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  • 【山岳地帯】その2

【山岳地帯】その2

最終更新:2020年03月02日 00:07

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「Good Bye, Bad Girl」




Chapter1


14歳まで、あと420日 / 秋風に泣くこと



「ぐうう……うあ”あ”あ”~~~ッ!」

慟哭。およそ女子らしさをかなぐり捨てたような、慟哭。
人気のない神社の境内で、黒磐ルイは崩れ落ちていた。

朝、2時間かけて選んだ服装は砂に塗れて。
手にはくしゃくしゃの袋、潰れかけのストロベリー・クレープ。

こうなった事の経緯は数分前。
彼女は下心を以て訪れた「キリタくん」がいる中学校の文化祭で、彼と親しげに肩を寄せる恋人の姿を見つけてしまった。

隣にいた友人に「ああ、あいつら付き合ってんのよ」と太鼓判まで貰ったから、決して残念な誤解などではない。「呼んでこよっか?」の言葉に答えも返さず翻り、脱兎のごとく逃げ出してしまった次第である。

あわよくば彼ともう一度交遊関係を持って、ライン交換とかしようと思ってたのに。中学に上がってようやくスマホも買ってもらえたのに。この日の文化祭に来るために、学校と塾の課題を徹夜で終わらせてきたのに──そういった下心は、脆くも崩れ去った。

「こんなのやだよぉ~……うぐっ……うううう…………」

どうしようもない喚きごとだ。何の役にも立たない言葉だ。
これを傍らで聞かされる鳥羽千里もまた、困惑しきっていた。

醜態。
おおよそ1年半ぶりに会った、当時から大して仲が良かった訳でもない昔の同級生が、なんとも言及し難い醜態を晒している。

もっとも「良い子」であるところの彼女としては、クレープの売り子をしていた時に釣銭を受け取らず逃げ出してしまった変な客を律儀に追いかけずにはいられなかったし、こうして只事でない様子を見せられれば、

「どうしたの?」

と訊ねてしまう訳なのだが。

「うっ……うう……ありがと…………」

「……話して楽になる事なら、聞くよ。わたしで良ければだけど」

千里はそう言って蹲る少女の背中を撫で擦りながら、他方の手でスマホを開き、ラインを確認した。案の定、友人達から心配の声がある。ぱたぱたと片手でキーを叩き、返事をする。「お釣りを受け取らないで行っちゃった子、体調悪くしたみたい。もうちょい付き添って、落ち着いたら戻ると思う。ごめんね」

良くも悪くも「お人好し」で通っている。こう言っておけば、千里を知る人には「しょうがないなぁ」という反応に収まるだろう。

千里の呼びかけに応えて、ルイはぽつぽつと言葉を漏らした。


「うう……本当は……あたし、転校とか、したくなくって……っ」

「受験も……塾に通い始めたのも、パパとママが期待してたからで……」

「キリタくん、好きだったのに……何も、言えなくっ、って……」

「あたし、本当……馬鹿で、馬鹿……バカ……ううう……」


出てくる言葉はやはり一切どうしようもなく、ちぐはぐで、千里は眼の前の少女の奇行の事情について半分も理解できなかった。

ただ、こうして感情の決壊した子供の傍には、うんうんと頷いて背中を撫でてやる人が必要なのだと経験上知っていたから、しばらくそのようにしていた。

10分くらいそうしていると、やがてルイも幾らか落ち着いた様子だった。
くしゃくしゃになった目元を拭い、鼻をかむ。

「……落ち着いた?」

「うん。……ありがと、鳥羽さん。もう、大丈夫……」

「そう?」

「ごめんね……こんな所まで、来てもらっちゃって」

ほんとだよ、と千里は心の中で呟く。

追いかける途中で捻った右足を軽く踏みしめて、具合を見ながら。
当然、そんな様子は表には出さない。良い子は依然、良い子として。

「いいよ、気にしないで。……じゃ、わたしもう行くね。そろそろ戻んないと、怒られるし」

「うん……」

そう告げて、千里は境内の階段を降りていく。
そうして、ふと立ち止まって、振り返る。
木の根に背を預けていた少女は、今も膝を抱えたまま。

「あのさ……その、黒磐さん」

気が付くと、口を突いていた。
ルイはその声に面を上げて、首を傾げた。

「なんていうかな……良い子じゃない自分の声も、もう少し聞いてあげるといいよ。ガス抜きってやつ?」

「……良い子じゃない自分」

う、と千里は口元を覆う。なんだかクサイ表現になってしまったみたいで、恥ずかしくなった。それに、良い子が言う事でもないな、と思う。

それでも、ルイの発する言葉の端々に、自分の苦しさと重なるものがあったから。つい、声をかけてしまった。

自分の能力はあまりにも危険で、鳥羽千里という少女がこの先も普通に暮らしていくには、良い子であり続ける以外の選択肢がない。つまるところ、With me / Without you(もうひとりのわたし)は消え去るしかない──だけど彼女は多分、そうではないのだから。その幸運を享受しないのは、何だか勿体なく見えたのだ。

「それだけ!じゃあね」

そう言い残して、足早に走り去る。

黒磐ルイはしばらくの間、ぼうっと目を見開いて、遠ざかる足音を聞いていた。


「……良い子じゃない私。悪い子の私」

良い子をやめること。
自分を我慢しないこと。

親や大人の言う事を聞かない、自分の願いを一番に通す。

……そんな風に生きられたら、どれほど素敵だろうか。

「ふふ」

気が付くと、笑みが零れていた。自分は正しさを見つけたのだ、と思った。

どうして我慢する必要がある? どうして囚われる必要がある?
ここにあるものは、自分の人生でしかないのに。

立ち上がる。数歩、進んでから、振り返る。
今も木陰に蹲る、さっきまでの自分の残影を、

「ばーんっ」

指先で撃ち抜く。
つむじ風が吹いて、影は霧散した。

……そうだ、これでいい。私は正しい。
高鳴る胸の鼓動が、さっきまでと変わって見える世界が、そう確信させてくれる。

「ふふ……ふふふふふふ!!!」

静かな境内に、笑い声が響く。
声に驚いた雀たちが散っていく。
「いい加減迷惑だ」と言いたげな神主が、箒を手にやって来る。


かくして、黒磐ルイは魔人に覚醒した。
中学一年生、秋の頃の話である。




Chapter2


14歳まで、あと37日 / そこまで変われとは言ってない



久々に会った昔の知人が一変していた、なんて事がある。
進学の節目なんかで特に多い。
中学デビューとか、そういう名前が付くくらいには一般的なやつだ。

鳥羽千里にとっての、黒磐ルイがそれだった。


☆


ある日の放課後。買い物に出かけた帰り、近所で火事騒ぎがあった。

現場は見知った場所だった。ダサい音楽教室の看板が貼ってあって、嫌に記憶に残っている。あんなもの外した方が良いのに、と通りかかる度に思っていたものだ。
もともと三階建てだった古い貸しビルは、柱が燃え落ちて一階部分が殆どぺしゃんこになっていた。

ああ、大変な事になっているなあ──と。

買い物袋を片手に、どこか他人事のような気分でその光景を眺めていたわたしは、次の瞬間に目を見開いた。


──バン、と誰かの声がする。

燃え盛る二階の窓が、吹き飛んだ。

「ひゃぁあああああ!!!」

そうして開いた場所から、黒磐さんが飛び降りてきていた。奇声めいた掛け声と共に。

映画か雑誌でしか見ないような黒いドレスを翻しながら、派手に着地する。グギ、と挫くような音が聞こえた。その小脇には、泣きじゃくる男の子を抱えている。

二人ともひどく煤けた顔だ。我ながらよく一目で彼女と気づいたもんだな、と思った。

「救出っ……! っああ〜!め、 めっちゃ熱い……!」

黒磐さんは子供を地に立たせると、その場に転がって脚をさする。

「ひっ、膝……! やばっ……折れた……!? 折れてないこれ……!? し、死ぬ……」

「あっ引いてきた……やっぱ大丈夫……」


何もかもが滅茶苦茶だったけれど、この場において彼女は確かに英雄だったようだ。
子供の父親らしい人が何度も頭を下げて礼を言っていたし、見物客からも浮かれたような拍手が上がっていた。

まもなく立ち上がった彼女は、手を振ってそそくさと立ち去ろうとして、

「おお~、鳥羽さんじゃん! 久しぶり~!」

観衆の中に混ざっていたわたしに気づいて、にこやかに手を振った。


☆


「や~、そういえば昼ごはん食べてなかったな。そりゃお腹すくよ」

数十分後、近くのバーガーチェーン。
わたしの向かい席に座る黒磐さんは、もそもそとホットドッグを齧っていた。

「あ、私がお金出すから!好きなの頼んでいいよ!」

「ありがと、大丈夫。お昼もう食べたから」

彼女が「お礼をしたい!」とやけに強引に言ってくるものだから、つい押されて付いて来てしまった。
しかしあと二時間もすれば夕飯な訳で、むやみに腹を膨れさせるのは良い子でない。

アイスコーヒーで喉を潤してから、そうだ、と間を逃していた問いを投げる。


「それで……お礼って、何の?」

「ああ、ほら──」

ピクルスを摘んで紙に包みながら、黒磐さんは答えた。

「慰めてくれたでしょ、去年の……文化祭んとき」

「ああー、あれ……」

……あれかぁ。

忘れていた訳じゃないけれど、恩を売ったという感覚は、わたしの中になかった。
というより、あの時はなんだか結構、こっぱずい事を口にしたような気がする。
火照りを誤魔化そうと、もう一度ストローに口をつけて。

「お陰でさ。色々吹っ切れたし、魔人にもなったっていうか」

「まじっ……!?」

ぶふ、と吹き出しそうになった。咽る口元を抑える。かろうじてセーフ。

「え……ま、魔人になったの??」

「そうそう、魔人になったの。……大丈夫?」

「だ、大丈夫だけど……そ、そっちこそ?」

魔人になっちゃった?私のせいで?
そんな風に言われると、流石に慌てない訳にはいかなかった。

「いや、当てつけとかじゃないからね? マジのマジに感謝してるんだって」

ぶんぶん手を振って否定しながら、黒磐さんは言う。

「ほら、”良い子じゃない自分の声も、もう少し聞いてあげるといいよ”って……」

「んぐっ」

赤面。どうにも堪えられなくなって、顔の前でバッテンを結ぶ。

「それ、復唱するの禁止……」

「えぇ、良い言葉なのに……」

「じゃあ、恩人としてのお願い。 禁止ったら禁止」

「はぁい」

割にあっさりと、彼女は引き下がってくれた。

わたしは肘をついて、魔人になったのだと言う、彼女の姿を見やる。
もちろん、魔人かどうかなんて見て分かるような物じゃないし(そうだったらわたしが困る)、人を見た目で判断するのは良くない事だと言うけれど。

「確かに……だいぶ変わったよね、黒磐さん」

主に服装とかが。ファストフード店の片隅でその黒いワンピースは、随分と目立つ。
彼女自身は意にも介さない様子だったが。

「そう、変わったの。悪党になった」

「……不良じゃなくって?」

「不良はちょっと、安っぽくない? だから悪党」

どこかの映画やアニメで見たような、奇抜で気取った奴らの顔がいくつか、脳内を過ぎっていった。
なるほど言われてみれば、この奇抜な出で立ちは、そういうコンセプトに見えなくもない……かもしれない。

「悪党だけど、火事で取り残された子を助けたりするの?」

「悪党だから。でもって、わたしが、そうしたいと思ったからね」

即答。

「だって、私の人生なんだ。私がしたいように決めるもんでしょ。迷惑かける事もあるけど、それでもね」

子供っぽい言い分だ、と思いながら。どこか納得もある。

魔人とは、強烈なエゴの発露であると言うけれど。
なるほど、今の黒磐さんは、確固たる自分の基準で振る舞っているように見える。良く言えば、吹っ切れたのだろう──と、去年の秋、あそこで泣いていた姿を思い出しながら。

「……ああ」

カラカラと、手遊びにコーヒーの氷をかき混ぜながら、うっすらと目を細める。

……少し、妬ましくなった。

この少女のように、自分の思うように振る舞って、魔人である事を隠しもせず。
あるいは──さっきのように感謝さえされながら、自由に生きている彼女が。

わたしは、そうする訳にはいかない。
ほんの僅かな縁を結んだだけで、一息に殺せてしまう能力だ。

あの先生が、人当たりの良い笑顔の裏に、わたしへの恐怖を隠していると知っている。
With me / Without you(このちから)を知った人は、鳥羽千里(わたし)を恐れずにはいられない。

少年法は司法の手から守ってくれるけれど、人の見る目までは変えられない。
その事に対する恐れが、わたしの好奇心の襟首を掴んでいる。

「眩しいな。黒磐さんは」

「んへへ」

照れ臭そうにはにかんで見せたルイから、わたしはそれとなく視線を外した。

胸の奥がぐつぐつする。これは、よくないやつだ。分かっていても止められない。

──あんたはわたしのような能力を持っていないから、そんな風に言えるんだ。
──わたしが本当に思うままにやったら、どうなるかも知らないで。

そんな思考が、泡のように浮かんでは消えていく。

分かってる。全部、筋違いの八つ当たりだ。
わたしが気まぐれに放った言葉が、彼女の心に火を灯したのなら。
わたしはそれを祝福すべきなのだ。

「ねえ」

「ん?」

じゃあ、人を殺したいと思ったら、殺すの? なんて。
そんな事を訊ねて、彼女を呪いたくなって。

「……ううん、何でもない」

「えー。何、それ」

その衝動を抑え込んだ。
いつも通り、良い子の笑顔。

大丈夫。大丈夫だ。
わたしはまだ、綻んでいない。


☆


「ところで、黒磐さんの中学ってけっこう遠いよね。何かこっちに用事あったの?」

「え”!? いや、まあ……うん、そんなとこ!」




Chapter3


14歳まで、あと12日 / その親愛に応えるには



「こんにちは。鳥羽千里さんだね」

つとめて穏やかな声。不意に呼び止められたのは、いつも通り下校する途中、校門を出て数分のところだ。

わたしともう一人、一緒にいた友達は、ぎょっとして立ち止まった。視線を向けられているのは、はっきりとわたしの方だ。友達の方へは申し訳程度に会釈をして、すぐにこっちへ視線を戻す。

「失礼。私は、こういう者なんだけども」

少ししわがれた声のおじさんは、そう言って警察手帳を開いて見せた。
警察手帳。ドラマの中でしか見なかったそれが、いま自分の眼前に突きつけられている。
その状況を、正しく飲み込むまでに少し時間がかかった。どこか他人事のような頭で、「何かあったのかな」と考えてしまうくらい。

「はい。わたしがそうですけど……何か、あったんですか」

ふと道の奥を見れば、更に2台ほどのパトカーが停まっている。スーツ姿の人影が四つか五つ。ちょっとした補導、なんて規模ではなさそうだ。

「いや、安心して欲しい。君を捕まえようという訳じゃないんだ。ただ、少しだけ、情報提供に協力して欲しくてね」

宥めるような、柔らかな声でそう告げる。
別に、わたし、怒っている様子なんか見せてないのに。

その目の奥に、先生がわたしを見る時のそれと、同じ色を見た。気遣いと呼ぶには少し行き過ぎた、警戒と──怯えの色。

嫌な予感が肌を撫でる。胸の奥が、キュッと締まるような感覚。

「……君のその、魔人能力に関する事なんだけどもね」

……ああ。

深く、諦めの溜息が漏れる。
そっか。バレちゃったんだ。

決して安心する訳じゃないけれど。
どこか大きな肩の荷が降りたような。良いとも悪いとも言えない感覚があった。

「千里、大丈夫?」

隣にいた友達がそう訊ねてきたから、黙って首を振る。
「ごめん、ちょっと行ってくるね」と、力の抜けた笑顔を返して。


☆


なんでこういう事態になったかと言うと、わたしの能力を診断してくれたあの「先生」が逮捕されたらしい。

端から彼を疑っていた訳じゃないけれど、刑事さんからこの話を聞いた時には「まあ、そうだよね」と思った。
わたしの能力の事がバレるとしたら、十中八九そこしかないのだ。

どうにも、コピー系の能力を持つ犯罪者とかに対して、わたしのような能力はとんでもない値段が付くらしい。好奇心から「具体的にいくらくらい?」と訊ねてみたものの、はぐらかされてしまった。

一度も使った事のない能力だけど、検査によって「そういうものがある」という実在は証明されていた。だから実際に売買の契約まで成立していて、誘拐事件というカヴァーのもと「引き渡し」が行われる計画まで立っていたそうだ。

別件で逮捕された犯罪者グループから、取引履歴のあった「先生」に行き着いて、そこで押収された研究データのせいで、こうしてわたしが呼び出される事になったらしい。芋づる式、というやつだ。

「もちろん、君が犯罪に手を染めていないのは、分かっているんだよ」

刑事さんがそう言うと、その後ろに立っている、前髪の長いお姉さんも頷いた。

彼女はこの部屋に入って来た時、「わたしは嘘を見抜けるから、隠さず正直に話してね」と言っていた人だ。多分、そういう能力を持っている魔人なのだろう。

……ずいぶんと豪勢に歓迎されたものだな、と思う。

言われた通り、わたしは正直に答えた。
一度もこの能力を使った事はないし、それ以外で法を犯すような真似もしていない。

”したい”と思った事なら、何度もあるけれど。
わたしにとっては幸いなことに、そこを確認する問いはなかった。


「君自身にそのつもりがなくたって、こういう事もある。何かあったら、すぐに警察に連絡していいからね」

「それと、その気がなくても能力が暴走する……なんて事もある。精神のケアも大切だ」

「ちゃんと、潔白さを証明できる専門医を、こちらで紹介しよう。それから──ご家族とも、よく話し合ってね」


わたしは人形のように、何度も何度も頷いた。
どれもこれも、正しい話だ。だけど、虚しくも聞こえる。


だって、刑事さん。
貴方の目はずっと、わたしに怯えているじゃないか。

良い子で、正直で、まだ何も悪い事をしていない、わたしに。


☆


一通りの検査を済ませて、私は解放された。元々、犯罪者でもなんでもないのだ。
「先生」が何か変な事をしている可能性もあるからと、数時間かけて身体のあちこちを調べる事になったけれど、特に心配はいらないと言われた。

帰って良いよと言われたのは、19時も回った頃だ。

迎えに来たパパとママは、何かを言う前にわたしの身体を順番に抱き寄せた。
ママは耳元で「良かった」と呟いてから、もう一度ぎゅっと抱いた。そうされていると、わたしの額がぼうと熱くなって、思わず泣きそうになってしまった。

だけど、涙が零れるよりも早く、わたしのお腹がぐぎゅると鳴ったものだから、わたし達は変な笑顔を浮かべたまま互いを見やった。

ラインを確認すると、最新の通知が兄だった。家で留守番をしているらしい。
中には普段そうそう見かけない、見ているだけでむずむずするような言葉がいくつも並んでいた。「シスコンかよ」なんて、照れ隠しにからかいの言葉をタイプしかけて、やめる。「ありがと。大丈夫だよ」こっちが正解。

帰りの車の中で、パパとママと話をした。わたしの事と、これからのこと。家の防犯を強化しようとか、どこまで友達に話してもいいのかとか、新しくかかりつけのお医者さんを探そうとか。

お金は大丈夫?と冗談めかして訊ねると、パパはわざとらしいほど厳かな声で「心配はいらん」と言った。あんまり似合ってなかったけど、精一杯頼もしい姿を見せようとしたのだろう。

きっと、わたしは愛されていた。
わたしの家族は、ちゃんと家族でいてくれた。
とんでもない能力を持った魔人だと知っても、何より先に、わたしが無事だった事に安堵してくれた。

わたしは、きっと恵まれているのだろう。
ニュースの社会問題として見かけるような、排斥され居場所をなくしていったような魔人たちに比べれば、ずっと。


……だから、確かめてみたくなったのだ。


「……ねえ」

「うん?」

「パパとママはさ、わたしの能力のこと……怖くない?」

「「いいや」」

二人の声が重なった。即答だった。

「だって。千里のこと、信じてるものね」

「ああ。千里はさ、良い子だからなあ」

「そんな恐ろしい能力、使おうと思ったこと、ないでしょう?」

「……うん」

堪えられなくなって、顔を伏せた。

──じゃあ、わたしがこの先、良い子じゃなくなったとしたら?
──能力を使ってみようと思った事なんて、何度もあったとしたら?

そんな事、口にできなかった。
わたしは、今ここにある温もりを、壊したくない。
こうして、みんなと家族のままでいたい。

「当たり前じゃん」

顔を上げる。いつもの通り、良い子の笑顔。


だから、やっぱり、隠すしかないんだ。
手のひらを重ねて、鎖骨のあたりを抑える。ばくばくと波打つ血潮を、抑え込むように。

深く息を吐く。覚悟を決める。

わたしを、信じてくれる人のために。
愛してくれている人のために。
もう一人のわたしには、このまま死んでもらうしかないのだと。




Chapter4


14歳まで、あと8日 / 土下座するかぼちゃの馬車



わたしの新しい主治医さんは、牛尾さんと言った。

どこか不機嫌そうな目つきをした、眼鏡のお姉さんだ。
診察室の中でも、白衣ではなくスーツを身に着けていて、医者というよりキャリアウーマンのような印象がある。

「どうぞ。掛けてください」

診察室に入って来た私を一瞥。事務的で、はっきり言って愛想は良くない。
だけど、その方が却ってやりやすいかもしれないと思った。
少なくとも、表向きの優しさで飾ったような態度で接されるよりは、ずっと良い。

「えっと、初めまして、鳥羽千里です。よろしくお願いします」

「ええ。──まあ、医者というのは嘘なんですけどね」

「え?」

意味を問い返すよりも早く、彼女はパンと両手を打った。途端に、眼の前がチカチカと点滅する。記憶がぐちゃぐちゃになって、頭がくらくら回る。

何が起きたのか、何をされたのか、一つとして分からないけれど。

ただ一つ、理解できた事がある。わたしが診てもらうはずだったお医者さんは、牛尾なんて名前じゃなかった。

──あれ。 わたしは、どうしてそんな勘違いをしたんだ?

「失礼。貴女とコンタクトを取るには、こうするのが手早かったので」

「な、にを……?」

「能力を解除しました。……すみませんが、少し通報は待っていただけますか」

何も分からないが、良からぬ事に巻き込まれたのは分かる。つい先週、あんな事があったばかりなのだ。わたしは迷わずスマホを取り出して、110番を押そうとした。

ここで静止を聞くようなのは、良い子を通り越してただの愚かだろう。だから、結果的にわたしが通報に失敗したのは、驚いて手を滑らせ、スマホを落としてしまったからだった。

「うぉぉぉぉぉおおおっ────」

突如として空間に裂け目が入ったかと思えば、絶叫と共に見知らぬ男が転がり込んで来た。勢いそのままに、わたしの足元へとスライディング。額を床に着けて、土下座の構え。

「ぉ願いしまァァァァアァッス!!!」

「え……え!? 何!?」

「君に! 大会に! 出てほしい!!! ウオオオオよろしくお願いします!!!」

「いやっ……誰この人!? 知らない!!大会って何!?」


☆


「……はあ、なるほど」

別の次元からやって来た、超法規的権力を持つ金持ち。
謎に満ちた謎の男、合法的殺人闘技のプロモーター。H・リー。

普通に考えて、気が触れた大人の与太にしか聞こえない話だ。
そうそう信じられるものではない。

だけど実際にポケットマネーの1京ドルで株相場を破壊し、有名企業をバタバタと倒産させたり、それを全部牛尾さんの能力でなかった事にしたり……なんて事を目の前でやって見せたので、信じるしかなかった。「もう一回やろうか?」と訊ねられて、ぶんぶんと首を振った。

信じた上でなお、意味が分からない人達だけど。
別の次元からやって来たくらいだ。あるいは遠くの世界からわたし達を見ている、神様のようなものなのかもしれない。
……いや、それだったら土下座なんてしないか。

「とにかくさぁ、面白い戦いが見たい訳よ。わかる?」

「そこはわかりましたけど……それで、わたし……?」

戦いの経験なんてないし、面白い戦いなんてものが見せられるとは思わない。
この能力は確かに強力だけど、やはり見ていて面白い物ではないと思う。
何の役にも立たないか、すぐに決着が付く。そのどちらかだろう。

率直にそう口にすると、

「さて、本当にそうかな?」

「そうかな? って言われても……」

「俺はそうは思わないんだよね。君の能力には、もっと可能性がある。それに……」

彼はそう言って、わたしの目をじっと見入る。
怯えでも、優しさでもない。子供のように純粋な、好奇心の色。

「……その能力を、一度でいいから存分に振るってみたいと。考えた事はないか?」

「それは……」

「君の事はよく知っている。真面目で、禁欲的で、優しい心の持ち主だ。
 ──だけど、それだけじゃないだろう?」


……そうだ。

警察の人も、家族も、友達も。誰も認めようとしなかったこと。
「決してあるはずないもの」として、直視しようとしなかったこと。

結局、こんな能力を持っているくらいだ。
魔人の能力は、心に根差すものだから。

子供のような、無邪気で残酷な空想。
当たり前に生きている誰かの首を、摘み取ってみたい。
どこかの誰かにとっての、理不尽な災厄になってみたい。

生まれ持ってわたしの心には、そういう暗い欲望がある。

何故、とか。どうして、なんて事は、わたしにも分からない。
生まれた時から傍にあったんだ。これが、鳥羽千里(わたし)の一部なんだ。


「……このちからを、認めてくれるんですか」

「ああ!」

「わたしを、受け入れてくれるんですか。必要としてくれるんですか」

「そうとも!」


……どう考えても危ない話だ。
それなのに、どうしても抑えが利かない。

いつの間にかわたしの口元は、ふにゃりと嬉しそうに吊り上がっていた。
あは、と自分の物じゃないような笑い声が漏れる。

……それから、パパやママに抱かれた温もりを思い出す。
やっぱり私は、この繋がりを手放す事ができない。

あの人たちの前に、この欲望を曝け出せるほど、自分の欲に振り切れていない。
もう一人のわたしには、死んでもらう。一度そう決めた事だ。


──だからこそ。

一日だけ、一度だけ。

もうすぐ消えてしまうはずのわたしが、誰かに必要とされるのなら。
この欲望を、曝け出しても許されるのなら。
同じように強い力を持った魔人に、この力をぶつけられるのなら。

わたしは、その舞台に立ちたいと思った。

「いいですよ。やっても、いいです。……条件が、ありますけど」

「ははっ、そう言うと思ってた!」

事が思い通りに運んだ、と肉食獣のような笑みを浮かべる彼を見て。
今のわたしもこんな顔をしているのだろうか、と思った。




Chapter5


14歳まで、あと1日 / 灰かぶり、命を踊る



黒磐ルイには、取り戻したい過去がある。
そして、悪党を自称する彼女は、自分と誰かの願いが衝突する事があれば、きっと譲らないと決めている。

だから、試合会場への転送直前。
対戦相手の名前と顔を教えられて、驚きこそすれ、すぐに迷いを切り捨てる事ができた。


誰だろうと関係ない。
全力でぶつかり合って、勝った方が望みを叶える。
ありふれた儀式だ。オリンピック。受験競争。小学校の給食じゃんけん。

きっとこれも、その一つ。


☆


戦場の選定、ならびに最初の転送位置に、「面白い戦いが見たい」という大会運営者の恣意があったのかどうかは分からない。
ただ結果として、鳥羽千里の能力による即時決着、という結果は発生しなかった。


千里が降り立ったのは、岩肌の露になった傾斜の半ばだ。身を隠すような遮蔽物は存在しない。
直ちに周囲を見渡す。百メートルほど下方に、黒い人影が見えた。

こちらが見えているなら、向こうからも見つけられるということ。一瞬だけ迷ってから、山頂へ向かって走り出す。逃げ切れるならそれで勝ち。追いつかれたなら次の手だ。

「With me / Without you」が死体として召喚できるのは、使用者とは異なる空間に存在する相手だ。
この「異なる空間」の定義は使用者の認識に依存する。少なくとも互いに視界に捉えたり、声を聞く事のできる距離であってはならない。建物でもあればまた別だが、見渡す限りは自然物しかない山中である。

この状況で自身を指さして「対戦相手」と口にしたところで、発動は失敗する──千里にはそれが分かる。しかし惜しいという気持ち以上に、これで良かったという気持ちが勝った。

「すぐに終わっちゃ、つまらないもんね」

消えていくもう一人のわたし。最初で最後の晴れ舞台だ。

岩肌を蹴る。普段の体育なんかだと目立たないために手を抜いていたから、全力で走るのは本当に久しぶりの事だ。不思議と身体はよく動いた。


☆


「射出(どん)、射出(どん)、射出(ばん)っ──」


岩窪だらけの荒れた道を、黒磐ルイは駆け上がる。
ルイの能力、悪徒霹靂(バンバン・ピカレスク)による遠距離狙撃も理論上は不可能ではないが、対面での戦闘ばかり数こなしてきた彼女の領分ではない。
60度近い斜面の仰角、吹き下ろす風、背を向け距離を取ろうとする敵。これらの環境を掌握するだけの狙撃技術を、彼女は持たない。故に、自分の間合へ入る必要があった。

凹凸だらけの山肌は、追いかけっこにおいてルイの味方をした。両手は人差し指を立てたまま、身に纏わりつく空気を弾丸と認識して撃ち出し、反動に身を預ける。これで大抵の段差は乗り越える事ができる。
まともに地に足を着けて走っている分、遅れを取るのは千里の方だった。両者の距離は、少しずつ縮まっていく。60メートル。30メートル。

(──この距離なら、当てられる?)

弾薬箱(ダンちゃん)から取り出した、自作の粘着弾。着弾と同時に接着剤が飛散して、敵の動きを足止めするやつ。親指の付け根に挟み込む、サムパームの要領で三つ装填。

俄かに足を止め、目を凝らす。

「射出(ばん)っ」一つ目は岩壁に阻まれ、
「射出(ばん)!」次は突風に押し流されて軌道を逸らし、
「射出(どーん)!」最後は肩の辺りを掠めた。ダメか、と舌打ち。

しかし結果的には威嚇の用を為したのか。
千里は粘着液の付いたウィンドブレーカーを脱ぎ捨てながら、ルイの方を振り返った。


距離20メートル、視線が交わる。


(──弾丸を掠め当てられる程の距離、鬼ごっこは既に限界)

だけど悪くない、と千里は考える。敵の能力は射撃系、今ので大凡の射程も掴めた。

振り切れない可能性は最初から織り込んでいたし、迎え撃つならここが良い。
近すぎず遠すぎない距離、急斜面、相手よりも高い位置。人差し指を立てて、自分の首元へ突きつける。
くふ、と倒錯的な笑いが漏れた。とうとう、やるのだ、わたしは。

“With me / Without you”
「──昨日、エイミーと名付けた子」

“悪徒霹靂(バンバン・ピカレスク)”
「──射出(だん)射出(だん)射出(だん)射出(だん)っ!」

迎撃の気配を察知したルイが、咄嗟に撃ち出した空気の弾丸。
それは千里の腹を裂き、赤い血を飛沫かせたが、致命傷には及ばず。詠唱は完了した。
二人の間の空間に亀裂が走る。ルイの視界を、大きな影が覆った。

「え……!?」

全長7メートル、体重およそ9トン。
灰色の巨影の名は、地上最大の生物。アフリカゾウ。
既に意思なき骸となったそれは、重力に引かれるがまま斜面を滑落──黒磐ルイを襲う。

「う、わああぁぁぁ──っ!?」


☆


「君の能力には、もっと可能性がある」

H・リーの言葉を聞いた時から、わたしは自分なりに考えた。
初めて自分の能力を必要としてくれた、彼の為に。
あるいは、自分の空想の飢えを満たすために。

死体そのものを質量武器とすることが、その一つだ。

名前を付けるというのは、最も簡単で間違いのない「関係性」の結び方だ。わざわざ、会いに行く必要なんてない。インターネット越しに見つけた写真を見て、一方的に名前を与える。それだけで、死の縁を結ぶことができる。
念のため「昨日」という時間指定まで設ける事で、「最も該当する存在」が被るような間違いもない。

わたしはH・リーの招待を受ける条件の一つとして、この空間で起きた事実の一切を非公開にし、痕跡も消す事を要求した。「流石に無関係な人が死ぬのはちょっと……」と言われたけど、十分だ。

獣の命を勝手に摘んでしまう事を、罪深いとは思う。
でも、誰だって命を食らいながら生きている訳で、そんなに特別な罪だとは思わない。

今のわたしが、少しばかり行儀が悪くて、節操のない──悪い子であるというだけだ。


☆


「やっばい! 何何何何……っ!?」

ルイは咄嗟に真横へ身を翻したが、完全な回避は間に合わなかった。左脚が轢き潰されて、鈍い激痛が走る。それでも、ここで立ち止まったら死ぬと理解した。残った手足を使って這いつくばりながら、空気を撃ち出した反動で身を転がす。

“With me / Without you”
「昨日、ベイジルと名付けた子」

その様子を目で追いながら、千里の追撃。痛む脇腹の失血を、空いた手で押さえながら。
死体を召喚する位置の制御についても、彼女は大凡の理解を得始めていた。召喚起点の設定射程は、使用者の周辺から2メートル程度。巻き込まれない為には自分より下方に召喚する必要があるし、敵の頭上に直接落とす事はまず不可能だ。

つまり、先と同じように、斜面の状態を見て転がす事になる。

哀れな二頭目のアフリカゾウが、ルイを圧し潰さんと転がって来る。
しかし、今度は待ち構えるだけの猶予があった。すぅ──、と深く息を吸って、

「射出(ばん)射出(ばん)射出(ばん)射出(ばん)射出(ばん)射出(ばん)射出(ばん)射出(ばん)ッ!」

空気砲の連射。転がり出そうとする巨体を、その場に押しとどめる。
落ちてくる大質量に対して人差し指を突き立てようとすれば、間違いなく手の形を維持できない──だが、一瞬でも良い、その動きが止まり、接触さえすれば。

「──射出(どがーーーーん)ッ!!!」

今度は逆方向へ、巨体が斜面を滑りあがる。分厚い硬皮を以て岩盤を削り、鳥羽千里のすぐ傍にあった岩壁を粉砕した。堪らず「ひっ」と声が漏れる。

「むっ、難しいな……やっぱり」

今までで撃った一番大きい物体が、せいぜい公園のベンチとかだった。大きい物体であるほど、命中させる事は難しい。撃ち出す段階までは何とかなるが、その先の摩擦抵抗なんかは制御の外にある。

「びっくりした……面白いこと、するね」

「いや……こっちの方がびっくりしたからね! 多分!」

巨体を撃ち出した反動でルイが転んでいる間に、千里は無事だった方の岩壁へ身を隠す。
相手の能力は、概念レベルの射撃能力。何であれ弾丸として撃ち出せる。質量攻撃は、相手に武器を与えるだけだ。

「だったら──」

“With me / Without you”
「昨日、クララと名付けた子」

次に召喚するのは、ヨコエビというエビの一種だ。全長4センチ程度、これと言って特筆すべき能力もない。重要なのは、こいつが4000メートル近い深海に住んでいるという事。

先と同じように、空中に孔が開く──その向こう側は、水圧4000トンの世界。
それが、一瞬だけ地上に接続すればどうなるか。
ポンプの要領で一方向へ押し出された海水は、砲弾となって射出される。

轟音と共に、飛沫が舞い上がる。
着弾した地面は抉り取られて、大きなクレーターが残った。

「ひゃあぁっ……!?」

今度、悲鳴を上げたのはルイの方だ。
いきなり消し飛んだ足場を前にして、頬を冷や汗が伝う。

「あははっ……!」

この”深海砲弾”は、死体の召喚位置と角度に精緻な調整を求められる。玩具で遊ぶ子供のように笑いながら、初撃にしては今のは悪くないと、千里は自賛した。

後は最初の着弾位置を参考に、少しずつ角度を変えていく。自然科学のニュース記事に掲載されていた深海エビ、その一匹一匹の(勝手につけただけの)名前を呼びながら。

轟音が三つ、続いた。少しずつ精度は向上していたが、こちらに向かう事なく逃げに徹した相手に命中させるのは、やはり至難である。ルイは斜面に開いていた横穴に飛び込んで、身を隠した。

射線上からその姿が消えた事を見て、千里は続けようとしていた詠唱を止める。
砲弾のストックも無限ではないのだ。当たる見込みもないのに撃つ訳にはいかない。一時の手詰まり。

「……隠れても、無駄だと思うけど?」

「……どうかな。追撃が止まったけど」

挑発に対してあっさり応答して位置を知らせたのは──恐らく、こちらの不用意な接近を誘っているのだろう。動き出しそうになった足を止めて、千里は思考を働かせる。

実際、間合に入れば有利なのは向こうの方だ。With me / Without youの能力起動は、どうやっても「バン!」とだけ口にすれば良いらしい相手の瞬発性に後れを取る。


「ねえ……君にも、何か事情があるのかもしれないけどさ」

荒い呼吸と共に、ルイは喋りかけてきた。
探り合いか、はたまた自分を奮い立たせる為の言葉か。

「あたしも、譲れないんだよね。どうしても変えたい過去があるんだ」

「……それ、どうせキリタの事でしょ」

「は、はぁ……!? かっ、勝手に決めないでくれるかな……!」

「じゃあ何なの?」

「っ……答える必要、ないよね!? 言わない!! 言わないから!!!」

「別にいいけど……」

分かり切ってるもん、と千里は胸の内で呟いて。

そうしている間にも、千里は一歩ずつ山頂へと歩を進めていく。彼女にしてみれば、単純に逃げ切りさえすれば勝てるのだ。ルイの駆け引きに付き合う必要は、初めからない。
片脚を潰されたルイとしても、もう一度鬼ごっこをするのは避けたい所だろう。

そして、声が少しずつ遠ざかっている事は、こうして話している彼女にも伝わっている筈だった。

「……私はさ、黒磐さん」

なら、どこかで仕掛けてくる。向こうから。

「貴女とは違うんだよね。過去を変える権利も、あんまり興味ないし」

「……だったら、なんで」

「嬉しかったから。良い子じゃないわたしを、必要としてくれた事が」

「良い子じゃない、わたし……」

「こんな風に、関係ない生き物を殺して……酷いよね。いけないことだよね。
 でもね、ほんとはずっと、やってみたかったんだ」

「……そっか」

「ねえ……」

千里が言葉を続けようとした所で。ぽん、と何かが横穴から飛び出した。
それに注目した次の瞬間、灰色の煙が巻き上がる。

「昨日、デズモンドと名付け──」

そこまで言葉にして、千里は口を噤んだ。
風に煽られて、灰色の幕が広がる数秒。もうすぐ晴れる。敵の姿が、見える。

それを待ったのが、遅れになった。
黒磐ルイは、何も待たなかったし、狙いをつけようとも考えなかった。

射出(バン)射出(バン)射出(バン)射出(バン)射出(バン)っ!

煙の中、千里が立っていた方角へ、五月雨に放たれる弾丸。
一発を放つコストの軽さを活かした、乱雑な攻め手。しかし確かに効果があった。

一発が千里の胸元に当たり、弾ける。その視界が、今度は赤色に染まる。

「ウェッ……えほっ……!」

喉の奥に炎が入ったような、焼けるような熱に襲われる。気管に熱が迸って、咽せ返るような咳と涙が止まらない。言葉を、続けられない。

先の数度の能力使用から、ルイは彼女の異能の鍵が発声にあると読み解いていた。一方的に能力を行使できる数秒。
しかし、ポーチから再装填している余裕はなかった。左手でかろうじて目元を守った千里が、ルイの方へと迫っていた。

射出(バン)射出(バン)射出(バン)──風圧が千里の肩を裂く、顔面を打つ。
だが、三射目は空砲に終わった。千里がルイの両手を掴んだからだ。

黒磐ルイの能力は、指鉄砲という形を取らなければ使えない。そう判断するだけの材料は、ここまでの十分に戦いで見えていた。

もっとも、それは千里にとっても同じ事だった。

すなわち、互いに魔人能力を封じ合った形勢。両手を使えず、ルイに至っては左脚も動かない。視線が交わる。互いに、相手の闘志は消えていないと理解する。

鈍い音が二つ、響く。千里の膝蹴りが水月を刺し、ルイの繰り出した頭突きが鼻先を叩いた。呻く声を上げて、それでも互いに手を解く事はなく、ぐらり──とバランスを崩した二人は、そのまま斜面を転げ落ちていく。

跳ねるように転がる道中は、何度も突き出した岩盤の突起に打ち付けられる。
互いに腕を掴み、肩を押し合い、相手の身体を斜面に押し付けるべく。
主導権を、マウントポジションを手繰り、奪い合う。


「──ずっと、あんたみたいにっ、自由に生きてみたかったんだ」

「法律とかっ、誰かの目を気にしないで」

「この能力を使って、好きに戦ってみたかったんだっ」


臓腑を抉られ、血を吐き、視界は回る。
それでも、頑なに互いを手放さない。
互いを引きずり合うようにして、二人は落ちていく。


「──っ、あたしだって」

「そんな気楽に、生きてる訳じゃない……!」

「パパもママも、あたしのこと分かってくれない、非行に走ったって言ってっ」

「悪い奴をぶっ飛ばしても、殴るな、危ない事するなって、怒られてばっかり……!」


爪が割れる。指が吹き飛ぶ。骨が砕けて、血が飛沫を上げる。
ともすれば意識が飛びそうな程の鈍い痛みが、互いを苛む。

それでも強い言葉を吐くのは、意地の張り合い。エゴの押し付け合い。
魔人として、本能に根差した情動が、きっとそうさせた。


「──何、それっ……! じゃあ、やめたら!?」

「やめないっ! あたしは、これで良いっ……!」

「知ってる! だから、羨ましいんだ、あんたがッ」

「うあああ──!」


どちらがどちらの声ともつかない絶叫の中で、互いに固く結んだ手が解ける。
同時にふわりと、身体の浮き上がる感覚。
否、本当に、宙に放り出されている。

遥か下に、森の翠が見えた。
斜面を転がり続けた先。断崖を跳び越えたのだ、二人して。

落ちていく──ああ、どちらが先に死ぬんだろうか、と千里は嗤って。
次の瞬間、その表情から力が抜けた。


黒磐ルイの指先は、切り立った岩壁を捕まえていた。
悪徒霹靂──たとえ物理的に射出できないような対象であっても。
触れられるなら、片手を指鉄砲の形にする事さえできたなら、「装填」できる。

無茶苦茶な手段ではある。人差し指に全体重がかかって、脱臼したような音が鳴る。
それでもなお、右手の形を崩さない。食い縛る。

その抵抗は、もはや数秒と保たない物だったかもしれないが。
しかし、いま勝敗を分けるには十分な時間になった。


その後ろ姿を、どこか眩しそうに目を細め、見上げながら。
鳥羽千里は落ちていった。


☆


最初に、参加者は死んでも蘇生できる、というを聞いた時。
どんな感じなんだろうか、とわたしは少し興味を持ったんだけど。

自分で死体になる経験は、やっぱり気持ちのいいものじゃなかった。

身体が冷たくなっていく。
ああ。
次に目が醒めた時には、良い子のわたしに戻っているのだろう。


──ばいばい、と。
遠ざかっていく光の中で、もう一人のわたしに別れを告げた。




Chapter5


ーーーーー日 / 遠い電話



「失礼。切田良治さんで、お間違いないですね」

「えっ……? はい、そうですけど……」

切田少年は困惑した。
自分の名を知っている、見知らぬ女性が立っていた──いや、

よく顔を見れば、少し前から学校に来ていた研修生の人だった。
一般的な教育実習の時期とは大きく外れているけれど、まあ何か事情があるのだろう。

確か、名前は──

「牛尾さん……? えっと、何か御用でしょうか」

「用件については、こちらを取っていただくのが手早いかと存じます」

そう言って、彼女は電話端末を彼の前へ差し出した。既に、通話中であるようだ。
恐る恐るといった様子で、彼はそれを受け取った。受話器へと耳を近づける。


「あのっ……もしもし、キリタくん!?」

どこか上ずっているが、聞きなれた少女の声だった。
つい先ほど、別れを告げたばかりの。

「え、黒磐さん……? どうか、したの?」

「あの、いや……どうもしてないんだけど!」

何か事件でもあったのだろうか、と不安そうな声音の問いかけを否定して。
ごきゅ、と唾を呑む音がする。

「あの、あたし、あなたに伝えたい事があってっ……ほんとは直接お話ししたいんだけど、電話でしかできなくってっ」

「えっと……うん、大丈夫だから。落ち着こう……?」

「うん……」

電話越しにもはっきりと分かるくらい、緊張した声音だった。
深呼吸がひとつ。

それを合図に、数秒、静寂があって。

「──あたしは、キリタくんのことが、好きで!」

「……うん」

「本当に、どうしようもないくらい、好きなんだ!
 きっとこの先何年経っても、ぐずぐずと引きずってしまいそうなくらい……大好きで、それで……!」

「うん」

「だから……っ、あたしのこと、フッてほしいんだ!」


言葉にすると、滅茶苦茶な申し出だ。
だけど、とても冗談とは思えない必死さがあった。

数秒、切田少年は答えに迷い。
それから「分かった」と口にした。

もうすぐ転校によって会えなくなってしまうあの少女が、恐らくは「次」へ進むためのけじめとして、自分に求めた言葉なのだろうと──そう考えた。


「……ごめん。きみの気持ちには、僕は応えられない」

「……うん」

「だけど」


もう一度、静寂があった。
下手に傷つけぬよう、それでも自分の中にある何かを伝えようとして、とても慎重に言葉を選んでいるのだと。
電話の向こうにいるルイにも、それがよく伝わった。


「君との思い出は、大切だ。それは、変わらない」

「うん。……ありがと」


☆


……これで、良いんだ。
これが、私のやりたかったこと。何度も、そう確認した。間違ってない。


一度、起きてしまった事として。
キリタくんは、私ではない人と結ばれた。
そうして、幸せに過ごしているんだ。少なくとも、今日までのところは。

だったら、それを横から奪うのはイヤだ。
過去を改変してるから起きなかった事になるとか、そういう話じゃない。

私自身の納得の問題だ。
仮にそんな方法で結ばれた所で、私は彼に恋人として向き合えないだろう。

黒磐ルイは悪党だから。
自分のしたい事を選んでするし、自分自身が納得できない事はしない。


ただ、それでも。覚えておいて欲しかったんだ。
彼の思い出の中に、刻みたかったんだ。

あなたのことが大好きで、どうしようもなく愚かな女の子が、ここにいたんだってこと。

わたしが、あの子よりも先に、あなたに恋した人なんだってこと。


ズルをして、彼の隣を奪い取るのはイヤだけどさ。
……それくらいは、いいよね。きっと。




Chapter6


14歳から、17日 / Good Bye, Bad Girl



あの荒唐無稽な「大会」とやらは、本当に夢のように過ぎ去っていった。
わたしがH・リーを名乗る男に約束させた通り、わたしたちの戦いの痕跡は、二人の記憶の中にしか残っていない。

そしてわたしは、無事に14歳の誕生日を迎えた。無事……?
まあ少なくとも、手放したくなかった日常が、大きくひっくり返るような事態は起きていなかった。

あの日から一度も能力を使う事はなく、ちゃんと良い子を続けられている。
家族は今まで通り──よりもちょっと増しくらいで優しく、わたしに接してくれていて。
学校でも、わたしが警察に連れて行かれた事が、大きな噂や問題になるような事はなかった。

ルイはというと、キリタへのストーキングめいた行動をやめたようだ。
だからと言って完全に吹っ切れたって訳でもないようで、時々それとなくわたしの方に彼の様子を訊ねてくる。めんどくさいやつだ。
結局、大会の商品をどういう風に使ったのか、わたしには話してくれなかったけど……まあ、なんとなく想像は付いた。


キリタを追いかけるのをやめたという事はつまり、JRで5駅分くらい離れた場所に住んでる彼女が今日こっちに来てたのは、単純にわたしと遊ぶためだった。

数日前に二人の間で話題に出た映画を見て、近くのバーガー屋に入って感想戦をして。
今はなんとなくそのトークが途切れたようなところ。

そういえば、前にも彼女とこの店に来た事があったな、と思い出す。

「……ん、何? 千里」

ぼんやりと彼女の横顔を見ていたわたしに、ルイが気付いた。
窓の外を眺めていた視線が、こっちを向く。

「ああ、いや──」

誤魔化すように首を振って、わたしはスマホの画面に視線を戻す。
学校の友達とのライン会話。

「近くにいる友達がさ、今からこっち来たいって。相席していい?」

「ん。私はいいけど……大丈夫?」

ルイはいつも通り真っ黒な自分の服をちらと見て、そんな事を言う。
ふふ、と少し噴き出してしまった。

「気にするの、それ? 今更すぎ」

「き、気にしてないし……! お呼びでないなら外そうか、って思っただけで……」

「ああ、分かったって。拗ねないでほら」

「拗ねてないし……!」

ちょっと普通じゃない出来事が、色々とあった仲だけれど。
わたし達はなんとなく、こうして遊んだり、下の名前で呼び合うような仲になったりしていた。まあ、友達だ。

「おっすー、千里」

「どうも」

「よっすー」

そうこう駄弁っている内に、彼らがやって来た。

小さく手を上げて挨拶を交わすわたしと、わたしの学校の友達が数人。
彼らの内の一人の顔を見やると、ルイは目を見開いたまま硬直した。

「ほら、こっちがルイちゃん。だいぶ変だけどいいやつだから。──キリタとかは顔見知りだっけ?」

「うん、知り合いだけど……」

「はっ……あ、あああ……っ!?」

向かいの席から、猛烈な抗議の視線が刺さる。
わたしは「ほら、挨拶しなよ」とばかりに手を振って促した。
錆びついたブリキ人形のように、全くぎこちない動きで、ルイは彼の方へと振り向いた。

「……あ、あのっ、久しぶり……だね!」

「うん、久しぶり……このまえ、近所で見かけた気もするけど」

「ア”ッ、気のせいじゃないかな……!?!」

目にうっすら涙を浮かべながら、ルイはやけくそめいてポテトの残りをひっ掴み、乱雑に口の中に詰め込んでいた。「その服どこで買ったの?」なんて、みんなととりとめのない雑談をして。その合間にも、机の下でこそこそとスマホを触っているようで。

「なんでよぉ……! 今はもう会いたくないっていったじゃん……!」

「恋人持ちの男子に会うとか浮気じゃん、あたしは純愛しか認めないんだよ……!」

そんな泣き言が、次々とわたしのラインに送られてきていた。

「一緒にご飯食べるくらいいいじゃん。ウブすぎ」と返す。

それから、少しだけ考えて。
「わたしが、そうした方が良いと思ったの」と付け加えた。
上目遣いにルイの方を見遣るわたしは、多分、うっすら悪い笑みを浮かべていた。


そうしてから、ふと思う。
良い子じゃない方のわたしも、完全に消えてしまった訳じゃないのかもしれない。




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