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  • Introduction:未完成の君達へ

決闘バトルロイヤル @ ウィキ

Introduction:未完成の君達へ

最終更新:2025年06月29日 19:56

zombi2baisoku

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◆




――はじまらないからはじめた それだけ




◆


おにーさんと、どんな声色で口に出したのか結芽自身にも分からない。
震えてはいないと思う、けれどこれまでと違って温度を感じさせない声。
反応は無い、地面に横たわった彼は視線の一つも寄越さなかった。

赤く染まった衣服を見れば、彼が無事かどうかなんて一目瞭然。
どんなに神業的な腕を持つ名医だろうと、首を横に振るしか出来ない有様。
無理だ、手遅れであると誰もが口を揃え同じ言葉を言うだろう。
鬼でも、人狼でも、吸血鬼でも、まして神様でもない。
城之内克也は人間だ、斬られて血を流し過ぎれば死ぬ。
太陽神に焼き潰されて尚死を回避した彼であっても、二度目の奇跡は起こらない。
決闘都市(バトルシティ)の終幕後に行われる筈だった、親友との決闘(デュエル)に挑む機会も永遠に失われた。
城之内は死んだ、決して覆せないゲームオーバーを迎えたのだ。

「……」

物言わぬ少年を見つめたまま、己の胸へ手を当てる。
トクントクンと一定のリズムを奏でる心臓、結芽が確かに生きてる証。
傷など負っていない筈なのにどうしてだろうか。
針で刺したような痛みが走るのは。
何か一つ大事なものが欠け落ちて、気持ちの悪い軽さを感じるのは。

城之内は一言も発さない。
事切れた彼の顔に浮かぶのは、苦痛の中で死した者とは思えない笑み。
何かをやり遂げた達成感、これで良かったんだと言わんばかりの安堵。
後悔を微塵も面には出さない、穏やかとさえ言っても良い、そんな顔。

ああと思い出す。
自分もきっと、彼と同じ顔をしていたのだと。
微かな灯が消えるように命が終わる瞬間、悔いを残さぬ満足気な笑みで目を閉じた。
己の最期に今更後悔は無い。
折神家親衛隊の最年少でありながら、最も時間が無かったのが結芽だ。
与えられたノロの力とて根本的な治療にはならず、ほんの僅かな先延ばしに過ぎない。
だから残された時間を、閃光のように駆け抜けた。
例え瞬きの間に消えて無くなる儚い光だとしても、記憶に焼き付く鮮烈な輝きでありたかったから。
生き急いだ果てに実現した衛藤可奈美との斬り合いは、今でも胸を張って楽しかったと言える。

幼いながら先に旅立つ側だった少女は、現在逆の立場となった。
自分を看取った相楽学長と同じ、残された側へと。
死後の学長や親衛隊の三人がどうなったかを知る術はない。
でももし、彼女達も今の自分と同じ気持ちになっているのだとしたら。

「これが…ううん、これも悲しいってことだよね」

両親に見放されたと思った時とは、また別の理由。
あの時のような引き裂かれるのではないけれど、感じる痛みは本物。
共有した時間は短い、親衛隊のような心地の良くて好きな場所とも違う。
だけどこの痛みが嘘ではないのなら、自分はきっと城之内の死を悲しいと思っているのだろう。

膝を折り、変わらぬ笑みの彼へと瞳が近付く。
助けて欲しいと頼んだ覚えは無い、いざとなったら自分を守れと言った覚えも無い。
むしろカードを使う間は無防備な彼を守る気でいた。
それでも城之内が庇わなければ、死んでいたのは自分の方だったかもしれない。
咄嗟に急所は避けようとしたけど、どこまで死から逃れられたかは分からないものだ。
だったら、伝えるべきは一つだけ。

「ありがとう、城之内のおにーさん」

涙は流れない、戦意を喪失する程の衝撃でもない。
一生引き摺るなど以ての外。
それでも、生きている内に礼を言えなかったのは何となく心残りだった。

「ふぅ……」

胸に渦巻く少量のしこりを追い払う為の深呼吸。
らしくもなく感傷に身を浸らせるには、状況は依然として優しくないまま。
敵は倒した、桁外れの能力と反則染みた武装で猛威を振るった人狼は髪の毛一本残さずに消滅。
代償としてこちらの被害も甚大だ。
城之内は勿論、指輪の魔法使いの力で前線に立った達也もまた死亡。
戦いの一番の功労者である遊星は生きてはいるものの、決して無事とは言えまい。
全身に負った傷もそうだが右腕は特に酷い、目を覆いたくなる重症。
一度のドローすら不可能なダメージは決闘者として致命的。
生前の城之内が使ったカードのお陰で多少マシになったとはいえ、放置すれば彼らの後を追うだけ。
五体満足で意識もハッキリしている結芽が何とかする他ない。

病を完全に克服した身なれど、蓄積した連戦の疲労は刀使と言えども容赦なく体力を削り取る。
休ませろと訴える脳からの命令も五月蠅いの一言で黙らせ、まずは中断した支給品の確認を行う。
最優先は遊星の治療だ。
デュエルモンスターズのライフ回復カードや、結芽自身が恩恵を受けた万病薬などの類が支給されているのを期待し取り出す。

「何これ、虫?」

手にしたのはコルクで蓋をした瓶。
中には蛍にも似た輝きで飛び回る、不可思議な生物が閉じ込められている。
というか、まるで光そのものが生き物を思わせる動きをしているではないか。
もしや外れの支給品を寄越されたかと眉を顰めつつ、同封した説明書に目を通す。
読み終えた彼女は躊躇なくコルクを外し、遊星目掛けて瓶の口を向ける。
光る物体が遊星の周りを飛び回り、やがて消える頃には変化が現れた。

「おおー、ほんとに治ってる」

全身に刻み付けられた痛ましい傷跡が幾分か消え去ったのだ。
最もダメージの大きい右腕だって、へし折れあらぬ方向に曲がった状態から元通り。
流石に完全回復とまではいかずとも、死の危機は一先ず回避したと言って良いだろう。
一回きりの貴重な回復手段だが、この状況で使用に躊躇する程人でなしになったつもりはない。
何よりまだ名前も知らないけど、彼が召喚したモンスターがいなければ多分自分達は全滅の末路を辿った。
城之内からサポートを受けた時に理解した、弱者が群れるのとは違う共に戦うということ。
であれば共闘した相手が死にかかっているのを助けるのも、きっと真希から言われた周りの事を考えるのに繋がる。

遊星の無事を確認したなら次は散らばった支給品の回収。
城之内のデッキや達也が変身したベルトなど、結芽にとっては不要でも放置する理由はない。
返事が無いとは承知の上で二人に断りを告げ、デュエルディスクとベルト、ウィザードリングを外し自身のデイパックに仕舞う。
回収するのは敵の置き土産とも言うべき支給品も同様。
参加者共通の首輪ともう一つ、黒い手袋。
しげしげと眺め、おもむろに手袋を身に着け白い手を覆い隠す。
戦闘中に達也から腕を狙うよう頼まれ、塗りたくった血が城之内の命を奪ったのは記憶に新しい。
説明書を読まなくても、手袋に特殊な仕掛けが施されていると察するのに時間は掛からなかった。
手袋を着けた手で九字兼定を引き抜くと、即座に変化が現れる。
かの殺人鬼や先の大尉がやったのと同じく、フレックの手袋の力で神器へと変わったのだ。
元々特殊な力秘めた御刀だが、宿る神秘の強さで言えば神器化した九字兼定は正に別格。
これ程の優秀な武器は間違いなく、今後の戦いにおいて心強い味方となるに違いない。
苦戦し面倒な相手と認識しているデェムシュ相手にだって、有利に立ち回れる筈。

「……なーんかズルっぽくていや」

だが神器を手にした結芽の顔に喜びは微塵も無い。
そればかりか不満がありありと浮かび上がっている始末。

確かに、フレックの手袋は強力な武器だ。
そこは結芽も理解しているが、実際に使いたいかは別の話。
自ら鍛え編み出した技でもなく、城之内のようにサポートを受け手にした武器でもない。
言うなれば反則、自分の力でも仲間の協力とも違う。
元々結芽は他の親衛隊のメンバーと違い、荒魂の力を使うのに強い抵抗感を抱いた少女だ。
彼女からしたら刀使の術や自らの剣術ではなく神器と化した御刀に頼るのは、正直言って抵抗感が大きい。
寿々花の御刀を勝手に変化するのも何だか悪い気がする。

不満顔のまま手袋を外しデイパックに放り込む。
にっかり青江が手元に無く今後取り戻せるかも不明以上、若しかしたら使わざるを得ない場面が来るかもしれない。
本当に使うかどうかは状況と結芽本人次第だが。
それはそれとして別の危険人物に拾われても厄介なので、回収はしておく。

この場でやれる事は粗方済んだ。
用は無いうえに派手な戦闘が起きた場に長居するのも宜しくは無い。
疲れた体に鞭を打って移動をするべき、しかしどこへ向かえば良いのだろうか。
地図を取り出そうと再びデイパックに手を突っ込み、頭上に影が差した。
月明かりに照らされていた筈だが急に雲が出たのかと見上げ、

「えっ?……うぇっ!?」

素っ頓狂な声を出すのも致し方ない。

怪獣がいた。
月光を遮ったのは雲では無く、怪獣の巨体だったのだ。
地響きと共に降り立ち、鮮烈な光を発するスカイブルーの瞳が結芽を射抜く。
真紅とくすんだ黄金の皮膚を持ち、太い四肢で攻撃されれば一溜りも無い。
瞳と同じ色の鉱石が突起のように背中から生え、周囲を青く照らす。

「そんなのあり…?」

巨大な異形ならば荒魂で見慣れているが、如何にもザ・怪獣と言った存在には結芽も少々困惑気味。
デュエルモンスターズのモンスターだとしても、近くに召喚した者は見当たらない。
まさかこれがNPCとかいう奴か。
強者との死闘自体は別に問題無いとはいえ、今は些か状況が悪い。
にっかり青江無しにこのサイズの敵と戦うのは不利。
遊星や城之内が召喚したモンスターなら対抗可能だろうけれど、二人がどうなっているかは言うまでもない。
何より結芽自身、体力的にも限界だ。

(むぅ……使いたくないんだけどなぁ…)

場合によってはフレックの手袋の使用も視野に入れ、遊星を連れての逃走に専念するべきか。
四の五の言ってる場合で無いとは分かるも、使いたくないものは使いたくない。
気を失った遊星を背後に庇いながら構える結芽だが、想像した展開には発展しなかった。

『ちょ、ストップストップ!別に殺そうとして降りたんじゃないわよ!』

威圧感ある見た目とはミスマッチな、慌てる姿。
怪獣が光に包まれたかと思えば、見上げる巨体はあっという間に消失。
代わりにいたのは結芽よりも背の高い、されど平均的なサイズの少女。
何故か頭部には猫耳が生え、臀部に付いた尻尾がスカートの下から顔を覗かせ揺れていた。
コスプレ、と言うには本物の動物の部位にしか見えない。
少女の動きに合わせてピョコピョコ動くのも、作り物にしては手が込み過ぎだ。
怪獣の姿に変わったのは、手に持った奇妙な機械を使ったのだろうか。
仮面ライダーなる存在以外にも、ああいう道具があるらしい。

「んー…ま、いっか。何か人間じゃないのも普通に参加してるっぽいし」
「いきなり失礼ね…獣人差別とか今時流行んないわよ」

あっけらかんとした口調でさり気なく失礼な事を言われた。
顔を顰めるも相手には効果が無し。
同じチビッ子でもコロ助と呼んでいる仲間と比べ、生意気な印象がある。
この年頃ならむしろその方が普通かもしれないが。

「とりあえず敵じゃないんだよね?」
「そうよ。この辺りだけいやに荒れてるのが飛んでても分かったから、ちょっと気になって降りてみたってわけ」

猫耳の少女、キャルの言葉に嘘は無い。
A-5を出発し、南下した先にあるらしいメダルガッシャーを目指して早数時間が経過。
トライキングの飛行能力のお陰で、どうにか定時放送が始まる前に目的地に到着できそうと安堵した時だ。
丁度手前のエリア、E-6の異変に気付いたのは。
草木が消し飛び真っ平らになった地面という、異様な光景。
キャル自身もA-5で八つ当たり気味に大暴れし、エリアの一部を崩壊させたから分かる。
これ程に地形を変えられるのはそれこそ自分と同じ怪獣。
或いは、陛下と呼び従っていた「彼」の魔法くらいのもの。
もしやコッコロやヴァイスフリューゲルの面々がカイザーインサイトと遭遇し、戦闘とも呼べぬ蹂躙が起きたのではないか。
起こり得る最悪の展開に焦り、湧き上がる恐怖も仲間の無事を確認せねばとどうにか抑え様子を見に立ち寄ったのだ。

「コロ助達はいないようけど…あたしが来たのは遅かったみたいね……」

コッコロ達が巻き込まれてないのは喜ばしい。
しかし倒れたまま動かない少年達を見たら、素直には喜べない。
彼らの死に何の責任も無いけれど、既に手遅れだったというのにはどこか後ろめたさを覚える。

「別におねーさんが気に病む必要ないんじゃない?」
「そりゃ…まぁ分かってるけどさ…」

結芽としてもキャルを責める気は一切ない。
どうしてもっと早くに来てくれなかったとか何とか、そんな見苦しい八つ当たりをするのは真っ平御免。
怪獣に変身できるキャルが先程の戦闘に参加していればまた別の結果になったろうけど、結局はたらればに過ぎず言った所で無意味。

大尉との戦闘を行った当事者の結芽が、気にしなくて良いと言っている。
それなら、いつまでも気まずい態度ばかり取るのはどうなんだと思い直し切り替えた。
コッコロ達やみふゆと幻徳の仲間の行方も聞きたいし、何が起きたかの具体的な説明も欲しい。
と言っても派手な戦闘が起きたばかりなのに呑気に立ち話する訳にもいかず、場所を変えた方が良いだろう。

「取り敢えず近くに病院があるっぽいからそこで話さない?そっちの…蟹みたいな頭のやつもそのままにはしない方が良いでしょ」

ペコリーヌがいたら蟹という言葉に反応し涎を垂らすに違いない。
この場には不在の仲間の能天気な姿を想像し、つい呆れ笑いが浮かぶ。
今はそんな緩い状況で無いので直ぐに顔を引き締め直した。
詳細地図アプリで確認したところ、運が良いことにここから北東へ行ったエリアに病院がある。
メダルガッシャーからは遠ざかってしまうが、病院自体そこまで離れてはいないしこれくらいの寄り道なら許容範囲内だ。
加えて病院に友好的な参加者がいて怪獣メダルを持っていたら、譲ってもらえるかもしれない。
それにまぁ、消耗が大きい結芽達を放って置くのも後味が悪い。
素直でなくとも手助けするつもりなのは、お人好しな三人の仲間の影響か。

「じゃあお願いするね、えーっと…猫のおねーさん?」
「って、そういやまだ名前言ってなかったか。キャルよ」

結芽としてもキャルの提案は有難かった。
疲労がピークに達している今の自分では、如何に常人以上の身体能力があれど男を抱えての移動は中々にキツい。
一方キャルが怪獣に変身すれば二人くらい余裕で運べる。
敵と勘違いされ慌てて誤解を解いたり、名前も知らない参加者の死に後ろめたそうな顔をする様子から殺し合いにも乗っていないと見ていい。
それならむしろ断る理由を探す方が大変だ。
病院には悪い思い出の方が多いが、それを理由に拒否するつもりはない。

「あっ、でもその前にちょっと待って」

断りを入れ城之内と達也の死体に近付く。
死んでしまった彼らにしてやれる事と言ったら、精々埋葬してやるくらい。
だが長々とエリア内に留まる気はない。
丁度今から病院に向かうのは好都合、霊安室くらいはある筈だ。
弱いから死んだと切り捨てる気になれないのは、協力して戦う楽しさを知ったからで。
死者の片方がそれを教えてくれた少年だからか。
自分でもイマイチよく分からないモヤモヤと、チクリとする痛みに内心で戸惑いながらもデイパックの口を開ける。
大きさに関係無く収納できるのは支給品に限った話ではない。
二人の死体を仕舞い終え、この場でやれる事は本当に全部済んだ。

「お待たせ。ここに置きっ放しにするのもなんかやだから」
「…ん。もう良いなら変身するからちょっと離れてなさい」

言われた通りに距離を取るのを確認し、ゼットライザーへメダルを装填する。
目的地はすぐ上のエリアな為、使うメダルは二枚で良いだろう。

「グリムフュージョン!」

<ゴルザ!メルバ!>

「チェンジ・モンスターフォーム!」

<ゴルバー!>

ゲームが始まって直ぐに変身した合体怪獣、ゴルバーへと再度姿を変えた。
とある世界ではウルトラマントリガーに撃破された怪獣も、ゲームにおいてはキャルに与えられた力の一つ。

「おおー、本当に怪獣になった」

カードからモンスターを召喚するのとはまた違う、参加者自身が巨大なモンスターへ姿を変える。
刀使と荒魂が存在する世界に生まれ、殺し合いで散々超常的な光景を目の当たりにした結芽も驚きを隠せない。
掌に遊星共々乗せられいざ出発だ。

「わぁ…」

怪獣の掌に乗ってお空の散歩。
まるで絵本の中の出来事を実際に味わうなんて、短い時間の中では想像もしなかった。
殺し合いという緊迫した状況なのは十分承知してるけど、どこか胸が弾むのは自分でも仕方ないと思う。
親衛隊の皆が知ったら何て言うのだろうか。
ちゃんと生きて帰れたら教えてあげようかなと考えるその顔は、自慢したくてうずうずしているような、年相応にあどけないものだった。


○


目的地が見えて来るまでにそう長くは掛からなかった。
一エリアは決して狭くはないが、ゴルバーの機動力ならば人力での移動よりもずっと早い。
地面に降ろして貰うと、キャルも再び元の姿に戻る。

「とうちゃーっく。…あれ?何かこの辺も荒れてない?」

アスファルトはあちこち破壊され、焼け焦げた跡もチラホラ。
自然にこういった傷は付かない、十中八九戦闘の余波によるもの。
当たり前と言えば当たり前の光景。
ここが殺し合いの会場なら真に安全な場所など存在しない。
まして治療目的で病院を訪れる者は殺し合いに反対の者と乗った者、方針に関係無く多い。
既に病院で戦闘が起きたとしても、なんら不思議は無かった。

「もしかしてこっちに来たの失敗だった…?」

戦闘はとっくに終わったようだが、危険人物が勝利し病院内に陣取っている可能性も有り得る。
絶対そうだとは言い切れなくとも、やはり不安だ。
これならば結芽達を連れ、当初の目的地であるメダルガッシャーに行った方が良かったか。
医療器具が設置されているかは知らないが一応屋内。
少なくとも遊星を寝かせられるスペースくらいは確保できたろうに。

「んー、今更言ってもしょうがなくない?」
「分かってるけど…ああもう、行くしかないわよね…」

結芽に言われずとも、キャルとて今更あっちに行けばと悔やんだって仕方ないとは理解している。
本当に危険人物が陣取ってるかは分からず、反対に友好的な参加者と出会う可能性もあるのだ。
ひょっとすると、コッコロやヴァイスフリューゲルのメンバーが中で休んでるかもしれない。
誰が病院内にいるにせよ、まごまごし続けては時間の無駄。
頭を振って弱気な自分を追い払い、病院へと進む。

未だ気を失ったままの遊星を左右から支え、一歩一歩近付く。
設置されたライトに照らされる白亜の宮殿は、入り口付近の窓ガラスが砕け散っているのが分かった。
中と外を遮る物を失くし、吹き抜けとなった入り口からロビーの明かりが漏れるのが見える。
いざとなればゼットライザーにメダルを叩き込む準備は出来ており、御刀抜くのに躊躇は皆無。
破片が散乱する入り口へ足を踏み入れようとし、






「「――――っ!!!」」





重圧が二人へと襲い掛かった。

肉体へ直接危害は加えられていない。
彼女達がやった事と言えば、ただ病院の中に入ろうとしただけ。
だがその判断は些か軽率であったかもしれないと、つい数分前の考えを改め兼ねないプレッシャー。

待ち構えるように、或いはこれ以上の侵入を阻む為か。
二人の前にソレが姿を見せる。

院内に設置された淡い光が照らす異形の貌。
纏う空気は正に抜き身の刃、近付くことすら憚れる存在感。
おおよそ人の命を助けるドクター達の戦場には似つかわしくない者。
腰に下げた得物はさながら死の淵を彷徨う半亡者の魂を刈り取る鎌で、振るう当人は冥界の遣いか。
知らぬ者は腰を抜かし、命だけはと慈悲を乞うだろう怪物。

上弦の鬼、黒死牟が来訪者たちを見据えた。

→
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