「やらないか、門倉くん」
「売っとるんか……。この門倉雄大に喧嘩売っとるんか……!」
「売っとるんか……。この門倉雄大に喧嘩売っとるんか……!」
森の中で、阿部高和と門倉雄大は対峙していた。
「なあ、いいじゃないか。どうせみんな死んでしまうんだ。せめて人生の最後にいい思い出を作ろうじゃないか!」
「馬鹿を言うのもたいがいにしろ、阿部。俺に男色の気はない。それに、こんなところでむざむざ死ぬ気もな」
「馬鹿を言うのもたいがいにしろ、阿部。俺に男色の気はない。それに、こんなところでむざむざ死ぬ気もな」
年上の阿部にも物怖じせず、門倉はきっぱりと言い放つ。
「そうか……。それなら仕方ない」
「諦めてくれて助かるよ」
「何を勘違いしてるんだ? 俺は諦めたとは一言も言ってないぜ?」
「何……だと……?」
「仕方ないってのは、できれば穏便な方法でやりたかったって意味だ。そこまでかたくなに断るのなら仕方ない……。
その体、殺してでも奪い取る!」
「諦めてくれて助かるよ」
「何を勘違いしてるんだ? 俺は諦めたとは一言も言ってないぜ?」
「何……だと……?」
「仕方ないってのは、できれば穏便な方法でやりたかったって意味だ。そこまでかたくなに断るのなら仕方ない……。
その体、殺してでも奪い取る!」
獣欲のままに、阿部は門倉に襲いかかろうとする。だが、門倉の顔に焦りはない。
突っ込んでくる阿部に対し、冷静にカウンターで裏拳を叩き込む。
突っ込んでくる阿部に対し、冷静にカウンターで裏拳を叩き込む。
「ごぶっ!」
「阿部……。お前の身体能力の高さは評価しよう。だが、それだけだ。
人を傷つける手段において、お前は素人……。暴力を振るう者としては三流だ」
「阿部……。お前の身体能力の高さは評価しよう。だが、それだけだ。
人を傷つける手段において、お前は素人……。暴力を振るう者としては三流だ」
鼻血を吹き出しながら倒れ込んだ阿部に、門倉は容赦のない言葉を浴びせた。
「ふっ……。やるじゃない。俺も燃えてきたぜ」
だが阿部の闘志は、未だ消えず。すぐさま立ち上がり、再び門倉に襲いかかる。
「愚直に突進するだけか? その程度で俺を屈服させられると思うな」
門倉のアッパーが、阿部の顎に突き刺さる。その衝撃は阿部の脳を揺らし、意識を奪い去る。そのはずだった。
「ヤラ……ナ……イカ……」
しかし、それでも阿部は動き続ける。正確に言えば、すでに意識は落ちている。
だが性への飽くなき欲求が、無意識に阿部の体を動かしているのだ。
だが性への飽くなき欲求が、無意識に阿部の体を動かしているのだ。
「しぶといな……。やむを得ない、動けなくなるまで殴らせてもらうぞ」
淡々と呟くと、門倉は阿部の脇腹に右フックを叩き込む。さらに間髪入れず、脳天へかかと落とし。
崩れかける阿部だが、すぐに体勢を立て直しまた門倉に襲いかかる。
崩れかける阿部だが、すぐに体勢を立て直しまた門倉に襲いかかる。
「イイ……オト……コォォォォォ!!」
阿部の手が、門倉の腕をつかむ。意識を失ったことでリミッターが外れたのか、その力は尋常なものではなかった。
「ちっ……!」
だがそれでも、門倉は一瞬忌々しげな表情を浮かべただけ。すぐさま逆に阿部の腕をつかみ、強引に投げに持っていく。
そして地面に叩きつけたあと、容赦なく蹴る、蹴る、蹴る。
十分もそれを続けると、さすがの阿部も動かなくなった。
そして地面に叩きつけたあと、容赦なく蹴る、蹴る、蹴る。
十分もそれを続けると、さすがの阿部も動かなくなった。
「殺しはしない……。まあ、これだけの深手を負えばどのみち他の誰かに殺されるしかないかもしれないがな。
それと、迷惑料代わりだ。お前の武器はもらっていく」
それと、迷惑料代わりだ。お前の武器はもらっていく」
無表情で、門倉は阿部の荷物から大型の拳銃を抜き出す。そしてそれを自分のバッグに移すと、すぐにその場から立ち去った。
(予想外の形で時間をロスしてしまったな……。有希姉様、涼子姉様、どうかご無事で……。
まあ、あの二人の身体能力なら問題はないと思うが……。万が一ということがあるからな)
まあ、あの二人の身体能力なら問題はないと思うが……。万が一ということがあるからな)
門倉には、探し人がいた。幼なじみであり、姉も同然に慕っている長門有希と朝倉涼子の二人だ。
彼女たちを捜し出し、守る。それがこのバトルロワイアルにおける、彼の目的だった。
彼女たちを捜し出し、守る。それがこのバトルロワイアルにおける、彼の目的だった。
(このプログラムに従うことは、私の誇りに反する……。必ずや脱出の方法を見つけて見せよう。
舐めるなよ、この門倉雄大を……!)
舐めるなよ、この門倉雄大を……!)
◇ ◇ ◇
門倉が立ち去ってから数分後、未だ意識を失っている阿部の元に、一人の少女が偶然やってきた。
その少女こそ門倉の探し人の一人、朝倉涼子である。
その少女こそ門倉の探し人の一人、朝倉涼子である。
「あら、阿部先輩じゃない。ひどい怪我ねえ」
阿部の惨状を見て、浅倉は眉を八の字にして呟く。
「これじゃとても生き残れないわね。このまま苦しむのもかわいそうだし、介錯してあげる」
陽気な声で言うと、朝倉は自らの支給品であるアイスピックを取り出す。
そしてそれを、迷うことなく阿部の首に突き立てた。
そしてそれを、迷うことなく阿部の首に突き立てた。
「さて、これからどうしようかなあ……。やっぱり、有希を見つけるべきよね。
二人でこんなところから脱出する方法を考えないと。あ、雄大くんも見つけたら一緒に連れて行ってあげていいかな。
それじゃあ、さっそく探さないとね」
二人でこんなところから脱出する方法を考えないと。あ、雄大くんも見つけたら一緒に連れて行ってあげていいかな。
それじゃあ、さっそく探さないとね」
人を一人殺めたにもかかわらず、それまでとまったく変わらぬ口調で朝倉は独り言を呟く。
そのまま、彼女は軽い足取りで森の中へ消えていった。
彼女は知らない。ついさっきまでその場に門倉がいたことも、その門倉が自分を捜していることも。
そのまま、彼女は軽い足取りで森の中へ消えていった。
彼女は知らない。ついさっきまでその場に門倉がいたことも、その門倉が自分を捜していることも。
【5番 阿部高和 死亡】
残り29人
残り29人
【3番 朝倉涼子】
【学年】高1
【状態】健康
【所持品】アイスピック
【能力】知力:S 体力:A ガチレズ:S
【学年】高1
【状態】健康
【所持品】アイスピック
【能力】知力:S 体力:A ガチレズ:S
【10番 門倉雄大】
【学年】中3
【状態】健康
【所持品】警棒、大型拳銃
【能力】知力:A 体力:A リーゼント:A
【学年】中3
【状態】健康
【所持品】警棒、大型拳銃
【能力】知力:A 体力:A リーゼント:A
【3番 朝倉涼子】
Former
初登場!
Next
【5番 阿部高和 死亡】
Former
初登場!
Next
死亡
【10番 門倉雄大】
Former
初登場!