序章 - curseofstrahd @ ウィキ

荒れ狂う嵐雲の下、レイヴンロフト城の古い城壁にシルエットを映す1人の人物が立っている。吸血鬼ストラード・フォン・ザロヴィッチ伯爵は切り立った崖の下の村をじっと見下ろしている。冷たく無情な風が彼の周囲に枯れ葉を舞い散らし、彼のケープを暗闇の中ではためかせる。
頭上で稲妻が雲を引き裂き、真っ白い閃光が横切る。ストラードが空を仰ぐと、彼の顔と手の筋張った筋肉が露わになる。彼の目には力があった――そして狂気も宿っていた。彼のかつては凛々しかった顔は夜そのものよりも暗い悲劇によって歪められている。
轟き渡る雷が城の尖塔に激しく何度も打ち付ける。ストラードが再び村に目を戻すと、風の唸りはますます高まる。その遥かな下方、まだ彼の視界の外の下界では、まさに冒険者たち一行が彼の領域に入って来たところである。彼の暗い計画がうまくいっていることが分かると、ストラードの顔は歪んだ笑みを浮かべる。彼は彼らがやって来たことを知っていた。そして彼はどうして彼らがここにやって来たのかを知っている――すべては彼の計画によるものなのだ。彼が、つまりはこのレイヴロフトの支配者が、彼らの世話をすることになるだろう。
また別の稲妻が暗闇を引き裂き、城の塔の中に雷鳴がこだまする。しかしストラードはすでにそこにはいない。風の唸りだけが――あるいはもしかすると孤独な狼の唸りだけが――真夜中の空気に響き渡る。レイヴンロフトの主は晩餐会に来賓を迎えたのだ。そして君たちがそこに招待されることになる。