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果てなき戦いの進路を辿れ

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 甲高い音が響く。
 鉄のぶつかり合う音。刃が交わり、火花散らす戦いの音色。
 十、二十、三十……いや、ゆうに百は超えただろうか。
 音は途絶えることはなく、本来ならば静かな湖畔へその音を響かせた。
 湖畔の傍で繰り広げられる戦いは、始まったばかりの舞台で熾烈を極める。

「アハッ! いいね、すごくいいよ!!」

 戦いそのものを楽しむかのように、
 白と紫を基調とした巫女服の少女が笑う。
 年端を行くか行かないかの幼さではあるが、
 手に握られた刀の動きは流水のように滑らかに、
 それでいて迅雷が如き速度で相手の命を狩ろうとする。
 一朝一夕ではない。並大抵の努力では辿り着けない境地。
 それを、この幼き少女が振るってることを疑いたくなるものだ。
 これは紛れもなく彼女の実力。人をやめてしまった身ではあるが、
 彼女が才覚と努力の研鑽をしたからこそ、優れた技量に達している。
 神聖さを帯びたかのような巫女服といった装束がそうさせているのか。
 剣技は殺しの技術であれども、水面に映るその姿は何処か幻想的だ。

「クソ、速───ッ!!」

 けれども、そんな鍛え抜かれた技術を以てしても相手の命を奪うには至らず。
 相対する少年も穂先から水飛沫のようなオーラを放つ槍を振るい、
 刀と相殺したり攻撃をいなしていく姿もまた、研鑽された動き。
 殺し合いにおいて命を奪えないと言うのに、少女はそれでも楽しげだ。
 まるで新しい玩具を与えられた子供のような笑みを浮かべる。

「おにーさん、強いね!」

 一度距離を取った後、再び一気に肉薄。
 瞬時に刀の間合いに入れば、低い姿勢からの三段突き。
 喉を抉る一撃は首の薄皮一枚を刃を刻むだけに留まり、
 胸を貫く一撃は少年が持つ槍に防がれて致命傷を避け、
 腹を刺す一撃は距離を取ったため空振りに終わる。
 いずれも致命傷となりうる傷には程遠い結果だ。

「イツッ……オラァ!!」

 相手の少年も負けていなかった。
 回避の直後、即座に接近し無数の刺突を見舞う。
 いずれも少女は素早い身のこなしで攻撃を避けるも、
 無駄のない攻撃に反撃ができないと理解し距離を取る。
 少女と戦っていたのは、彼女より年上の十代半ばの少年だ。
 後ろは三つ編みに束ね、前髪をかき上げた青い髪が目立ち、
 マントを筆頭とした服装は何処かファンタジーな恰好を彷彿とさせる。
 東洋の少女と西洋の少年と、見事に対になる姿でもあった。

「だー! お前本当に人間かよ!?」

 首の傷に顔を顰めながらも、
 槍を軽く構え直して少年は驚きの声を上げる。
 自分が道半ば、可能性の段階にあることは理解してるつもりだ。
 だが、それを抜きににしようと、いくら何でも彼女の強さはおかしい。
 たとえ未熟な自分であっても、此処まで互角に戦えるはずがないと。

「んー、一応人間じゃないけど、
 それはおにーさんも同じなのは分かるよ。
 刀使でもない人が、こんなに攻撃をしのげるわけないし。」

「これでも未来では結構な英雄になるはずなんだけどな。
 トジっつーのがわかんねえけど、相当強いってのは分かるぜ。」

「未来……? それにしても刀使も知らないなんて、変なの。
 まあいいや。でも、その様子だとそっちも本気じゃないんでしょ?」

 互いに慣れ親しんだ武器のように扱ってはいたが、
 どちらも支給品のありあわせで戦ってる状態だ。
 本来の得物ではない以上十全な戦いはできない。
 互いに扱えてない部分もある為、同時に決め手に欠けている。

「得物は違うけど、別にそれを言い訳にはしねえぞ。
 戦場で万全なんてありえねえからな。どっちかって言うと、
 大事なのは不測の事態に対応できるかだ。それに、俺は槍の方が有名だ。
 これで『剣じゃないから負けました』なんて言い訳は通用しねえんだよ。」

「おにーさん、年の割に達観してるね。」

「未来の記憶もあるからな。けど、達観してるのはそっちもじゃねえか?
 俺より年下の奴がそんだけ剣術鍛えて、殺し合いする必要があるのも相当だぞ。」

 状況と得物を確認して、一先ず動いて間もなく戦闘。
 少年が今に至るまでの時間は、物の数分と言ったところだ。
 最初から殺し合いを楽しむ狂ってる連中かと思えば話は通じる。
 清浄な思考で、幼い少女が覚悟を決めるにしては余りにも短い時間だ。
 元から戦いの環境に身を置いてなければ、この短時間で覚悟は決められない。

「外見とは裏腹に年食ってるとかか?
 俺の師匠二千歳超えてるからそういうのも考えられるんだが。」

「ううん。見た目通りだよ、十二歳。質問の答えだけど、
 願いを叶えるあの力が総浸食計画の邪魔になるからだよ。」

「なんだよそのやばそうな計画。」

「───結芽の願いだよ。
 皆いなくならない。ずっと覚えてくれる。
 ずっとずっと、楽しい時間が続く計画だよ。」

 彼女、燕結芽の目的となる総浸食計画とは、
 人類と荒魂と融合させることで、脆弱な人類を進化させる。
 人が永遠に生き続けられる───故に自分を忘れるものがいなくなる。
 誰かの記憶に残る、それが一度病により亡くなった彼女にとっての存在証明。
 覚えた人間が死ななければ、自分は永劫に忘れられることがなくなると。
 その目的を邪魔をしかねない要因は、排除しなければならなかった。
 特に死者の蘇生を容易に行えるあの力は恐らくは本物だ。
 それだけの力を誰かの手に渡らせるわけにはいかない。
 当然、それを持っている海馬乃亜も含めて。

「それがお前の願いなんだな。」

「私は自分の力で総浸食計画の完遂を目指すの。
 アイツの力はいらないし、寧ろ計画の邪魔になるから倒さないとね。」

「待て待て、だったら戦わずともいいんじゃないのか?」

 要するに主催となる乃亜の打倒が目的でもあるということ。
 だったら別に手を取り合って戦えばいいだけの話になる。
 態々優勝を目指してまですることでもないだろうと。

「無理だよ? 人類の敵を全員説得できるなら話は別だけどね。」

 ただの燕結芽であれば、恐らく何も問題なかっただろう。
 興味を持てば刃を交えてしまう癖はあるが、それでもまだ大人しい方だ。
 ───けれど。此処にいる燕結芽は違う。本来ある人物に収まるはずだった、
 人類の脅威たる大荒魂『タギツヒメ』と融合した、異なる(Another)禍神。
 刀使は間違いなく狙い、当然それを結芽が受け入れるつもりもないだろう。

「今なら、この首輪一つ壊すだけで人類の敵を抹消できる。
 その状況で人類の敵と仲良く脱出、それを誰が許すと思うの?」

 元々人類の敵になってでも目的を成し遂げる。
 その為だけに、隠世から復活を遂げたのだから、
 その言葉には余り悲壮感と言うものは感じられない。
 寧ろ、絶対に成し遂げたい前向きな精神を持っている。
 親衛隊とずっと一緒に、誰からも忘れられることなく、
 記憶したものが死ぬことで忘れられることもなくなるその計画を。

「あー……クソッ、返す言葉がねえよ。」

 どうにも説得の言葉が少年は浮かばない。
 未来の自分も、師匠も、彼女を前にしたらどうするか。
 必要なら殺す。その思考だけで実行できてしまうだろう。
 けれど、今この場にいるのはそんな彼らの思考からはまだ遠い少年。
 名をセタンタ。後にクランの猛犬と呼ばれる男、クー・フーリンの過去の姿。
 乃亜に召喚されていれば、召喚者の命令に己のルールも含めつつ従っていただろう。
 今はそうでもなければ、カルデアに所属しているけれど今は野良サーヴァント。
 つまるところ、此処にいるのは己の信条に従うだけの、所謂青臭い少年のようなもの。
 なので、なんとかしてやりたさはあるものの、解決策が見つけられず頭を掻きむしる。

「そー言うこと。おにーさんができるのは二つだよ。
 結芽を殺すか、私に殺されるか……そのどっちかだけ。
 勿論、殺されるつもりはないよ。この願いを邪魔されないために。」

 どうあがいても人類の敵の部分が回避できなかった。
 今は殺し合いをしないように説得しようにも人類の敵を傍に置く。
 全員が容認できるのものではなく、許容も相当な器を持った人物が必要だ。
 それこそ、混沌・悪でも仲間として接するカルデアのマスターのような。
 ビーストだろうと受け入れる人物なんて、そう何人もいないだろうし、
 当然、彼女は人類の敵の座を降りる気もない。故に和解は絶対に不可能。
 元々計画の為に生き返ったのであれば、決して曲がらない信念だと分かる。
 英霊とは聖杯に託す願いを懐いて召喚される。死んでもそこは譲らないとは、
 英霊からすればそれはありふれたものであるので嫌でも理解してしまう。

「……自分を死人だなんて思っちゃいねえってところは俺は好きだな。」

 『英霊なんて連中は二度目の生なんぞに興味はねえ』とは、
 未来の彼が言った言葉ではあるが、道半ばの彼は自分が死者とは思わない。
 彼はメイヴに殺されるつもりもなく、不死のスカサハも殺してみせると意気込む。
 いわば可能性の英霊。道半ばな存在故になんにでも至ろうとする前向きな精神。
 なので彼女の目的を共感するかは別として、あり方については好感を持っていた。

「へ? 敵なのに好きになるんだ。」

「敵だからと憎まなきゃいけない理由があるかよ?
 お前だっているだろ? 人類全員進化させるってことは、
 それを阻止しようとしてる奴だって進化させるってことでもあるだろ。」

「……確かにそうだね。いるよ。だから、ずっと一緒にしたいの。」

 自分の一度目の生に幕を下ろすこととなった戦い。
 生き様を忘れないと言ってくれた、衛藤可奈美のことは好きだ。
 好きだから、冥加刀使にしてでもずっと一緒にいたいと思っている。
 たとえ、それが洗脳と言う形になりかねなかったとしても。
 タギツヒメに誘われたとはいえ、それを彼女も望んでいる。

「そんな信念に、中途半端でいるのは礼儀に反するな。
 今はマスターもいなけりゃ、あの海馬乃亜もマスターじゃねえ。
 だったら俺は俺らしく───殺された二人のような奴を守るため戦ってやる!
 我が名はセタンタ! アルスターの光の御子、クランの猛犬には至らぬ英霊なれど、
 全身全霊を以って人類の敵を名乗る結芽! お前のその心臓、貰い受ける!」

 誰に命令されてるわけでもない。
 己の信条を以って、思うがままに戦う。
 だったら人を守る、英霊らしいことをしようではないか。
 彼女にできることがあるなら刃を交え、彼女を覚えることだけ。
 いずれは座に帰る影法師が記憶を持ち帰ろうなんておかしな話だが、
 彼にとって今の自分が影法師だなんだと思うつもりはない。

「そうこなくっちゃ! 私は燕結芽!
 大荒魂タギツヒメを取り込んだ、最強の刀使!
 じゃあセタンタのおにーさん、戦いの続きをしよっか!」

 人類の敵と知りながらも、
 自分のことを真摯に向き合う相手。
 タギツヒメと融合したことと折神紫の言葉により、
 自分が崇められたり、上の立場として扱われ何処か寂しくもあった。
 だからこうして対等に、真正面からぶつかってくる相手を嬉しく思う。

「ま、かっこつけた癖に逃げるんだけどな!」

「えっ。」

 あれほど啖呵を切りながら、
 想像してなかった言葉に思わず変な声が出る。
 申し訳なさそうな苦笑と共に投げられたのは、フラッシュバン。
 これで隙を突けるほど彼女は甘くないので戦闘中は使わなかったが、
 逃げるとなればその短時間のめくらましになれば時間は十分だ。

「宝具なしでそっちに勝てるほど甘くもないみたいだからな!
 不測の事態に対応するとかぬかした癖に恰好がつかないが、
 それだけお前の実力を認めてるって思ってくれ! じゃあな!」

 捨て台詞のようなものなのにどこか爽やかな言葉を最後に、セタンタは逃げる。
 自由にやると言っても、人を守る方針を決めたのであれば勝機のない戦いは避けるべきだ。
 せめて宝具であるクルージーン、それを確保してからでなければ勝つのは難しいと。





 光が収束する頃には、セタンタの姿はない。
 周囲を見渡しても人影がなく、追跡は容易ではなかった。

『追わぬのか?』

「具体的な位置が分からないのもあるし、
 おにーさんがちゃんとした武器を手に入れたら、
 もっと強くなって再戦してくれるなら別にいいかな。」

『曲がりなりにも優勝を目指す奴の言うこととは思えんな。』

 一人になった後、結芽は融合したタギツヒメと言葉を交わす。
 一心同体となった身ではあるが、全てが同じ意思とは限らない。
 彼女としては復活できた今の状況を手放したいとは思いたくない。
 敵が強くなると言う可能性を与える彼女の行為は咎めたくなる部分もある。

「私がそういう性格してるの、知ってるでしょ?
 合理的だったら千鳥のおねーさん達と真っ向から戦わないし。」

 ごもっともな話ではある。
 罠と分かっていながら可奈美達の前に姿を見せ、刃を交えたのだ。
 タギツヒメも止めなかった、と言うより求める必要がないと言うべきか。
 才覚ある刀使と融合した彼女が、負ける道理などないと言う自信故でもあるだろう。

『だが優勝は確実に必要だ。忘れるでないぞ。
 我がいようとも、今の御刀では間合いも見誤るだろう。』

 御刀は持ち主となる刀使を選び、選ばれた刀使にのみ神力を引き出せる。
 此処ではどうやら別の御刀であっても力を引き出せることができるようだが、
 やはり結芽の本来の御刀のにっかり青江でなければ能力が十全に発揮されない。
 大荒魂と一体化した存在とは思えぬほどに弱体化してると言ってもいいだろう。
 ついでに長さも重さも違うので、攻撃のキレも悪くなる部分が目立つ。

「はいはーい。」

 適当な返事と共に、湖畔から結芽は姿を消す。
 厄災たる禍神は戦士との再戦を願いながら、次の敵を探す。

【燕結芽(Another)@刀使ノ巫女 刻みし一閃の燈火】
[状態]:健康
[装備]:薄緑@刀使ノ巫女
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2(確認済み)
[思考・状況]基本方針:優勝して総浸食計画の邪魔になる乃亜(と言うよりその能力)を奪う。
1:にっかり青江を探す。
2:セタンタのおにーさんとはまた戦いたい。
3:強い人いるかな?

[備考]
※参戦時期はAnotherバージョン、可奈美と姫和と交戦中。
※薄緑でも写シなどは使えますが、能力は本来の御刀より劣化します。
 ただしタギツヒメと融合してるので差はそこまでないのかも。
※名簿上では燕結芽です。





「やっぱねぇか……」

 ランドセルの中を漁ってみるが、
 彼の宝具となる光の剣『クルージーン』は何処にもない。
 流石にそこまで都合よくは用意してないとは思っていたので、
 余り落胆してはいなかった。

『───結芽の願いだよ。
 皆いなくならない。ずっと覚えてくれる。
 ずっとずっと、楽しい時間が続く計画だよ。』

「……あいつが英霊の座についてたら───いや、ないか。」

 座に登録されているとなれば、
 ある意味で一生忘れられてない存在になる。
 けれど、それで満足するような相手ではないだろう。
 やはり和解は無理だと、少し残念そうに思った。

「つくづく女絡みになると運がねえの、なんなんだろな。」

 此処でない何処かであれば、
 互いに研鑽し合える間柄になれたような気がする。
 流石にあの幼い相手に恋愛感情みたいなのはないが、
 死ぬことがないスカサハに自分を殺す相手であるメイヴに、
 どうして女性側は厄介な相手ばかりと出会ってしまうのか。
 やれやれと溜め息を吐きながらもセタンタも動き出す。

 クランの猛犬を呼ぶには未熟なケルトの戦士。
 未熟であれども、英霊としての志はこの姿でも健在だ。

「にしても、宝具をなくしたセイバーってどっかで聞いたな。」

【セタンタ@Fate/Grand Order】
[状態]:首に傷
[装備]:潮騒の槍@御城プロジェクト:Re、閃光玉×3@モンスターハンターシリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~1
[思考・状況]基本方針:乗る気はない。
1:装備整え次第、再度結芽と戦う。初めての女殺しになるのか?
2:クルージーンを探す。宝具なくすサーヴァントが何処にいんだよ。
3:俺セイバーだぞ? なのにランサーやってどうすんだよ。

[備考]
※カルデア所属ですが、現地召喚された野良サーヴァントと扱いは同じです。
※参戦時期は少なくとも「螺旋証明世界リリムハーロット~喝采なき薔薇~」において、
 スカサハを倒して以降になります(つまりアーケードのカルデアからの出張)。
※お供の犬はいません。
※宝具がないので「裂き断つ死輝の刃」は使用できません。

【薄緑@刀使ノ巫女】
燕結芽に支給。元々は獅堂真希が用いていた御刀。
珠鋼という特殊な金属で出来た日本刀で折れず錆びない。
御刀に選ばれた者は刀使として写シなどの能力が使用できるが、
首輪の影響か、選ばれてなくとも刀使であれば能力が行使できる。

【潮騒の槍@御城プロジェクト:Re】
セタンタに支給。城プロにおける槍武器の一つ。
海の力を纏った槍で、穂先からは潮騒の音が聞こえるとか聞こえないとか。
所謂ドレイン武器で、ダメージを与えたら微量に与えた分体力が回復する。

【閃光玉@モンスターハンターシリーズ】
セタンタに支給。手投げ玉系アイテムで、破裂させると強烈な閃光を放つ。
一種の閃光手榴弾だが音は殆どでないのでめくらましだけに留まる。
つまり閃光手榴弾の下位互換に見えるが、小型なのでお手頃。

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