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  • 決闘バトルロイヤル @ ウィキ
  • ロゴスなきワールド ─戦争の夜に─

決闘バトルロイヤル @ ウィキ

ロゴスなきワールド ─戦争の夜に─

最終更新:2025年05月29日 23:24

zombi2baisoku

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闘争の時間だ


◆


治った。
六眼の侍に斬り落とされた左腕。
肘から先は細切れになって地面に散らばり養分と化した筈が、すっかり元通りだ。
指一本一本が問題無く動き、爪の先まで喪失する前と全く同じ。
人間であれば有り得ない光景。
移植手術をされたのでもない、人体の失われた箇所が時間経過で元に戻るなど、どれだけ優れた肉体の人物だろうと不可能。
治癒と言うより、最早再生と言っても過言ではない。

奇跡のような現象を目の当たりにしても、左腕が再生した当人の心に揺れは無し。
数ミリ程度の表情筋も微動だにしない。
一言どころか一文字すらも発さず沈黙を貫いたまま。
彼にとって驚く要素は見当たらない。
何故なら彼は化け物。大尉と時に親愛を、時には畏怖を込めて呼ばれた人狼(ヴェアヴォルフ)。

昼間は普通の人間として生活し、満月の夜になると獣へ姿を変え、家畜や人間の血肉を糧とする。
そんな使い古されカビだらけとなった人狼のイメージを、この男には当て嵌められないだろう。
旧ドイツ軍の制服で顔意外の全てを覆い隠した男と、世界中でメジャーな怪物は合致しない。
されど揺らぐ事の無い事実として存在するのだ、大尉は人狼であると。
ミレニアム。またの名を最後の大隊(ラスト・バタリオン)。
誰よりも戦争を愛し、誰よりも戦争に魅せられた肥え太った狂人率いるナチスの残党。
構成員1000名が吸血鬼で結成されたそれこそ、大尉が所属していた組織。
ほとんどの兵士達が吸血鬼の中で、大尉は数少ない大幹部の人狼。
吸血鬼をも凌ぐ戦闘能力を持ち、数多の戦場で死体の山を築き上げて来た。

「……」

大尉が求めるものは一つ、闘争の果ての死。
ロンドンを火の海に変えたミレニアム、イスカリオテ、ヘルシングによる三つ巴の大戦争。
あの戦争で大尉は死に場所を見つけた。
ヘルシング所属の女吸血鬼(ドラキュリーナ)、セラス・ヴィクトリア。
ミレニアムの硬式飛行船内で大尉はセラスと闘争を繰り広げ、敗北した。
セラスと彼女と同化した傭兵に、人狼の弱点である銀を撃ち込まれて、満足のいく死を迎えた。
子どものように無邪気な笑みを浮かべながら、死んだのだ。

だというのに、生き返ってしまった。
セラスとの闘争に、ようやく死に場所を見つけられた喜びに唾を吐きかけられたような気分。
それでも大尉に怒りは無い。
冥界の魔王、神、自分を蘇生させた連中へ思う事など何も無い。
まだ生きているなら、まだ死ねないのなら、今度こそ自分が満足のいく死を手に入れる。
その為に再び闘争の渦へ飛び込んで行くだけ。
殺し合うのなら、六眼の侍やどこぞの執事(バトラー)のような連中とぶつかり合うのなら、万全の状態で臨みたい。
だからこうして腕の再生が完了するのをじっと待っていた。
普段よりも完全治癒に時間が掛かったがどうでもいい。

鼻をひくつかせ駆け出す。
求めるのは強者。
求めるのは闘争。
求めるのは己の死。
鼻孔を刺激し心臓を昂らせる匂い、臭い、におい。

やがて見つけた。
人間どもの匂い、血の臭い、闘争を予感させるにおいだ。
こうなれば取るべき行動は一つだけ。
そびえ立つ白亜の建造物へ、ロケット弾の如き勢いで突撃あるのみ。


◆◆◆


正直予感はしていた。
屠り合いと言うからには、それに適した人材を集めるのが当然の話。
であるなら、抜け殻のような有様と成り果てた己以外にも鬼が参加していても不思議は無い。
むしろどこか納得している自分がいた。

黒死牟からしたら、鬼舞辻無惨も参加者としてこの地のどこかにいるという事実はそう驚く程のものでも無かったのである。

聞いてもいないのに桜色の髪をした娘、いろはから名を告げられた。
春の色を表したような笑みで見つめて来るものだから、どうにも面倒に感じこちらも名前を返してやった直後。
名簿を確認しようと提案されたのだ。
それ自体に断る理由は無いが、そもそも名簿をどうやったら見れるのかが黒死牟には不明。
気が付いた時には背負っていた袋からそれらしい紙は見当たらない。
代わりに見つけたのは、恐らくこの世で最も自分に馴染みがある物。
黒死牟以外が見たら何の価値もないガラクタとしか思わないだろう、所謂外れ支給品。

(これを私に寄越すとは……)

怒りか、苛立ちか、或いは安堵か。
自分でもどんな顔をしているのか分からないままサッと懐に仕舞ったのは、木彫りの笛。
忘れもしない、忘れられないあの夜に自分が二本に断った筈だが、元の形を取り戻している。
それに自分が何を感じたのか、何を想って未だ己の手元に置き続けようとしたのか。
余計な事を考えてしまうよりも前に、いろはが話しかけてきた。

「どうかしたんですか?もしかして、タブレットが入って無かったとか…?」

たぶれっと。
聞き慣れない言葉に眉を顰め、いろはの手に持つ物体に気が付いた。
奇妙な板らしき道具。
用途不明の為放置していた板をどうして今取り出しているのだろうか。

「その板を……何に使う気だ……?」

疑問を口にしたら、何を言っているのか分からないという顔をされた。
その後、微妙に噛み合わない会話を続けて知れたのは、このたぶれっとなる板で名簿を見れるとのこと。
とは言っても具体的にどうやれば見れるのか、黒死牟には全く見当が付かない。
すると見兼ねたのか哀れにでも思ったのか知らないが、いろはから使い方を教えられ無事名簿アプリの起動に成功した。

「わたしもこういうのはあんまり得意じゃないですけど……」

何故か恥ずかし気な表情で呟くいろはに、無知な自分よりは上等だろうと投げやりに思いながら名簿を見る。
黒死牟に倣いいろはも自身のタブレットから名簿を開いた。

そうして見つけたのだ。
自分、弟、主。知っている三つの名前を。

縁壱に関しては先程大々的に参加を知らされた為、特に驚きはしない。
これで縁壱が神を騙る男の傀儡と化したのが決定的となり、胸中でさざ波が音を立てたが。
それはともかく、考えねばならないのは主の事だ。

(やはり……無惨様もおられるか……)

無限城で自分が鬼狩りの相手をしている時、無惨はまだ解毒の真っ最中だった。
しかし屠り合いに参加しているのなら、自分の死後に解毒を済ませたのだろう。
無惨の参加を確認できた以上、部下である黒死牟が取る行動は決まっている。
参加者を排除しつつ無惨の元へと馳せ参じ、その後指示を仰ぐ。
もしここに自分以外の鬼がいてもそのように動いただろうし、黒死牟としても異論は無い。

そうだ、それこそが十二鬼月・上弦の壱としてのあるべき姿。
では何故自分は、そのように動こうとしないのか。

頭では分かっていても、体に力が入らない。
主の為に殺す。至極当然の思考に行き付いても、行動に移そうとすればどういう訳か「気力」とも言うべきものが抜けていく。
自分自身が俄かには信じられず愕然とする。
この場にいる唯一の部下として為すべき事を放棄しようとするとは。
戦意や思考のみならず、忠義すらも削ぎ落されたと言うのか。

「嘘……」

己の無様さを再認識する事すら放棄したくなった黒死牟の意識を引き戻したのは、震える少女の声。
つい先刻、縁壱の存在に心を乱された時もこの声に意識を戻されたのだった。
一つどうでもいい事を思いながら視線を動かすと、目を見開きたぶれっとを凝視するいろはの姿が見える。
黒死牟の知る者が参加しているのだ、他の参加者に同じ事があってもおかしくはないだろう。

尤もいろはの場合は知り合いの名前があったなどと単純な話ではない。
七海やちよ、深月フェリシア、鹿目まどか。
信頼する仲間達と、キレーションランドで共闘した見滝原の魔法少女。
名簿にあった名前が彼女達だけなら、強く動揺はしなかった。
やちよ達も殺し合いに巻き込まれているのは歓迎すべきではないが、一刻も早く合流しようと決心しただろう。
問題は後の三人。
里見灯花、柊ねむ、梓みふゆ。
何故死者の名まで記載されているのか。

灯花とねむの最期はこの目でハッキリと見た。
イヴと同化したアリナを止める為に、ドッペルを出現させ相打ちに持ち込んだ。
その記憶に間違いは無い。
みふゆだって直接最期を見てはいないが、ドッペルが暴走した魔法少女達を救う為に命を懸け、ももこと共に力尽きたと聞いている。
だが名簿の情報が正しいなら、現実に殺し合いの参加者として登録されている事になる。

「そんな……だって灯花ちゃんもねむちゃんも、みふゆさんだってもう死んで……」
「有り得ぬ話ではあるまい……」

ポツリと、呟かれた言葉に顔を上げる。
自分を見つめる六眼、そこに宿る感情は読み取れない。
どういう意味で言ったのかすら分からないいろはへ、淡々とした言葉が放たれた。

「冥界の魔王か……神を騙る狂人かは知らぬが……奴らが死者の魂を現世に呼び戻す術を手にしているのは……疑いようの無い事……
 それが……人間であっても……私のような……鬼であっても……蘇生は可能なのだろう……」

別に何か思う所があって言ったのではない。
自分がここにいる事自体が、主催者が死者の蘇生をも可能だという何よりの証拠。
それを隠し通す理由も無いから、或いは無惨の為に動こうとしない己の不可解さから目を逸らす為にか。
理由は黒死牟本人にも釈然としないまま告げた内容に、いろはは口元を手で覆い暫し閉口した。
黒死牟の語った内容が理解出来ないのでも、狂人の戯言と思ったのでもない。
齎された情報をどうにか飲み込み理解しようとしている真っ最中なのだ。

死者の蘇生。
真っ当な人間ならば否定して当然の奇跡。
黒死牟の言葉が正しければ、彼はその奇跡の恩恵を受けたのだと言う。
馬鹿げている、と否定はできない。
出会って僅かな時間の間柄だが、下手な冗談を口にするような男でない事くらいはいろはにだって分かる。
それにいろははそういった奇跡に心当たりがあった。
魔法少女の契約時、どんな願いでも叶えられるキュゥべえの力。
助かる見込みのない病気の妹だって治せたのなら、この世から消え去った魂を復活させる事だって不可能とは言い切れない。
優勝者の願いを叶えると主催者達は言っていた。
それはキュゥべえの持つようなのと同じ力を有している、或いはキュゥべえが檀黎斗に協力している。
どっちが本当かはともかくとして、殺し合いの為だけに灯花達が蘇生させられたと考えて間違いは無いのかもしれない。

(本当に灯花ちゃん達が…)

灯花達の命を殺し合いなんかに利用されたのは許し難い。
けれど黒死牟の言った通り生き返ったのなら、会いたいに決まっている。
ういと同じくらい大切に想っていた、本当の妹のような少女達なのだから。
それにやちよだって、みふゆが生きていると知ったらきっと喜ぶ。
いろは達よりも付き合いの長い親友なのだから、当たり前だ。

だが同じく、いろはには懸念する事もあった。

みふゆはきっと殺し合いを止める為に動くだろう。
マギウスを裏切り、鶴乃からウワサを引き剥がすのに協力してくれた人物だ。
今更魔法少女解放の為に誰かを危険に晒したりはしない筈。

では灯花とねむは?

いろはの率直な想いとしては、もう誰かを危険に晒すような事は絶対にしないと信じたい。
一方で、またイヴを使い魔法少女解放を実現した時と同じ真似を繰り返すのではないか。
自分の為に、今度は殺し合いの参加者を犠牲にしようとするのではないか。
そんな風に考えてしまう自分もいる。
二人を疑うような考えを抱く自分への嫌悪が湧き出す。

(でも……もしそうだったらその時は……)

その時は、もう一度止める。
灯花とねむが間違いを起こそうとするのなら、何度だって止めてみせる。
あの時掴めなかった手を、今度こそ掴んでみせるのだ。
だって自分は、灯花とねむ、そしてういのお姉ちゃんなのだから。

完全に切り替えられてはいないが、黒死牟の言葉には他にも気になる部分があった。
聞き間違いでないなら、彼は自分を『鬼』と言ったか。

「あ、あの、鬼っていうのは何ですか?」

直接聞くと、ジロリと六眼がこちらに向けられる。
威圧するような眼光に一瞬怯むも目は逸らさず、負けじと力強く見つめ返す。
彼の助けになると、彼が心の深い部分を教えても良いと思ってくれるよう頑張ると決めたのだ。
一々萎縮していては話にならない。

「……」

こちらを見上げる娘がおかしな部分で頑固なのは、さっきのやり取りで分かった。
どうせ「余計な事は聞くな」と言った所で引き下がらないのだろう。
子ども一人に怒気や苛立ちを露わにするのも、馬鹿馬鹿しい事この上ない。
ややあって小さいため息交じりに口を開いた。

「人では決して……到達出来ぬ領域に届く存在……。人の血肉を喰らい……己の糧とする者……。
 あらゆる傷も寿命も……鬼の肉体には無意味だ……」

最後に小さく、太陽には忌み嫌われているがなとだけ零し口を閉じる。
言い終わった後で、我ながら酷い矛盾を孕んだ内容に呆れを抱いた。
人では決して到達できない領域。
その言葉を真っ向から否定する存在を知っているのに、何ともまぁ大口を叩いたものだ。
生前ならば、無限城で死ぬ前の自分だったら相も変わらず弟への憎悪を燻らせるのだろうが、今は嫉妬より自分の惨めな最期への鬱々とした感情の方が先に来る。

説明を聞かされたいろはは案の定驚いた表情と化している。
何を思っているのかは安易に想像が可能。
こちらの正体が人喰いの化け物と知り、警戒と恐怖を引き上げているといったところか。
当然だろうなと黒死牟は思う。
善人の側に位置するだろうこの娘が、自分と同調するなど有り得ない。
力を求めて自分も鬼になりたいと言うような人間性を持っているでもない。
今からでも自分を助けたいとほざいた戯言を撤回するとしても、黒死牟は「だろうな」としか思わない。

が、黒死牟の予想に反していろははムッとした表情を作ったかと思えば、いきなり詰め寄って来た。

「どうして、そういう大事な事を先に言ってくれないんですか?」
「なに……?」
「太陽に嫌われてるって、つまり日が昇ったら黒死牟さんが危ないってことですよね?
 それなら早くどこかの建物に行かないと駄目じゃないですか!」

捲し立てるいろはに、黒死牟は黙り込む他無い。
一体この娘は何を言っているのか、本当に理解に苦しむ。
太陽が顔を見せる前に移動すべきというのは、鬼である自分からしたら確かにその通りだ。
だがそうではないだろう。
何故今の内容を聞いて自分への、人を喰う化け物への嫌悪や恐怖ではなくそんな反応を返すのか。
無理に恐怖を覆い隠しているのではない、本気の心配と怒りを向けて来る。
環いろはという娘を理解出来ず木偶のように立ち尽くしていると、痺れを切らしたのか着物の袖を掴まれた。

「あっちの方に見える白い建物、とりあえずあそこに行きましょう!」

言いながらも袖は掴んだまま。
動く気が無いなら、無理矢理にでも引っ張って行くという意思表明のつもりだろうか。
流石にそれをされれば恥と自己嫌悪で消えてしまいたくなる。
放せと言えば素直に従ったが、動かなければ同じ事の繰り返しだ。
太陽の光を避ける場所への移動自体は理に適っている。
どこか億劫ながらも歩き出せば納得したのか子犬のように後ろを付いて来た。

移動を始めて間もない頃、いろはがあっと声を出した。
振り返ると申し訳なさそうな顔をされ、何か言う前に言葉を向けられた。

「あの、ごめんなさい。黒死牟さんの探したい人がいるかもしれないのに、勝手に行き先を決めちゃって……」

頭を下げられるが黒死牟には不要な行為にしか見えない。
知っている者は二人、屠り合いに参加している。
だからといってもしその二名を探すのを手伝うと言われても、首を縦に振る訳がない。
檀黎斗の傀儡となった縁壱は言わずもがな。
主に関しても…

「やめておけ……」
「えっ?」
「お前があの御方に会ったところで……無意味に命を散らすだけ……。
 不要な考えを抱き……愚かしい真似に出て……あの御方の手を煩わせるな……」

言った後で、自分は何をしているのかと柄にもなく頭を抱えたくなった。
もし無惨の元へいろはを連れて行ったとして、待っているのは悲鳴を上げる事すら許されずに訪れる死か、何らかの必要性を見出して鬼にされるかの二択。
だからいろはが無惨に会っても良い結果にならないのは本当だが、何故それをいろは本人に伝えたのか。
何故わざわざ警告するような事を言ってしまったのか。
自分は本当におかしくなったのか、蘇生される際に脳髄を弄られたのかと突拍子も無い疑いを持ち始め、ふと気付いた。

屠り合いには無惨も参加している。
現在地は不明だが、無惨も黒死牟と同じ島のどこかにいる。
なのに無惨から黒死牟に対して一向に何もされていない。
たとえ傍にいなくとも全ての鬼は無惨に知覚を掌握されており、黒死牟がこの島で見、聞いた全ての情報が無惨に伝わっているのだ。
当然自分がいろはを殺すどころか助け、未だ腑抜けたままなのも把握済みの筈。
それがどうした事か、念話の一つすら飛んで来ていない。
よもやと、黒死牟の脳裏にある可能性が思い浮かぶ。

(無惨様から刻まれた呪縛が……切れている……?)

それならば納得はいく。
上弦の壱としてあるまじき醜態を晒している自分に対し何の動きも無い事に。
縁壱も島のどこかにいるという状況で、唯一の駒である自分を使おうと念話すら寄越さないのに。
一度死んだのが原因なのか、それとも檀黎斗に体を弄られたからなのかは分からない。
仮に本当に無惨の支配下から抜け出せているとしても、今の黒死牟には余計にどうすれないいか分からなくさせるものでしか無いが。

またもや己を困惑させる事態から目を背けるように、歩く速さが心なしか上がった。


◆◆◆


全てを説明し終えると、天津はやけに喉が渇いているのに気付いた。
目の前の二人に一言断りを入れ、デイパックから水を取り出す。
何の変哲もない、市販のミネラルウォーターだ。
キャップを開け口を付けると、臭みの無いサラサラとした感触が喉の奥まで流れ込む。
本当ならば上質な茶葉を使った紅茶でも飲みたい所だが、そういったささやかな欲は堪えキャップを閉じる。

「さて、これが私の知っている限りでの檀黎斗に関しての情報だ。何か質問があるなら受け付けよう」

喉を潤し水を仕舞うと、天津はベッドに腰掛けた男達へ視線を戻した。

天津が檀黎斗に関して知っている全て。
ウイルスとして黎斗に感染された事に始まり、黎斗を追うようにして現れた檀正宗。
会社愛と事業愛という譲れないモノを懸けて行われた壮絶な親子喧嘩。
ゼインへの対抗策として黎斗をヒューマギアとして復活させるが、天津の思惑など知った事かとばかりにヒューマギア黎斗は行方を眩ませてしまった。

以上のひたすら黎斗に振り回された体験談を二人の男、承太郎と一海は余計な口を挟まずに黙って聞いていた。
途中で話を遮られなかったのは、天津としても有難い点である。
お陰でスラスラと説明が出来た。
質問があるかという問いに、まず手を挙げたのは承太郎だ。

「とりあえず、ヒューマギアってのが何なのか分からねぇ。そいつが檀黎斗の正体なのか?」
「…何だって?」

予想外の質問に天津の方が聞き返してしまう。
ヒューマギアを知らない。
つまらない冗談を口にしたので無い事は、真剣さを保ったままの表情からも分かる。
だからこそ余計に混乱してしまう。
飛電インテリジェンスが始めたヒューマギア事業は、今や日本国民全員が知る所にある。
街を歩けば至る所で目にしてもおかしくはないだろうに、それをよりにもよって分からないとは。

あからさまに困惑の表情を見せる天津の様子に、もう一人の男…一海が事情を察し口を開いた。

「なぁ、あんたはスカイウォールを知ってるか?」
「スカイ…?いや、申し訳ないが聞いたことは無いな」
「…成程。承太郎、どうやらこいつも“そういうこと”みたいだぜ」
「らしいな」

自分を差し置いて納得し合う様子の二人に説明を求める。
すると返って来たのは、自分達がそれぞれ別の世界の住人であるとのこと。
一海の言うスカイウォール、天津の言うヒューマギア。
どちらもその世界の人間ならば、知っていて当然。というか知っていなければ逆におかしい存在だ。
天津と出会うより前に、承太郎達は互いが並行世界の出身である事に気付けた。
なら自分達以外の参加者もまた、異なる世界の出身だとしても不思議は無い。

驚きこそあれど納得した天津は改めてヒューマギアの事を二人に教える。
以前の自分であればここぞとばかりにこき下ろした内容を伝えたのだろうが、過去の話だ。
説明を終えると今度は一海の方が軽く手を上げ質問をしてきた。

「そのヒューマギアってロボットになった檀黎斗がこのふざけたゲームを始めた、って事で良いのか?」
「私も最初はそうだと思っていたのだが…。先程放送を行った檀黎斗にはヒューマギアとしてあるべき特徴が存在しなかった。
 推測だがあの檀黎斗は私と出会うより前の檀黎斗という可能性がある」
「それか天津の知る檀黎斗とは全くの別人。並行世界の出身って線も考えられなくはねぇ」

黒幕の黎斗がヒューマギアでないなら、それこそ天津が言った通り過去の黎斗が殺し合いを始めた。
更に承太郎の言う並行世界の黎斗という線もまた否定できない。
だがどの黎斗であろうとゲーム開発に異様なまでの執念を燃やしている、その点は共通していると天津は睨む。
ヒューマギアの黎斗が自分の命令そっちのけで、ゲーム制作に取り組んでいたのは記憶に新しい。
ハ・デスやその他の主催者の思惑は不明でも、黎斗が何を考えて殺し合いを始めたかは容易に想像が付く。
自身の考える最高のデスゲームを多くの者にプレイさせる為。
或いは、自分達が殺し合いを行う事で黎斗の考える最高のデスゲームは完成されるから。
何にしても巻き込まれた側にとっては迷惑以外の何者でもなく、既にゲームのせいで複数の死者まで出ている始末。
例え自分が復活させたヒューマギアの黎斗とは無関係であっても、見過ごす事は出来ない。

改めて決意を固めると、一番大事な事を承太郎達に伝える。

「檀黎斗の事でこれ以上私が知るのは無いが、君達に聞いておいて欲しい事がある」
「何だよ?急に改まった態度で」
「……私自身についてだ。予め言っておくが、これを聞いて君達がどんな行動を取ろうと私は責めたりはしない。
 ただ一つ、檀黎斗の情報に関して嘘は何も言っていないと誓おう」

前置きをする天津の瞳に緊張が宿っているのを見て取り、承太郎は無言で続きを促す。
一海もまた余計な口出しをしていい内容でないと察し、天津の話を待ちに入った。
二人が再度聞く姿勢になったのを確認すると、一呼吸置き話し始める。
罪の告白、とでも言うべき内容を。

自分が元の世界で何をしたのか。
人工知能アークに人間の悪意をラーニングさせるという愚行、それによりどれだけの悲劇が生まれたのか。
どれだけの人やヒューマギアを傷付けて来たのか。
承太郎も一海も、一度も口を挟まずに最後まで無言を貫いた。

「…以上が、私という人間がやって来た事だ。君たちに問いたいのは、そんな男と共に戦えるか否か、だ。
 無論、さっきも言ったが私を信用できないと突き放しても構わない」

天津の言葉に嘘は無い。
もし承太郎達が天津とは共に行動できないと言っても、その判断を責めようとは思わないからだ。
当時は自分の行いに何の疑いも持っていなかった。
しかし今となっては、或人との語らいで父の呪縛から解き放たれ、もう一度さうざーを抱きしめる事が出来たからこそ思う。
自分は何と愚かしい行為に手を染めたのだろうと。
己の犯した罪の重さを再度噛み締める中、先に口を開いたのは承太郎だった。

「何でわざわざそれを俺達に教えた?黙ってる方がテメーには都合が良いだろ」
「フェアじゃないと思ったからだよ。君達は本気で檀黎斗に抗うつもりのようだった。
 ならば私自身も半端な覚悟で奴を倒そうと言うのでないと示すのに、こういった方法しか思い浮かばなくてね」
「もし俺達がテメーと手を切りたいと言い出したらどうする気だ?」
「別にどうもしない。私一人になっても檀黎斗を倒すと言う方針は変わらない。
 信じてもらえるかは分からないが、この方針だけは1000%揺らがないと宣言しよう」

そうして再び沈黙が訪れる。
黙して二人の答えを天津が待つ中、今度はもう一人の男が沈黙を破った。

「償いの為に戦うってんならよ、俺らに協力して檀黎斗をぶっ潰せば良いだけの話、だな」
「…良いのか?私の罪を聞いた後でその答えは……」
「良いも悪いもお前本人が償いたいって言ってるんじゃねえか。だったら俺から反対する理由も無いってだけだ」

そう言った一海が思い出すのは、同じく罪を犯した仲間。
パンドラボックスの影響とはいえ多くの命を奪って来た男もまた、過去の罪に苛まれていた。
だがあいつは自分と万丈の言葉を受けたのもあるが、逃げずに元凶の地球外生命体と戦う道を選んだ。
天津も同様に過去の罪を悔い、それでも戦おうと言うのなら、その決意を否定するつもりは一海に無い。

「で、俺はこんな感じだけどよ。承太郎、お前も本当は手を切る気なんて無いんだろ?」

肩に手を乗せ告げて来る一海。
やれやれと言わんばかりにため息をつくと、承太郎もまた己の考えを口にする。

「俺はテメーが元の世界で何をしでかしたのかに興味はねぇ。ただ、殺し合いに乗る気は無いってんならそれで十分だ。
 考えが変わって乗るって言うんなら容赦はしねぇがな」

それっきり腕を組んで黙り込む承太郎。
無愛想な態度に一海は呆れ笑いを浮かべるも、天津には十分だ。
彼らは自分を共に戦う仲間と、自分の罪を知った後でもそう認めてくれた。

「感謝する。君たちの信頼を決して裏切りはしないと誓おう」

柄にもなく胸の奥が熱くなるのを感じながら礼を告げ、

正にそのタイミングで激しい物音が聞こえた。

「っ!?今のは…」
「どうやら派手な来客があったみてぇだな」

ただ単に目立つ施設を見つけたからや、傷の手当ての為に訪れたのでないのは明白。
それぞれドライバーを取り出し、音が聞こえて来た一階ロビーヘと走る。
現場に駆け付けてみれば、確かに招かれざる人物がいた。

「……」

ガラスが散乱したロビーへ立ち、承太郎達を睨む軍服の男。
見るからに殺気立った様子からは、友好的な態度は一切感じられない。

(野郎……)

外見だけなら人間そのもの。
しかし放つプレッシャーはNPCの怪物が小動物のように感じられる程重々しい。
まるで宿敵である吸血鬼、DIOと対峙しているかのようだ。
横目で見ると一海と天津も敵の危険性に気付いているらしく、強張った顔をしている。

三人の男達から最大限の警戒をされる当人、大尉は思う。
目の前の連中は自分を殺せるだけの者か否か。
答えは実際に殺し合えば分かること。
もし取るに足らない雑魚だったとしても、殺さない理由にはならない。

カチリと奥歯を軽く打ち鳴らす。
それが合図となり、爆発的な加速を以て化け物が人間達に牙を剥いた。

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