「なッ!? ワタシとしたことが…あの小娘が凍らせた場所からこんな鋭い! 長い! 太い!
そして多数の巨大な氷柱が伸びてくるのを予想出来なかったなど…
どうか! こんな不出来な! 怠惰なワタシを! お赦し下さい!!」
そして多数の巨大な氷柱が伸びてくるのを予想出来なかったなど…
どうか! こんな不出来な! 怠惰なワタシを! お赦し下さい!!」
ペテルギウスの方もすかさず凍りついた方の魔手を解除し、
再び新たな腕を出現させ、その腕で氷槍が体に刺さるのを防ぎ、そして走らせながら平野に接近する。
再び新たな腕を出現させ、その腕で氷槍が体に刺さるのを防ぎ、そして走らせながら平野に接近する。
◆◆◆
─空中への長時間滞在をしていれば点滅し出す首輪の機能。
それでも滞在していれば本当に爆破されるかもしれない危険性。
この殺し合いにおける基本ルール。
首輪が爆発すれば死亡不可避と説明されている。
首輪が爆発すれば死亡不可避と説明されている。
死亡、それは即ち己が人間である他者の肉体に憑依させてある、
ペテルギウスの本体、邪精霊としての死。
ペテルギウスの本体、邪精霊としての死。
この殺し合いに招かれてから、普段通りの自傷はしていたものの、
憑依先の肉体を死なせていない以上、
現状はどう制限されているのかもわからない。
憑依先の肉体を死なせていない以上、
現状はどう制限されているのかもわからない。
勿論、今死んでしまえば福音書も取り戻せず終わる。
◆◆◆
故に、着地を短時間で済ませるべく魔手を用いて出来る限り地面の近くにいる様に、体を宙に浮かせる。
平野と魔術師に向けていた方の魔手で彼らを捕えんと腕を伸ばし、標的に覆いかぶさる様にして襲いかかる。
(やはり氷槍を避けおったか)
─それに対して平野は、すぐさま『見えざる手』から逃れるべく、
再びスタンドに火球を連射させ、魔手に次々命中させていく。
再びスタンドに火球を連射させ、魔手に次々命中させていく。
「ハア゛ァー、ハア゛ァー…」
─しかペテルギウスは憑依先の肉体の呼吸を荒げさせながら、魔手の勢いを更に増加させ、魔術師の火球を文字通り、手当たり次第に掻き消していく。
(体を浮かせて氷柱を回避しましたか。
ですが、それにしても今の火球の消え方…
ここは汚らわしい奴から距離をとりながら、炎使いの男に接近しましょう。)
ですが、それにしても今の火球の消え方…
ここは汚らわしい奴から距離をとりながら、炎使いの男に接近しましょう。)
幸い彼は平野に集中しており、自身には気づいていない。
卯月は火球が消える際の吹き飛び方、煙の飛んだ方向を頼りに、
ペテルギウスから距離をとりながら、
吹雪の魔法を追い風に、平野への接近を初める。
ある程度魔法を放てる様に手に持っている散弾銃を現在の敵対者が居る方向とは反対の手に持ち、
狂信者に魔法をお見舞いすべく減った魔力を何も持っていない方の手に込め初め、青白く光らせる。
ペテルギウスから距離をとりながら、
吹雪の魔法を追い風に、平野への接近を初める。
ある程度魔法を放てる様に手に持っている散弾銃を現在の敵対者が居る方向とは反対の手に持ち、
狂信者に魔法をお見舞いすべく減った魔力を何も持っていない方の手に込め初め、青白く光らせる。
見えざる手が見えない彼女はペテルギウスと横に並ぶ位置まで到達すると、
ステップで追い抜いていく。
ステップで追い抜いていく。
そして平野の付近に到達。
彼に注目している隙に、先程魔力を溜めていた片手を天に掲げ、
腕ごと反時計回りに回転させ初める。
その瞬間、それに応じて水色の魔方陣が卯月の正面に出現し、1回転する直前に雪の結晶をあしらった印が一瞬だけ魔方陣の中心に現れる。
丁度手が初めに掲げた位置まで到達すると、魔方陣が白く光り出す。
彼に注目している隙に、先程魔力を溜めていた片手を天に掲げ、
腕ごと反時計回りに回転させ初める。
その瞬間、それに応じて水色の魔方陣が卯月の正面に出現し、1回転する直前に雪の結晶をあしらった印が一瞬だけ魔方陣の中心に現れる。
丁度手が初めに掲げた位置まで到達すると、魔方陣が白く光り出す。
「・・・。」
そのまま魔方陣の中心に向かって手を振り下ろし、
発生させた猛吹雪をペテルギウスに対して容赦無くぶつける。
彼に気付かれない様に声は出さない。
発生させた猛吹雪をペテルギウスに対して容赦無くぶつける。
彼に気付かれない様に声は出さない。
「ア…アナタまで! どこまでも邪魔を!」
しかし、魔法を派手にぶつけた為に狂信者には気付かれてしまった。
「な…殺すのじゃない!」
そもそもペテルギウスを殺すつもりのない平野は卯月を止めようとするが、何故かマジシャンズ・レッドに阻まれてしまう。
尚も冷たい心に支配された雪の女王は攻撃を止める事がない。
尚も冷たい心に支配された雪の女王は攻撃を止める事がない。
「まだまだ攻撃の手を止めないとは… ウル・ドーナ!!」
─しかし、ペテルギウスも黙ってはいない。
咄嗟に土の魔法を唱え、彼を中心に盾となる周囲の地面を盛り上げて二人からの攻撃を防ぐ。
それによって出来た土壁に吹雪は遮られる。
◆ ◆
(ふぅ~ 寒いねぇ!)
一方、先程の三人の戦闘を観戦し続けていた真人。
呪霊として『発生』してから間もなく、
冬の寒さも感じた事のなかった彼にとっては氷の魔法使いとなった卯月がペテルギウスを捕捉する為に放った吹雪まじりの冷風でさえも感動するものであった。
一方、先程の三人の戦闘を観戦し続けていた真人。
呪霊として『発生』してから間もなく、
冬の寒さも感じた事のなかった彼にとっては氷の魔法使いとなった卯月がペテルギウスを捕捉する為に放った吹雪まじりの冷風でさえも感動するものであった。
─だが、先程ペテルギウスが敵対している二人からの攻撃を防ぐ為に盛り上げた地面が長時間の観戦を許さなかった。
(おっ あのローブの狂人、
地面盛り上げる術持ってるのか~
…ん?! 梯子が揺れ…)
地面盛り上げる術持ってるのか~
…ん?! 梯子が揺れ…)