められていた。
「じゃ、じゃあ! その手に持ってる刀は何ですか!」
「これはワシの支給品じゃ! コレがワシに人間を殺せと囁くのじゃ! じゃからワシは悪くない! 話し合おう!」
事実、この鬼ごっこの起点もちひろにパワーが斬りかかった事が発端であった。
言動と行動の一致しないパワーに、ちひろの恐怖は増大する。
言動と行動の一致しないパワーに、ちひろの恐怖は増大する。
捕まればまず間違いなく殺される。
その予感が逆に彼女を雁字搦めに硬直させた。
その予感が逆に彼女を雁字搦めに硬直させた。
「きゃ!? い、痛い…」
気が動転し、ちひろは足を枝にひっかけ転んでしまう。
ホラー映画のワンシーンのような光景だが、しかしここは無情にも現実であった。
ホラー映画のワンシーンのような光景だが、しかしここは無情にも現実であった。
「ちょこまかと……生き汚いぞ! 逃げる相手を切らせるなど、ワシを恥知らずにする気か!」
理不尽な怒りを口につつ、パワーはちひろに接近する。怪しい光彩を放つ刀が、血を求めるかのように揺れていた。
「い、嫌……来ないで! だ、誰か! 助けて!」
「エル・ヒューマ!」
瞬間、氷の弾幕が殺到する。
完全な不意打ちだったが、機敏な動きで避けるパワー。
流れ弾を食らった背後の木々が、無惨に倒壊した。
魔法による攻撃。それを行った救世主は青髪のメイドだった。
完全な不意打ちだったが、機敏な動きで避けるパワー。
流れ弾を食らった背後の木々が、無惨に倒壊した。
魔法による攻撃。それを行った救世主は青髪のメイドだった。
「なんじゃ貴様! 不意打ちとは……この卑怯ものがぁ!」
白々しいパワーの抗議は、当然のように無視された。
「……まさか、生き残りの同胞が他にいるとは思いませんでした」
パワーの頭の角を見て、件のメイドーーレムがぽつりと呟いた。しかし、彼女の戦意は一向に衰えない。
「残念です。事情は解りませんが、貴女が殺し合いに乗っていることは明白……。そこの方に代わり、ロズワール・L・メイザース辺境伯が使用人筆頭、レムが御相手致します」
堂々とした決闘の名乗りに、しかしパワーは生意気だという感想しか抱かない。
「がはははは! 生意気な奴め! このパワー様こそ最強じゃあ!」
自由の身になった興奮と『アヌビス神』の影響でハイテンションになっているパワーは、控えめに言って調子に乗っていた。
妖刀を構え、自信満々といった様子でレムに挑む姿勢を崩さない。
妖刀を構え、自信満々といった様子でレムに挑む姿勢を崩さない。
「ワシの剣の錆びにしてくれるわ!」
鬼のメイドと血の魔人、両者の決戦が幕を開けーー
ーーなかった。
ドドドドドド
「?」
「え!?」
「ハァ!?」
「え!?」
「ハァ!?」
ドドドドドド
キャベツだった。
大量の空飛ぶキャベツの群れが、膨大な緑のうねりが、全てを蹂躙しながら此方に向かっている!
大量の空飛ぶキャベツの群れが、膨大な緑のうねりが、全てを蹂躙しながら此方に向かっている!
「ぎゃあああああー! キャベツがあああああ!! キャベツの悪魔じゃああああー!!」
「ちょ何あれ何ですかあれ! キャ、キャベツ!? キャベツが飛んでますよ!?」
「野菜の……魔獣? いずれにしてもあの数はーーッ」
あまりにも異様な光景に呆気にとられる三者。
「っしまーーは?」
逸早く正気に戻ったレムは、この場で一番の危険人物であるパワーに視線を戻す。
しかし、既にパワーは影も形もない。どうやら一目散に逃げたようだ。
しかし、既にパワーは影も形もない。どうやら一目散に逃げたようだ。
「何て逃げ足の早さ……貴女、立てますか? ここは危険です! ひとまず離れましょう!」
「は、はい!」
迫るキャベツの濁流から逃れるべく、遅れてレムとちひろもその場から逃走するのだった。
【千川ちひろ@アイドルマスターシンデレラガールズ】
[状態]:健康、疲労(大)
[装備]:ー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:死にたくないが、人も殺したくない。
1:ひとまず助かった……?
2:キャ、キャベツが飛んでる!?
[状態]:健康、疲労(大)
[装備]:ー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:死にたくないが、人も殺したくない。
1:ひとまず助かった……?
2:キャ、キャベツが飛んでる!?
【レム@Re:ゼロから始める異世界生活】
[状態]:健康
[装備]:ー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いには乗らず、脱出方法を探る。
1:スバル君は無事でしょうか……
2:あの女(パワー)は鬼族の生き残りなの?
3:アレは……魔獣?
[備考]
参戦時期は『イタダキマス』の後。
パワーを危険人物と認識。彼女を鬼族と勘違いしています。
[状態]:健康
[装備]:ー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いには乗らず、脱出方法を探る。
1:スバル君は無事でしょうか……
2:あの女(パワー)は鬼族の生き残りなの?
3:アレは……魔獣?
[備考]
参戦時期は『イタダキマス』の後。
パワーを危険人物と認識。彼女を鬼族と勘違いしています。
ーーーー
『おいおい、逃げてどうするッ! だ~か~ら~ッ!! 俺に体を貸せば一発だって言っただろーッ!』
呆れたような『アヌビス神』の言葉に、しかしパワーはまるで堪えた様子もなく、けろりと言い返す。
「ワシは逃げておらん! ワシが手を下さんでもキャベツの悪魔が奴らを仕留めておるわ! これが頭脳戦じゃ! それにこれはワシの体じゃ! ウヌにはやらん!」
『まぁ、殺る気あるのなら全然良いけどな俺は』
「安心せい! ワシは殺す派じゃア!」
『良いねッ!! 殺し合いだか何だか知らないが、孤独脱出の記念だッ! テメーに協力してやるぜパワーちゃんよォーッ!!』
「がははは、よい心がけじゃな! 流石ワシの刀! 優勝はワシのものじゃ!」
【パワー@チェンソーマン】
[状態]:健康
[装備]:アヌビス神@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×2
[思考・状況]基本行動方針:最強のワシなら優勝確定じゃ!
1:強そうな奴からは逃げる。
2:弱そうなのは殺す。
3:キャベツの悪魔!野菜は嫌いじゃ!
[備考]
時間軸は永遠の悪魔の後。
アヌビス神を所持していますが、特に洗脳はされていません。
[状態]:健康
[装備]:アヌビス神@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×2
[思考・状況]基本行動方針:最強のワシなら優勝確定じゃ!
1:強そうな奴からは逃げる。
2:弱そうなのは殺す。
3:キャベツの悪魔!野菜は嫌いじゃ!
[備考]
時間軸は永遠の悪魔の後。
アヌビス神を所持していますが、特に洗脳はされていません。
【アヌビス神@ジョジョの奇妙な冒険】
【破壊力:B スピード:B 射程距離:E 持続力:A 精密動作性:E 成長性:C】
妖刀に宿る独り歩き系スタンド。
能力は「物体(生物)を透過して斬りつける事ができる」こと。もちろん透過させずに斬ることもできる。
更に「一度受けた攻撃の性質を憶えることができる」性質があり、闘えば闘うほど相手の動きを記憶して強くなっていく。
宿主が変わっても刀身が無事ならば一度憶えた攻撃は忘れない。
時間軸はナイル川に沈められた後。
制限により、洗脳は不可。握った相手には逆らえず、誰が握ってもその命令を聞くようになっている。所有者の合意で体を動かすことは可能。
それ以外の能力は原作通り。
【破壊力:B スピード:B 射程距離:E 持続力:A 精密動作性:E 成長性:C】
妖刀に宿る独り歩き系スタンド。
能力は「物体(生物)を透過して斬りつける事ができる」こと。もちろん透過させずに斬ることもできる。
更に「一度受けた攻撃の性質を憶えることができる」性質があり、闘えば闘うほど相手の動きを記憶して強くなっていく。
宿主が変わっても刀身が無事ならば一度憶えた攻撃は忘れない。
時間軸はナイル川に沈められた後。
制限により、洗脳は不可。握った相手には逆らえず、誰が握ってもその命令を聞くようになっている。所有者の合意で体を動かすことは可能。
それ以外の能力は原作通り。
【キャベツ@この素晴らしい世界に祝福を!】
NPC。飛行するキャベツ。群れでMAPを徘徊している。
こいつの体当たりは鎧を破壊する程度には高威力。
キャベツなので食べられるが、たまにレタスも混じっている。
NPC。飛行するキャベツ。群れでMAPを徘徊している。
こいつの体当たりは鎧を破壊する程度には高威力。
キャベツなので食べられるが、たまにレタスも混じっている。
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- アジフライ… -- (名無しさん) 2021-06-18 00:03:26