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1012●菅内閣の失速

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1012●菅内閣の失速
 菅改造内閣の発足後、初の国政選挙となった10年10月の衆院北海道5区の補欠選挙(前年8月の衆院選で当選した民主党の小林千代美議員が、陣営をめぐる北海道教職員組合の違法献金事件や、選対幹部の選挙違反事件の責任を取って辞職したのに伴う選挙)では、小林に敗れて比例で復活当選していた町村信孝元官房長官が、民主党新顔を破って当選し、潮目が変わったことを印象づけた。内閣支持率は、世論調査が行われるたびに下降線をたどり、各地の地方選でも民主党は敗北を重ねた。
 補正予算の審議入りをめぐる与野党攻防の中心は、野党が求める「小沢一郎元代表の国会招致」にあった。民主党の岡田克也幹事長は小沢氏と会談し、政治倫理審査会出席は拒まれたものの、野党から「一定の評価をする」(公明党幹部)などの声が出たことから、民主党内にはこれで幕引きという空気が出ていた。
 ところが、11月5日、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件のビデオと見られる映像がインターネットの動画サイトに投稿されて大騒ぎになった。
 さらに、柳田法相が地元の会合で「国会答弁は二つ覚えておけばいい」などと発言したことについて、野党が辞任を求めたことで、補正予算の審議入りが暗礁に乗り上げた。当初法相を守る姿勢を見せていた政権も、柳田法相を事実上更迭し、ようやく補正予算審議にこぎ着けた。
 しかし、野党は、続いて、尖閣ビデオ流出の責任を問うて馬渕国交相、また、「自衛隊は暴力装置」と国会で発言した仙谷官房長官に対して参院での問責決議を行い、揺さぶりをかけた。
 結局、臨時国会(12月3日閉会)では、菅内閣が今国会に提出した法案20本のうち、成立したのは11本で、成立率は55%にとどまった。
 支持率低迷に悩む菅首相は、経済政策でリーダーシップを見せようとした。12月14日に閣議決定された2011年度税制改正大綱では、デフレ脱却や雇傭の確保を目的に、法人税の実効税率を5%引き下げることを盛り込んだ。一方で所得税や相続税の見直しで高所得者を中心に負担増を求めたものの、法人税率引き下げによる税収減の穴埋めは十分にされないままの大綱で、「つぎはぎ」との批判が浴びせられた。
 12月24日発表された11年度予算案は、一般会計の総額が92兆円余で過去最大、新規国債の発行額は前年度並みの44兆円余となった。しかし、財源には、一年限りの「埋蔵金」を充てるなど、やはりその場しのぎの感の否めない予算案となった。
★2010年
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