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1206■エジプト初の文民政権誕生

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1206■エジプト初の文民政権誕生
 2011年2月のムバラク政権崩壊後、エジプトでは軍幹部でつくるエジプト軍最高評議会が「選挙で新政権ができるまでの全権掌握」を宣言して統治を続けていた。その下で行われた同年秋からの下院選挙では、ムスリム同胞団系列の自由公正党が半数近い議席を取り第1党となった。そして、12年5月~6月に行われた大統領選では、同党党首のムハンマド・ムルシが、ムバラク政権最後の首相であったシャフィーク元空軍司令官を破って当選した。1952年の自由将校団のクーデタ以来軍部が実権を握ってきたエジプトで、初の自由な選挙による、初の文民大統領が誕生した。ただ、大統領選の直前、最高憲法裁判所が「選挙法が違憲で無効」として議会の解散を命令した。ムルシ政権は議会という土台がない不安定な政権として出発した。
 ムスリム同胞団は、1928年にエジプトで結成された。イスラムの価値観に沿った社会改革を目標とする穏健派のイスラム組織で、ナセル政権以降の軍部の弾圧を受けたが、暴力を否定し、貧困層への福祉活動などで組織を拡大し、ムバラク政権下で与党に対抗できる力を持つ唯一の野党勢力として成長していた。
 ムルシは、大統領就任後、軍最高評議会の議長らを更迭し、軍高官らの影響力を削って政権基盤を固めようとした。社会の急激なイスラム化は避け、政変で打撃を受けた経済の再建を優先し、外交面では引き続き米国と協調する姿勢を見せた。ただ、前政権がイスラエルと協調するかたちで続けてきたパレスチナ・ガザ地区の封鎖を緩め、中国を訪問するなどの変化の兆しも見せた。

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