世界は一枚のカードにより生まれた。
そんな奇想天外な話、誰も信じないだろう。
そんな奇想天外な話、誰も信じないだろう。
世界には無数の可能性世界がある。
それらは並行世界とも呼ばれる幾重にも枝分かれした可能性だ。
それらは並行世界とも呼ばれる幾重にも枝分かれした可能性だ。
例えば何度も世界の滅びを目の当たりにした女神と魔王が居る。
しかし彼らの世界も並行世界の一つに過ぎず、所詮はその枠組みを出られない。
しかし彼らの世界も並行世界の一つに過ぎず、所詮はその枠組みを出られない。
謎の生命体・ワームとアーリー・オブ・ジャスティスの激闘が繰り広げられた端末世界も、所詮はただの並行世界。
その世界ではワーム達が侵略者だったが、もしかしたら別の世界では全く異質の存在になっているかもしれない。
その世界ではワーム達が侵略者だったが、もしかしたら別の世界では全く異質の存在になっているかもしれない。
この世から平成生まれだけを滅ぼそうとする勢力により、世界を平らにされそうになるも平成が溢れ出たおかげで守られた世界があった。
これもまた一つの並行世界。その物語に登場した魔王はその世界で特殊な姿に変身しているが、他の世界でそうはなれない。
これもまた一つの並行世界。その物語に登場した魔王はその世界で特殊な姿に変身しているが、他の世界でそうはなれない。
この世には無数の並行世界が存在する。
首の骨を折られて死亡した者が亡霊として呪詛を垂れ流す世界。平和な日常を過ごしていた少女が在り方をねじ曲げられた可能性世界。永遠の切り札となった男がかつての友人と再会し、異形から人間に戻ることが出来た世界。復讐を誓った少年が少女達と知り合い、真の黒幕が妹だと気付き討伐を成し遂げた世界。
元不良の男が自堕落なフリーターになる世界と、彼がリベンジを誓ったことで変化した世界。
首の骨を折られて死亡した者が亡霊として呪詛を垂れ流す世界。平和な日常を過ごしていた少女が在り方をねじ曲げられた可能性世界。永遠の切り札となった男がかつての友人と再会し、異形から人間に戻ることが出来た世界。復讐を誓った少年が少女達と知り合い、真の黒幕が妹だと気付き討伐を成し遂げた世界。
元不良の男が自堕落なフリーターになる世界と、彼がリベンジを誓ったことで変化した世界。
様々な世界が存在するが、それら全ては冥府により統括されている。
「これより決闘(デュエル)のルールを説明する」
サングラスを掛けたスーツ姿の男がマイクを片手にルールの説明を開始する。
ちなみに決闘と書いてデュエルと読むのだが、一部の参加者はこの言葉に聞き覚えがある。
ちなみに決闘と書いてデュエルと読むのだが、一部の参加者はこの言葉に聞き覚えがある。
「バカ野郎!こんな状況で何がデュエルだ、磯野!!」
特徴的なリーゼントの男がルール解説者に向かって声を張り上げた。
だが磯野の呼ばれた男は顔色一つ変えることなく、言葉を続ける。
だが磯野の呼ばれた男は顔色一つ変えることなく、言葉を続ける。
「本田ヒロト!この場で参加者が声を張り上げることは違反行為である。これ以上騒ぐ場合……」
「ふざけんな!オレ達を拉致して、何がデュエルだ!!」
「ふざけんな!オレ達を拉致して、何がデュエルだ!!」
違反行為なんて知ったことじゃない。彼にとってデュエルとはこんな他人を拉致して行うようなものじゃない。
「待て!それ以上は危険だ、本田くん!!」
奇抜な髪型の少年が、本田の行動を静止する。
しかし本田に引く気はない。親指を立ててサムズアップすると自分を心配する友人に力強く笑い掛けた。
しかし本田に引く気はない。親指を立ててサムズアップすると自分を心配する友人に力強く笑い掛けた。
「大丈夫だ、遊戯。今すぐオレがこいつをなんとかするから任せと――」
ボン☆
軽快な爆発音と共に本田の首と胴が分かれた。
先程までサムズアップしていた男は親指を立てたままに崩れ落ちる。
先程までサムズアップしていた男は親指を立てたままに崩れ落ちる。
「本田くん――――!」
友人を失った少年の絶叫が響き渡る。
ある者は少年と同じように本田の死を悲しみ、またある者は磯野に対して怒りを強めた。
だが彼らは声すらも発せない。この場で発言を許されている人物は磯野、本田ヒロト――そして武藤遊戯(アテム)のみ。
それ以外はかつて磯野が所属していた海馬コーポレーションの社長すらも声を発することが出来ない。これもまた首輪の効果の一つだ。
ある者は少年と同じように本田の死を悲しみ、またある者は磯野に対して怒りを強めた。
だが彼らは声すらも発せない。この場で発言を許されている人物は磯野、本田ヒロト――そして武藤遊戯(アテム)のみ。
それ以外はかつて磯野が所属していた海馬コーポレーションの社長すらも声を発することが出来ない。これもまた首輪の効果の一つだ。
本田ヒロトが違反行為をして殺されるという一連の流れ――これら全ては主催者によって練られた計画だ。だから本田だけは声を発することを許可した。遊戯については決闘王(デュエルキング)である彼の存在は様々な参加者に影響を与える可能性がある。だから最初に彼の存在を知らしめてやった。それに決闘王すら何も出来ず、本田が死ぬのを眺めることしか出来ない――この状況は特定の参加者にとって、より絶望的にも見えるだろう。
「このように違反行為をした者には罰が与えられる。他の決闘者の方々には、ルールを守ってデュエルをしていただきたい」
遊戯の絶叫を気にも留めない様子で磯野は淡々とルール説明をする。
サングラスでその瞳は隠されているが、それがまた不気味な雰囲気を演出している。目を見えない相手が何を考え、どんな表情をしているかだなんて誰にもわからない。
サングラスでその瞳は隠されているが、それがまた不気味な雰囲気を演出している。目を見えない相手が何を考え、どんな表情をしているかだなんて誰にもわからない。
「詳しいルールは決闘者諸君に配布済みの『説明書』に記載されている。最後の一人まで生き残った者をデュエルキングとし、富と名誉を与える。更に一つだけどんな願いでも叶えることが可能となる」
磯野は手短にルールを説明した後、片手を上げる。
それは幾度となく繰り返した開戦の合図。この場に集う決闘者ならば、馴染みの深い者もいるだろう。
それは幾度となく繰り返した開戦の合図。この場に集う決闘者ならば、馴染みの深い者もいるだろう。
「それでは――」
「――待て、磯野」
何処からか声が響き、磯野の声がピタリと止まる。
闇だ。闇が磯野の傍に集まり、収束している。
会場の緊迫感が一段と増す。腕に覚えがある者こそ、あの闇の危うさを本能で感じ取ってしまう。
闇だ。闇が磯野の傍に集まり、収束している。
会場の緊迫感が一段と増す。腕に覚えがある者こそ、あの闇の危うさを本能で感じ取ってしまう。
「私からも挨拶をしよう。我が名は冥界の魔王ハ・デス」
闇が魔王の形を成す。
頭部から生えた巨大な二本角に人の顔面のような禍々しい装飾。髑髏を連想させる凶暴な胴体。
この世に悪魔が存在するのなら、きっと彼のような者を指すのだろう。
頭部から生えた巨大な二本角に人の顔面のような禍々しい装飾。髑髏を連想させる凶暴な胴体。
この世に悪魔が存在するのなら、きっと彼のような者を指すのだろう。
「私は一枚のカードより生まれた存在だ。この言葉の意味を知る参加者も何人か居ることだろう。
信じるも信じないも貴様ら次第だが――この世界で実体を得た私は冥界の王として君臨した。そして貴様らを駒としてゲームを始めようと思ったのだ。特に人間共はこういうゲーム――デュエルが好きなのだろう?」
信じるも信じないも貴様ら次第だが――この世界で実体を得た私は冥界の王として君臨した。そして貴様らを駒としてゲームを始めようと思ったのだ。特に人間共はこういうゲーム――デュエルが好きなのだろう?」
「この世には無数の世界がある。カードの種類だけデッキがあるように、だ。このデュエルでも様々な世界から決闘者を呼び寄せてある。楽しむが良い」
ハデスは参加者達にそれだけ告げると、その場から消え去った。
磯野は多少動揺するが、それでも決して自分の職務を忘れない。これまで何度も決闘の司会進行をしていただけのことはある。
磯野は多少動揺するが、それでも決して自分の職務を忘れない。これまで何度も決闘の司会進行をしていただけのことはある。
「気を改めて。それでは――」
再び磯野は片手をあげ、独特なポーズを取る。
サングラスで視線は隠されているが、それでも彼の表情が迫真であることは参加者全員に伝わった。
サングラスで視線は隠されているが、それでも彼の表情が迫真であることは参加者全員に伝わった。
「決闘開始ィィィ!」
磯野が声を張り上げ、決闘開始の宣言をする。
そしてバトルロイヤル形式のデュエルは始まった
そしてバトルロイヤル形式のデュエルは始まった
【本田ヒロト@遊☆戯☆王 死亡】
『主催』
【磯野@遊☆戯☆王】
【冥界の魔王ハ・デス@遊戯王OCG】
【磯野@遊☆戯☆王】
【冥界の魔王ハ・デス@遊戯王OCG】
『参戦確定』
【武藤遊戯(アテム)@遊☆戯☆王】
【武藤遊戯(アテム)@遊☆戯☆王】