とある民家の玄関に、一人の参加者が座り込んでいた。
彼は赤木しげる。このプログラムの中ですでに6人を殺害している男である。
彼は赤木しげる。このプログラムの中ですでに6人を殺害している男である。
「12人か……。最初の6時間より数は減っているが、それでも上々の数……。
俺以外にも頑張っているやつはいるようだな……」
俺以外にも頑張っているやつはいるようだな……」
先程届いたメールの文面を眺めながら、アカギは口角をつり上げる。
「残りは俺も含めて10人か……。これは一日経たずに決着がつくかもしれんな。
それじゃあ、俺もそろそろ動くとするか」
それじゃあ、俺もそろそろ動くとするか」
すでにヒナギクとの戦いで消耗した体力は回復しており、傷からの出血も落ち着いている。
これ以上休んでいる必要はない。
武器を手に、アカギはドアを開け民家の外に出る。
そこから2,3分歩いたところで、彼は他の参加者に遭遇した。
これ以上休んでいる必要はない。
武器を手に、アカギはドアを開け民家の外に出る。
そこから2,3分歩いたところで、彼は他の参加者に遭遇した。
「アカギくん……」
「柊つかさか……」
「柊つかさか……」
アカギの前に現れたのは、今にも泣き出しそうな表情のつかさだった。
小刻みに震えるその様子は、雨に打たれる捨て猫のようだ。
小刻みに震えるその様子は、雨に打たれる捨て猫のようだ。
「もうやだよ……。みんなみんな死んじゃった……。お姉ちゃんもこなちゃんもゆきちゃんも……。
ねえ、アカギくん……。なんでこんなことしなくちゃいけないの?」
ねえ、アカギくん……。なんでこんなことしなくちゃいけないの?」
消え入りそうな声で、つかさは呟く。だがそれを聞いても、アカギにつかさへの同情の念は湧いてこない。
いま彼の中にあるのは、嘲りの感情のみだ。
いま彼の中にあるのは、嘲りの感情のみだ。
「もう嫌だ? なんでこんなことしなくちゃいけない? よく言えたものだ……。
じゃあ、その後ろ手に隠したナイフはなんだ?」
「!」
じゃあ、その後ろ手に隠したナイフはなんだ?」
「!」
凶器を隠し持っていたことを看破され、つかさの顔色が変わる。
彼女はすぐさま手にしたナイフを前面に回すと、アスファルトを強く蹴ってアカギに跳びかかった。
だがアカギは、つかさが繰り出したナイフをあっさりと回避。
さらに彼女の腕を捉え、地面に叩きつけた。
彼女はすぐさま手にしたナイフを前面に回すと、アスファルトを強く蹴ってアカギに跳びかかった。
だがアカギは、つかさが繰り出したナイフをあっさりと回避。
さらに彼女の腕を捉え、地面に叩きつけた。
「うああっ!」
衝撃と痛みで、思わず悶絶の声を漏らすつかさ。その後頭部に、サブマシンガンの銃口が突きつけられる。
抵抗しようにも、彼女の手はアカギの脚に踏みつけられまともに動かせない状態にあった。
抵抗しようにも、彼女の手はアカギの脚に踏みつけられまともに動かせない状態にあった。
「このっ! このぉっ!」
半ば拘束された状態にあっても、つかさはアカギから逃れようと必死に体をよじる。むろん、それは全くの無駄なあがきに過ぎない。
それでも、彼女はささやかな抵抗をやめようとしなかった。
それでも、彼女はささやかな抵抗をやめようとしなかった。
「落ち着け、柊つかさ。俺はお前を殺すつもりはない。今は、だがな」
そんなつかさの耳に届いたのは、予想外のアカギの発言。
思わぬ展開に、つかさはとっさに抵抗を中断してしまう。
思わぬ展開に、つかさはとっさに抵抗を中断してしまう。
「どういうこと……?」
「いいか、現在まで生き残っているクラスメイトは俺たちを含めて10人だ。
ここまで生き残ったということは、皆それなりに修羅場をくぐっているはず……。
生き残るために、徒党を組んでいる連中もいるだろう。
つまりは殺すのに手こずるようになってきているということ……。
ならば、こちらも手駒を増やせばいい。一人より二人の方が戦略の幅が広がるのは、考えるまでもないことだ」
「つまり、私にあなたと手を組めってこと?」
「少し違うな。お前は俺の下僕になってもらう。絶対服従の、忠実な手駒にな」
「なっ、誰がそんな……!」
「いいか、現在まで生き残っているクラスメイトは俺たちを含めて10人だ。
ここまで生き残ったということは、皆それなりに修羅場をくぐっているはず……。
生き残るために、徒党を組んでいる連中もいるだろう。
つまりは殺すのに手こずるようになってきているということ……。
ならば、こちらも手駒を増やせばいい。一人より二人の方が戦略の幅が広がるのは、考えるまでもないことだ」
「つまり、私にあなたと手を組めってこと?」
「少し違うな。お前は俺の下僕になってもらう。絶対服従の、忠実な手駒にな」
「なっ、誰がそんな……!」
アカギの要求をはねのけようとするつかさだが、その頭部に改めて銃口が押しつけられる。
それが「断れば殺す」という暗黙のメッセージであることは、つかさにもすぐさま理解できた。
もとより、彼女に拒否権など存在しないのだ。
それが「断れば殺す」という暗黙のメッセージであることは、つかさにもすぐさま理解できた。
もとより、彼女に拒否権など存在しないのだ。
「わかったよ……。アカギくん、君に従えばいいんだね」
「そういうことだ。まあ安心しろ。武器を取り上げたりはしない。貴重な手駒の戦力を下げたくはないからな……。
それに最後に残ったのが俺たち二人になったら、その時は正々堂々勝負してやるよ」
「ずいぶん……余裕だね」
「余裕? そんなものはないさ。ただ、多少のリスクがなければ面白くない。それだけのことだ」
「そういうことだ。まあ安心しろ。武器を取り上げたりはしない。貴重な手駒の戦力を下げたくはないからな……。
それに最後に残ったのが俺たち二人になったら、その時は正々堂々勝負してやるよ」
「ずいぶん……余裕だね」
「余裕? そんなものはないさ。ただ、多少のリスクがなければ面白くない。それだけのことだ」
かすかな笑みを浮かべながら、アカギは言う。
(何言ってるんだろう、この人は……。生きるか死ぬかの状況で、自分からリスクを背負う。
それを余裕って言うんじゃない……。まあいいや。今は素直に従っておこう。
でもいつか、その余裕につけ込んで逆転してみせる。最後に笑うのは、私だよ!)
それを余裕って言うんじゃない……。まあいいや。今は素直に従っておこう。
でもいつか、その余裕につけ込んで逆転してみせる。最後に笑うのは、私だよ!)
そして、狂気の同盟がここに結ばれる。
「とりあえずは、適当にぶらつくぞ。探知機にも俺たち以外の反応はないようだしな。
ああ、くれぐれも妙なことは考えるなよ。銃の照準は、常にお前に合わせておくからな」
「わかってるよ」
ああ、くれぐれも妙なことは考えるなよ。銃の照準は、常にお前に合わせておくからな」
「わかってるよ」
アカギとつかさは、すっかり闇に包まれた街の中を進む。自分たち以外の、全てを葬り去るために。
【2番 赤木しげる】
【学年】中1
【状態】左腕負傷
【所持品】サイレンサー付き拳銃、手榴弾×4、サブマシンガン、フルフェイスヘルメット、スナイパーライフル、日本刀、首輪探知機
【能力】知力:S 体力:B 狂気:S
【学年】中1
【状態】左腕負傷
【所持品】サイレンサー付き拳銃、手榴弾×4、サブマシンガン、フルフェイスヘルメット、スナイパーライフル、日本刀、首輪探知機
【能力】知力:S 体力:B 狂気:S
【29番 柊つかさ】
【学年】高3
【状態】精神不安定、顔面にダメージ(大)
【所持品】コンバットナイフ、リボルバー、鉈、バールのようなもの、アイスピック
鎖鎌、クロスボウ、警棒、大型拳銃、KXの支給品
【能力】知力:D 体力:D 爆発力:B
【学年】高3
【状態】精神不安定、顔面にダメージ(大)
【所持品】コンバットナイフ、リボルバー、鉈、バールのようなもの、アイスピック
鎖鎌、クロスボウ、警棒、大型拳銃、KXの支給品
【能力】知力:D 体力:D 爆発力:B