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クロス第38話

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長門有希とルイージの戦いは、長門が優位に立っていた。
そもそも戦闘開始時のコンディションは、長門の方が上。彼女とて万全とは言い難いが、ルイージが門倉との戦いで受けたダメージはそれをはるかに上回る。
また、長門は鎖鎌とボウガンにより距離を置いた戦闘が可能なのに対し、ルイージは武器の種類こそまずまずだがいずれも接近戦用。
唯一の遠距離武器であるリボルバーも弾切れである。
戦闘開始直後の小競り合いで相手に遠距離戦が不可能であることを見抜いた長門は、常にルイージとの距離を保って戦っているのである。

「ぐぅっ!」

投擲された鎖鎌の分銅に頬の肉をえぐり取られ、ルイージは思わず苦悶の声をあげる。
現在、長門は鎖鎌をメインの武器として使用していた。
ボウガンはどうしても、攻撃してから次の矢を装填するまでに隙ができる。
その間に距離を詰められることを警戒しての戦略なのだろう。

(幸い、急所への直撃は避けているが……。いや、むしろあえて外しているのか……?)

全身各所から送られてくる痛みに耐えながら、ルイージは思考を巡らせていた。
長門から見れば、ルイージは家族同然の存在を殺した憎い仇だ。いかに冷静沈着な彼女といっても、憎悪で論理的な思考を失っている可能性がある。
つまり殺そうと思えば殺せるものを、あえて戦いを引き延ばしてなぶり殺しにしようとしているのではないかということだ。

(目の前で大切な人間を殺されれば、憎しみを押さえきれなくなっても当然か……。
 だが、それが命取りだ。ひと思いに殺さなかったこと、後悔させてやる!)

思考を巡らすルイージに、もはや何度目かわからぬ鎖鎌の一撃が襲いかかる。
しかしルイージは、その攻撃を回避。さらに鎖に対して、手にしたバールのようなものを鎖に打ち付ける。
横合いからの衝撃で移動ベクトルをずらされた鎖は、バールのようなものに巻き付いた。

「!」

鎖を絡め取られ、長門にわずかな動揺が走る。その隙に乗じて、ルイージは捉えた鎖を思い切り引っ張る。
たまらずバランスを崩す長門。抵抗の出来ない状態の彼女に、すかさず距離を詰めたルイージの蹴りが襲いかかった。
繰り出されたルイージの足は、偶然にもすでに痛めていた長門の右肘に命中する。

「ぐっ……!」

腕から全身へ広がっていく痛みに、長門の体勢がさらに崩れる。
その隙にルイージは素早く鉈を取り出し、長門の頭頂部目がけて振り降ろした。
だが、易々と頭を割られるほど長門も甘くはない。左手に持っていた鎖鎌の鎌部分で、鉈を受け止める。

「ちぃっ!」

一撃必殺を狙った攻撃を防がれたルイージは、すぐさま次の攻撃として蹴りを繰り出す。
なんとかそれをかわした長門だが、崩れた体勢から無理に動いたせいで完全に倒れてしまう。
地に伏した長門に、ルイージは容赦なく踏みつけの嵐を浴びせる。長門はろくに防御も出来ず、ダメージを蓄積させていく。

(まずい……。意識が遠のいてきた……)

感じられるものは、ただ痛みのみ。そんな状況の中で、長門の本能は意識を手放そうとする。
だが、彼女の強い意志がそれを許さない。

(私は負けられない……。死ぬわけにはいかない……。私は必ず涼子と二人で脱出する……。
 そのために付き合いの長い友人まで手にかけた。もう後戻りは出来ない。
 そして、こんなところで死ぬことも許されない)

痛みに耐え、今にも消え去りそうな意識を必死につなぎ止め、長門は反撃の機会をうかがう。
ルイージに気づかれぬよう少しずつ腕を伸ばし、地面に落ちた鎖鎌を握る。
そして長門は、素早くそれをルイージに投げつけた。

「うっ!」

ルイージに当たったのは分銅でも鎌でもなく、その二つを繋ぐ鎖の部分。
よって、ダメージ自体はたいしたことはない。
だがすでに死に体だと思っていた長門からの反撃という事実が、ルイージを怯ませる。
それは長門がつけ込むには、充分すぎる隙だった。
あちこちに重度の打撲を負った体を無理に動かし、長門はその足で大地を踏みしめる。
そしてすくい上げるように、下から鎌を振るった。
表面に古泉の血をにじませた鎌は、ルイージの顔から突き出した大きな鼻を切り落とす。

「ぎゃあああああ!!」

顔の重要なパーツを失うというショッキングな事態に、ルイージは壮絶な悲鳴を上げる。
すでに、彼の戦意は大きく低下していた。すなわち、勝敗は決していたのだ。

「死ね」

大切な存在を葬った男への憎悪をむき出しにし、長門は鎌の切っ先をルイージの眉間へと突き刺した。


◇ ◇ ◇


「はあ……はあ……」

ルイージを殺害した長門は、その直後に荒い息で地面に膝をついていた。
もともとルイージにさんざん踏みつけられ、彼女の肉体は大きく傷ついているのだ。
今まではルイージへの憎悪が大きな支えとなっていたが、それが晴らされた今となっては精神力だけで肉体を支えるのは困難だ。

(駄目……。まだ私は……倒れるわけには……)

必死でおのれの体を支えようとする長門だが、その意思に反して体は地面に吸い付けられるように崩れていく。

(あと一人……。あと一人殺さないと……。あと一人で……涼子と……)

抵抗むなしく、長門の意識は闇に落ちていった。


◇ ◇ ◇


柊つかさがその場にやってきた時、そこには三人の人間が倒れていた。

「門倉君にルイージ君、それに長門さんかあ……」

つかさは、おそるおそる三人の顔をのぞき込む。
門倉とルイージは、その怪我の状態から死亡していることが一目で見て取れた。
残った長門も重傷のようだが、まだかろうじて息はある。

「放っておいても死ぬかもしれないけど……。何せ長門さんだからなあ……。
 とどめを刺せるなら、刺しておいた方がいいよね……」

溜め息を漏らすと、つかさはその場に落ちていた血みどろの鎖鎌を拾い上げる。
そして、その鎌を長門の首筋に突き立てた。


【25番 長門有希 死亡】
【39番 ルイージ 死亡】
残り10人

【29番 柊つかさ】
【学年】高3
【状態】精神不安定、顔面にダメージ(大)
【所持品】コンバットナイフ、リボルバー、鉈、バールのようなもの、アイスピック
     鎖鎌、クロスボウ、警棒、大型拳銃、KXの支給品
【能力】知力:D 体力:D 爆発力:B




【長門有希】

Former

Next

死亡



【ルイージ】

Former

Next

死亡



【柊つかさ】

Former

Next


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